インドは検査体制の拡充も課題になっている=AP
インドの保健家族福祉省は5日、同国の新型コロナウイルスへの感染者が累計402万3179人になったと発表した。感染者が400万人を超えたのは米国、ブラジルに次いで3カ国目になる。同日の新規感染者は約8万6千人で、足元の伸びは世界最大となっている。
インドは感染拡大ペースが加速している。感染者が最初に100万人を超えるまでには半年ほどかかった。ただ300万人から400万人へは約2週間で急増した。5日時点の死者数は6万9561人にのぼる。
感染拡大の背景には地方都市での増加がある。首都ニューデリーの感染者は累計約18万人で伸びが鈍化したが、南東部アーンドラプラデーシュ州が約47万人、南部タミルナド州が約45万人、南部カルナタカ州が約37万人に増えた。都市よりも地方の新規感染が深刻だ。
インドは3月下旬からコロナ対策として全土封鎖を始めたが、6月になると感染拡大に歯止めが掛からないにもかかわらず、経済活動を再開した。ヒトの移動に加え、飲食店の営業再開や工場の再稼働などによって感染が拡大している。地方は都市よりも医療体制が脆弱なため、足元の感染が勢いづく一因になった。インドの感染者は4日時点で世界2位の404万人のブラジルを近く追い越す公算が大きい。
コロナの感染拡大が止まらないなか、インドの実質成長率は4~6月期にマイナス23.9%と過去最悪に落ちこんだ。世界の主要国のなかでもマイナス幅が大きい。インド経済はコロナ感染が落ち着く時期がみえず、停滞が長引くとの見方が増えている。