沖縄本島中部の小学校のクラス担任を務める女性教員が、普通学級と一緒に授業を受けていた特別支援学級の児童が騒いだ際「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と普通学級の児童に挙手を求めていたことが7日、分かった。手を挙げない児童に「あなたも支援学級に行きなさい」とも発言。教員の言動を受け、普通学級の児童一人が4日間、学校を休んだ。
■合同で授業
小学校を所管する教育委員会は教員の言動を処分の対象としていないが、不適切だったと認めている。教員は現在、体調不良を理由に休職している。
関係者によると、教員の不適切な言動があったのは今年6月。同じ教室で支援学級と普通学級の児童らが合同で授業を受けていた際、支援学級の児童が騒いでいたことを受け「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と挙手を求めた。
教員は手を挙げない児童に「あなたも支援学級に行きなさい」などと発言し、手首をつかまれた子もいた。騒いでいた児童は教室の後ろに立たされた。
■不適切な言動
挙手せず注意された児童の中には「先生が怖い」と話し、学校を4日間休んだ児童もいた。
児童から話を聞いた保護者が学校に連絡し、教委が事実を確認。教委は「教員に不適切な言動があった。教育委員会に呼び、指導を行った」としている。
保護者の一人は「子どもは特別支援学級の児童に対する不適切な扱いをおかしいと感じ、親に相談した。別の日には、教員が騒いだ児童の手を引っ張り、教室の外に出そうとしたこともあったようだ」と指摘している。
教員の言動3つの問題点
【丹野清彦琉球大学教授の話】
特別支援学校の児童に関する不適切な教員の言動があった。この出来事には光と影があるように思える。
影の部分の問題点は3点ある。1点目は支援が必要な子がなぜ騒ぐか、教員が理解しようとしていない。支援が必要な子が騒ぐ理由はさまざまで、うれしさがあったりする。教師は子どもの行為を理解する目が必要だ。
2点目は周囲の子に「うるさいと思う人は手を挙げて」と同意を求めたこと。同じ価値観や考えを押し付ける、行き過ぎた行為だ。
3点目は支援が必要な子のサポート体制が十分だったか。サポートがなければ学級担任に過度な負担がかかり、冷静さを失うこともあるだろう。学校や教育委員会は先生を追い込まない体制を考えてほしい。
光の部分は、教員の行動をおかしいと感じ、親に話をした子どもがいるということだ。こうした行動は人権感覚があることを意味する。子どもが声を上げたことで周囲の大人の人権感覚が磨かれ、学校の自浄にもつながることになる。(教育学)