日本会議の主要な構成団体のひとつに神社本庁があります。全国約8万社の神社を傘下におさめる包括団体ですね

その神社本庁が、このところゴタゴタ続きなのは、昨今の報道で皆さんもご存知のことと思います

当ブログでも、たびたび「神社界のツートップ」こと田中恒清さん(神社本庁総長)と打田文博さん(神道政治連盟会長)及び、彼らが関係すると目されている「神社本庁職員宿舎不正転売疑惑」について書いてきました

神社本庁についての昨今の動きは、↓の2本の記事にかなりの部分をまとめているので、一度目を通して頂ければ幸いです



神社本庁はもともと右派系の団体でしたが、しかし決して上意下達の組織形態ではありませんでした。また、地域住民への配慮から、個々の神社が政治思想を前面に押し出すことも憚られます。このため神社の宮司などで、神社本庁の推進するウヨ活動に参加する人は、極一部にとどまっていました(そもそも神社は儲からないので、兼業神職も多い)

ところが、神社界が田中―打田体制に牛耳られてからというもの、そんな組織形態が変わってしまいます

一言で言えば強権支配

個々の神社とゆるやかに結びついているにすぎなかった神社本庁は、田中―打田体制によって上意下達の組織に変貌を遂げました

前述した「神社本庁職員宿舎不正転売疑惑」については言うにおよばず、2016年の初詣で全国の神社が一斉に改憲署名活動をした騒動や、八幡様の総本宮である宇佐神社への人事介入など、「神社界のツートップ」の強権支配を象徴する出来事が次々と起きています

また、その支配体制を裏付けるように、田中―打田は、批判にさらされながらも2019年にそれぞれ神社本庁総長と神道政治連盟会長に再任されています(裏工作のおかげもありますが……)

しかし、その支配体制が、いま揺らいでいるのです

「神社本庁職員宿舎不正転売疑惑」をめぐるゴタゴタで、神社本庁の「象徴的」トップである統理の鷹司尚武さんと対立したのがひとつ

また、「神社本庁職員宿舎不正転売疑惑」をはじめとした不祥事が次々と明るみに出たことがひとつ(不倫疑惑なんかもありましたね……)

さらには、新型コロナ対策よりも、不倫疑惑の揉み消しに躍起になる神社本庁への憤りがひとつ

こうしたことが重なって、神社本庁はいま、全国の神社から不信感を持たれている状態なんですね

たとえば、今年6月に金刀比羅宮が神社本庁を抜けることを宣言しました(宗教法人法の規定により、正式に認められるのは秋頃だそうです)

そして、ここに今、ひとりの良心的宮司により、田中―打田体制に反旗を翻す署名が開始されたのです

"「神社界民主化とコンプライアンスを求める署名」"


署名について


署名を立ち上げたのは、清洲山王宮日吉神社の宮司をされている三輪隆裕さんです

おそらく日本会議に関心のある方なら、一度は三輪隆裕さんの文章を読んだことがあるのではないでしょうか?

なにしろ三輪隆裕さんは清洲山王宮日吉神社のホームページ上のブログで、たびたび神社本庁と日本会議、さらには安倍晋三政権を批判して話題になった人なのですから

なかでも「神社本庁(日本会議)の見果てぬ夢」と題されたこちらの記事は、神社本庁の政策を決定する神道政治連盟の政策委員会が、日本会議に連なる面々によって構成されていることを暴き、舌鋒鋭く批判を展開していて面白いです

"彼らは、今から本当の「神州日本国」を作り上げ、「國體」を明らかにし、世界を八紘一宇の桃源郷にしようと画策している。民主主義と資本主義という世界の共通価値に挑んで、これを破却し、世界を日本的価値に従わせることを望んでいる"

"しかしもちろん、そんな夢は実現するはずもない。神社本庁も、日本会議も、「見果てぬ夢」を見ている時が一番幸せであるかもしれない。このまま、彼らの夢が現実化すれば、遠からず日本は第二の「亡国」を迎えるであろう"

僕からすれば、あまりに日本会議を戯画化してとらえているようにも思えますが、これが神社界の内部から見た神社本庁・日本会議の姿であるのも事実です

三輪隆裕さんのブログ記事をいくつか見ていけば、彼が民主主義と人権を重んじている人であることがわかるかと思います。そんな彼には、日本会議と神社本庁が許せないのでしょう

特に、自らが宮司ということもあり、神社本庁の現状には、深い憂慮を抱えていたことは想像に難くありません

そのことは、彼が「草莽神職の会」とともに田中恒清さんを本年6月に刑事告発していることでも裏付けられています(『紙の爆弾』2020年9月号より)
 ※9月4日付けで不起訴が決定。現在、検察審査会へ不服申立中※

一方で、三輪隆裕さんは、(たとえば僕のように)神社本庁自体の解体を望んでいるわけではありません

"次世代の神職の教育や祭りの意義のアピールには、神社本庁のような包括団体が必要であり、それが正しく機能してくれることが必要です"

と言うように、全国の神社を包括する団体の存在の必要性も訴えています

たしかに、ごく一部をのぞいて神社は儲からない商売ですし、後継者不足も懸念されています。現在でも、兼業や定年退職後で神職をやってる人は少なくない=現役・専業では食っていけない人の多い仕事です。少子高齢化の影響もあり、将来的にこの傾向は強まっていくでしょう

つまりは、個々の神社は自活できる状態でなくなっていくわけです(現状でも、自活できているところは少ないですが)

これらの現状を考慮に入れると、全国の小さな神社が機能していくためには、包括団体が必要なのです

だからこそ神社本庁を浄化し、真っ当な団体に作り変える必要がある……というわけなんですね

そのためにも、田中恒清さんを排除しなくてはならない

そこで、神社本庁統理の鷹司尚武さんに「田中恒清さんをどーにかしてくれ」と頼むのが今回の署名です

もともと鷹司尚武さんは田中恒清さんに批判的であるため、鷹司尚武さんを世論の力でバックアップするのが狙いですね

こりゃあ、全力で応援せざるをえませんね!

僕のように日本会議が気に入らない人も、神社界の将来を憂いている人も、日本の伝統文化を残したいと考えているウヨさんも、どなたでも結構です、どーぞ奮ってご署名ください

"「神社界民主化とコンプライアンスを求める署名」"