挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 作者:ハム男

第3章 学園都市編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
133/287

第131話 ハト①

 B級ダンジョンを攻略して1ヵ月が経過した。

 今は8月の上旬だ。


 この1ヵ月で起きたことと言えば、クレナが教養のテストに無事合格した。試験自体は全員受け全員合格したのだが、クレナの合格のためにお祝いをした。クレナは食卓に御馳走が出て嬉しそうだった。来年2月の教養試験が終わった時も合格祝いをしたいものだ。


 2つ目のB級ダンジョンを制覇した。これでA級ダンジョンまであと1つだ。ダンジョンの実態が分からず学園都市に来たのだが、十分早く攻略が進んでいると思う。クレナは単騎でBランクの魔獣を倒し始めており、成長が早すぎると思う。


 1ヵ月間休止していたDランクの魔石の募集依頼を7月から再開した。B級ダンジョンは1つの階層でCランクの魔石を1日200個ほど回収できる。召喚獣隊を3チームに分けて1日600個のCランクの魔石だ。また、宝箱も積極的に回収している。


 召喚獣隊はミミックも積極的に倒す。ミミックかどうか分からないので、とりあえず宝箱を発見したら霊Cの特技「サイコ」を遠距離から食らわすようにしている。


 これで分かったことが、1つの階層は1日大体200個の魔石が限界であると言うことだ。どうも、魔獣が出現する速度に限界があるので1つの階層で200体が上限になってしまう。

 ダンジョンでの魔獣発生のタイミングはまちまちで一定ではないので、1日掛けて200体を倒すことになる。


 上限の200体を超える魔獣を狩る策として、魔獣召喚罠を宝箱と一緒に探すようにしている。Cランクの魔獣に囲まれると、Cランクの召喚獣であっても、多少やられてしまうこともあるのだが、発見すれば1000個くらいはCランクの魔石を回収できる。


 罠と宝箱の位置は夜の0時に変更されるみたいなので、日付が変わると少しでも早く魔獣召喚罠を発見することが肝心である。


 アレンの召喚獣だけで1ヵ月に稼いだ魔石とお金

・Cランクの魔石34,760個

・宝箱の報酬 金貨425枚


 Cランクの魔石を元手に31万個のDランクの魔石を募集できる。

 冒険者ギルドの職員からはひきつった顔で週にDランクの魔石1万個の上限の募集で抑えてほしいと言われた。毎月の募集は5万個が限界のようだ。


 普段パーティーではダンジョンで出た魔石を全て貰っているので、召喚獣が回収した宝箱の報酬でパーティーに必要なものを買った。


 拠点の活動のための馬車と、ダンジョンの中で時間が分からず魔道具の時計が必要だったので揃えた。それぞれ金貨50枚だった。お陰で庭に馬小屋ができたので、15歳の従者が世話をしている。


 これで、夏休みの間にダンジョンに籠っても、時間の把握が容易にできそうだ。



 アレンは今上空を召喚獣になって飛び続けている。


(おお! あったあった。というか遠かったな)


 以前、鳥Gの召喚獣で上空から見た光景と同じものが見える。それはクレナ村だ。


 以前は毎月のように鳥Gの召喚獣でやって来ていたのだが、今日はハトの形をした鳥Fの召喚獣でやって来た。


 アレン達は無事夏休みに入った。2ヵ月間の夏休みなのだが、帰省はせずにダンジョンに通おうという話になった。この2ヵ月間でがっつりレベルとスキルレベルを上げ、A級ダンジョンにも早く挑戦したい。

 目標のひとつである魔力回復リングはA級ダンジョンで手に入ると思っている。


 帰省はしないが、用事があってグランヴェル領に戻ってきた。ついでと言ったらあれだが、近況報告を行う。ついでのついでに鳥Fの召喚獣の飛行訓練もある。


 アレンは、実家にたどり着く。家の中に入っていくとロダンもテレシアもマッシュもミュラもいる。ふかし芋を頬張っており、昼時だったようでみんな揃っていて、丁度良い。


『ただいま。いや~遠かった』


 土間に入ってきた鳩がアレンの声で話をする。


「「「え?」」」


 ミュラの手元からふかし芋が零れ落ちる。


(よしよし、全員聞こえているな)


 この鳥Fの召喚獣は鳥Gの召喚獣同様に言葉を発することができる。しかし、声マネと違ってアレンの声のみとなっている。


 鳥Fの特技「伝達」の能力

・アレンの声で半径3キロメートルの対象に言葉を届けることができる

・対象を選定でき、対象以外の者は声を聴くことができない

・距離や障害物があっても声の大きさは変わらない


 鳥Fの覚醒スキル「伝令」の能力

・アレンの声で半径100キロメートルの対象に情報を届けることができる

・情報はアレンが見聞きした事なら何でもよい(映像も可能)

