Sharisharism
1.Fiction 2.I CAN BE 3.New Style 4.Exclamation Mark 5.On my mind 6.かっちょいい! 7.SPACE 8.だからからだ 9.Non-complex 10.Listen

■コメント
 1985年リリースの1stアルバム。後になっててっぺーちゃんやBONが語っていたけれど、当時はプロデューサーの中村哲氏との折り合いは余り良くなかったらしい。と、いうか完全なアマチュアだったバンドに対してプロフェッショナル中村氏のプロデュース(と、いうか殆ど言いなりだったみたい)に対する不満があったみたいだ。活字に残っている証言としては「K2C」リリース時の「ロンキンオンJAPAN」のインタビューでてっぺーちゃんは「今までのアルバムではアレンジを変えられたり、メロディーをいじられたりして悔しい思いをした」というような発言も見られる。きっとこのレコーディング自体は結構米米の「トラウマ」になったんじゃないかと思う。少なくとも「GO FUNK」の頃まではアルバムを出す度に「アルバムとライブは別物」「ノベルティグッズみたいなもの」というような発言も多い。たぶん「アルバムは自分たちの思い通りにいかない」という思いがあったのかもしれない。

 しかしながら、それゆえ、というわけではないがこのアルバムは1stアルバムとしてはとてもまとまりがあって完成度も高い。ただし全体的に無機質な感触が強く、米米クラブというバンドの「温度」を考えると異質なアルバムでもある。なんといいうか、非常に「金属的」な音作りなのだ。まるで何年も活動してきたニューミュージックバンドみたいな音作りで、デビューアルバムにあるべき「勢い」とか「突進感」はない。まぁそうした中に「かっちょいい!」が入っているのが当時の米米の「意地」だったのかもしれないが。

 なんて言いつつも結構このアルバムは好きだったりする。それと当時のてっぺーちゃんが放っていた「なれなれしく近づいてくんじゃねぇよ」オーラ(笑)を考えると、案外この「冷たい」感じもいい気がするのだ(^^; 特に1ではそれが効果的に働いているように思う。

■INDEX
 Fictionは当時のライブでは定番。このクールなてっぺーちゃんの声と分かったような分からないような前衛的な歌詞も好き。ホーンセクションの使われ方も効果的で初期米米クラブの傑作だと思う。
 I CAN BEは言わずもがなのデビューシングル。シングルバージョンとはギターソロや間奏の長さが違う。いまだに曲を聴くと身体が振り付けを覚えている一曲でもある(笑)。
 New Styleはてっぺーちゃんの声の幅を示す一曲。初めて聴いたときは一瞬「ヴォーカルが違う!?」と思ったほど。この頃の米米の歌詞はどちらかというと抽象的だったり暗喩的なものが多く、後期のストレートな歌詞とは随分趣が違う。個人的にはこの頃のテイストってかなり好きだ。
 Exclamation Markは当時「カッコイイ!!」とかなり夢中になった曲。ところが僕はライブで演奏されたのを聴いた記憶がない。だれか聴いたことのある人は是非、教えて下さいませ。
 On my mindは米米の歴史を通じての傑作バラードでしょう。個人的にはバラードベストを作ったら一位にランキングしたい曲。美しいメロディは大陸的な悠久の流れのような豊かなイメージ。後にK2Cに収録されたバージョンもいいけれど、どうしてもこちらのイメージの方が強い。たぶん、この曲が嫌いと言う人はいないんじゃないだろうか。
 かっちょいい!は米米の歴史を通じて最後まで外すことの出来ない曲だった(演奏されないライブもあるにはあったけど)。とはいえ、初めて聴いた時は「なんじゃこりゃ!?」って思ったけどね。この曲はアルバムの中では思い切り異彩を放っているけれど、これを収録したというのは当時のメンバーの精一杯の意地だったのかもしれないと思う。演奏は全体のトーンと同じに、かなりカッチリさせられているのが残念だけどね。ちなみにこの「かっちょいい!」のプロモーションビデオは非常に面白くて、今でも米米のビデオ、ベスト5に入れたい作品。
 SPACEはどうにもコメントしにくい曲だなぁ。アバンギャルドっちゃあアバンギャルドなんだが…。これもライブでは聴いたことがない。ちゅーかやれないだろうと思う(^^;。
 だからからだも米米ポップスの傑作に数えられると思う。今聴いても古くさくないし、メロディも凄くポップ。8周年の武道館で久しぶりに聴けたときには本当に嬉しかった。傑作。
 Non-Complexは歌詞を読むといかにもてっぺーちゃんらしい曲で結構笑える。が、曲はかなり難しい展開になっていて、よくもまぁ当時の米米でこれが録音できたな、と(爆)。まぁ実際ライブではもっとずっと単純なアレンジでミナコちゃんがヴォーカルをとることが多かった。
 Listenは綺麗な軽いポップソングに仕上がっているけれど、まぁ個人的な思い入れはあまりない。てっぺーちゃんの声が若いのと「ぼくはこ~こだぁよぉ」のマルのコーラスが印象的。これもライブでは聴いたことがないかも。アルバムを締める一曲としては無難ではある。

 まぁともかくも良くまとまったアルバムなので、米米初心者にも比較的入りやすい内容。

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E・B・I・S
1.STOP SHOT 2.Midnight Resistance 3.OH! 4.I・KA・SU 5.大人物 6.晴晴新人類 7.Troubled Fish 8.アジテーション 9.GUKI GUKI WOMAN 10.STAY

