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(本間 快) 9年前の7月1日
後に スコップ男と呼ばれる犯人が

最初の殺人に及ぶ
被害者は 中富姫花｡

中学生 当時14歳｡

2件目の犯行は その5日後｡

被害者は天満千尋 当時50歳｡

3件目の被害者は
事件を捜査中の刑事

近藤修平警部補 当時43歳｡

(一ノ瀬次郎)
スコップ男は警察の人間だから｡

(新藤)
3人も殺した連続殺人鬼だぞ？

当時の管理官は
それを知っていながら

別の人を逮捕して真実を隠蔽した｡

橘は スコップ男の正体
知ってるんだよな？

(冬美)
これです 最初の犯行の映像です｡

犯人の顔が写ってます｡

教官が…｡

(銃声)

(柳田) 起きろ おい…｡
(稲西) 起きなさい｡

何が どうなってんの？
(柳田) ゴム弾だ｡

(柳田)
これで死ぬようなことはない｡

(柳田)
考えてみりゃ 3件の殺しは

全て あいつの周りで
起きたことだった｡

(カメラのシャッター音)

(稲西) スコップ男の正体は
片野坂警部補｡

(片野坂) もう一度聞きます
してくれますか？ 罪の告白｡

ん？
どうしたの？

今 見たのは
途中から再生されたものだ｡

この映像は
もっと前から撮影されてる｡


(操作音)


(操作音)

何 これ…｡

(電車の騒音)


(衝撃音)
えっ？

何だよ…｡

何だよ これ…｡

?～


(操作音)

?～

(ケータイを閉じる音)

(及川蘭子)
この映像 どうするつもりだ？

その映像は決定的な証拠です
すぐに本部に提出すべきだと…｡

結果 再び証拠を
もみ消される可能性もある｡

それでもいいと言うんだな？
よくありません｡

では どうする？

本件を模擬捜査の授業として
やらせてください｡

教官の心の中が知りたいんです｡

どんな犯人の中にも
そこに至るまでの物語がある

それが分かれば
真実が分かるはずです｡

これは 俺たちの事件です｡

天満さんの姉弟にも
真相を明らかにすると誓いました｡

お願いします！
お願いします！

天満さんの冤罪は
私の事件でもある｡

個人としても
組織の一員としても

あの家族に 過ちを償いたい｡

お前たちの模擬捜査 私も手伝う
それが条件だ｡

はい！
はい！

(呼び出し音)

(呼び出し音)
出ろよ チッ｡

(砂岡) Nシステムと防犯カメラ
ETCカードの履歴から

片野坂のレンタカーの
行き先が分かった｡

(砂岡) 国枝警視正も そこだろう｡

何で わざわざ
足がつくようなことを…｡

(稲西) 行かなくていいんですか？
ちょっとな やぼ用がある｡

?～

久しぶりです
片野坂の同期の柳田です｡

(晴美) あぁ… ご無沙汰してます｡

離婚後 ヤツと連絡は？
会っていますか？

何ですか？ 捜査か何かですか？

はい 片野坂警部補は現在
3件の殺人容疑で追われています｡

え…？

?～

(国枝) うぅ…｡
(砂岡) 警視正 ご無事ですか？

(国枝) うっ うぅ～！ うっ…｡

国枝警視正 発見！

(銃声)

