国内製造の部品は3~4割でいい

 共同開発は、ノウハウの確保やコスト削減のために極めて有効だ。しかし、前述のように米国頼みでは日本の主導権発揮は望めない。そこで浮上しているのが同時期に戦闘機を開発する英国をパートナーにする案だ。

 先出とは別の政府関係者は英国との共同開発について「求める機能は日英で違う。現実的には部品の共用にとどまるだろう。英国に限らず米国の企業からも提案を受けて判断するのが望ましい」と話す。

 そして、意外に大事なのが開発のスピード感だ。開発が長期化するほど他国に介入される余地が生まれる。F2の開発は当初、日本主導で進んだが、途中から米国に牛耳られてコア技術がブラックボックス化されてしまった。

 次期戦闘機の開発でも、途中で米国から横やりが入ることは十分に考えられる。スペックの決定などに手間取って開発が混乱状態に陥ることがないよう、スケジュール管理が重要になる。

 先出の空自元幹部は「最初は国産パーツにこだわらず、スケジュールに間に合う国産技術だけを採用。それ以外は外国に頼りつつ国内開発を続けて完成し次第、導入していけばいい」と話す。戦闘機の改良の自由度が確保されるなら、「運用開始時の部品の国産化率は30~40%で構わない」という。

 開発のノウハウで劣る日本が実績豊富な海外メーカーを「使う」という難易度の高い開発を成功させるには、強い政治の意志と政官民の連携が必要だ。そして独自の戦略で運用できる戦闘機が、日本の防衛のために不可欠だということに対する国民の理解が鍵になるだろう。