法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『奇跡体験!アンビリバボー』潜入記者が暴いた大スクープ 岡田更生館事件

路上生活者を収容して支援する岡山県の厚生施設。その優良とたたえられた評価の裏に隠された真実を毎日新聞があばいた事件。
奇跡体験!アンビリバボー:潜入記者が暴いた大スクープ 岡田更生館事件 - フジテレビ

戦後の混乱期に起こった、前代未聞の事件。 長年封印されていた裁判記録が昨年、公開された。 そこに記されていたのは、当時「模範的」として評判だった、ある施設の恐るべき実態だった。

事件そのものの流れはおおむね知っていたのだが、裁判記録が昨年に開示されたことは初めて知った。検索してみると山陽新聞にまとまった記事がある。
70人以上死亡 過酷な実態改めて 岡田更生館事件の裁判記録開示:山陽新聞デジタル|さんデジ

 本紙は9月に「収容された戦災者 真備・更生館事件70年」(全4回)を連載した。地元住民への聞き取りをはじめ、国の調査記録や元県職員の手記を収集して取材を進めた。

 裁判記録は法に基づく保管期間(50年)を過ぎていたが、「事務で必要」との理由で岡山地検に残されていた。ただ、閲覧は10月末まで許可されず、連載には盛り込めなかった。目の当たりにした記録は旧字体交じり。にじんで読めない箇所もあり、時間の経過を感じさせた。

基本的にはバラエティ番組だが、放送枠いっぱい使った再現ドラマは見ごたえがあった。
命がけでスクープした記者の心意気がすばらしいことはもちろんだが、そもそも勇気をふりしぼって脱走した人物や、記者を思いやった収容者の勇気もまたたたえられるべきだ、と見ていて感じられた。


当時の資料をおりまぜて表現される収容所の実態はインパクトあるし、新聞社と県側の情報戦のかけひきも結末を知った上でサスペンスたっぷり。

翌日、他紙はこぞって知事の談話を掲載。 その結果…『捏造』とレッテルを貼られた毎日新聞の信頼は、完全に地に落ちた…かに思われた。
だが実際は…上司にはある策略があったのだ。 そう、あえて特ダネを伏せた記事を世に出したのだ。

この上司の判断について、元毎日新聞記者の鳥越俊太郎氏は…
「本人が掴んだのは間違いなく特ダネなんだけれども、それは世の中にあんまり知られてないんで、特ダネといって出しても他の新聞社やメディアも含めて、気が付かないということがあるんですよね。ある程度話題になっているところで、えっそうだったのかというような話を出した時の方が特ダネ感はあるワケなんです。」

しかし現在からふりかえると、被害者の証言に反する県の公式発表があったからと、そのまま県の見解をのせた他紙の姿勢そのものに問題があったように思える。
県側の責任者には執行猶予がついたりと軽い罪ですまされたこともふくめて、行政の罪を追求する難しさと、それゆえ報道が原則として立つべき場所が実感できた。

政治家の病気と公職者の資格

id:ohanabatake38氏が立憲民主党の参議員である石垣のりこ氏に対して、「公職者」の資格という観点から論評していた。

なるほど。

なるほど。
不心得が許される立場とそうでない立場があるという考えがあるのもわかる。

健康不安説が許される場合と許されない場合があるというのはわかりにくいが、その責を求めないか求めるかというのがひとつの基準か。


また、別の一般論として、よく嘘をつく人間が信用できないとしても、嘘をついているとは限らないということは考えている。
嘘をついて整合性をたもつことには一般的にコストがかかるし、都合のいい事実が起きれば嘘つきもわざわざ嘘をつかない。
特に病気というものは、発言や行動の整合性を問う時でも、個人差が大きいことは考慮されていいだろう。
ただしその個人差のために弱者への共感すらもたない政治をするであれば、また話は違ってくる。
難病法の軽減廃止 今月から負担増/患者不安 治療継続できず重症化も

措置が廃止されたのは、パーキンソン病潰瘍性大腸炎多発性硬化症など56疾患です。

 「措置廃止で今後、多くの患者さんがさらに負担増を強いられることになるでしょう」

 日本難病・疾病団体協議会(JPA)の森幸子代表理事は指摘します。

「『軽症』とされた患者さんも、治療を継続しているからこその軽症状態です。特異的な治療の継続が必要な場合は、引き続き医療費助成をして、重症化させない支援であるべきです」として、改善を求めています。