■コメント
 シングル「Shake Hip」、12inchシングル「加油」を挟んでリリースされた二枚目のアルバム。ここで米米はいきなりセルフプロデュースへ方向転換。1枚目のストレス発散もあったろうし、状況的にもライブで定評を得つつあったからレコード会社も許してくれたのかな。とにかく1枚目とは打って変わってとてもライブ感のある仕上がりになっている。収録曲も当時ライブで定番になっていたものが多くて、デビュー前からのファンも喜んでいたみたい。
 当時、高校2年生になっていた僕も、このアルバムはすごく気に入っていた。とにかく1枚目がお澄まし顔の米米だとすれば、このアルバムはステージでの米米にとても近いと思ったから。発売当初、すごく興奮して仲間に勧めていた記憶がある。が、このころの米米はイロモノ(まぁそう言っちゃえばそうだけど(^^;)扱いされていたのでやっぱり市民権は得られなかった(笑)。
 今から聴くと笑っちゃうほどの演奏レベルなんだけど、それが欠点になってないのも面白い。やっぱり音楽って技術だけではどうにもならないということの証拠かも。アーティスト本人が持ってる勢いとかが上手くパッケージされれば、それは「良いアルバム」なんだと思うのだ。とはいえ、これが一枚目として発売されていたらセールスは難しかったろうなぁ、とも思うけど(;^^A

■INDEX
 STOP SHOTはてっぺーちゃんの当時の解説によると、地方ツアーの宿泊先で有料でみる映像(翌朝フロントで請求されるやつです)のことだそうで(笑)←なんのことかは分かるよね(^^;? さぁ、そう思って歌詞を読んでみよう。‘君はあいつにちょっとだけ似ている/ブラウン管でエキサイティング/目を開けばそこに開いたFlower’う~~む露骨です(≧▽≦)。
 Midnight Resistanceはやはり当時TBSラジオで放送されていた「米米クラブのスーパーギャング(録音テープを紛失した自分が恨めしいっす(T_T)」の経験をふまえた曲。結構ラジカルな気持ちでやってたんだろうなぁなんて今聴くと感じる曲。米米には珍しいストレートなロック(っぽい)になっている。たしかこの頃に泉谷しげるが「女のくせにやけに上手いギターだなと思ったら、あのやろう(博多めぐみ)男なんだってな」てなコメントをどっかでしていたのを思い出す。続いての
 OH!はライブの大定番。アジテーションと併せて初期米米クラブには欠かせない曲。はじけるホーンセクションとジェームスとてっぺーちゃんの絶妙な掛け合いが堪らなく好き。ライブでももちろん、シュークの「ア・ハ~ン」はやっていた。純な高校生には刺激的だったなぁ(笑)。
 I・KA・SUは音の作りが結構好きな曲。1枚目のNon-Complexとテーマは一緒なんだけど、こっちは好き放題って感じ。とはいえ、1986年といえば、そろそろCDがブレイクしようかいう頃でレコードからの遷移期間。そういう時に意図的にレコードの針ノイズを入れてくるあたりは、なかなか面白い試みだと思う。まぁ当時はそんなこと考えもしなかったけどね。
 大人物は初期から後期までで一貫して名曲の地位を保ち続けた曲だと思う。ジェームスの新たな魅力を開拓した記念すべき曲でもあると思う。初演は1986年の新宿都有3号地ライブで、そのときは歌詞は違っていた。とにかく「こんな綺麗な声も出るんだぁ・・・(∵)」とジェームスに対する考えを改めたのもこの曲。ちなみに曲のタイトルは当時メンバーで出かけた韓国で見かけた雑誌の名前という話だった。日本で言うと「プレジデント」みたな雑誌らしい(笑)。さらに、この当時に発売された米米のバンドスコア(楽譜)を持ってるんだけど、この解説者が大ボケで「大人物」をてっぺーちゃん、「GUKI GUKI WOMAN」をジェームスが歌っていると書いているのだ。いい加減なもんだよねぇ(--;
 晴晴新人類はデビュー前から歌われていた曲というのは有名な話。とにかくアヴァンギャルドという言葉はこのためにあるんじゃないでしょうか。個人的にはかなり好きな曲だけど、ダメな人は絶対ダメだろうね。ホンット気持ち悪い曲です(笑)。
 Troubled Fishも最後まで米米の人気ナンバーだった名ポップバラード。これも初演は都有3号地。当時のお客さんはみんなセンスが良くて、こういう聴かせる曲の時に手拍子するような馬鹿はいなかったのを思い出すね。最近のてっぺーちゃんのお客さんは幸い、そういうことがないので安心だけど。歌詞はいかにもてっぺーちゃんで、もちろん釣りの獲物は女性だという内容。ちなみにライブでは‘吐息も切なくなる’のところを‘ほら濡れてくるだろう’と歌っていたこともあります。きゃ~~恥ずかしい(*≧o≦*)。
 アジテーションも初期のライブでは絶対に外せないジェームスの定番で、盛り上がり間違いなしだった。ホーンセクションも大活躍で今聴いても気分が高揚してきちゃう。このアルバムの中でも特にライブ感のある音づくりで米米の魅力が詰まった仕上がりになっている。
 GUKI GUKI WOMANもやっぱり初期の米米では定番だった。この曲はでも、いつの間にか演奏されなくなっていったなぁ・・・。個人的には結構好きな曲なんだけどねぇ。ちなみこのイントロは誰でも知っているThe Rolling Stonesの〝Honky Tonk Woman〟をいただいてますな。ほほほほほ(;^^A 
 ラストを飾るのは米米の歴史の中でも屈指の名バラードSTAY。後にK2Cでもリアレンジして収録されたけど、このオリジナルバージョンも捨てがたい。てっぺーちゃんの天性の甘い声と、このやたらと綺麗なメロディ、切ない歌詞と文句なしの出来。つくづく思うんだけど、てっぺーちゃんはこういうメロディを書かせると右に出る人がいないというくらいポップセンスにあふれている。

 それにしても、こうやって振り返ってみて改めて思うのは、本当にこのアルバムには米米がライブで育ててきた曲が多いし、かつその歴史の中で重要な曲も多いということ。音づくりそのものは稚拙な面もあるけれど、「バンドらしさ」という点でとても良いアルバムだと思う。

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KOMEGUNY
1.Only As A Friend 2.sure danse 3.浪漫飛行 4.Collection 5.Primitive Love 6.Make Up 7.Misty Night 8.Hollywood Smile 9.Hustle Blood 10.Twilight Heart