あぁ これで
共犯者が全員そろった｡

分かっていただけましたか？

私の覚悟を｡

?～

(さやか) どういうこと？

それを 俺たちが探るんだ｡

一緒に模擬捜査してほしい｡

(黒岩) 何から手を付ける？
ありがとう｡

柳田警部補が
気になることを言ってた｡

3件の殺しは   全て あいつの
周りで起きたことだった

その意味を知りたい｡

3件の被害者それぞれに

片野坂教官との接点が
あるんだと思う｡

それを手分けして調べよう｡

まず新藤さんは 昔 働いてた
新聞社のコネで当時の事件資料を｡

田畑と鷹木と野原は 2件目の
天満千尋さんとの接点を｡

黒岩は 警察内部の情報を頼んだ｡

?～


1件目の現場って
この辺なのかな｡

この奥だ｡

?～

ここだ｡

?～

これは ここから撮ったんだ｡

いや 教えてくれよ｡

真実を追求するって意味じゃ
新聞記者も警察官も仲間だろ？

分かってるよ｡

親父には迷惑掛けないって
約束するから｡

だから 知ってること
全部 話してほしい｡

189期 及川ですが

元本部捜査一課
近藤修平警部補について

お話を
お伺いできませんでしょうか｡

(田畑) あった ここだ…｡

(さやか) この写真の人
見覚えありますか？

(店主) いや ちょっと…｡

もう少し右で… その位置で｡
ここ？

で 手前に来て｡
あっ…｡

?～

あの 姫花ちゃんの友達…？

(舞)
ただの同級生です 失礼します｡

9年経っても お花を手向けに
来るなんて 仲が良かったのかな｡

あの人 何かを隠してる｡

?～

すいません！
すいませ～ん！

おいしょ｡

すいません
警察学校の学生なんですが…｡

僕たち 姫花ちゃんが亡くなった
事件の模擬捜査をしてます｡

それは 再捜査ってことですか？

あくまで 授業の一環ですが
真犯人は別にいると思っています｡

姫花ちゃんのこと
何でもいいんで教えてください｡

お願いします｡
お願いします！

お願いします！
お願いします！

姫花は
同級生をいじめていました｡

私は それを
見て見ぬふりをしました｡

(姫花)私が食いたいのは
これじゃねえんだよ

言われた通りのもん
万引して来いよ

う～わ   汚ったな！
ヤッバ！

ダッサ！

う～わ！
うわ   ヤッバ！

(舞) 彼女が自殺するまで
いじめは続きました｡

自殺？

でも…｡

姫花のおじいさんが
偉い人だから

みんな 何も言わなかった｡

おじいさんって
確か 国会議員の…｡

これ以上は もう ごめんなさい｡

(新藤) いじめで自殺？

あぁ 分かった
今度は中富議員を調べる｡

近藤警部補については どう？

警察学校の同期に
気になる話を聞いた｡

生前の近藤警部補には
悪い噂があった｡

犯罪を見逃す代わりに
金銭を要求するという噂だ｡

何だそれ 最っ低だな｡

(真琴) こっちも 天満千尋さんと
教官の接点 見つけたよ｡

(田畑)
9年前 近所に住んでたって｡

?～

(ケータイを開く音)


(操作音)

(ケータイを閉じる音)

(みく) その節は いろいろ
ありがとうございました｡

(稲西) あの時
どんな話をしたか覚えてる？

(みく) おじさんには娘がいた｡

おじさんにもね   娘がいて…

あぁ   最後に会った時

ちょうど
君ぐらいの年の時なんだ

私と同じ 中学生の女の子｡

でも 会いたくても会えない｡

死んじゃったから｡

どんなことをしても
守りたかったのに

守ることができなかったって｡

でも 私の両親は

私を命懸けで守ったんだって
励ましてくれて…｡

どんなことをしてもか…｡

?～

犯人は ここにケータイを置いて
わざわざ 映像を撮影している｡

その理由は何だ？

犯人のストーリー｡

心の中の物語｡

(舞)彼女が自殺するまで
いじめは続きました

いじめ 自殺…｡

1件目の殺害は
2件目 3件目と比べ…｡

弱い力で殴っていた

もしかすると   偶発的な事故で

殺すつもりは
なかったのかもしれない

近所に住んでいた…｡

悪い噂…｡

人間が 必要以上に…｡

(片野坂)
必要以上に何かに必死になる時
大抵 その裏には隠された

もう一つの真実がある

もう一つの真実…｡

そうか…｡

そういうことか｡

カイ君…｡


本間 一ノ瀬｡

急に すいません｡

(振動音)

