だが、コロナ・ファシズムで韓国医療界を掌握しようとした文政権にブレーキがかかった。政権の最大の業績であるK防疫の主体は医療界で、その医療界を狙った威力の誇示に限界があることは避けられない。医師のストが長引けばK防疫は崩壊する。医師らの「職場での縄張り争い」だとレッテルを貼る世論戦に、文政権が力を注ぐ理由はここにある。しかし「職場での縄張り争い」自体は悪いものではない。人間にとって最も重要なものの一つが「公正な職場」だからだ。真に重要なのは、「縄張り」に対する要求が妥当性を持っているか、時宜にかなっているか検証することだ。故に、民生と直結する医療政策は、民主的熟議と調整のプロセスを必ず経なければならない。責任ある政権ならば、医師ではなくコロナと戦うのが当然だ。韓国政府は直ちに4大医療政策を撤回し、医師は直ちに現場へ復帰しなければならない。
韓国国民の生命より権力を重視するコロナ・ファシズムこそ、医療問題の主犯だ。文政権は現代文明の拠り所である市民社会の独立性をじゅうりんし、その最後のとりでである医療界を脅迫している。医療専門家らを権力に従属させようとするファシズムに対する民間の抵抗が、韓国の医療問題の本質だ。医療界が崩れたら、大学や公論の場も崩れる。文政権は「正義は強者の利益」という絶対権力の詭弁(きべん)で韓国国民を脅している。コロナ・ファシズムは「隷従への道」であって「自由はただではない」。市民の自由に対する国家介入の正当な限界はどこにあるのか。コロナ政治学が、韓国人に凄絶な問いを投げ掛けている。
尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大学教授(政治哲学)