・距離や障害物があっても声の大きさは変わらない

・クールタイムは1日


 とんでもなく有用なスキルだ。明らかに広範囲の戦場を意識したスキルとなっている。


 召喚レベルが6になり、覚醒スキルを覚えた。現在覚醒レベルは5まで上げた。お陰で分かったこともたくさんある。Dランクまでの他の鳥系統の覚醒スキルは以下のようになっている。


 鳥Gの覚醒スキル「さえずり」の能力

・声マネで覚えた声を同時に発することができる

・クールタイムは1日


 鳥Eの覚醒スキル「千里眼」の能力

・半径100キロメートル以内の対象を把握する

・障害物の中は見えない

・日中のみ有効

・クールタイムは1日


 鳥Dの覚醒スキル「白夜」の能力

・半径100キロメートル以内の対象を把握する

・障害物の中は見えない

・夜間のみ有効

・クールタイムは1日



「あ、アレンか?」


『うんうん、ただいま。今日はピッピちゃんでなくこっちできたよ。荷物も重くて』


(本当はチャッピーなんだけどね)


 アレンがチャッピーと名付けた鳥Gの召喚獣は、家族からは「ピッピちゃん」と呼ばれている。


 そう言うと足に握った籠を地面に置いて話をする。この籠にはクレナ、ドゴラ、セシルの手紙が入っている。クレナの父は文字が読めないから内容も伝える予定だ。クレナとドゴラの手紙をロダンに渡しておく。


 アレンは自分の口で話せるので、そのままこの鳩も月に1回やって来ていたインコも自分の能力であること。そして学園に通っていること。みんなで仲良く住んでいることを伝える。


 今まで鳥Gの召喚獣の時は話をしなかったが、スキルの能力を仲間に話すようになり、仲間に話して家族に話さないのはどうだろうと打ち明けることにした。


「そうだったのか。まあ、そうなんじゃないのかくらいの感じはあったんだがな。あの鳥はアレンっぽかったからな」


(む、挙動が俺っぽかったか。やるな、流石我が親父だ)


 特にマッシュとミュラに接する感じがアレンっぽかったと言う。


 それから、雑談をする。話の中で、今年の4月にミュラが才能の確認をしたのだが、残念ながら才能無しであった。そうそう才能が出てくるものではなかった。ミュラももう今年で6歳になるのかと時の流れを感じる。


「ああ、それとな。俺がな、何でも村長になれって話を領主の使いから言われてな」


『お! 父さん、村長になるんだね』


(やっとか、俺が聞いた時は8歳の頃だからもう4年半以上時間がかかったな)


「そうなんだよ。全く参ったぜ」


 アレンの父ロダンは、村長候補であるとグランヴェル家の執事から聞いていた。それは8歳で従僕をしていた頃の話だ。


 魔王軍と戦うために、王国内には領内開拓令が発令されている。その発令の下、新しい村の開拓が必要である。


 実は既に開拓する場所は決まっていたのだが、白竜が移動してしまい、ミスリル鉱の採掘のため、新たな開拓村の話は止まっていた。ある程度、ミスリル鉱の採掘のめどが立ってきたので、ロダン村長による開拓村が始まりそうだと言う。


 ロダンが今後の予定の話をする。どうも来年の4月から開拓村をスタートする。その時、クレナの父ゲルダもついて行く。そして、開拓村に行きたいものを領内から募集するという話であった。


 場所はこのクレナ村から歩いて2日程度の距離だという。グレイトボアが秋にやってくる林にも接している場所なんだとか。


(まあ、親父ももう32歳だからな。母さんは30歳だ。タイミング的に今が良かったのかもな)


 開拓村を作るには、とても時間がかかる。形にするのに10年とか15年は考えないといけない。村長は若すぎても下の者の抵抗があるかもしれないが、あまり年を取ると体力が持たない。今のロダンくらいの年齢がちょうど良いのかもしれない。


『じゃあ、手紙渡しておいてね』


 来年の4月からロダン村長による開拓村が始まるという。手伝えることはあるかなとアレンは考える。


(さて、次はグランヴェルの街だ。村長の件もやっぱりお礼を言った方がいいかな)


 ある程度話をしたので、鳥Fの召喚獣はアレンの実家からグランヴェルの街に飛び立ったのであった。


  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。
書籍版「ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する」
  著者:ハム男
レーベル:アース・スターノベル
 発売日:2020年7月15日
ISBN:978-4803014334

ヘルモード特設サイト

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。