(晴美)あの子が悩んでたこと
知ってた？

(晴美)犯罪者の
プロファイリングはできても

自分の子供のことは
何にも分かんないのね

足音

娘は   いじめで自殺したんです

どうして関連性を
捜査しないんですか？

いじめの加害者が
中富議員の孫娘だからですか？

お前   誰に物言ってんだ？
立場をわきまえろ！

?～

(振動音)

本間｡
 教官｡

明日 お会いできませんか？

教官との約束を果たす
準備ができました｡

そうか｡

どこに行けばいい？

明日9時
片野坂教場でお待ちしてます｡

教え子たちに 最後の授業を
することになりました｡

もう時間がない
お互い 務めを果たしましょう｡

俺も罪を犯したが
あんたも罪を犯した｡

自分の不始末は…｡

自分で終わらせろ｡

(銃声)
あ…｡

(操作音)

俺も終わらせる｡

?～

(柳田) おい｡

おい そっち…｡

上だ！ 上 上！
(稲西) はい！

?～

片野坂は？

?～

?～

(ドアを閉める音)

手錠はどこだ？

俺を逮捕するんじゃないのか？

スコップ男は自分だと
認めるんですか？

今から
模擬捜査授業の発表をします｡


自分たちは 9年前に発生した
スコップ男の事件について

模擬捜査を行って来ました｡

本件は 猟奇殺人犯による
犯行だと考えられ

捜査が進みました｡

しかし 教官は言いました｡

連続殺人のプロファイリング において
重要なのは 最初の1件目だ｡

俺は   それを
プロローグと呼んでる

ですから 自分たちは
最初の事件を調べました｡

第1の被害者
中富姫花ちゃんは 生前

中学の同級生をいじめていて

その子が自殺するまで
追い詰めたと証言を得ました｡

姫花ちゃんのいじめにより
自殺したのは

片野坂夏美 教官の娘さんです｡

(新藤) 夏美ちゃんの自殺について
当時 取材に当たっていた

新聞社の同僚に証言を得ました｡

(黒岩) 夏美ちゃんをいじめていた
中富姫花は

中富幸三衆議院議員の孫です｡

警察官僚だった中富議員が
県警内部に圧力をかけたと

父が暗に認めていました｡

こうして いじめは
なかったことにされた｡

それが最初の事件の犯行動機です｡

犯人は復讐のため
中富姫花ちゃんを殺害した｡

しかし 2件目 3件目について
復讐する理由は見当たりません｡

となると 殺害動機は 口封じ｡

教官が 当時
家族で住んでいた家と

天満夫婦のパン屋は

同じ町内にあったと
突き止めました｡

2つの家族は 知り合いでも
おかしくありません｡

1件目の殺害を
目撃した可能性もあります｡

3件目の被害者
近藤修平警部補も

教官と接点があります｡

事件当時
2人とも捜査本部にいました｡

中富姫花ちゃんは
復讐で殺された｡

天満千尋さんは
それを目撃して殺された｡

近藤警部補は
真相に気付いて殺された｡

そして 教官は

架空の連続殺人鬼
スコップ男を創作し

一連の犯行が
その男によるものだと偽装｡

プロファイラーの教官にとっては
赤の他人に罪をかぶせることは

簡単なことだった｡

そうか…｡

それが お前らが考えた物語か｡

(拍手)

見事だ 立派になったもんだ｡

ただ 俺の物語には
まだ続きがある｡

確かに当初の計画は
事件の迷宮入りだった｡

しかし捜査本部は 中富議員の手前
証拠を捏造してまで

天満さんを犯人にした
だから 俺は…｡

俺が3人を殺しました

(国枝)ウソだと言え?

