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ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 作者:ハム男

第2章 グランヴェル男爵家従僕編

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第66話 Cランクの魔獣①

 10月に入りアレンは9歳になった。いつものように朝6時前、門の前にいる。先日、防具屋で買ったマントを装備している。着丈の調整もばっちりだ。


「お! 坊ちゃん。今日はいいマントを着ていますね」


「ありがとうございます。つい先日、買いました」


 門番からいつものように話しかけてくる。去年の12月からの付き合いだ。


(それにしても、マントで良かったかもな。普段着の上から羽織るだけでいいからな。手も動かしやすいし)


 手をぶらぶら動かして、体の動作に違和感がないか確認する。


 ゴーン

 ゴーン


 鐘の音と共に門が開き、走り出す。今日は歩いて3日の辺りにいるCランクの魔獣を狩る。これまで狩りをしてきた、歩いて1日程度のところではない。


(よしよし、走るのにもマントは邪魔にならないと。さて、武器は買ってないけど、どうだろうね)


 マントを買ったが、武器は買っていない。防具屋の後、武器屋も見たのだが、目星をつけた剣の金額には持ち金が足りなかった。妥協して少し安いものを買うより目当てのものを買いたい派だ。

 だが、召喚獣と短剣、鉄球で厳しそうなら妥協して買おうかなと思っている。


 なお、執事からは「今月で館に来て1年になる。少し早いが、今月の給金から大人の従僕と同じ、月金貨1枚にする」と言われた。狩猟番の給金と合わせて、今月末から貰える給金は、月に金貨1枚と銀貨50枚になる予定だ。


 それを聞いて、もう館に来て1年になるのかと思う。今年ももうボア狩りは始まったのだろうか。時の流れと共に家族やクレナを思い出す。


 10月1日に上がったステータスを走りながら再度確認する。ステータスは何度見ても良い。ステータスだけで3杯のご飯が食べられる。ステータスが増えたら5杯はいける。


 【名 前】 アレン

 【年 齢】 9

 【職 業】 召喚士

 【レベル】 24

 【体 力】 553(615)+140

 【魔 力】 846(940)+200

 【攻撃力】 298(332)+140

 【耐久力】 298(332)+20

 【素早さ】 560(623)+60

 【知 力】 855(950)+40

 【幸 運】 560(623)+200

 【スキル】 召喚〈4〉、生成〈4〉、合成〈4〉、強化〈5〉、拡張〈3〉、収納、削除、剣術〈3〉、投擲〈3〉

 【経験値】 194,810/600,000


・スキルレベル

 【召 喚】 4

 【生 成】 4

 【合 成】 4

 【強 化】 5

・スキル経験値

 【生 成】 291,700/1,000,000

 【合 成】 281,640/1,000,000

 【強 化】 200/10,000,000

・取得可能召喚獣

 【 虫 】 EFGH

 【 獣 】 EFGH

 【 鳥 】 EFG

 【 草 】 EF

 【 石 】 E


・ホルダー

 【 虫 】 E2枚

 【 獣 】 E14枚

 【 鳥 】 E4枚

 【 草 】 E20枚

 【 石 】 


 これまでのゴブリン狩りであれば、少しでもスキル経験値を稼ぐため、朝起きた時に予備の魔力を30程度残して全て消費していた。今日はそこまで要らないと思うが、万全を期す。寝起きから魔力を消費していないため、マックスの状態だ。今日の狩りで問題がなければ徐々に減らしていく予定だ。


 強化のスキルレベルが5になった。

 その効果は、召喚獣のステータスのうち、加護になっている2つを+200するもの。

 強化のスキルレベル4で+100だったから、更に倍の強化になった。これもCランクの魔獣を狩ろうと判断した理由の一つだ。


 数時間ほど走って、目的地についたかどうか確認をする。


(結構走ったけど、この辺かな? ホークたち出てこい)


『『『ピィー!』』』


 鳥Eの召喚獣が4体現れる。


(えっと、この辺に鎧アリと呼ばれる丸い鎧を被った蟻がいると思う。もしくはオークと呼ばれる二足歩行の豚がいると思うから探してきて。距離は10キロメートル離れていてもいい。いなかったらもっと遠くまで探してきて、必ず1体でいるものでお願い)


 4体の召喚獣が一言鳴いて散開する。


 先日、冒険者のレイブンからCランクの魔獣について教えてもらった。今回標的にしているのは、鎧アリとオークだ。Cランクには他にデススパイダーとかもいるのだが、個体数が少なかったり、毒や麻痺を使ってきたりと倒すのに時間のかかりそうなものが多い。この鎧アリとオークは2~3体でいることが多いらしい。


 結構な条件を設けたので、30分以上待つ。


(やはり1体でいる魔獣が珍しかったか。帰ってこないな。強化で移動が速くなってるはずなんだけど)


 そんなことを考えていると1体の鳥Eの召喚獣が戻ってくる。鎧アリのほうを見つけたようだ。10キロメートルは離れているとのこと。


 走って向かうアレン。すると高さ3メートルほど。蟻の頭に体は団子虫のような魔獣がいる。


(体を丸い鎧が守っているのか、思ったのと違うな。蟻の見た目は頭だけか? 顎に捕まったらやばそうだな。あいつにレイブンさんやられたんだっけ?)