■コメント
 初の海外録音(ロスアンゼルス)による3rdアルバム。あの浪漫飛行も収録されているが、これがヒットするのは2年後の話。この当時はファンの中で盛り上がっているだけだった。というのが状況なんだが、実は僕はこのアルバムはあまり思い入れがないのだ。「よそ行き お澄まし顔復活」という感じがしてしまってねぇ。Over Producedとでも言いましょうか。再びアレンジャーを入れて、とても小綺麗にまとめてある感じがしてどうも「押し」の強さに欠けるきがするのだ。このアルバムをFavoriteに挙げるファンが多いのも知ってるんだけど個人的には「?」かな。しかも、後になってのことだけど、このアルバムの時にメンバーと博多めぐみの亀裂が決定的になったというのも有名な話なだけに余計、そういう気がしてしまう。ちなみに亀裂の原因は音楽的に上に行きたいめぐみさんと、技量がついてこないメンバー間で「なんで出来ないんだよ!」「おまえだって出来てねぇだろ!」的な衝突があったというのは、てっぺーちゃんがインタビューに答えているところ。
 実際。このアルバムはそういう「背伸び」が随所に感じられるし、それが全体的に「窮屈」な雰囲気を出していると思う。一曲ずつ見てみれば、とてもポップにできあがっているのに、どこか抜けきらない感じがあるのだ。

■INDEX
 Only As A Friendはてっぺーちゃん18番てな感じの王道切ない系ポップス。ロスの気候のせいもあってか、全体的に乾いた大人のがこのアルバムの特徴で、てっぺーちゃんのメロウで濡れた声もここではちょっとライトな味付けになっているのが面白い。
 sure danse(danceじゃないのよ、これは)は米米がメジャーの電波にでていくきっかけになった曲だといえる。思えばこれでNHKの「ヤングスタジオ101」「夜のヒットスタジオ」などにも出演したのだ。しかぁし、個人的にはこのsure danseには発売当時はひどく失望させられたのだ。と、いうのもこのバージョンがPOST Sharisharism Tourで演奏されていたものとは全然違う姿に変えられていたからなのだ。これは大好きな曲だけにショックだった。「なんだよ、これ~~(T_T)」ととにかくどん底気分だった。この気持ちは「DECADE」に収録された元祖・シュールダンス(これも厳密には違う。原曲に一番近い形はK2Cバージョンのメロディ+DECADEバージョンのアレンジである)まで癒されることがなかった。まぁいい加減このバージョンも聞き慣れて、それ以降は我慢できたけど、これは聴く度に「本物の方がいいよぉ」と思っていた。ちなみにこれはプロデューサー氏の指図だったらしい(`へ´)
 浪漫飛行については今更僕が解説するには及ばないでしょう。しかし、発表当時は僕は周囲の人が言うほどこの曲に思い入れは感じなかった。と、いうか今でもそうかな。シュールダンスやTransfer(これも当時既にライブでは演奏されていた)の方がよほど好きで「なんで収録してくれないのかな」という気分だった。これは、たぶんてっぺーちゃんにしては歌詞がとても素直で優しい歌詞だったので当時の尖ったてっぺーちゃんが好きだった僕には違和感があったためかもしれない。もちろん、良い曲なのは分かってるけど、それと思い入れは別ってことだわね。
 Collectionは好きだなぁ。このダークなメロディラインもてっぺーちゃんの魅力の一つ。後期にいくほど、こういう陰の面は薄れていってしまうけれど、やっぱりこれもあった方がファンとしては嬉しい。それに、なんかてっぺーちゃんって失礼ながら、こういう雰囲気もなきにしもあらず、って思うんだよね>Collector的な(^^; 結構、この曲はファンが多いと思うんだけど、どうかな。
 Primitive Love。これは、このアルバムの中ではかなり光ってるでしょう。大人物がなければ生まれなかったんじゃないかなとも思える、ジェームスらしい、それでいて非常にポップで美しい曲。この大陸的で大らかな牧歌的雰囲気はジェームスならでは。他の人では絶対にだせないと思える世界観があると思う。まさしく歌詞の通り「広い空の真下」という感覚があるのがすばらしい。ちょっとエッチな内容だけどね(^^ゞ 
 Make Upはイントロで勝負あり、というポップス。このホーンセクションの出だしだけで気持ちがウキウキするような曲で、これまた爽やかなイメージをとばしまくってる。ロスじゃなきゃ出来ないタイプの歌詞と曲だと思うし、この健康的な雰囲気がある意味米米とミスマッチという気がしなくもない(笑)。ライブではそれほど頻繁には演奏されなかったけどね。
 Misty Nightは、再びダーク系。Fictionにちょっと似た雰囲気があって個人的にはこういうクールな曲はかなり好き。ライブでは殆ど演奏された記憶がないけれど、これなんか今、石井達也として取り上げてみても面白いんじゃないかな(メドレーで、は勘弁だけど)。
 Hollywood Smileはちょっと思い入れがない。当時も「こんな曲入れるくらいならTransferやKick Us入れてくれよ~~」と不満だったのを思い出したぞ。別に悪い曲だとも思わないけど、取り立てて名曲というわけでもないよなぁ。
 Hustle Bloodはいかにもジェームスな曲。でも、歌い方が結構軽く、というかPrimitive Love路線の歌い方でパンチ力がないと思う。なんちゅーか綺麗にまとめすぎの感じなのだ。ラストの
 Twilight Heartは最後まで寝ないで聴けた記憶がないほど眠気を誘う名曲(笑)。金ちゃんのフワフワしたヴォーカルがある意味、すごい。

 こうして各曲を振り返ってみると個別には悪い印象はない。悪い印象はないんだけど、やっぱり物足りないという気持ちが強い。あまりにもよそ行きすぎるのだ。ついでにシンセドラムの音とかも安っぽくていかん。浪漫飛行も後期に入ってのライブでちゃんと生のスネアやバスドラの音で演奏された方が遙かに魅力的だった。電気楽器はいいけど電子楽器の音ってどうにも好きになれないのだ。
 まぁこういう音楽的(と、いうかサウンド的)な壁があってこそ、次につながったとは思うんだけどね。と、いうわけで僕個人としては世間が言うほどには、このアルバムは評価していないのだ。

