グラス・ワン・テクノロジー株式会社
資本金:3億5,400万円
本 社:東京都千代田区丸の内1-1-1
代 表:堀野智氏
2月18日付で債務整理を弁護士に一任した。
2013年3月に国内大手商社の出身者らによって設立された
スマートフォン・タブレット端末用タッチパネル加工・製造業者。
2013年9月には工場用地として佐賀県吉野ヶ里町と進出協
定を締結し同地に工場を設置したほか、同年10月には円高・
エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業補助
金を経済産業省から交付されていた。
また、解散した地元企業の工場を買収し第2工場として稼動。
タッチパネル月産400万枚を計画しており、月商9億円以上通
期売上高50億円を目標に掲げ、最終的には従業員400名体
制とする意向だった。
しかし、2014年9月期の年売上高は約2億3,000万円にとど
まり先行投資した設備の維持費が財務を圧迫、資金繰りが悪
化したことから事業継続を断念し今回の事態となった。
負債は2014年9月期末時点で約32億7,100万円。
(帝国データバンク大型倒産速報:2015/02/19)
まずはHPの沿革を拝見しましょう。※赤字は管理人が追加しました
2013/03:会社設立(資本金:3,000万円)
2013/06:増資(資本金:7,500万円)
2013/09:本社移転(東京都港区赤坂7-2-21)
2013/09:佐賀県吉野ヶ里町と進出協定締結 ←第1工場
2013/09:佐賀エレクトロニックス(株)と業務提携契約締結
2013/10:円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業補助金交付
2013/12:増資(資本金:1億2,500万円)
2014/01:増資(資本金:3億5,400万円)
2014/02:サガン鳥栖のユニホームスポンサー(5年契約)
2014/02:佐賀市と進出協定締結 ←第2工場
2014/04:ユタカ電機製作所(電源メーカー、売上50億円規模)を買収
2014/05:ルネサスエレクトロニクス甲府工場の売却先候補として報道される
2014/06:本社移転(東京都千代田区丸の内1-1-1)
設立直後、工場が稼動する前から本業と関係ない会社を買収
したりサガン鳥栖のスポンサーになったり本社移転したり・・・
どんだけムダ使いしてんだよ!
と追求する株主はいなかったんでしょうか?
沿革に本業に関係する内容が全くないってどうなんでしょうね。
肝心の工場ですが、実態がよくわかりません。
第1工場(佐賀県神埼郡吉野ヶ里町立野950)
・佐賀エレクトロニックス(株)※新日本無線の関連会社の工場敷地を一部借用
第2工場(佐賀市久保泉町下和泉3144-1)
・リコー計器(株)※リコーの子会社の工場を買収(2014年3月)
追)第2工場は結局未操業のままだったようです(佐賀新聞2015年02月20日 08時36分)
ここである報道をご紹介します。
グラス・ワン、佐賀にガラス加工の第2工場
グラス・ワン・テクノロジーは、スマートフォン(スマホ)やタブレ
ット(多機能携帯端末)のタッチパネル用ガラスを加工する新
工場を佐賀市に建設する。
5月の稼働を目指す。
第2工場は3月に清算するリコー計器(佐賀市)の工場を買収
、3月に操業を始める第1工場に続いて整備する。
第2工場の月間生産能力は第1工場の3倍の300万枚。
グラス・ワンは半導体製造装置メーカーや商社の出身者らが
2013年3月設立、14年9月期売上高は90億円を見込む。
同社の受注量は現在、「2工場の合計生産能力の5倍ある」
(古橋社長)といい、17年9月期までにさらに3つの工場の増設
を計画している。
(日経新聞2014/2/25 0:05)
進出協定締結時の佐賀県の発表だと第1工場は2013/11
操業開始のはずなんですがこの報道だと2014/03ですね。
結局稼動してたんでしょうか?
第2工場に関してはもともと電源基板などの製造工場だったも
のを2ヶ月でタッチパネルの生産ラインにできるのかな?
というか、昨年2月の時点で
第1工場・第2工場の合計生産能力の5倍の受注量
が事実だとすると、2014年9月期の売上げが2億3000万円
というのは不思議です(しかも期中の2月に90億円と予想して
おきながらです)。
まぁ単に製造できなかったって事になるんですが、工場立ち上
げの遅れなんてリスクとして想定してて当然です。
まして、受注を抱えている上に本業と関係ない会社を買収する
余力があるのにあっという間に倒産は理解に苦しみます。
まさかと思うけど天下の日経新聞が受注と見込みを混同してる
なんて事はありませんよね?
管理人的に一番の疑問はコレに尽きます。
設立間もなく工場未操業、品質・納期不明な会社に誰が発注する?
不思議と言えば、帝国データバンクの発表だと代表は堀野智
氏になってますが設立時の代表は古橋貴彦氏(HPも)です。
そして、吉野ヶ里町との進出協定締結時の発表では野田雅昭
氏・・・どうもよくわかりません。
http://www.glass-one.jp
事業構造はこんな感じだそうです。
ガラスメーカーとも端末メーカーとも直接の取引はないですね。
失礼な言い方かも知れませんが・・・
これって単なる商社の下請けじゃね?
設立から倒産までその商社が大きく関与してそうですが、具体
的な社名がわかりません orz
最後に、得意満面の地方自治体の皆さんです。
秀島敏行佐賀市長(左)
(佐賀県2014年6月4日)
右から西課長(佐賀県企業立地課)、江頭町長(吉野ヶ里町)
(佐賀県2013年9月30日)
地方自治体はいいかげん補助金詐欺みたいなザル誘致ヤメテ!
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投稿内容をソースとした誹謗中傷は一切認めませんのくれぐれもご注意ください。
管理人は一切責任を負いません。
【参考資料】
・日本発のタッチパネル加工技術で「技術大国日本」の復興を志す
・佐賀県企業立地ガイド
・勝華科技(Witec/台湾のタッチパネル2位)倒産、実は3年前から赤字 2014/10/13
※直接関係ないですが業界の実情を表す一例です
【関連投稿】
Part1:この投稿
Part2:ユタカ電機製作所(電源装置製造)も道連れで倒産
Part3:倒産直前に社長交代?
Part4:金融機関に引導を渡されて破産決定
チラシの裏は こちら です。
(トップ画像:佐賀県企業立地ガイド+MARR Online)
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