 かなり凶悪な顎が生えている。胴体部分はサラダボウルを反対に伏せたようなものを被っているように見える。とても頑丈そうだ。


(さて、どうやって倒すかな。急所は鎧を着ていない頭かな。とりあえずタマを全部けしかけてみるか。タマたち出てこい!)


 アレンの掛け声とともに、1体の鎧アリを囲むようにサーベルタイガーのような姿をした獣Eが14体現れる。取り囲み、特技であるひっかくを駆使する。


(鎧にはほとんど傷がつかないな。頭も結構硬いのか、攻撃が通っていないぞ)


 アレンは木陰から鎧アリと獣Eの召喚獣の戦いを分析する。獣Eでは鎧の部分はもちろんのこと、鎧のない頭の部分も攻撃が通らないようだ。硬いものをひっかく音があたりに響く。


 鎧アリもただ、ボーっと攻撃を受けているわけではない。その1メートルを超える大顎で獣Eの召喚獣を捕まえる。攻撃に全く耐えられないのか、獣Eの召喚獣は1体、また1体と数を減らしていく。


 その度に魔石と魔力を消費し、獣Eの召喚獣を召喚していく。


(ふむ、無理そうか。作戦を変えるか。アゲハ出てこい! 鱗粉を使って)


 このままでは、倒せないと判断した。獣Eの召喚獣はそのままにして、1メートルはある蝶々の形状をした虫Eの召喚獣が2体出てくる。Eランクの召喚獣でCランクの魔獣にデバフをかけるには2体の召喚獣がいる。


 虫Eの召喚獣が羽をばたつかせると黄色の鱗粉が舞う。鎧アリの頭を中心に鱗粉が舞い、動かなくなる。頭を項垂れているので眠ってしまったようだ。


(おお! Cランクの魔獣にも効くぞ! 有能だな)


 眠って動かなくなった鎧アリに近づいていく。顎はかなり凶悪のようなので、顎は避けて鎧アリの全体を見る。


(ふむ、タマがひっかいた傷はあるな。硬すぎて攻撃が通らなかったか)


 獣Eがした攻撃の効果を確認する。丸い体には、爪痕がかなりある。獣Eの召喚獣の攻撃で無傷ではないが、それ以上に硬いようだ。


(さて、起きる前に倒すか)


 アレンは伏せたボウルのような鎧の一番下、地面擦れ擦れの辺りに手を掛ける。


「むん!」


 思わず声が出るほどの力を入れる。鎧アリを力任せにひっくり返した。


(かなり重いぞ。でも虫だけに体格の割には軽量なのか。鎧はそんなに重くないって話だっけ)


 冒険者レイブンの話では、鎧アリの鎧はとても貴重で冒険者の防具に使われているということだ。とても頑丈だが軽いと言っていた。


 バランスを取りながら、まだ眠っている鎧アリの、ひっくり返した鎧の端に上る。鎧の内側は、普通の蟻のようだ。胸部から生える6本の脚。ずんぐりした腹部もある。完全に昆虫の蟻だ。


 胸部の部分に飛び乗る。渾身の力で短剣を胸部と頭部の間にある節に叩きこむ。きっとここが一番柔らかいだろうと判断した。


(硬い、これはドゴラから貰った剣が欠けるぞ。武器が弱すぎたか。って起きたぞ)


 一番柔らかい節の部分に垂直に短剣を突き立てる。衝撃が手に伝わってくる。鎧アリの体を傷つけるのは銀貨50枚の短剣では厳しいようだ。


 そして、攻撃を受け目覚めた鎧アリが体をばたつかせる。それでもかまわず、棘だらけの足に当たらないように、節に短剣で切りつけ続ける。


 10分も短剣で刺していると、短剣が節の中にめり込む。深く刺さり、より一層足をばたつかせるが、その足の動きもゆっくりになっていく。


 それから5分経過する。


『鎧アリを1体倒しました。経験値3000を取得しました』


(倒したか、つうか、こいつは無理だ。時間がかかりすぎるわ!)


 やっと倒した鎧アリに憤慨する。鎧アリの討伐には、割に合わない苦労を要したのであった。

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書籍版「ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する」
  著者:ハム男
レーベル:アース・スターノベル
 発売日:2020年7月15日
ISBN:978-4803014334

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