写真愛好家も納得の高画質プリント 人気のプレミアムインクジェット複合機がさらに進化 キヤノン「PIXUS XK90」徹底検証!

キヤノンの家庭用インクジェット複合機「PIXUS」シリーズのプレミアムモデルに位置づけられる「PIXUS XK60」。写真愛好家も納得の高いプリント品質で人気を集めているが、2020年8月、その後継機となる「PIXUS XK90」が発売された。そのすぐれたプリント品質や、進化したスマートフォン連携機能などに着目しながら、本機の実力を徹底検証していこう。

プリント品質作品の印刷にも使える高画質プリント&低ランニングコストを実現

高画質なプリント品質や、低く抑えられたインクコスト、高品位なボディデザイン、スマートフォンとの連携機能など、先進のスペックや機能により、プリント機会の多い写真愛好家などから高い支持を得ている、キヤノンの家庭用インクジェット複合機「PIXUS」シリーズのプレミアムモデル「PIXUS XK60」。そんな人気モデルの後継機として、2020年8月、「PIXUS XK90」(以下、XK90)が発売された。

キヤノン「PIXUS XK90」

「PIXUS」シリーズのプレミアムモデルに位置づけられる、「PIXUS XK」シリーズの最新モデル「PIXUS XK90」。従来通り、ボディカラーは「メタリックシルバー」の1色展開だが、シルバーの色合いがこれまでよりも濃く、深くなり、より重厚感のあるたたずまいとなった

「XK90」最大の魅力は、「PIXUS」シリーズのプレミアムモデルにふさわしい高画質な写真プリントにある。プリント品質の根幹とも言えるインクには、染料系のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブルー(PB)、ブラック(BK)と、顔料系のブラック(PGBK)で構成される「プレミアム6色ハイブリッドインク」を採用。発色や色再現性にすぐれ、とりわけ赤の色域が広いのが特徴だ。さらに、染料系のフォトブルー(PB)を用いることで、光沢紙における青色~白色領域での粒状感を低減しているのも、写真愛好家などから支持される理由のひとつとなっている。

キヤノン「PIXUS XK90」

「XK90」の高いプリント品質を支える「プレミアム6色ハイブリッドインク」。顔料系と染料系の2種類のブラックインクをプリント原稿に合わせて使い分けるため、写真は繊細かつ色鮮やかに、文書は小さなフォントまでシャープにプリントできる

また、「XK90」の登場に合わせて、最上級写真用紙「光沢プロ クリスタルグレード」が9月に発売されることにも注目したい。従来までの最上級写真用紙「光沢プロ プラチナグレード」のさらに上を行く鮮やかな発色や、引き締まった黒を実現するのに適した写真専用紙で、主な販売対象とされているのは、プリント品質にシビアなプロの写真家やハイアマチュアとなる。このほか、同じく新発売の「プレミアムファインアート・ラフ」を使えば、マット紙ならではの風合いを生かしたアーティスティックな写真作品を作ることもできる。

キヤノン「PIXUS XK90」

プロカメラマンの作品アーカイブから、カラフルな街並みが印象的な1枚をピックアップ。2L判の「光沢プロ クリスタルグレード」にプリントしてみた。青や赤など、原色に近い部分の発色が実に美しい。インクジェット複合機は4色(CMYK)をかけ合わせて原色を再現する仕組み上、原色部分がわずかに濁りがちになるが、この写真は原色に近い色にも透明感があり、それが写真全体の抜けのよさにつながっている

キヤノン「PIXUS XK90」

こちらの写真では、空に広がる夕焼けのグラデーションに注目してほしい。高い彩度を保ちつつ、繊細な色の階調がしっかりと再現されており、粒状感も抑えられている。圧巻のプリント品質だ

キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」

秋の凱旋門を「プレミアムファインアート・ラフ」にプリントしてみたが、用紙の風合いと風景の枯れた味わいがうまくマッチして、独特の情緒を描き出している。マット紙にも関わらず描写がシャープで、ボケたり、にじんだりしていないのも好印象だ

