このように適任者がいないため、幹事長ポストはまた福山氏に戻ってくることになる。確かに福山氏は枝野代表が立憲民主党を立ち上げた時、参議院民進党からただひとり駆けつけた盟友だ。
会見を月に1度しか行わないなど、およそ野党第一党のトップとしての自覚に足りない枝野代表を、福山氏はこの3年間よく支えてきた。
だが昨年の参議院選では、近隣の兵庫県選挙区や大阪府選挙区のみならず、自分のおひざ元の京都府選挙区ですら議席を得ることはできなかったことも事実である。
またかねてから犬猿の仲とされる国民民主党の榛葉賀津也参議院幹事長の対抗馬として静岡県選挙区に徳川家広氏を擁立し、巨額の資金を投入して負けたとも言われている。
しかし何よりの問題は、新党そのものを国民が期待していないことだろう。
毎日新聞と社会調査研究センターが9月8日に行った全国世論調査では、立憲民主党と国民民主党の新党結成について「もともと期待していない」が65%を占め、「期待は低くなった」が10%も存在した。9月5日と6日に行われたJNN世論調査でも、新党に対して「期待しない」が62%を占めている。
これを見る限り、新党が合流の“大義”とする「大きなかたまり」を多くの国民が求めていないということがよくわかる。にもかかわらず、相変わらずの党名に相変わらずの代表の顔、そしてその実態も相変わらずでは、国民の期待はますます遠のいてしまうだろう。
消費者のニーズにあわない商品は市場から消え去るのみだが、現行の選挙制度の下では、野党第一党は一定数の議席を保持して存続しうる。それを求めて「大きなかたまり」を作ったとしても、いったい何の意味があるだろうか。