第六話:フェイト・ブレイク・オンライン――起動【六】
(……おかしい。やっぱりこのフェイト・ブレイク・オンラインは、何かがおかしいぞ)
えらく尖ったステータスのウェアウルフ。
鍛冶屋の行き過ぎた値段設定。
そして――異常な強さの
(もしかして……夢の中のFBOとは、『難易度設定』が違うのか?)
コンシューマーゲームの多くには、難易度という概念があり、基本はイージー・ノーマル・ハードの三段階。
近年はそこにベリーハード・ヘルモード・アルティメット・インフェルノ・ルナティックなど、呼び名は割とマチマチだが、ゲーム内の『最高難易度』が加わることも多い。
(オンラインゲームであるFBOには、難易度設定なんて実装されていなかったんだが……)
夢の中のFBOと俺が今プレイしているFBOは、各所で仕様が異なっている。
難易度という概念が実装されていても、全くおかしな話じゃない。
そしてその場合――今日の一連の流れを見る限り、このFBOは
(とりあえず……ここは大人しく撤退、だな)
敵は超高ステータスの
「絶対に勝てない」とまでは言わないが、苦戦は必至。
リアルに命が掛かっているこのゲームで、無駄なリスクを取る必要性は皆無だ。
ゆっくりと回れ右をし、足音を立てないようにそろーりそろーりと退散を始める。
すると次の瞬間、足元で『パキリッ』と小気味のいい快音が鳴り響いた。
(な・ん・でよりにもよって、足元に『いい感じの小枝』が……!?)
LUC(幸運)0の本領発揮というべきか……。
こんなところで
恐る恐る振り返ってみれば……。
「ゲギャッ!」
「ゲーギャッ!」
「ゲギャギャッ!」
「ギャギャギャギャ!」
俺という格好の獲物を発見した
男同士・深い森の中・交錯する視線、何も起きないはずがなく……。
「「「「ギャギャギャッ!」」」」
戦闘前のピリリとした空気を味わう間もなく、
「ったく、しょうがねぇな……ッ」
俺は二本のブロンズソードを引き抜き、すぐさま戦闘態勢を取る。
「ギャッ!」
「ゲゲゲッ!」
「ゲギャ!」
「グゲゲッ!」
奴等は四方向にバラけ、様々な角度から攻撃を繰り出してきた。
(右上・左下・真ん中・下……ッ!)
右上と左下を二本の剣で捌き、下の顔面を右足で踏み抜き、
一瞬の攻防で主導権を握り、そのまま一気に攻め落とす。
回し蹴りの直撃を食らい、大きく背後へ吹き飛んだ赤小鬼に対し、追撃の斬撃をぶち込む。
「
袈裟斬り・横薙ぎ・突き・斬り上げ・大上段からの斬り下ろし――息をつかせぬ五連撃。
「ゲ、ギャ……ッ」
激しい斬撃の嵐を食らった赤小鬼のHPゲージは、あっという間にゼロとなり、光る粒子となって消滅した。
(うっし、まずは一匹!)
直後――危機感知スキルが反応。
すぐさま右方向に跳べば、つい先ほどまで俺の頭があった場所を真紅の斧が通過する。
(やっぱSTR(筋力)65は伊達じゃねぇな……っ)
斧の切っ先が、ほんのわずかに左頬を
俺はすぐさまインベントリから回復ポーションを取り出し、HP(体力)を全快させる。
ゲームオーバーが文字通り『命取り』となるこのゲームにおいて、HP(体力)管理には細心の注意を払わなければならない。
「――さて、残りは三匹だな」
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