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GO FUNK
1.INTRODUCTION 2.美熱少年 3.KOME KOME WAR 4.SEXY POWER 5.BEE BEE BEAT 6.あ!あぶない! 7.OH! 米 GOD! 8.TIME STOP 9.なんですか これは 10.FRANKIE,GET AWAY! 11.僕らのスーパーヒーロー 12.いつのまにか 13.宴(MOON LIGHT MRACH) 14.I'M A SOUL MAN 15.MY SWEET SWEET SHOW TIME

■コメント
 萩原健太氏をプロデュースに迎えての4thアルバム。このアルバムは米米がようやくアルバムづくりに対して正面から、しかも伸び伸びと、堂々と取り組んだ作品だと思う。これは萩原氏の貢献がとても大きくて、当時のインタビューでてっぺーちゃんとBONが「健太さんに‘バンドらしいアルバムはEBISだけだ’って言われた」と語っているのだ。つまり「プロデュースされるのがイヤなら自分たちが思うようにやっていいんだよ」ということを萩原氏が言ってくれたわけね。これで米米のメンバーは解放されたんだと思う。レコーディングに関して「自分たちは素人だ」という思いが、不本意な外部プロデューサー起用ということになっていたんだろうな、と。だから萩原氏はプロデューサーという肩書きではあるけれど、おそらく(たしか本人もインタビューで言っていたと記憶しているけど)「アドバイザー」として米米の「よき理解者」の立場だったんだろうなと思う。そもそも萩原氏はミュージックマガジンでもベテランの音楽評論家であってミュージシャンではないわけだしね。
 まぁともかく萩原氏の的確なプロデュース(つまりはメンバーが伸び伸びやれる環境を整えて自信をつけてあげる、ってこと)のおかげでこのGO FUNKは米米のステージを真空パックしたようなものに仕上がっている。それにこのアルバムの収録曲は殆どがライブで鍛えられてきた曲で、それが自信を支える要因になっているのかもしれない。また、こうやって好きに作ったアルバムが、いわゆる評論家筋にも音楽的に評価されたのも面白い。たしかに、ここまでの3枚と比べればバンドとしての一体感、アルバムの統一感、楽曲のバラエティ、どれをとっても優れているしね。


 INTRODUCTION~美熱少年。出だしが既に今までと違って何となく肩の力の抜けたような空気感がある。そこから一気にパワーファンクとでも呼べる美熱少年へいく流れもいい。これはデビュー前からある曲だけど、そのライブでの勢いが見事にパッケージされてるのも嬉しい。こぢんまり上手にまとめよう、っていうんじゃなくて「演奏が下手でもいいじゃないか」という開き直り(単なる推測にすぎないけれど)が却って功を奏したんじゃないかと思えるはじけた音になっている。
 KOME KOME WARはメジャーへの階段に足をかけるきっかけになった曲。シングルバージョンとはアレンジが若干違っていて、さらにビデオバージョンも少々違うということで当時で既に3バージョン存在していた。語呂合わせで押し切る歌詞と、ポンと挿入される美しいメロディ。ある意味米米「らしさ」を凝縮したような部分もある。まぁ出だしのメロディがMichael Jacksonの‘BAD’にソックリなのはご愛敬(^^; 
 SEXY POWERの歌詞はまたしても「てっぺーちゃん18番」なポップス。とにかくメロディが綺麗なので、当時はかなりハマった記憶がある。それにしてもこんな内容の歌、てっぺーちゃんしか歌えませんです。はい。
 BEE BEE BEATもライブで鍛えてきた曲。中期の米米のライブでは定番として演奏されていた。あ!あぶない!は、ついに‘かっちょいい!’に続くジェームスの大定番が誕生したという傑作。てっぺーちゃんとの掛け合いも本当にかっこよくて、たとえ英語が間違っていても(笑)問題なし。最後の最後まで書かせない曲になった。ある意味、米米ファンクの一つの到達点かもね。
 OH! 米 GOD!はたった27秒という時間なのにノリノリというまか不思議な曲。ちなみにSharisharism7ツアーでフルコーラスバージョンが披露された(ビデオに収録されてます)。
 TIME STOPはいまでも好きな人が多いんじゃないかな。たしかラジカセのCMでも使われました。たしかレコーディングの時の仮タイトルが‘パワフルバラード’だというエピソードがありました。てっぺーちゃんの歌唱力が証明された曲でもあります。しっかし、本当にね、こんなゴージャスである意味クサイ歌詞を真顔で歌ってお客を酔わせるヴォーカルがほかにいますかね?いや、いない!
 なんですか これはもライブで既に定番になっていた曲。ただアルバム収録にあたって結構アレンジが変わっているのだ。まぁライブでは引き続き旧アレンジで演奏されることの方が多かったのでみなさんご存じでしょうけどね。個人的にはこの歌詞のセンスは大好きです。こういうピリッと辛みのきいた歌詞を書ける人って少ないと思うよ。
 FRANKIE,GET AWAY!は今までのてっぺーちゃんから考えるとちょっと異色。こういう重いビートのロック調の曲自体が米米には少ないし。とはいえ、相変わらず歌詞はてっっぺーちゃん路線まっしぐら。実はアレンジも含めて結構好きな曲です。
 僕らのスーパーヒーローは、たしか当時てっぺーちゃんが「ちょっと危ない人の歌」なんて言ってましたね(^^; いや、たしかに歌詞を読むと近所にはいてほしくないタイプの人です(爆)。
 いつのまにか。これもてっぺーちゃんのコメントを覚えてるんですけど「山下達郎」と言ってましたね(;^^A 一人コーラスだから、ってことでしょう。でもまぁ山下達郎のは凄すぎますからねぇ。まぁプチ達郎ってなところでしょうか(笑)。とはいえ、シンプルだけど綺麗なメロディラインで僕は結構好きな曲です。
 宴(MOON LIGHT MRACH)は米米のお祭りバンドの側面がよぉく出ていて、これまた楽しい曲。てっぺーちゃんの昭和三十年代歌謡曲風の歌唱も見逃せません。
 I'M A SOUL MANもたしかてっぺーちゃんが何か言ってました。あやふやな記憶だけど「和田アキ子さんとJamesBrownの掛け合い」みたいなことじゃなかったかな。そう思って聴くとてっぺーちゃんの歌い方、ちょっとアッコさん入ってます(^^; 
 ラストはMY SWEET SWEET SHOW TIME。発売当時に「これは最初に持ってきてもよかった」っててっぺーちゃんが言ってた通り、Sharisharism7"2much 2ist"では最初に歌われました。ちょっと子守歌のような優しい曲で、ライブで疲れた身体を癒してくれるような雰囲気がいいですね。