天満暁生は   犯人じゃ ない！
俺を逮捕してください

(片野坂の声) しかし
逮捕されることはなかった｡

警察は 自分たちの間違いを
絶対に認めようとはしない｡

ましてや 権力者の孫娘を
自分の部下が殺したなんてこと

国枝警視正が言えるわけがない｡

だが お前らは違う｡

9年前の真相を
明らかにできるのは

ピュアで 真っすぐで

無鉄砲な
お前らのような人間だけだ｡

本間 約束を果たしてくれたな｡

心から感謝する｡

まだ続きがあります｡

教官は教えてくれました｡

表に見えるものだけが
真実じゃ ないって｡

人間が   必要以上に
何かに必死になる時

大抵 その裏には隠された
もう一つの真実がある

教官が3人を殺した それは

教官が理想とする架空の物語
フィクションです｡

でも 真実は違う｡

1件目の殺害は
2件目 3件目に比べて

弱い力で殴っていました｡

最初の殺人ですし
犯人は 躊躇したんでしょうか

もしかすると   偶発的な事故で

殺すつもりは
なかったのかもしれない

あれも 教官が描いた
フィクションであって 真実じゃ ない｡

力が弱かったのは

子供の犯行だったからです｡

教官には
もう一人 娘さんがいますよね｡

いじめが原因で自殺した姉を
大好きだった妹が｡

最初の殺人は その妹の犯行です｡

姫花ちゃんを殺したのは
教官ではなく

教官の もう一人の娘さんです｡

ただの復讐じゃ ない｡

その子には その子なりの
正義があった｡

新たないじめの被害者を
生みたくなかった｡

どいつもこいつもダメだな～
ハハハ…！

そこにいんの誰だよ！

バケツを捨てた音

電車の騒音

踏切の音

?～

ケータイは？   見せろよ

お姉ちゃんをいじめたって
認めて 警察に自首して

あんた   あいつの…

また別の子もいじめで殺す？
そんなことして…

何   言ってんの？ 私にはね
国会議員のおじいちゃんがいて

どんなことしても
もみ消してくれるんだから

あんたが   何 言ったってね…

おぉ   どうした？

どうしよう…   あの子が…

(晴美)これを   あの子が…？

通報しないで！
(片野坂)何   言ってんだ

娘を守って！

もう   家族を失いたくない…

(本間の声)
教官に選択肢はなかった｡

?～

(本間の声)
こうして 猟奇殺人に偽装した｡

でも 想定外のことが起きる｡

近くに住んでいた天満千尋さんが
犯行現場を目撃していた｡

(千尋)誰かいるの？

千尋さんを撲殺した力は
子供のものじゃ ない｡

つまり 大人が殺した｡

教官か あるいは 奥さんか｡

(本間の声) 奥さんが殺したなら
それは事故だったかもしれない｡

本当に不幸で 偶発的な事故｡

倒れた音

天満さん…

もみ合ってたら倒れちゃって…

?～

(本間の声) 教官は 犯人は
男性だと誤解させるために

わざと監視カメラに写った｡

(本間の声) そうすれば
娘さんにも奥さんにも

捜査の目が向くことはない｡
殴る音

?～

クソ！   同一犯か
間違いないな

(本間の声) うまくごまかせた
1人の刑事をのぞいては｡

成人男性 しかも警察官である
近藤警部補を撲殺することは

娘さんや奥さんには難しい
つまり 教官が殺した｡

違いますか！

近藤は 犯罪を見逃す代わりに
犯人に金銭を求めていたって

及川助教が突き止めました｡

教官はそこで 初めて人を殺めた｡

(近藤)
片野坂   ちょっと付き合えよ

(片野坂)
近藤さん   何をバカなことを

どうして   僕が そんな…
他の連中は騙せても   俺は別だ

分かるんだよ   お前のその目
俺と一緒だ

1000万よこせば 黙っててやる

この家を売れば  1000万払っても
お釣りが来るだろ？

俺って優しいよな？

(近藤)
決心してくれて   うれしいよ

(近藤)お～   いい厚みだ

