愛憎の道6
スナックフレンドが閉店してからも、マメに珠代ママ、由香里とは会い、飲み会などを開いていた。
私の友達も含めて、数人でよく飲み会をして、楽しんでいたのである。
そんなある日、飲み会が終わり、帰り道で珠代が、酔って歩けなくなったと言って、道端に座り込んでしまった。
何度か声がけをしたりしたが、一向に立ち上がる気配はない……珠代の家も知らないし…
迷った挙句、仕方ないので、幸い家が近かったので、ウチに連れて帰ることにした。
タクシーにてアパートの下に到着して、抱えるようにして、珠代を部屋の玄関まで連れてきた。
途端に、珠代は服を脱ぎ出し、そのまま布団が敷きっぱなしになってる所へ、転がり込んだのである。
私は目が点になったが、布団は一組しかなく、仕方ないので、隣に寄り添うように寝たが、やはり男である……故にその気持ちを抑えるようにして、背中を向けて寝た。
しかし、意に反して、珠代は背中から抱きついてきて、私に迫ってきた……
久しく女性の温もりなどから遠ざかっていた私が、自分の理性から崩れていくことなど、そう時間は要らなかった……
朝になり、横に珠代の顔があった……
内心はシマッタ~との感覚もあったが、久しぶりの忘れたいた感覚に酔いしれるものもあり、複雑な心境だったのは間違いない。
コンビニで朝食を買い、部屋にて二人で朝食を食べた……
その時に、珠代の身上が明かされたのである。
珠代は結婚していて、旦那もいる、子供は女の子が二人で、下が小学4年、上が小学5年、旦那は酒が好きで、毎日のように飲み歩き、仕事も自営でやってるが、ままならない現実があるらしい。
子供たちは、毎日、食事を作って置いておいて、学校から帰宅して、食べているらしい(これは後から、子供たちから聞いたが、実際はテーブルの上に、1.000円札が一枚、いつもおいてあったらしい)
旦那は金があろうが無かろうが、ツケで飲み歩き、浮気もしょっちゅう、借金も相当額ある。
珠代は、初めは飲めなかったらしいが、ツケを払いに、飲み屋に行った時、ツケはいいから、その代わりに店で働いてくれと、とあるスナックにて依頼されたらしい。
仕方なく、働き出し、それがきっかけで、飲めるようになり、店のママまでやるようになった。
当時の旦那の借金も完済しているらしいが、なかなか離婚までは漕ぎ着けないのが現実みたいだ。
そして……流れに身を任せるように、私と珠代は付き合うという関係になっていったのである。
その日の夕方、ふと気付くと、珠代がカーペットの細かいゴミをしきりに集めている姿を目にした。
まさに、一点を集中するように見つめて、細かいゴミを拾い集めているではないか……
これを見て、不思議に思った私は、何気に何をしているのかと……聞いた……
帰ってきた答えはまさに衝撃的なものだったのである。
そこから先は、まさに暗闇の世界を覗き込むことになろうとは、未だに気付いていなかった……
No7へ続く