 ともあれ、これは米米がレコーディングという「鬼門」をくぐり抜けた記念碑的な作品とも言えるんじゃないかな。

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5 1/2
1.BIG WAR 2.FUNK-a-ねーちゃん 3.FUNK FUJIYAMA 4.Beautiful 5.Let's Go! 6.マグニチュード 7.Lollipop 8.Javaza Hat 9.Kung-Fu Lady 10.Melon Tea 11.俺をもとめてる 12.Forever 13.SAFACA 14.ア・ゲ・ハ

■コメント
 どうした!?という5thアルバム。もちろん、このアルバムが大好きという人もあるだろうけど個人的にはかなり不満が残る作品。とにかく全体の雰囲気が「重い」。楽曲とか、アレンジとか、そういう問題じゃないんだな。このアルバムに漂っている空気自体が凄く重いのだ。GO FUNKでの開放感はどこ行っちゃったの?という感じ。とてもSharisharism7という米米史上でも意義のあるライブを通過してきた後とは思えないような内容。
 特にこのアルバムがよくないのは「音」。ヴォーカルトラックが凄く奥に引っ込んでいて歌がよく聞こえないのだ。ほかのアルバムと聴き比べると一目瞭然なので試してみてほしい。てっぺーちゃんが後になって「あの音ならヴォーカルなんて俺じゃなくてもいいじゃん」と思ったという話もうなずける。
 そりゃあねぇ「演奏を聴かせる」バンドならそれもありかもしれない。けど、米米っていうのは別に凄腕プレイヤーの集団なんかじゃないんだよね。特に誰かのプレイが凄いってこともないし。基本的にバンドが一丸となって生み出すグルーブ感とか楽しい空気そのものが米米の価値なわけで、こんなにバンドの音ばっかり全面に押し出してどうすんの?と突っ込み入れたくなる。せっかく良い曲も収録されているのに、ライブで感じられていた魅力が半減しちゃってるのだ。
 キツイ言い方をすれば、これは主にヴォーカル以外のメンバーの勘違いが生んだミックスだと思うね。ライブで自信をつけていくのは凄く良いことだし、精神面でも充実してると思う。でも、自分たちの何がファンに喜ばれているのかを考えれば、少なくともその演奏や音楽的充実だけじゃないことは分かるはずなんだけどね。まぁ「ミュージシャン」としてのプライドとか自己実現ってことを考えると「米米はてっぺーだけじゃないんだ」っていう気持ちもあったかもしれないし、そういう「音で聴かせたい」っていう欲求は理解出来るんだけどね。
 でも、それがそのままアルバムの魅力になる訳じゃない。勝手な推測だけど、ファンは米米という「集団」で魅力を感じているのに、むしろメンバーの方がてっぺーちゃんや小野田さんばっかり注目されているような気分になっちゃったのかもね。
 本当のところは分からないけど、少なくともこのアルバムから聞こえてくる「音」はそう言ってる。米米がこだわるべきなのは「音」よりも「全体的な雰囲気」の方なのにね。リスナーに聞こえるか聞こえないかみたいなチマチマしたところの音にこだわって作ることにどれだけ意味があるのかな?

■INDEX
 さて、いきなりインストのBIG WARでスタート。そもそもこれがいやな予感を抱かせるわな(^^; 何度も言うけどそんなに演奏だけで保たせられるバンドじゃないんだからさぁ。
 FUNK-a-ねーちゃんはライブでも演奏されていたし、久光のサロンパスのCMでも使われたジェームスの変なファンク。個人的に嫌いじゃないけどこの最初の2曲で「一見さんお断り」って感じになってしまってる。ちょっとつらい。
 FUNK FUJIYAMAは一応そこそこヒットしたので知ってる人も多いと思う。しかしこうやって見てみるといかにもGO FUNKのセルフカヴァー的な並べ方でちょっとびっくり。これだけ見てもやっぱこのアルバムがいまいちな理由が分かる。さっさと書き進めちゃおう。
 Beautifulはこのアルバムの中では光ってる。LAST SYMPOSIUMでは凄い演出(笑)だったけど名バラードといっていいでしょう。それにしても声が聞こえづらい(--; 
 Let's Go!ライブを意識して作ったのが明白ないかにも米米的お祭りソング。これもアルバムの中では比較的好きかな。
 マグニチュードはジェームスがリードをとるヘヴィチューン。ファン以外の人にはどう聞こえるのか、いまいち判断できん。
 Lollipopはシュークの楽曲。歌詞はねぇ(*≧≦*)。妹にこれを歌わせる兄って・・・。Javaza Hatこれまたジェームスの重たいリズムのズシリとした歌。ライブでは結構好きな曲でした。
 Kung-Fu LadyもB.C.Sharisharismの頃に誕生した曲。楽曲そのものは凄く好きなんだけど、やっぱヴォーカルが遠いのが不満。
 次は偽物プレスリー爆発のMelon Teaで一息。これまたてっぺーちゃん18番系の俺をもとめてる。しかしなぁやっぱりアルバムへの思い入れのせいもあって、いまいちパッとしないんだよなぁ。
 Foreverはジェームスのソウルフルなバラード。なんだけど、このアルバムではまだ歌いこなしているという感じがしない。たしかSharisharism Thetaの時かな。この時のForeverがすばらしかった。胸にグイグイ迫ってきて本当に感動したのを思い出す。楽曲とアーティスト関係はそういうこともある、ってことです。
 SAFACAは曲調としてはFictionやMisty Night系統に入るのかな。しかしなんでこの曲、こんな歌詞なんだろうか。てっぺーちゃんのコンディションがイマイチだったとしか思えないようなダークネスを放ちまくりの曲。
 ア・ゲ・ハ。これは個人的に大好きなバラード。とにかく「歌い上げない」というのがポイントでしょう。静かに静かに進行していく美しいメロディは特筆もの。なんで「アゲハ」なのかは分からんが(^^; この曲が入ってることでどんだけ救われたか分からないですね。

