Step-12

振り返りとまとめ
Wrap-up

最近のチェック・アップ

今回がいよいよ最終回となりますが、エネルギードライバーの5番目である、人間関係に関わる「社交」について皆さんにお聞きしたいと思います。感覚値で良いので、下記よりアンケートにご協力ください。お互いの様子を知ることで、新たな励ましや気づきが得られることを期待しています。

皆さんもご存知のように、人間関係を大切にする、人脈を作る、いずれも価値のあることですよね。
しかしそれだけではなく、生産性の観点からはこれらの活動は知識労働者が脳の前頭前野を使ってアウトプットを生むのに大いに役立つと研究されています。
いろいろな人との交流が生産性に及ぼす影響について、より深く理解されたいと思われる方はぜひ映像「社交」をご覧ください。

そしてこの機会に、自分の今ある人間関係について見直してみましょう。自分にできること、新たに始められることを考えてみると良いですね。

生産性とは

これまで3ヶ月にわたって皆さんと「生産性とは何か」について考えてきました。
生産性とは、インプット分のアウトプットの割合で測られます。かつて製造業が主流であった時代には、アウトプットそのものを変更することはできないので、分母である時間・コストというインプットを削減するということしかありませんでした。つまり、どうやって時間やコストを削減するかという効率化の探求が熱心に進められていました。

しかし、知識労働者が主体となる時代になると、むしろできるだけ大きな成果価値が期待されるようになりました。かつてのように時間とコストを賢明に削減さえすれば良いという発想よりも、どうやって成果価値を拡大できるかについて探求することが期待されるようになりました。
例え同じ時間(+エネルギー)を使ったとしても、そこから生まれる創造的なアイデアによって、かつてない素晴らしい製品デザインを生み出すことができるとしたら、それはとても生産性が高いと言えるわけです。
しかしこの考え方は、多くの組織ではまだまだ浸透しているとは言い難く、どうしても効率性に縛られる傾向が見受けられます。

パラダイムシフト

だからこそ私たちは「パラダイムシフト」を意識していくことが必要なのだと思います。
どうすれば成果価値を拡大し、生産性を高めることができるのか……知恵とスキルを身につけていくことはもちろんですが、物事の捉え方が誤っていたら、誤った努力を続けることになってしまいます。
生産性の高い人は意識して自分のパラダイムを自覚し、それを変えることができます。新しいメガネにかけ替えて、より良い行動へ自分の行動をもシフトすることができます。より適切な行動を続けられるからこそ、より望ましい結果を「生産」できるようになるわけですね。

生産性を高めるために、まず鍵となるパラダイムシフトを2つ紹介していました。

復習用映像:パラダイム

①刺激と反応

私たちの生産性を高めるためには、無意識のパラダイムを客観的に見つめる力である「自覚の力」が鍵でした。この力を発揮することで、私たちには、「緊急」という刺激に対して受動的に反応することなく、自分の行動を生産的で主体的な行動へと変えることができます。
刺激となっている急ぎの仕事から取り掛かるのではなく、一旦立ち止まり、(前頭野を使って)生産的で重要な事柄に目を向けることで、主体的な行動が選択できるようになります。

復習用映像:影響の輪

②影響の輪にフォーカスする

何が本当に重要かという重要軸で判断ができる「主体的な人」は、どのような状況下に置かれても、自分自身の反応を自分で選択し、そしてその選択に責任をとることができます。
もちろん緊急軸以外の刺激や出来事でも、私たちの感情や気分が揺さぶられることがいくらでもあります。悩ましいこと、煩わしいこと、気がかりなことに、いつまでも私たちの感情や気持ちが囚われてしまい、無駄に時間やエネルギーを使ってしまいがちです。「影響の輪・関心の輪」というフレームワークを使って整理することで、生産性にもっとも影響を与えられる事柄にフォーカスできるようになります。

時間管理のマトリックス

影響の輪にフォーカスする力をつけていくにも、まず普段の自分がどのように時間とエネルギーを使っているのか、客観的に整理するツールとして時間管理のマトリックスをご紹介しました。
今取り組んでいること、取り組もうとしていることが、どれくらい重要なことかを見極めて、そして真に成果価値の高いことやリターンが大きいことにフォーカスすることが生産性向上に繋がるからです。
今、自分がどの領域にいるのかを意識するようにしましょう。そして最も大きなリターンが得られるとわかっている、Q2(第2領域)活動に自分の時間とエネルギーを多く費やすように計画していきましょう。

復習用映像:時間管理のマトリックス

復習用映像:貢献

コントリビューション・ステートメント

もう一つ自分らしい選択をするために、コントリビューション・ステートメントを作成していただきました。
コントリビューション・ステートメント(独自の貢献)があることで自分が成すべき仕事を見極め、整理できるようになり、より適切に周囲へ働きかけたり、対応することができるようになってきます。それは自分が心からコミットするコントリビューション・ステートメントであるからこそ得られる価値です。
だからこそ一度作って終わりにするのではなく、継続して内省し、書き直していくことで、自分の中で高まってくるエネルギーを確認していってください。

しかし、これらは組織やチームのミッションやビジョンとしっかりと結びついているものである必要があります。そして何より自分の心底から発するものでなければなりません。

プロジェクト定義書とマスタータスクリストのアライメントをとる

そこで自分の独自の貢献を見据え、組織の目標やチームの目標とアライメントが取れているかという点についてより具体的に考えてきました。
組織の目標と自分のコントリビューションが一致するところを明確にし、整合性をとることで、マスタータスクリストを整理しました。それからプロジェクト定義書を取り出して眺めてみることが大切でした。いつものように WBS を先行して作ろうとすると、どうしても目先の段取りを立てることだけに集中してしまい、優先順位のバランスを崩してしまいがちです。
だからこそ、プロジェクトの終わりを思い描いた「プロジェクト定義書」とマスタータスクリスト(独自の貢献と組織の最重要目標の整合性をとったもの)を付き合わせることで、優先順位を考える上での「重要軸」が見えやすくなってきます。

