2019.12.20一日一季語 河豚(ふぐ) 【冬―動物―三冬】
大皿にふぐ刺の花透きとほる 塚本泰子
*ネット通販サイト画像転用
ふぐ料理の代名詞とも言える「ふぐ刺し」は、職人が指先の感覚と繊細な包丁さばきによって、ふぐの身を薄く薄く、向こう側が透けるほど薄く削いでお皿に美しく盛り付ける、食の芸術品とも言えるものです。
繊細な薄さになったふぐの身は、その薄さを際立たせるために絵柄の入った大皿に盛り付けら提供されます。
引き立てるための、ふぐ刺しのお皿は一般的に「有田焼」や「美濃焼」が多く使われているようです。
【傍題季語】
ふぐと 、ふく
関連季語
→てつちり
→ 河豚汁
→ 鰭酒
【季語の説明】
フグ科とその近縁種の総称。体が長くてやや側扁、口は小さく、危険を感じると腹を毬(まり)のようにふくらませて威嚇(いかく)する種類が多い。虎河豚が最も美味とされ、刺身・ちり・汁にして食べたり、鰭を酒に浸して飲むなどするが、「河豚は食いたし命は惜しし」というように、多くの種は肝(きも)や卵巣に毒がある。
【例句】
人情を卑しみひとり河豚を食ふ 瀧春一
高値つく河豚を眇に通り過ぐ 今井妙子
水槽の河豚に灯当たる小料理屋 丑久保 勲
河豚跳ねる威勢を奮う袋競り 水野弘
虎河豚の肝に収めし自己主張 高島正比古
【ふく・ふぐ】
フグの記述が最初にあらわれるのは、平安時代に書かれた『類聚名義抄(るいじゅうみょうぎしょう)』や『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』です。これらの書物の中でフグは「布(ふ)久(く)」「布久閉(ふくへ)」と記されています。『倭名類聚抄』には「怒ると腹を脹らませ水の上に浮き出る」とその性質まで記されていますので、この呼び名はその形態から「ふくれる」やひょうたんを意味する「ふくべ」から由来するものとも考えられます。
【ふぐ中毒】
ふぐには毒があります。主に肝臓(キモ)や卵巣(マコ)などに分布しておいます。こうした毒を有する部分は販売流通禁止となっています。 それでもまれに誤って食べて中毒になることがあります。死に至ることもありますので有毒部位には気をつけていなければなりません。
【ふぐの歴史】
貝塚からの多数のふぐ骨の出土によって、縄文時代からふぐは食されていたと思われます。
ふぐの異名
関西ではテッポウと呼ばれています。ふぐ鍋をテッチリ、ふぐの刺身をテッサと親しみを込めて呼んでいます。
【今日は何の日】
劉生忌
洋画家・岸田劉生の1929(昭和4)年の忌日
石鼎忌
俳人・原石鼎の1951(昭和26)年の忌日。
シーラカンスの日
1952年のこの日、アフリカ・マダガスカル島沖でシーラカンスが捕獲され、学術調査が行われた。
1938年に南アフリカで捕獲されて生存は確認されていたが、学術調査が行われたのはこれが初めてだった。それ以前は、7500万年前に絶滅したと考えられていた。
鰤の日
12月(師走)は「鰤」が魚篇に師と書くことから。20日は「ぶ(2)り(0=輪)」の語呂合せ。
主な出来事
753年
中国の僧・鑑真が6度目の航海でようやく日本に到着。
1614年
大坂冬の陣で東軍(徳川側)と西軍(豊臣側)の和議が成立。大坂城の外堀を埋める
872年
フィリアス・フォッグらが80日間世界一周の旅を終えロンドンに到着(小説『八十日間世界一周』)。
1879年
津軽海峡・尻屋埼灯台に日本初の霧笛を設置。
1899年
東京郵便電信局で、一般郵便物の配達遅延防止の為の年賀郵便特別扱いを開始。翌年から15日受附に。
1904年
東京・日本橋の三井呉服店が三越呉服店と改称。日本初のデパート式の営業を開始。
1914年
東京駅が営業開始
東京駅開業により東海道本線の起点を新橋駅から東京駅に変更。それまでの新橋駅を「汐留駅」に、烏森駅を「新橋駅」に改称
1938年
東京・内幸町にNHK放送会館が完成
1948年
「日本専売公社法」「日本国有鉄道法」公布。
1948年
帝銀事件の初公判。被告人・平沢貞通が自白を翻し容疑を全面否認
1991年
トイザらスの日本第一号店が茨城県阿見町に開店
2007年
エリザベス2世がヴィクトリアの81歳7か月29日を抜いて史上最高齢のイギリス国王となる
誕生日
1852年
北里柴三郎 (細菌学者「日本細菌学の父」)
1921年
五味康祐 (小説家『喪神』『柳生武芸帳』)
1927年
金泳三(キム・ヨンサム) (韓国:大統領(14代))
1940年
野口悠紀雄 (経済学者『バブルの経済学』『「超」整理法』)
1946年
ユリ・ゲラー (イスラエル:超能力者)
1955年
野田秀樹 (劇作家,演出家)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)