高速通新網

報道番組について思うことを書いていこうと思います。
報道内容ではなくて、番組の「見た目」についてが中心になります。

2014年9月と10月にテロップやワイプの過剰表示問題についてBLOGOSというサイトに制作者側に関係する人々からの意見が掲載されていた。

テロップについて

元毎日放送の影山貴彦氏が制作者から聞いた話として次のように紹介している。
・制作者もテロップを出したくて出しているわけではない
・視聴者が望んでいるものだと考えてテロップを出している
http://blogos.com/article/94770/

なぜ時間と労力を掛けてまで出したくもないものを作り続けているのか、仕事として行うからには明確な目的があるはずなのだが、その部分については今回も明らかにされることはなかった。そして視聴者が望んでいるという部分についても、全体の何%の視聴者が望んでいるのかといったような明確な根拠も何ら示されることはなかった。ただ、影山氏はテロップの削減を提案している。元テレビ局プロデューサーが制作現場の現状に驚いているということはとても印象的である。

ワイプについて

放送作家の高橋秀樹氏は、ワイプと呼ばれる技法の意味や効果を分かっていない制作者が多すぎるとした上で、ワイプの当初の目的について次のように述べている。
・高いギャラを払っている大物芸能人をVTR中に出さないのはもったいないから
・めったに出演しない大物芸能人の顔がVTR中に出ていれば視聴率に貢献する可能性がある
・VTRを見ようとしない手抜き大物芸能人の顔を映し出すことでVTRを見させる
http://blogos.com/article/96856/

つまり、ワイプの目的は視聴率が取れて高いギャラを払う価値のある大物出演者を常に画面上に表示することにあり、誰でもワイプで抜けばいいというものではないということだ。
そして過去の人気番組では、VTR中にワイプでスタジオ出演者の顔を表示させることをしなかったという。それだけVTRに自信があったということなのだそうだ。VTR中にワイプを表示させるということは、そのVTRがつまらないということを意味するのである。

以上のように、制作者側に関わりのある人々からも疑問の声が上がる昨今のテレビ画面の現状。分かっているのに変わらないという不思議。そして効果や目的が不明確なままそれらが多用されているという実態が改めて浮き彫りとなった。

このブログでは「報道番組の見た目」をテーマにして書いているのだが、今回は全く別のことについて書こうと思う。音楽専門チャンネルについてである。

衛星放送またはケーブルテレビなどで放送されている有料チャンネルの中に音楽専門チャンネルがいくつか存在する。その中で、「スペースシャワーTV」というチャンネルについて不思議に思うことがあるので、そのことについて書いていく。これから記述する事柄は、スペースシャワーネットワークが運営する「スペースシャワーTV」と「スペースシャワーTVプラス」という2つのチャンネルに共通する話である。

音楽専門チャンネルとは、その名の通り音楽を中心にした番組を一日中放送しているチャンネルである。音楽といっても様々なジャンルが存在するが、「スペースシャワーTV」では主に若者向けの音楽を中心にした内容となっている。

最近の音楽専門チャンネルでは、画面下に歌詞字幕を表示している番組がある。初めてそれを見た時は、音楽専門チャンネルはミュージックビデオを視聴するためのチャンネルだと認識していたために少し違和感を覚えたのだが、歌いながら楽しめたり、聴いていてもよく分からない部分の歌詞を目で確認できるという点においてはありがたい配慮だと思う。

洋楽の歌詞がそのまま英語で表示されないという謎


その歌詞字幕についてひとつ不思議に思うことがある。それは洋楽の歌詞が英語で表示されないということだ。歌詞字幕付きの番組で洋楽が放送されると日本語の訳詞が表示されるのである。これがなぜなのかはよく分からない。わざわざ和訳することについての理由説明は無い。歌詞の意味を日本語で知りたいという視聴者からの要望が多いのだろうか。一方で、最近では日本人が一曲全編英語歌詞で楽曲を発表することも珍しくなくなったが、そのような日本人が作った英語の楽曲が放送されると、なぜかそこでは日本語訳ではなく英語の歌詞がそのまま表示される。

外国人の楽曲 歌詞英語 → 日本語に訳した字幕
日本人の楽曲 歌詞英語 → そのまま英語字幕

このようなよく分からない区別が生じている。不思議なことに日本人の楽曲は全編英語でも和訳されない。なぜ外国人の楽曲は和訳されるのだろうか。もし、歌詞の意味を視聴者が理解出来るようにするための配慮として和訳されているのであれば、日本人の楽曲も和訳すべきなのではないだろうか。

ディズニー映画のヒットで変化が

ところが、この意味不明な通例を覆す楽曲が現れた。その楽曲とはディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」である。この映画は大ヒットとなり、関連する音楽も売れているそうである。「スペースシャワーTV」の歌詞字幕付きランキング番組にも日本語版、英語版ともにランクインしている。この映画がヒットした要因のひとつとして、映画の楽曲を皆で「歌う」ということが挙げられている。「歌う」ということでヒットしたからには、歌詞字幕付き番組では当然のごとく日本語であろうが英語であろうが歌詞字幕が表示されるべきなのだが、日本語版と英語版でそれぞれ異なる対応がなされた。「スペースシャワーTV」では当初、日本語版の「Let It Go」については歌詞字幕が表示されるのだが、英語版では歌詞字幕は表示されない状態が続いた。それもそのはず、このチャンネルでは洋楽の英語歌詞は日本語に訳して表示されるのだから、残念ながら英語版の歌詞字幕は表示されない、となるはずだった。しかし、この楽曲では特異な対応が見られた。

どういうことかというと、私が「Let It Go」の英語版のミュージックビデオを「スペースシャワーTV」で最初に確認した時点からしばらくの間は、日本語の訳詞すら表示されない状態が続いた。つまり「Let It Go」の英語版は歌詞字幕付きの番組にも関わらず、一切歌詞字幕は表示されなかった。ところが、2014年6月に英語の歌詞字幕が表示されていることを確認した。この楽曲がいつから放送され始めたのかは分からないが、映画が公開された時期が2014年3月ということなので、遅くとも2014年4月には放送されていたと考えられる。これまでは見られなかった、洋楽に英語の歌詞を表示させるというごく当たり前の対応を楽曲が放送されて数ヶ月が経ってから行ったということになる。この背景には一体何があったのだろうか。視聴者からの要望が多かったのか、映画が大ヒットする中で英語歌詞を表示させないことにチャンネル自らが矛盾を感じたのか、どのような理由で英語歌詞を表示することにしたのかはさっぱり分からないが、これまで見られた通例が破られたということは客観的な事実である。どうせなら他の洋楽にも英語歌詞を表示してもらいたいものだ。

歌詞字幕を表示させるとしながら、誰が頼んだのか知らないが英語を日本語に訳したり、日本人が歌うものについては訳さなかったりと、視聴者置いてけぼりのチャンネル運営がこのような有料チャンネルでも行われているというのは残念なことである。

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