これは第二次安倍政権が緊縮政策を選んだ一例といえるだろう。

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  • 555

    日本共産党の党則には、
     党の上に個人を置いてはならないとの記述があったと思うのですが、
      このエントリを読むと、取り上げた人物だけでなく
       このサイトでも党則違反の現実が起きている認識を抱いている印象があります。

  • 555

    太田啓子弁護士や佐々木中は共同通信社の記事から
     辞任表明後の憲法抵触の指示を指摘。
      本当にでたらめな尾は安倍総理とその取り巻きではないでしょうか。

  • 555

    若干訂正します。日本共産党の規約(2000年11月24日改定)の第三条では
     一項から五項まで全てが民主主義(民主集中制)について触れています。
      ここで取り上げた蓮華草のいい方は
       自由民主党か日本国外共産党を基準に
        公党を語っているだけではないでしょうか。

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第二次安倍政権の二度にわたる消費税増税と、王が名君と呼ばれる条件について

民主党内でも保守派だった野田政権において、民主党自民党公明党の合意により消費税増税が決まった。
そこで民主党は大量の造反者を出して自民党に責められた。参議院では民主党より自民党の賛成票が多い逆転も起きた。
参議院で消費税増税を決めた議員は、民主党より自民党が多かったことは記憶しておきたい - 法華狼の日記

消費税増税そのものについては、当時に政権をとっていた民主党の責任を最も強く問うまでは理解できる。景気条項を自公政権が外した問題などを無視すれば。

そして自民党公明党が連立与党となった第二次安倍政権において、消費税を増やすことを制限する景気条項をはずした。
消費税増税に反対する反緊縮派やリフレ派は、第二次安倍政権で何度か増税が延期されたことを賞賛した。


民衆のために政治をする王が、「名君」と呼ばれることがある。
英雄たちの選択 「すべては民のために!“名君”徳川宗春の挑戦」 | 番組表検索結果詳細 | NHKクロニクル
しかし民主主義制度では民衆のために政治をすることは前提であって、それ自体はわざわざ賞賛する必要はない。
もし安全装置を外した人物が安全運転をすることに、賞賛する必要がどれだけあるだろうか。その人物が二度も事故を起こしたとして、安全装置がないからしかたないと擁護する必要があるだろうか。
別の人物が事故を起こしそうだと心配して、運転を交代させないという判断は妥当だろうか。いつまでも同じ人物が運転できない以上、できるだけ個人の資質にたよらないシステムにしておくべきではないか。


システムを不安定にするほど、安定性を人質にして立場を維持できる。次の担当者が安定しづらく苦労すれば、前任者が賞賛されて再任を求められる。
まさかそのようなことがあるわけがない。あっていいはずがない。

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  • 逆日本人

    日本人の『名君の条件』は簡単です。
    「いかに韓国への憎悪を煽ったかどうか」これが全てです。
    証拠ですか?元徴用工判決への報復措置として行われた対韓輸出規制への賛成率を見るだけでいいでしょう。
    次の政権も同じ手段で支持率を維持することでしょうね。
    石原、小池のことも併せて考えればヘイトこそが勝利の方程式であることは明白です。
    今に始まったことではなく、そもそも明治政府が最初にしたことを考えれば日本の国是と言ってもいいでしょう。

  • 555

    記憶起こしになりますが、2019年9月に日本共産党の文化講演会で聞いた話では、
     トランプ政権の誕生と同時期の韓国朴槿恵政権が市民運動で弾劾されつつあって、
      当時の戦略会議が「韓国が危機に瀕している」の指摘。
       登壇記者は韓国の保守派に親日を台頭させやすくするためと発言。
        この事から考えられるのは韓国政府だけでなく
         韓国の国民にも親日派を台頭させやすくするために、
          日本国民の憎悪があおられているのではないかと思われます。

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列車の窓から入りこんだからといって、「朝鮮人」という属性に注目するのが差別だよ