何だ何だ？   お金を粗末に
扱うヤツは罰が当たるぞ

?～

カメラのシャッター音

教官が自首したのは

家族それぞれが犯した罪を
1人で全て背負い

家族を守るためです｡

これが真相です｡

残念だ…｡

本当に｡

俺が教えて来たことは
こんなことだったか？ 本間｡

大した証拠もなく
他人の気持ちを妄想し

ありもしない犯行動機を
でっち上げるのは

捜査とは言わない！

失望したぞ｡

カイ君が言ってることは
妄想じゃ ない！

証拠があるんです｡

これが 教官に渡さなかった
本物の証拠です｡

?～


(操作音)

?～

なるほど｡
これで終わりじゃ ない｡

この映像は もっと前から
撮影されてるんです｡

犯行の瞬間も写っていました！


 ケータイは？ 見せろよ｡

(電車の騒音)

(殴る音)
(倒れた音)

(殴る音)

と… 止めろ… 止めろ?

こんな映像があったなんて

知らなかったんですよね？
娘じゃ ない｡

全員… 全員 俺が殺したんだ
こんなもの 何かの間違いだ｡

教官…！

一ノ瀬！ 邪魔するな！

教官！ やめろ！

あっ！
教官！

(片野坂)
渡せ！ よこせ！ よこせ…！
教官！

う～… あっ…！

教官！

どうして 娘さんのこと
分かってあげないんですか！

娘は関係ない 俺が犯人だ！

俺が3人を殺した！
その罪は死んで償う｡

それが真実だ｡

何が真実だ…｡

それは あんたの物語だ｡

自分勝手で都合のいい物語だ！

あんたの犯した罪は
人殺しってことだけじゃ ない！

何の罪もなかった家族を
壊したってことだ…｡

そうですよ 教官｡

教官はどんな気持ちで あの家族の
前に顔を出したんですか？

(一ノ瀬の声) 俺 あの時
あそこにいなかったから

分からないんですよ
どんな気持ちだったんですか？

死んで逃げるなんて
絶対 許さないからな｡

よこせ… よこせ！

生きてほしいと思ってるのは
俺たちだけじゃありません｡

教官には家族がいる｡

これは たまたま撮れた
映像じゃないんです｡

俺 そのことに気付いて
全部 分かりました｡

彼女の心の中にある 物語が｡

だから これを撮影した
本人に聞きました｡

俺たちは外で見張ってる
早く終わらせろ

(本間の声) 中富姫花ちゃんを
殺した犯人は 片野坂冬美｡

両親が離婚して
今の名前は 橘 冬美｡

新藤さん｡

 本当は すぐにでも
自首しようと思っていました｡

 でも 急に声を掛けられて
慌てて立ち去って

ケータイを回収するのを
忘れました｡

犯行の瞬間を撮影したのは

自分が犯人だって証拠を
残しておきたかったから？

朝になって取りに行ったら
父が私をかばって

彼女を埋めてる映像が残ってて…｡

もし 自首をしたら
父も逮捕されると思いました｡

だから ずっと黙っていました｡

橘は 家族を守ろうとしたんだね｡

 今になって どうして
本当のことを言おうと思ったの？

 あの立てこもり事件が起きて

何の罪もない家族を
壊してしまったんだと気付いて

もう 隠し通すことが
できないと思いました｡

 これを見せて

父に本当のことが言いたかった｡

 父からも
本当のことが聞きたかった｡

 父に謝りたかった｡

 私のせいで

警察官なのに
間違ったことさせちゃって

ごめんなさいって…｡

(冬美) 天満さんの家族にも

ごめんなさいって…｡

?～

この9年間

家族を守って来たのは
教官だけじゃ ない｡

橘も 教官と奥さんを
守って来たんです｡

そんなことをしたら
橘が悲しみます｡

あいつ 入学したての頃
言ってました｡

私の父も警察官です
(黒岩)へぇ～   何してる人？

何だよ！

俺 あの時

橘が とても誇らしそうに
見えました｡

生きてください｡

橘のためにも
天満さんの家族のためにも

生きて 罪を償ってください｡

(泣き声)