 そういうわけで、このアルバムは凄く聴いた回数も少ないし、なんか発売されたときもちょっと期待はずれだったというのが正直なところ。今でも一番聴かないアルバムかも(--;

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K2C
1.I CAN BE 2.Peeping Tom 3.FUNKY STAR 4.En mi corazon 5.Troubled Fish 6.KOME KOME WAR 7.Paradise 8.Simple Mind 9.Sure Dance 10.Transfer 11.STAY 12.Just U

■コメント
 米米史上、エポックメイキングと言えるSharisharism Art Workツアーの後に発表された6thアルバム。全アルバムを見渡しても屈指の傑作といえる作品。音楽的にも最も充実していると言える。
 「ポップにはしった」「売れ線狙い」といった批判もあったけど、それはちょっと考えの浅い、的外れな批判だと言いたい。これほどラジカルな精神のもとで作られたポップスのアルバムはこれまでになかったし、米米が「自分たちが楽しい」「お客さんが喜ぶ顔を見るのはさらに楽しい」という精神的原点に立ち戻ったこと示している。それは、この後AU Sharisharismツアーを見れば米米がいかに健全な状態になったかが一目瞭然のはず。
 そもそもGO FUNK、5 1/2とそこそこセールスを残してきて、ツアーも好調となれば延長線上に次のアルバムを置きたくなるだろう。てっぺーちゃんのポップスあり、ジェームスのファンクあり、シュークの可愛い曲ありというパターン。そういうアルバムなら、ファンは黙って頷いてくれるだろうし、メディアも「いつもの米米らしいゴッタ煮的魅力にあふれたアルバム」とでも紹介してくれるに違いないんだもの。そういうのを「予定調和」というのだ。そんな言葉、米米とは一番無縁であってほしい言葉でしょ。
 しかも、そういう予定調和なアルバムであれば、またいつも通り「レコードはライブとは別物/米米はライブを見なければ」という逃げ道が用意されているわけよ。
 そうやって考えたときに、ソングライターとしててっぺーちゃんが今までプロデューサーに否定されてきたことや、自分たちがやりたくても出来なかったことに正面からトライして「米米としてのポップスを世に問う」ということがいかにラジカルな挑戦だったかは理解できるはず。現にファンの中には先ほど書いたような批判を言う人も出てきたし、読みの浅い音楽メディアもそんなことをレビューで書いたりしたわけで、全然、安易な路線じゃなかったことは結果が示してる。
 それでいて、作品としてはライブや過去の作品からの選りすぐりのポップスで構成して、ちゃんとお客さんに対する徹底的なサービスということも実現しているわけで、まさしく「自分たちが楽しい」「お客さんが喜ぶ顔を見るのはさらに楽しい」という原点回帰なのだ。
 だいたいそんな理屈を抜きにしても前作とは比較にならないくらい「音」がいいし、ヴォーカルトラックとのバランスも文句無し。どちらかが前に出過ぎるというのではなくて、どれだけメロディを生かしていけるか、というリスナー本位のミックスになってると思う。変に肩肘はって演奏してる(ように聞こえる)前作と比べると、「演奏を聴かせる」んじゃなくてリラックスして「音楽を聴かせる」ようになったことで、バンドの音自体も充実している。ここらが音楽のマジックだよね。まぁどんなことでも「力む」のは良い結果につながらないということか。
 と、いうわけでこれを単なる安易なリメイクベストとしてしか考えられないようじゃ、米米のファンなんてやめた方がいいんじゃないかな?

