2020年8月下旬の時点で、日本国内での新型コロナウイルスの累計感染者は、6万5000人を超えた。日を追うごとに増え続ける感染者数だが、注目したいのは退院者の総数。すでに、およそ5万2000人以上が、症状が回復して退院している。
そうした “元感染者” たちは、どのように暮らしているのか。本誌が彼らを訪ねると、現在も後遺症に苦しめられるばかりか、職場はおろか家庭でも、“排除” され、「感染」の事実を言えない日々を過ごしていたーー。今回は、男性会社員・Cさん(28)の話を聞こう。
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「妻は “怖い” という理由で、子供を連れて実家に帰ってしまいました。最近では連絡も途絶えがちで……」
痛切な心境を明かすCさん。新型コロナウイルスがきっかけで、離婚の瀬戸際まで来てしまっている。
「8月上旬、9カ月になる息子のおむつを替えているときに、においがしないことに違和感を覚えました。そのうち、コーヒーと水の味の違いがわからなくなり、コロナを疑いはじめました。何日かして、体温を測ると38.2度もあり、すぐにPCR検査を受けて、2日後に陽性診断が出ました。
保健所からの指示は、自宅療養。『咳は多少出ても、熱は解熱剤で下がるので』楽観視していましたが、濃厚接触者となった妻が、強硬に入院をすすめてくるようになりました。
入院するかどうかは保健所が決めることなのに、『私たちを殺すつもり? 苦しくて仕方がないと、嘘をついてでも入院してよ!』と怒りもあらわに言い募って……。翌日、保健所に容体を大げさに伝えて、入院することになりました」
異変は、入院から3日後に始まった。
「激しい咳が止まらなくなり、肺炎になっていることがわかりました。その日から水分も食事も摂れなくなり、点滴を受けはじめました。投与されたレムデシビルが効いたのか、その4日後には完全に熱が引き、翌日には退院できました。
でも今も息が苦しくて、咳も完全に治まってはいません。それに、なぜか肝臓の数値が悪くなっていて、朝起きると二日酔いのように体が重い。
職場の上司からは当初、『3カ月は職場復帰しないでくれ』と言われていましたが、今は『一度失業保険をもらってゆっくり静養したほうが』と、遠回しに退職をすすめられています。
社内には、私を出社させるべきではないと声を上げたり、緊急事態宣言が発令されていた最中に、私が繁華街で遊んでいたのではと、あらぬ噂を流したりしている同僚もいると聞いています」
(週刊FLASH 2020年9月15日号)