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創業70周年パーティーは華やかにスタートした。
私は航大の両親の横に、航大と並んで立ち、スポットライトを浴びた。
着なれない着物、経験したことのない人目、スポットライトの温度が身体に堪える。
社史の映像上映、開演の辞、社長挨拶、祝辞…
ただ立っているだけなのに、背中に汗びっしょりだった。
乾杯でやっと少しだけ気持ちが楽になる。
「杏ちゃん、顔色悪くない?大丈夫?」
楓花さんに問い掛けられた。
シャンパンは口をつけるだけにした。
「大丈夫です」
「着物辛いんじゃない?」
ここで退席するわけにはいかない。
「楓花さん、ありがとうございます。大丈夫です」
ちゃんと妻の役目を果たさなければと、気丈に振る舞った。
「杏」
航大に呼ばれた。
歓談の時間、出来るだけご挨拶に回らなければならない。
私は航大の横に着いて、頭に叩き込んだデータを頼りに挨拶に回った。
楓花さんに借りたデータと、自宅に保管していた年賀状を照らし合わせて、お子さんやお孫さんの誕生や入学卒業等の節目は全部頭に叩き込んだ。
仕事のことは一切わからないから、それを頼りにコミュニケーションを取る。
私に出来る精一杯をするしかない。
1時間ほど挨拶に回ると、いよいよ気分の悪さが我慢の限界になってきた。
「航大」
彼を呼んだのはお婆様。
航大は車椅子のお婆様に駆け寄る。
お婆様は航大に耳打ちをし、航大は頷いた。
「杏、婆ちゃんと少し出ろ」
航大がハンカチを差し出してくれた。
私はビックリしてそのハンカチを取る反応も出来ない。
「ちょっと休んで、戻って来い」
そう言われて、ハンカチを受け取った。
ホテルスタッフが車椅子を押してくれて、私はお婆様とパーティー会場の外に出て隣の控え室に戻った。
お婆様と二人になり、
「杏ちゃん、貴女、帯ゆるめてあげるからしゃがみなさい」
「えっ…」
「かなりきつく締めてるんじゃない?」
着崩れしないようにしっかり締めていた。
「ダメです。まだご挨拶の途中なので…」
「そんな状態で回っていたら倒れてしまうわよ。私に任せて」
お婆様の優しさがまた涙腺を刺激する。
「優しくしないでください。至らない嫁で…申し訳なくて…」
そう話した時、ノックの後に入ってきたのは楓花さんだった。
「杏ちゃん、大丈夫?」
楓花さんも心配して私を見に来た様子だった。
「楓花ちゃん、杏ちゃんの帯ゆるめてあげて。少し休んで、締め直してあげてちょうだい」
「わかった」
楓花さんは私の後ろに回り、帯を手早くゆるめてくれた。
「杏ちゃん、自分でしたの?」
楓花さんの問い掛けに小さく頷く。
「母さんに頼めば良かったのに…」
「お義母様も忙しいのにそんなことは…」
「何言ってるの。あの人が着付けるのなんて朝飯前よ。それに着崩れないように、苦しくならないポイントもあるのよ」
楓花さんにゆるめて貰って、呼吸が楽になった。
航大から借りたハンカチに顔を埋めて、
こんな状態なのに、彼の香りが気持ちを落ち着かせる。
航大サイテー。 家族の前だけ態度が違うってことは、不倫してる自分に非がある事を自覚してるって事。 それなのにのぶの言いなりで、洗脳されてるみたい。 ラスボス恐るべし…
航大の杏ちゃんに対する高圧的な物言い、本当腹立つ
航大は10年前に杏に騙されて嵌められたと思わされたのかな?一晩で豹変したのは信じていた杏に裏切られていたと思い込んだから?杏の全てが嘘に見えるのかな。旬くんに対する態度もそう考えると納得ができる。
航大の人間性がわからない😖 お婆様と楓花さんが優しくてほっとする😿る
矢代家の皆さんそろそろ杏を悩ませているのは航大だと気づいて下さい😭
わざと杏ちゃんに嫌われようとしてる?それくらい2人は家族の中で繋がっていますよね?
八代家の皆さん優しいですね😭義父母は航大に甘いかもしれないけど基本良い人な印象だし航大は何でこんな裏表ある人になってしまったんだろう😰
どこまでが2人の絆なのかが、測れない。深いよ〜😢
航大の態度に読んでいて気分が悪くなりそう…それほど酷く最低な男だ。
せつなくて苦しくて…健気で。家族っていったいなんだろう?
いじらしい。゚(゚´Д`゚)゚。
創業100周年は杏ちゃんはここにいないのかな?いや、航大もいないかもな。
航大の豹変に対しての混乱とそれをまだ認めたくないという気持ちと、体調不良の影響で思考も身体もコントロールが困難。この時の杏は色んな意味で普通じゃなかったんだよね…
航大はズルい!黒すぎる!杏に向けている顔を隠してズルすぎる。ひと前ではいい夫を演じるんだね。杏ちゃんはそんなでも、航大の香りに安堵して😢好きなのか‥。あぁぁ苦しい。
自己評価が低い杏には航大のやり方は覿面に堪える💦
現在編も辛いけど過去編が辛すぎる😭
杏、頑張ったね😌
いじらしいなあ。航大をどこまでも、好きなんだもんね。。。切ないよ。