このように高画質なプリント品質を実現しながら、「XK90」はプリント速度が大幅に進化している。L判フチなし写真が約10秒で高速印刷でき、従来モデルから約4秒も高速化。PIXUSシリーズ最速となっている。そのうえ、L判・カラープリント1枚あたりのプリントコストが標準容量インクで約14.8円(税別)、大容量インクで約12.5円(税別)と、低ランニングコストを実現しているのもポイントだ。プリント速度やランニングコストに神経質になることなく、高画質プリントを心ゆくまで楽しめるのはありがたい。

キヤノン「PIXUS XK90」

インクコストが比較的安く、高画質プリントを安心して楽しめるのも「XK90」の魅力。「XK」シリーズの下位機種にあたるハイスペックモデル「TS」シリーズとインクコストを比較してみたところ、1日1枚プリントした場合のインクコストの差額は5年間で約12,592円にもなった

キヤノン「PIXUS XK90」

「L判」「フチなし」「標準画質」の設定で1枚当たりのプリント速度をチェックしてみた。結果は、ほぼカタログスペック通りの約10秒。このスピードなら、「まだ印刷が終わらない……」とストレスを感じる心配はないだろう

写真愛好家必見のプレミアムインクジェット

デザイン美しさと機能性を両立させた、スタイリッシュなコンパクトボディ

卓越したプリント品質もさることながら、「XK90」のプレミアムモデルらしさはその風格ただよう外観にも表れている。重厚な「メタリックシルバー」をまとう直線基調のボディは高級感があり、前面には美しく輝くヘアライン処理が、前面下部にはフロアを映し込み、ボディをコンパクトに見せるミラー処理が施されるなど、デザインのこだわりが細部にまで息づいている。ひと目見ただけで「特別な1台」であることがわかるデザインだ。これもまた、プレミアムモデルに不可欠な資質のひとつだろう。

キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」

前面パネルに施された上質なヘアライン処理や、フロアを映し込むことで設置環境と調和させるミラー処理、そして、直線基調のフォルムを際立たせるフラットな天面。こうした細やかな作り込みが、プレミアムモデルらしい風格を生み出しているのだ

また、「XK90」のボディサイズは、約373(幅)×319(奥行)×141(高さ)mmとコンパクトで、リビングルームのサイドボードや、書斎のデスクの上など、わずかな空きスペースにもすっきりと収まる。視認性が高く操作しやすい「4.3型ワイドタッチパネル」をボディ前面に搭載するほか、前面に加え背面からも給紙できる「2ウェイ給紙」や「自動紙幅検知」を備えるなど、ボディを小型化しながらも、そのシワ寄せが機能性におよんでいるところは見られない。機能美のお手本のようなボディデザインだ。

キヤノン「PIXUS XK90」

デスクやサイドボードの上をはじめ、ちょっとした空きスペースにも設置できるコンパクトボディ。自宅のリビングルームの一角に設置してみたが、すっきりと違和感なく収まり、さりげない品のよさを演出してくれる

キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」

4.3型の液晶モニターは、スマートフォンで慣れ親しんだフリック操作に対応している。上下左右へのスワイプ操作にもキビキビと追従するなど、操作レスポンスも良好だ。なお、フロントパネルは0~90°まで無段階で角度調節できるので、設置場所の高さに応じて、操作しやすいベストポジションを見つけるといいだろう

キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」

前面、背面の双方から給紙できるため、A4用紙とB5用紙、普通紙と写真用紙、といった具合にサイズや種類の異なる用紙をセットしておけば、使うたびにトレイを開けて用紙を入れ替えずに済む

キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」

用紙カセットを本体にセットした瞬間に、自動で用紙サイズを検知してくれる「自動紙幅検知」を搭載。用紙を入れ替えるたびに設定を変更するのは手間だが、これなら「XK90」に“おまかせ”でいい。目立たない部分だが、かゆい所に手が届く気の利いた機能だ