復習用映像:大きな石

優先事項を行動に落とし込む

優先順位を判断するのに迷うことがあるのは誰もが経験しています。だからこそ、それは「大きな石」なのか「小さな石」なのか? なぜ「大きな石」と言えるのか? と、できるだけシンプルな質問で自問してみることが自分の判断を助けます。
周りの状況がどんどん変化する中で、先週までの優先順位が今週も同じであるとは限りません。だからこそ、このシンプルな質問で常に判断を下していかなければ、すぐにでも緊急性に惑わされてしまうことでしょう。
だからこそ毎週、毎日この判断をし直すために計画を見直し、優先すべき行動を選択します。

シナジーを創り出す

本質を捉えることができるからこそ優先順位の判断がつき、成果を上げられるという原則は個人だけではなくチームで協業する際にも当てはまります。
私たちがチームとして本質的なコミュニケーションを深め、本質的な目的を見出すことによって、周囲の人たちとシナジーを生み出すためのプロセスを実践してみました。
違い、多様性を尊重し、第3の案を生み出していくのですが、実は、この中で最初に必要となるのが「意欲の確認」です。
チームメンバーに対して意欲を求めるだけではなく、自分自身が本当に意欲をもってシナジーを生み出そうとしているのか? を確認し決意をしなければなりません。
その決意がない人はチームメンバーを動かすことはできないことでしょう。

なぜ私たちは多様性を上手に活用できていないと思いますか?
7つの習慣ティーンズの著者であり、コヴィー博士の息子であるショーン・コヴィーは活用できない理由として3つを上げています。

1つ目は「無知」です。自分とは違う特徴をもった人がどのような生活を送り、どのような気持ちなのかを理解できない、または理解の仕方を知らないのです。そして無意識のうちに相手のことや相手のアイデアを遠ざけてしまいます。
2つ目は「排他心」です。気が合う仲間同士、似た者同士で集まっている方が気が楽なのでしょう。自分の知らない領域を受け入れるには勇気やエネルギーを必要としますが、そこに踏み込まなければ新しい価値を創造することはできません。
3つ目は「偏見」です。実は意識的に無知であるように振る舞うことも偏見の一種と言えます。ショーンは「人は皆、平等に創られているが、残念ながら必ずしも平等に扱われていない」と述べています。

当て推量は厳禁

同じ言葉を他の人も同じ意味で解釈しているかどうかを体験できる方法があります。当て推量は厳禁というゲームです。
例えば「戦略」という言葉をチームメンバーに伝えて、それと同じ意味、あるいは関連が深いと思われる単語を10個以上書いてもらいます。
自分も同じように同じ意味、関連が深いと思われる単語を10個以上書きます。
そして見比べてみてください。そうすることで、どれだけ自分と相手が考えていることが違うかを体験することができます。

弊社では、通常6人ぐらいのチームでこのゲームを実施しますが、6人全員が完全一致する単語の数を数えると極めて0に近いという結果になります。

実はこれこそが違いであり、そして多様性とは何かを意味します。
しかし私たちはついその「違い」を「間違い」と捉え、相手を遠ざけてしまうことがあります。
同じ言葉を話しているのに、捉えた意味が違うということはパラダイムが違うということですよね。
今回提案した「戦略」は単なる事例ですが、皆さんがチームメンバーとよく使っている言葉で試してみてください。「マーケティング」「時間管理」などです。
間違いだと言って、相手を判断してしまうと、シナジー効果を生み出す機会を失ってしまうことになりかねません。

選 択

さて、3ヶ月にわたって皆さんと一緒に学んできました PRODUCTIVITY  for  Remote Workers のコースは今回で一度終了となります。
今回は生産性をテーマに重要なポイントのみをお伝えしてきました。本来はさらに時間をかけて、より詳しいコンテンツを学んだり、具体的なケーススタディーやロールプレイなどを通して学びを深め、スキルを強化することもできますので、そのような機会については改めてまたご案内できればと思います。

この3ヶ月の経験を通して皆さんは何を得られたでしょうか。
皆さんには度々「どれだけの時間とエネルギーを重要なことに費やしているか」と質問してきました。
3ヶ月前と今ではどれくらい重要なことに費やす時間とエネルギーが増えたでしょうか?
どれくらい重要ではないことを減らすことができたでしょうか?
これはどれくらい生産性が改善できたかを測るためのとても簡単な指標ですね。

皆さんのチャレンジはこれからもまだまだ続くと思いますが、課題や問題に直面した際には、自分がどちらの方向に進めばいいのか、これまで学んできたことを軸に選択いただきたいと思います。
本コース最後の映像となる「選択」を視聴することで、そのようなメッセージを受け取って頂ければと思います。

ここまでの区切りとして、この3ヶ月でご自分の実践を通して得られた学びと気づきについて、下記に共有してください。
皆さんと一緒に貴重な時間を過ごせたことを感謝すると共に、また別の機会でお会いできることを楽しみにしています。

PRODUCTIVITY for Remote Workers プロジェクトチーム 一同

本コースの利用期限は 2020年9月4日(金)までとなります。
ご利用ありがとうございました。