■INDEX
 I CAN BE言わずとしれた1stシングル。アレンジはかなり大胆に(まぁそれもこのアルバムの特徴だけど)に変更してる。中でも特徴的なのはホーンセクションの抜けの良さ。音がはねるような力強さがあるしアレンジそのもはしっとりした感覚の割にはスピード感があるのはホーンのおかげだと思う。まぁ個人的には思い入れも含めてデビュー当時のライブアレンジが一番好きではあるんだけどね(^^; 
 Peeping Tomはこのアルバムの中では比較的アグレッシブな曲だと思う。歌詞もなかなか辛辣だし。それにしてもこの音のはじけ方の良さはなんだろうと思うね。曲そのものはどちらかといえば「変」なのに、めちゃめちゃポップに聞こえるんだから不思議。ここでもホーンセクションが絶好調。
 FUNKY STARはライブで鍛えられてきた曲で、ここではその雰囲気が綺麗に再現されてる。コーラスにAMAZONSが入っていることで音楽的にもすごくしっかりした。よくよく聴いてみればこれだって前のアルバムみたいな音づくりだったらこれほどポップには聞こえないだろうと思う。そう考えるとポップスの凄いところは「ポップに聴かせちゃう」ってことなんだな、と思う。ここでも「攻め」の姿勢が大成功してるってことだろうね。
 En mi corazonは1st収録のOn my mindをSharisharism7でリアレンジしたライブ録音にソロトランペットをかぶせたりしてスタジオ録音の中に違和感なく収まるようにしてある。ホーンを大胆に導入してよりゴージャスな雰囲気になってる。歌詞は昔から歌っていたもので、古くからのファンには却って懐かしい。それにしてもどんなアレンジになってもやっぱ名曲だなぁと思う。
 Troubled Fishアレンジそのものは大きく変わってない。ただリズムが平坦なものから、もっと跳ねるようになっていててっぺーちゃんの歌い方もあわせて、オリジナルのしっとりした感覚から比べるとパワフルでカラッとした感じになっているのが面白い。やっぱりこれも米米スタンダードとも呼べる曲。
 KOME KOME WARライブではすでにテンポアップされてダンサブルなアレンジになっていたとはいえ、更にアグレッシブにアレンジが変更されている。以前のバージョンしか知らない人はビックリしたろうと思う。それにしてもこの音の良さ。何度も書いてしまうけど、これだけ突き抜けた音が作れるようになっていたのには正直驚かされた。重たい皮を一枚脱ぎ捨てたような感じ。
 Paradiseは歌詞が完全に変更された。この歌詞はArtWorkツアーで披露されていたのだけど、てっぺーちゃんによれば、そもそもこの歌詞の方が元だったとのこと。たしかに、こういう歌詞こそてっぺーちゃんには相応しいよね。アレンジの洗練度も含めてこのアルバムの中でも「綺麗にドレスアップされたなぁ」という印象がある。
 Simple MindもSharisharism7ツアーで披露されていた曲だけど、アレンジが洗練されて印象がよりスマートになった。バラードと言うよりはミディアムテンポのポップソングといった趣で、てっぺーちゃんには珍しいくらいストレートなラブソング。個人的に「これはウェディングソング向きじゃないか」と思ってるけど、どう?
 Sure Danceは当時の僕を狂喜させた一曲。なんといってもようやく、オリジナルのメロディが公式な音源として世の中に出たわけで本当に嬉しかった。アレンジはオリジナルとは違っていたけど、このスコーンと抜けた音といい、歯切れのいいリズムといい、文句なしである。ついでにコーラスに金子マリさんまで参加しているとあっては顔がにやけてしまうのであった。
 Transfer。そして更に僕を狂喜させたのはこれ。1987年に初披露されて以来なんと待たされたことか。大好きな曲。たしかこれはリョージの作曲だとかいう話を記憶してる。すばらしいメロディセンス。拍手~~。
 STAYはもう泣かせる、って感じ。ブラシを使ったドラムの音に代表されるようにJAZZYなアレンジになってる。オリジナルが何となく一人きりのメロウな感じだとすれば、このK2Cバージョンは耳元で囁きかけるような、相手に歌いかけているような感覚がある。僕は男だからただそう思うだけだけど、女の子は結構ゾクゾクッとくるんじゃないかな。
 Just Uは解散の時まで歌い継がれた名曲。このサビの良さったらない。切なくて、甘くて、しかも一回聴いただけで覚えられるという凡人には達成できないレベルの歌でしょう。ちなみに‘You don't forget.Do you remember’の歌詞は後にキッドクレオールと共演した時に正しい英語に改められて‘You don't forget it.You do remember’になった(^^; 
 と、ついでに無駄話。結婚式の四次会(そんなに行くなって?)でカラオケに言ったときに仲間が「ほら、入れといてやったぞJUST U!」。って、おまえこれは「別れ歌」だっ!

 と、いうわけで米米を聴いてみたいという人にたった一枚、米米のアルバムを薦めるとしたら僕はこれを推したい。

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米米クラブ
1.愛の歯ブラシセット 2.We are 米米CLUB 3.あたいのレディー キラー 4.東京Bay Side Club 5.東京ドンピカ 6.二人のアンブレラ 7.オイオイオイ マドロスさん 8.I LOVE YOU 9.パリジェンヌ ホレジェンヌ 10.赤いシュプール 11.インサートデザート 12.ホテルくちびる 13.AWA 14.私こしひかり 15.ポイのポイのポイ 16.踊れシュークよ!踊り子よ! 17.東京イェイイェイ娘 18.チョビットダンス 19.プラムジュース

■コメント
 K2Cからわずかの期間をおいてリリースされた究極の7thアルバム。ファンは狂喜し、見知らぬ人は恐怖したという伝説的な作品(笑)。これを胸を張って「好きだ!!!!」と言えない人は米米から去るしかあるまい(^^;
 このアルバムについては当時ロッキンオンJAPANで渋谷陽一氏が鋭くうまいことを言っていたのを思い出す。というのは、米米の持ってる優秀なポップ性と、もう一面の過激な部分(普通のミュージシャンなら怖くて出来ないことばっかりだもんねぇ)というのはライブでは見事な構成とセット、演出で一体化している。けれどそれをCDという形にしてしまうと、どちらもお互いに影響しあってしまって全体が中途半端になってしまう。それをK2Cと米米クラブという二枚のアルバムに分割したことでそれぞれの魅力が100%味わえる、てな内容でした。賛成。