写真愛好家必見のプレミアムインクジェット

スマホ連携さらに進化したスマートフォン連携。高画質プリントをもっと手軽に

従来モデル「XK60」からの進化ポイントとして注目したいのが、今やプリンター選びの重要なチェックポイントとなったスマートフォンとの連携機能だ。スマートフォン用アプリ「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」を使えば、スマートフォンからのワイヤレスプリントが驚くほど簡単。スマートフォンで撮影した写真や、スマートフォンに表示させたWebページの情報などをシンプル操作でサッとプリントできるのはもちろん、「XK90」では本体の液晶モニターに表示されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取ることで、素早くWi-Fi接続が行える「QRコードダイレクト接続」(iOSのみ対応)が新搭載された。写真好きの仲間たちと自宅で作品鑑賞会を楽しむ際も、それぞれの端末でQRコードを読み取れば、「XK90」とワンアクションで接続できるというわけだ。

キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」

プリンターとスマートフォンの接続作業は煩雑な設定が必要な場合が多いが、「QRコードダイレクト接続」を新搭載した「XK90」なら、プリンターの液晶モニターに表示されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取るだけでいい。そのまま「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」を起動して、すぐに高画質な写真プリントが楽しめる

また、「PIXUS トークプリント」の使い勝手が向上したのもうれしいニュース。これはLINEやFacebookのMessangerのトーク画面に投稿した写真を手軽にワイヤレスプリントできる機能だが、従来までは、プリンター本体の液晶モニターに表示されたConnectIDを、LINEやMessangerのアプリ上で入力、登録する必要があった。これに対して、「XK90」ではConnectIDを「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」上に表示できるようになったため、ConnectIDをスマートフォン上でコピー&ペーストするだけでいい。どんなに便利なアプリでも、初めの登録や設定が煩雑だと、「後でやろう」「いつか使おう」と使用をためらってしまうものだが、「XK90」ではそのハードルがグッと下がっているのだ。

キヤノン「PIXUS XK90」

友人にメッセージを送る感覚で写真をプリントできる「PIXUS トークプリント」。最新モデルでは、接続用のConnectIDが「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」上でも確認できるようになり、初期登録が簡単になった

朗報はほかにもある。コラージュやカード、ディスクレーベル、カレンダー、名刺、証明写真など、多彩なコンテンツをプリントできる写真印刷アプリ「Easy-PhotoPrint Editor」が「フリーサイズ印刷」に対応し、フォトフレームのサイズに合わせてプリント領域を自動調整してくれるようになったのだ。早速試してみたが、なるほど、従来とは違い、画像の拡大率をユーザー自身で微調整する手間がない。フレームサイズを入力するだけで、ジャストサイズにプリントできた。

キヤノン「PIXUS XK90」

写真印刷アプリ「Easy-PhotoPrint Editor」も進化を遂げ、フォトフレームのサイズに合わせてプリント領域を自動調整してくれる「フリーサイズ印刷」に新対応した。画像の拡大率を大きくしたり、小さくしたりと、ユーザー自身で微調整を繰り返す必要がなくなったのだ

キヤノン「PIXUS XK90」 キヤノン「PIXUS XK90」

うまく撮れた写真を作品として残すなら、L判の写真用紙だけでなく、さらに大きな2L判やB5、A4などのさまざまなサイズや、普通紙、光沢紙、クラフト紙といったさまざまな紙質の用紙にプリントしてみてはどうだろう? 「PIXUS」シリーズには、今回のレビューで使用した「光沢プロ クリスタルグレード」をはじめ、多種多様な専用用紙が用意されているので、フォトアルバムやスクラップブック作りも思う存分楽しめる

写真愛好家必見のプレミアムインクジェット

まとめ写真作品を作る楽しさ、よろこびを堪能できるプレミアムな1台

今回、「XK90」をレビューして印象的だったのは、やはり「PIXUS」シリーズ随一のプリント品質だ。そのクオリティは、普段使いだけでなく、写真作品のプリントにも十分対応できるレベルにあり、写真表現にとことんこだわりたい、写真愛好家やハイアマチュアのシビアな要求にもきっちり応えてくれることだろう。そして、美しさと機能性が両立されたコンパクトボディに、充実のスマートフォン連携機能も装備。「PIXUS」シリーズの豊富な製品ラインアップの頂点に君臨するだけあって、「XK90」は全方位においてすぐれた性能・機能・使い勝手を備えた、まさにプレミアムな1台に仕上がっていた。ファインダー越しに覗いた景色を自分なりの感性で切り取り、プリントし、1枚の作品にする楽しさやよろこびを、「XK90」で余すことなく堪能してほしい。

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