7割が「宿泊療養が基本」 自宅療養には否定的<都内保健所アンケート>
2020年9月5日 20時13分
新型コロナに感染した軽症者や無症状者について、アンケートに回答した30保健所のうち7割超の22保健所が「(ホテルなどの)宿泊療養を基本とするべきだ」という認識を示した。政府は自宅療養の要件を緩和したが、否定的な見解が多かった。
◆体調急変時の対応可能
主な理由は、体調急変時の対処と感染拡大防止。足立保健所は「宿泊施設には医師や看護師が常駐し、体調の急変にも対応できる」。自宅療養者には保健所が毎日、電話などで健康観察をするが、南多摩保健所は「急変して死亡する事例も確認されている。限界がある」と指摘する。
家庭内感染が増えており、「家庭内で生活空間を分ける対策は難しい」(葛飾区保健所)との見解や、「自宅療養者が本当に外出していないか確認するすべがない」(中央区保健所)などと感染拡大を懸念する声も根強かった。
◆自宅療養派は「環境が劣悪」「外国語対応できず」
一方、北区、大田区の両保健所は「(軽症者は)自宅療養にシフトするべきだ」と答えた。北区保健所は「宿泊施設ではシーツ交換がなく、部屋の掃除や衣類の洗濯を患者に行わせ、冷めた弁当の配給で家族からの差し入れも認めない。劣悪な処遇を改善すべきだ」と指摘した。
このほか、「宿泊施設で外国語対応ができず、外国籍の軽症患者は入院せざるを得ない」(世田谷保健所)、「アレルギー食への対応や、子どもや要介護者と一緒に療養できる仕組みづくりが必要」(荒川区保健所)などの意見もある。
◆明確な基準求める意見も
宿泊・自宅療養の基準のあいまいさを指摘するのは多摩立川保健所。「都道府県単位などで統一的に判断してほしい。療養方針が明確に示されないと、現場での対応が難しくなる」と注文した。(小野沢健太、松尾博史)
宿泊・自宅療養の現状 軽症・無症状者向け宿泊療養施設として、東京都は八つのホテルを借り上げており、1860人の受け入れが可能。4日現在で宿泊療養者は244人。育児や介護などが必要で自宅療養をしているのは同日現在で435人。政府は宿泊療養を原則としつつ、「一人暮らしで自立生活ができる」人らを自宅療養対象に緩和する方針を示している。
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