1945年8月20日の広島で、「朝鮮人」が列車の窓から割って入ったというツイートが批判的に注目された。

これは原爆投下前後にSNSが存在したと仮定するNHK企画「ひろしまタイムライン」で、当時の日記や後年の証言にもとづく描写だ*1


こうした「朝鮮人」のふるまいが別の証言にも見られることを、自民党員で元北海道議の小野寺まさる氏が『はだしのゲン』を引いてツイートしていた。

しいたげられていた「朝鮮人」の反動的なふるまいがあったとして、しいたげていた日本側が被害者意識で描写するだけでは、現在につづく差別意識をあおってしまう。
しかし問題は『はだしのゲン』の他頁に前提となる朝鮮人差別が描かれている*2という次元にとどまらない。よく見れば、小野寺氏は自身が紹介した頁をよく読めていないことがわかる。
朝鮮人が割りこむ直前に、食糧を闇で入手しようとする「群集」も、我先に列車の窓から入りこんでいる。バイタリティある主人公たちも例外ではなく、席についている他人の頭上をこえて「ごめんちゃいよ」と列車に乗りこんでいる。


こうした証言は『はだしのゲン』に限らない。
証言にあるように戦勝意識の解放感から傍若無人にふるまった「朝鮮人」が存在したとして*3、敗戦で生活苦におちいった内地の「日本人」も少なからず同じように行動していたのだ。
帝国日本の交通網: つながらなかった大東亜共栄圏』等、日本の鉄道史についての単著もある若林宣氏も、「ひろしまタイムライン」が問題視された直後に指摘していた。

つまり横紙破りしているのはたくさんいるのに、そこで問題視する対象が「朝鮮人」だけというのが、それもまた差別のあらわれというわけ。

*1:NHKによると2009年の手記『激動の昭和を生きて』にもとづくという。ただ「朝鮮人」がここまで戦勝意識でふるまうのは、ポツダム宣言受諾の直後にしては早すぎるという疑問もある。ミズーリ艦上で降伏文書が正式に調印される前で、もちろんGHQも設置されていない。2004年の手記には同じような出来事が11月に書かれていることをid:nou_yunyun氏が確認している。「シュン@ひろしまタイムライン」についての朝鮮人記述と実際の「日記」との比較 - 電脳塵芥 憶測になるが、従軍慰安婦済州島で集めたという吉田清治証言が、時期や場所を改変していたというのと似た事例かもしれない。吉田清治『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』を読む - 法華狼の日記 そうでなくても、今回の「朝鮮人」のふるまいについては公文書などではない個人の証言や手記が一定の信頼をされるのだな、という不思議な感覚はおぼえた。

*2:このツイートの主人公が、表面的には朝鮮人と日本人をほとんど同じという表現をつかっていて、ちゃんと揶揄として位置づけられているのも興味深い。

*3:そうした「朝鮮人」が鮫島伝次郎のたぐいという可能性もなくはない。また、そうした戦勝意識が敗北した日本人側の鬱屈から強く印象づけられたことも考慮していいだろう。一例として、嫁としてつれかえった朝鮮人慰安婦に対する元日本兵の劣等感と優越感がないまぜになった記録が存在する。

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  • 逆日本人

    仮に『真の被害者』の視点に立った作品があったとしても日本人相手には無意味でしょうね。
    最悪、過激ポルノとして消費するだけです。

    アメリカの機銃掃射で日本人が『消滅する』映像を学生に見せたところ、笑い声が上がったという話を聞きました。
    終生おそるべしというか、この若さでこのありさまとは。
    自国民相手でこれなのですから蔑視しているアジア諸国の人々相手ならどんな胸の悪くなるような反応を示すことやら。

    この民族はあまりにも加害を好みすぎる。
    BLMへの反応でもわかりますが、利害関係なしにあらゆる差別を愛し、あらゆる弱者の抗議にすさまじい罵詈雑言を投げつけます。
    日本人につける薬はありません。
    なぜ日本人には心がないのか?

  • id:s3731127306973

    いま、二本の検証記事を書いています。
    資料の取り扱いに重大な問題があります。基本ができていない。これも見逃せません。

    https://s3731127306973.hatenablog.com/entry/2020/08/26/183229
    https://s3731127306973.hatenablog.com/entry/2020/08/30/161616

  • 555

    町山智浩は「大事なことなのでもっぺん書きますが、戦時中のドイツの少年の日記を
     現代文にしました、という名目でユダヤ人に対する記述を何の注釈もなく 
      ツィートしたら、ただのヘイトスピーチです」発言しています。

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親に教育を丸投げする理屈でいいなら、漫画よりゾーニングが厳しい「表現の不自由展」にも細かい説明文が無くて良かったことになるよね……

