歩道と同じ色 見えにくく
歩道と似た色で目立たない点字ブロックが石川、富山両県の各地にある。弱視など視覚障害者の八割ほどは色も頼りにして歩いているというが、認識しづらい点字ブロックの総数は行政で把握できておらず、貼り替えはなかなか進まない。そんな中、石川県は金沢市の一部の点字ブロック沿いに、道と区別しやすいよう白いテープを貼り、改善に動き始めた。(福岡範行、木許はるみ)
目立たない点字ブロックは景観への意識の高まりで一九八〇年代から全国に広がった。九〇年代に整備されたJR金沢駅周辺の歩道では路面と同じ色が多い。九〇年前後に設けられた富山市役所前の点字ブロックは薄いグレー、周りが薄いベージュで見づらい。
「同系色では白一色のように見えて判別できない」。視覚障害者の全国組織「日本盲人会連合」の専門相談員下堂薗(しもどうぞの)保さん(76)は問題点を指摘し、「黄色い線がないと階段も平面に見える」と経験を話す。富山県魚津市視覚障害者協会の佐生秀一会長(58)は「赤や青は黒に見えたりする」と体感を語る。人によって見え方はばらばらだが、周囲と色の違いがないと認識しづらいのは共通する。
国土交通省は二〇〇六年、認識しやすい色使いを義務付けた。昨年四月には障害者差別解消法が施行され、障害者が住みやすい環境整備の必要性も高まった。ただ、見え方は時間帯や天候で変わり、認識しやすさの判断には詳細な調査が必要で、義務付け前に設置された点字ブロックの確認は滞っているのが現状だ。
石川県の担当者は「使う方の意見を聞いて対応した方が満足度は高い」と考え、県視覚障害者協会との話し合いを重視する。白いテープの設置もその一環。今年三月、金沢駅に近い六枚交差点付近の点字ブロック沿いに貼り、色の違いをつくった。協会の米島芳文理事長(64)は「配慮の効果を慎重に調べたい。視認性が確認できれば対応の選択肢が広がる」と歓迎する。
(左)路面と全く同じ色の点字ブロック (右)石川県が点字ブロック沿いに白いテープを貼って境界を目立たせた
<点字ブロックの色の基準> 国土交通省は2006年、省令で道路の点字ブロックを黄色など識別しやすい色に義務付けた。石川、富山両県は色のコントラストを示す輝度比で基準を設けている。ただ、義務化以前に設置された周囲と同系色の点字ブロックは今も残る。視覚障害者団体は目立つ色の方が健常者も気づきやすく、点字ブロック上に物を置いたり、立ち止まったりしにくい点も挙げ、配慮を求めている。
2017年5月9日 北陸中日新聞
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