『ガイドブックには載っていない タイ 裏の歩き方』
[著]高田胤臣
[発行]彩図社
~タイ人も注目! いま一番ホットなタイ北部の山岳リゾートの実態
チェンマイを訪れるならば、市街地よりも、同じ県内にある※チェンダオ郡がオススメだ。
タイで3番目に高い※ルアン・チェンダオ山のふもとに広がる小さな町で、チェンマイ市街地とは比較にならない空気のよさ。大自然とその美しい風景が心を癒してくれる。
そんなチェンダオに魅せられたのが、この地でコシヒカリを栽培する小宮克久さんだ。
小宮さんは、日本からコシヒカリの種籾を持ち込み、日本米をタイに根づかせるプロジェクトを行っている。
「タイでは農作物の生産者と消費者に距離があり、名ばかりのオーガニックが多いような気がしています。フェイスブックなどで育成状況を見せ、消費者が生産段階から状況把握できるようになることを目指しています」
2013年に始めたこのプロジェクトはすでに3面の田で合計20トンの収穫実績がある。化学肥料や農薬は必要最低限しか使用せず、タイの契約農家と試行錯誤を繰り返しながら栽培を進めている。
「初めてのことばかりで2年目も大変でした。日本とは田植えの時期などタイミングがぜんぜん違うので、契約農家と実験の毎日でしたよ」
2014年は再度種籾を日本から持ち込んだが、成長具合が思いのほか悪く、タイ語を駆使して農家の方と討論をした。その横で前年の作物から採れた籾のものはそこそこに成長していた。驚くべきことに、種籾がタイの気候を憶え、翌年には順応して育つのだという。
「日本米は鳥やヘビが好んで食べていってしまうんです。タイ米ではあまり食べられることはないんですけどね」
契約農家のおじさんが日本米の難しさに頭を抱える。このおじさん、本業は農業だが※副業が弁護士という珍しい人。日本なら逆な気がするが、気が向いたときにしか弁護士の仕事はしないのだそうだ。小宮さんにとっては一石二鳥のパートナーではある。小宮さんはチェンダオ山のふもとでノマドワーカー向けの※バンガローを運営している。その契約書類もこのおじさんに任せたので安心だ。
そして、2015年4月。ついにコシヒカリの収穫量が、タイ米と同等レベルに達した。買い取り額もタイ米の2倍で、弁護士農夫にも笑顔が見られた。
●チェンダオの大自然を満喫
この地域の魅力は、なんといってもその豊かな自然にある。
チェンダオ山と周辺地域は、タイ政府によって広大な野生動物保護区に指定されているが、管理事務所の許可を得れば、登山することもできる。山々には固有種のチョウなど希少な動植物が生息している。※きっとすばらしい体験ができるだろう。
小宮さんが運営するバンガローの近くの寺では、※洞窟探検も楽しめる。
いまにも消えそうなランタンを持った、怪しい案内ばあちゃんに連れられて奥深くまで行くのだが、這って進まないといけないような場所があるかと思えば、広すぎてランタンの光が届かない場所もある。見たこともない虫もいっぱいいるし、ばあちゃんがダッシュで逃げた日には、発狂間違いなしのスリルがある洞窟だ。
洞窟探検が終わったら、ばあちゃんが逃げ出さなかったことに感謝しつつ、※寺の外れにある池を見学したい。タイの池といえば濁っているのが相場だが、この寺の池はきれいに澄んでいる。チェンダオは名水の町でもある。チェンダオ山から染み出た清水で心が洗われる。
チェンダオには温泉もある。同地在住の日本人が※露天風呂を作っており、格安料金で入ることができるのだ。事前に予約をしておけば、冬の間は合鴨料理、ほかの季節には豚の丸焼きなどが楽しめる。
また、チェンダオでは毎週火曜日に周辺に住む少数民族が市場を開き、特産品を販売している。観光ナイズされていないのでかなりおもしろい。
2015年4月現在、チェンダオから北に50キロのメーナーでミャンマーとの国境ゲートが建設中だ。開通時期は不明だが、国境が開けばチェンダオはもっと注目される町になるだろう。
※チェンダオ郡
チェンマイ市街(ムアンチェンマイ郡)から北方70キロにある郡。最近は山岳リゾートとしてタイ人にも人気。
※ルアン・チェンダオ山
標高2225メートル。1月中旬には、山奥でサクラ(ヒマラヤザクラ)の花を観賞することもできる。
※副業が弁護士
タイの弁護士制度は独特で、司法試験に合格しなくても、大学の法学部などを出ていれば弁護士として活動できる。ただし、その場合、できるのは「法的助言」まで。裁判所に提出する書類を作成したり、法廷に立つには日本同様、試験をパスして研修を受ける必要がある。
※バンガロー
【名称】ファイナルランド
【住所】254/27 Baan tham(Final land) Moo5 Chiangdao Chiangmai
【電話】081-479-1301
【URL】http://final.land/
※きっとすばらしい体験ができるだろう
2012年に雑誌の取材でチェンダオ山中にテントで2泊させられたとき、テントの外から野生の犬(ほぼオオカミ)に足をクンクンされた。
※チェンダオ洞窟
距離およそ360メートルで、30分前後くらいで往復できる。入場料20バーツ、ガイド100バーツ。
※寺の外れにある池
池の底や泳ぐ魚の姿がはっきり見える美しさ。だが、一応は寺の神聖な池なので泳ぐことはできない。
※露天風呂「ほたるのゆ」
【電話】089-951-8823
085-627-4108(タイ語のみ)
【料金】50バーツ/2時間
【注意点】ほかに人がいなければ水着は不要だが、タイでは公共の場で全裸は違法なので水着は用意するべき。