寸借詐欺疑惑*1で知られる大田区議員のおぎの稔氏が、漫画の悪影響への懸念に対して、親の教育に丸投げするような意見を出していた。

つづくツイートで何もかも家庭にまかせるべきという主張ではないと留意したかと思えば、漫画については「家庭でちゃんと取り合ってほしい」範囲と位置づけている。


しかし親がいる家庭ばかりではないし、子供に教育できるだけの余裕がない家庭も多い。
ニチアサと呼ばれる日曜日午前の番組枠などの子供向け番組が、親の負担をへらして家事などをおこなう余裕をつくっているという話もある。
テレ朝の日曜朝が変わる! 特撮モノの放送時間変更に子育て世代からまさかのブーイング - レタスクラブ

小さい子どもを育てている親にとって、子どもが静かにテレビを見ている時間はとっても貴重ですよね。親なんてそっちのけで集中している子どもをよそに全力で家事を片付けたり、ほんのひと時のコーヒーブレイクを楽しんだりすることも可能。

おぎの氏のような丸投げでは、自由な市場の選択として、むしろ教育的な表現ばかり残っていくことにならないだろうか。


また、趣味に対する親の介入を求めるならば、それに応じて教育的に排除されない方向へ表現も変化していくだろう。
事実として、ゲームを一日一時間にしようという制限目標は、高橋名人として知られたゲーム会社の社員が広報でつかったものだ。

公式16連射ブック 高橋名人のゲームは1日1時間 (ファミ通ブックス)

公式16連射ブック 高橋名人のゲームは1日1時間 (ファミ通ブックス)

  • 作者:高橋名人
  • 発売日: 2009/08/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

同じくらいの時間制限を求めた香川県のゲーム条例に対してブログで発信し、あらためて注目もされた。
「ゲームは1日1時間」高橋名人が「香川県ゲーム依存症条例」についてコメントを公開 - GAME Watch

何も規制しなければ、特に母親からゲーム禁止と言われ始めるのではないかと思ったという。そこで出た言葉が「ゲームは1日1時間」。

高橋名人はブログにおいて当時をふりかえりつつ、現在の社会環境にそのまま当てはめにくいことにも留意していた。

「今の時代、公園に行ったとしても、ボール投げなどが規制されていたり、鬼ごっこで大声を出す事も禁止されていたりします。そんな身体を使えない状況になった時、子供達はどこに行くのでしょう? それはスマホタブレットなどのネットになってしまうのではないでしょうか?」とし、規制する前に、子供が外で遊べる環境作りをしてほしいと改めて「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」について意見を述べている。


おぎの氏が仮にも政治家であるならば、表現で誤った観念がすりこまれないよう教育を充足し、あわせて生活の余裕を支援する、という方向に行ってほしい。
それと同じように歴史的な事実や戦後の社会史などがきちんと教育されていたならば、そもそも「表現の不自由展」への無用な反発もなかったはずだろう。

表現の責任は表現者にあり、読解の責任は受取手にあり、それらをつなぐ責任が社会と教育にある。

Add Starkufuhigashi2seven_cz
  • 逆日本人

    おぎのと山田太郎の取り巻きたち、いわゆる『表現の自由戦士』は日本人の中でも最低最悪の連中でレイシストであることは当然として極めて悪質なミソジニストの集団です。
    日常的に女性のハラスメントを繰り返していて大規模な性犯罪者の予備軍で(自分たち自身「ポルノでかろうじて衝動を抑えている」と称しています)。
    これらの人々は他者への加害だけを存在意義としているのです。
    こんな連中が大量に闊歩しているこの国は文明国の名に値しません。
    なぜ日本男性には心がないのか?

    彼らの出現は昨日今日ではなく、私が知る限りでは少なくとも筒井康隆まで遡ることができます。
    彼の作品からは冷笑的露悪的な態度、差別の娯楽化、フェミニストへの攻撃など劣悪オタクの諸要素を見て取ることができます。

  • ももんが

    今回に記事でおぎの区議を紹介する際寸借詐欺に触れるのはやめたほうがいいのでは。

    記事の本題か関連している場合は別として、この記事の主題ではないなら発言者と発言内容は別に考えるべきです。

  • a

    商業エンタメ作品と公金を注ぎ込んだ芸術イベントを同列に語る詭弁である
    なお漫画家は漫画のプロであるが、津田大介に芸術の素養は無い

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