水曜インタビュー劇場(アイス公演):受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか (7/7)

» 2015年04月22日 08時20分 公開
[土肥義則ITmedia]
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行きつくところは「パリパリ」

土肥: アイスクリームってフレーバー展開をしている商品が多いですよね。チョコ、バニラ、ストロベリーといった定番の味だけでなく、抹茶、コーヒー、ミント、プリンなどなど。しかしチョコモナカジャンボは、40年ほどチョコ1本でやってこられた。2011年にバニラを出されましたが、バニラは定番の味なのでフレーバー展開と呼んでいいのかちょっと分かりませんが、なぜ新商品をあまり出さなかったのですか。

山田: フレーバー展開をすることで、定番のチョコレートが沈んでしまうことを懸念していました。いわゆる“カニバリ”(自社商品が自社の他の商品を侵食してしまう「共食い」現象のこと)ですね。

 ただ、最大の理由は「鮮度管理」。製造してから店頭に並ぶまで5日以内と決めているので、何品も出すのが難しいんです。

土肥: フニャフニャしているモノは、出せないわけですね。

山田: バニラを出すときもかなり悩みました。発注数が予想以上に多かったら出荷できなくなるかもしれません。正確な数字が読めなかったので、まずは2011年に中部地区だけで扱って、販売量を見極めながら徐々に拡大していきました。

土肥: この商品が行きつくところは、結局のところ「パリパリ」なんですね。アイスメーカーだけに限らず、多くの食品メーカーからは「さまざまな味を開発して発売していかないと、お客さんに飽きられるかもしれない。不安なので定番のほかに、どんどん新商品を出している」といった声を聞くのですが、チョコモナカジャンボは違う。「さまざまな味を開発して発売すると、パリパリの鮮度を保つことが難しくなるかもしれない。フニャフニャすることが不安なので、定番以外の味はあまり出さない」というわけですね。

 最後の質問です。少しでもパリパリ感がでるようにどうすればいいのか、その研究は今も続いているのですか。

山田: 続いています。

(終わり)

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