もう… 遅いんだ…｡

すまなかった…｡

すまなかった！

?～

これを… これを頼む｡

ありがとう｡

ありがとう…｡

あ… あ…｡

教官…｡

教官！ 教官！

教官… 教官！

おい 離れろ！ 青酸カリだ！
≪えっ？≫

酸素！ あと 窓開けろ 早く！

水とバケツも！
はい！

片野坂！ 片野坂！ おい！

飲ませろ！ 早く！
はい！

教官 口…｡

(柳田) おい！

教官！
(柳田) 片野坂！

教官！
教官！

(柳田) 起きろ ほら！

どけ！ どけて！
おい 片野坂 おい…｡

教官…！
(柳田) おい 起きろ…！ おら！

片野坂！
教官！

片野坂！ 起きろ！
教官！

(せき込み)

ふざけやがって バカ野郎！

ハァ…｡
教官…｡

俺たちは まだ
半人前の警察官なんです｡

教官に教わりたいことが
山ほどあります！

一人前になるまで
見届けてください｡

(救急車のサイレン)

(柳田) ちょっといい？

死にたかったのに
悪いな 助けちまって｡

誰よりも
死なせたくなかったくせに｡

うるせぇ｡

奥様も娘さんも
殺害を自供しました｡

行きましょう

?～

うぅ…｡

(片野坂)
学校に入れば   教官と学生だ

冬美のことも
いち学生として扱うぞ

親子関係にあることは
伏せるし

本当に それでもいいんだな？

うん   もちろん

警察官になって   何がしたい？

人を守りたい

そうか…

そうだな

?～

?～

お前の9年を無駄にした
俺を恨め｡

恨むわけないだろ…｡

?～

ハァ…｡

なぁ 同期…｡

何だよ 同期｡

あの2人のこと 頼んだぞ｡

分かってるよ｡

?～

(救急車のサイレン)

?～

私は かつての部下から

殺人をしたと
自白されたにもかかわらず

そのことを組織ぐるみで
隠蔽しました｡


(キャスター) 国枝 肇 元警視正の
隠蔽暴露映像の問題を受け

佐藤県警本部長ら県警幹部が
先ほど謝罪しました｡


 これに伴い 死刑が確定した
天満暁生死刑囚の

再審請求が認められる見通しです｡
(真琴) えっ 聞いた？

天満さんの再審請求が
認められるって！

やった…！
やった… やったよ カイ君！

よかった！

これ 全部 教官の筋書き通り
ってことだよね｡

国枝警視正に自白させて

命懸けで県警の暗部を
暴いたってことだけは

親父が こっそり褒めてた｡

これが あの人なりの
正義だったのかもな｡

正気か？ 君は！

あれだけ規律を乱した人間が
今後

組織の中で
やって行けると思うのか！

やって行けるか行けないか
それを決めるのは彼らです｡

彼らが警察官になりたいのなら

私は それを
全力でサポートするだけです｡

君たちは どうだ？

警察官になりたい気持ちに
変わりはないか？

自分は
警察学校に入ると決めてから

今まで一度も やめたいと思った
ことはありません！

自分も やめたいと思ったことは
ありません｡

警察官になりたいです！

?～

私が思う立派な警察官とは
組織に従順な人間だった｡

だが 今は違う｡

お前らに教わった｡

ありがとう｡

すぐに着替えろ！
3分以内にグラウンドに集合だ｡

はい！
はい！

急げ！

?～

＜こうして 俺たちの時間は…＞

＜もう一度 走りだした＞

≪右向け 右！≫

力を尽くして走れ！ いいな？

はい！
はい！

駆け足 進め！

あぁ～！

わっ…｡
うわっ…！

?～

しゃあ！

あぁ～?

ｶﾃｺﾞﾘ:2020夏ドラマ