ドコモ口座の不正預金引き出し被害、計約1000万円に 全額補償へ

2020年9月10日 12時00分
一部銀行との連携停止を示す「ドコモ口座」のウェブ画面(共同)

一部銀行との連携停止を示す「ドコモ口座」のウェブ画面(共同)

  • 一部銀行との連携停止を示す「ドコモ口座」のウェブ画面(共同)
 NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」の不正預金引き出し問題で、今回確認された被害が10銀行で34件、計約1000万円に上ることが10日、分かった。ドコモは連携する35の銀行全てで新規のひも付けを停止した。被害者に全額補償する方向で銀行と協議する。昨年5月に、りそな銀行で同様の引き出しが起きていたことも判明。本人確認の厳格化など当時の対応が不十分で、被害の拡大につながった可能性がある。
 警察当局は私電磁的記録不正作出や電子計算機使用詐欺容疑などの適用を視野に捜査を始めた。各地の警察では銀行や引き出された人から被害相談が相次いでおり、犯行手口や容疑者の特定などを進める。ドコモの携帯利用者でなくても、連携する銀行に預金口座を持っていれば被害に遭う恐れがある。
 連携する35行のうち、大垣共立銀行(岐阜県大垣市)や東邦銀行(福島市)など7行がドコモ口座との間の入出金を停止した。
 ドコモは再発防止策として、ドコモ口座の開設時に携帯電話番号の登録を義務付けるほか、スマートフォンに数分間だけ有効な「ワンタイムパスワード」をショートメールで送信し、受け取った本人に入力してもらう対応を導入する。ひも付けの際にも本人確認を徹底するため、本人と証明書類の顔写真をオンライン上で照合する。
 昨年のりそな銀での被害を受け、ドコモは1カ月に入金できる上限を100万円から30万円に引き下げ、連携する銀行に注意を呼び掛けた。ただ本人確認の強化といったさらなる対応は取らなかったという。りそな銀と埼玉りそな銀行は昨年5月からドコモ口座への新たなひも付けを停止している。

 ドコモ口座 NTTドコモの電子マネー決済サービスに使う口座。ドコモの携帯電話を契約していなくても、ドコモのサービスを使うための会員登録をし「dアカウント」を取得すれば開設できる。自分の銀行口座の預金やコンビニからチャージ(入金)することで、スマートフォン決済で買い物ができたり、家族や友人に送金できたりする。ドコモ口座へ自由に送金が可能になる「ひも付け」のできる銀行は大手行や全国の地方銀行など計35行ある。

(共同)

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