■INDEX
 愛の歯ブラシセット。一曲目からこれである。歌詞をまともに聴いて気持ち悪くならないものはいないこと請け合いだ。メロディは「傘もささずに赤坂~♪」にソックリ(笑)である。
 We are 米米CLUB。てっぺーちゃんはこの曲は「昔からやっている」と紹介していたんだけど、残念ながらこのアルバムで聴くのが初めてだった。いつのライブで演奏したのか知ってる人がいたら教えてくんなまし。結構かっちょいい、普通の曲。いかにもオープニングには相応しい。
 あたいのレディー キラーはリンダちゃんシリーズの末にたどり着いた米米オリジナルパワフル歌謡曲。小野田さんとてっぺーちゃんの掛け合いも絶妙だし、このオリジナルなのにリンダちゃんみたいという究極の世界は誰にもまねできない。
 東京Bay Side Clubを初めて聴いたのはB.C.Sharisharismだったような気がする(記憶があやふやですんません)。ラストの展開には驚かされたよ。でも、この曲自体はちょっとレトロな雰囲気と相まって実に格好良い曲だと思う。
 東京ドンピカもてっぺーちゃんワールドの一つの到達点でしょう。ここまで昭和のムード歌謡を昇華したバンドがかつてあっただろうか?いや、ない。つーか他にだれもやらん(笑)。ちゃんとカラオケにもあるから怖い(^^; え?もちろん歌いますともさ!
 二人のアンブレラは歌詞がねぇ。でも、最近はこういう人、ほんとにいるらしいじゃないですか。凄いですねぇ(爆)。
 オイオイオイ マドロスさんは田端義男先生の世界。こういう昭和歌謡の世界を自分のものにしてしまうてっぺーちゃん。いったいどれだけ引き出しもってるねん!?と思う。ともかく、これはライブビデオで映像付きでお楽しみいただきたい。
 I LOVE YOU。これを初めて聴いたときの、その場にいた観客の衝撃がご理解いただけるでしょうか?そう、あれは1988年のMZA有明でございました。わたくしたちは「あぁ、またてっぺーちゃんの新しい、すばらしいバラードよぉ(ほれぼれ)」てな様子で聞き入っていたわけですよ。ね、みんな座ってさ。手拍子もせずに。それが、あなた!あんなことになるなんてねぇ・・・。聴いたことのない、そこのあなた。歌詞カードを見ずに、素直な気持ちで聴いてみてください。
 パリジェンヌ ホレジェンヌもB.CSharisharismだったかな。いや、それとも「パリ祭」だったか?ちょっと記憶はいい加減だが勘弁してほしい。ともかくこれは、最後のフェードアウトでボリュームを上げておくと、死にます。
 赤いシュプールを生で聴けたのは一度だけ。1988年の汐留PITで行われた「輝け!米米クラブ大全集」の初日。しかしこの怪しげなポップセンスが僕はひっじょーに好きだ。出来れば「赤いシリーズ(赤いシュプール、真っ赤だ、赤いほっぺた」「サンダーシリーズ(米だ、小野田、ダメだ」の全曲収録を望みたかったくらいでございます。偏見無しに聴けば、結構良い曲だって分かるよ。
 インサートデザートはソニーのLaserDiskのCMでも流れていたので知っている人は多いでしょう。意味は、あまり考える必要もなさそう。とにかくリズムに合わせて踊ったもん勝ちです。
 ホテルくちびる。米米クラブ究極のラップミュージック。それにしてもてっぺーちゃんの音域って広いよねぇ(って、そういう問題か(^^;?)。
 AWA。テーマはソー◯ランドのことだそうですが(てっぺーちゃんも適当に答えてる気がするけどさ)、このノリの良さは非常にライブ向き。アルバムの中でもかなり「ノーマル」な部類に入る一曲。
 私こしひかり。これを聴いて感動できない人は、米米ファンをやめるしかありません。マジです。こんな美しいバラードはそうめったにあるもんじゃありません。私は武道館では泣きました。
 ポイのポイのポイ。感動さめやらぬ耳に聞こえてくるのは豆腐屋のラッパです。あぁ・・・・これぞてっぺーちゃんワールド濃縮型。いま、あなたの目に光っているのは感動の涙か、笑いの涙か。それはお尋ねするまでもないことですね(;^^A
 踊れシュークよ!踊り子よ!ここからはオマケのシングルCD。この曲は新曲だそうだ。それにしてもなんつー歌や。
 東京イェイイェイ娘。ライブでもおなじみのノリのいいポップな曲。歌謡曲テイストがたまらない。それにしても歌詞の方は相変わらずである。
 チョビットダンス。この4つのトラックの中では一番好きな曲。ポップで可愛い。特にこの「チョビット」という語感がシュークにピッタリだと思う。
 プラムジュース・・・・。なんつー歌詞を妹のみならず、人様の娘さんにまで歌わせているんでしょう、この人は(笑)。歌詞はこんなところには書けましぇん!どうしても知りたい人は買ってください。

 いま書いてきたように、ここに収録されている曲はほとんどがファンにはなじみ深いものばかりで、特に「ホテルくちびる」「私コシヒカリ」がCD音源になったのは感涙ものだった。ソニーさま、よくぞこれをリリースしてくださいました m(_ _)m ちなみにこのアルバムの初回特典は「歌詞カード」である(笑)

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Octave
1.Tommorow is another day 2.君がいるだけで 3.NICE TO MEET YOU 4.春雷 coup de foudre 5.愛 know マジック 6.ときめき 7.愛は続いてる 8.恋人たちの想い出 9.O・ME・DE・TORE 10.ラリホー王 11.Eことあるサ 12.心のままに

■コメント
 石井竜也プロデュースによる8thアルバム。てっぺーちゃんの妹=シュークの美奈子嬢とフラッシュ金子の結婚を祝福するという米米における一大イベントを飾るべく「引き出物」として(?)リリースされた。例の大ヒット曲「君がいるだけで」の効果もあり、米米史上もっとも売り上げをとった作品。それにしてもそういうアルバムが「末広がり」の「八」枚目だっていうのも出来過ぎだよねぇ(^^)。
 そうそう、実は米米には「バンド内恋愛禁止」というルールがあった(本当です)のだけど、やはり人の心ばかりはどうしようもないわな。可愛い妹のことだし、てっぺーちゃんも人の子だったということだね(^^; 思い切ってバンド一丸となってとことん祝福しようっていうことで作っているわけに非常に明るいアルバムに仕上がってる。
 さて、てっぺーちゃんのプロデュースとは言っても、「ベースライン」という用語は知らないわ、知ったら知ったで、今度は「ギターライン」なんて言い出すような人だから(笑)サウンド面についてこと細かい役割を果たしたというわけじゃない。てっぺーちゃんがこのアルバムでやったのは、いわば映画監督のような役割だったということ。頭の中にビジョンがあって、それを実現するために、それぞれのプロフェッショナルであるスタッフに指示を出していくというやり方だね。だから音楽業界では使われない用語ではあるけれど、ここでのてっぺーちゃんはプロデューサーというよりは「監督&総合演出」だったんだよね。
 それはジャケットアートもそうだし、曲の並び方、アレンジの「雰囲気」とかを絵や言葉にしていく仕事であって、レコーディングスタジオの調整卓の前に陣取って「あーでもない こーでもない」と音をひねくり回す仕事ではなかったはず。
 これって5 1/2のレビューで指摘したことズバリなんだよね。「音」そのものよりも、それによって生み出される「空気」の方を大切にすべきだっていうこと。
 これは見事に成功していると思う。ついつい「君がいるだけで」の巨大なセールスのせいで、このアルバム自体も色眼鏡で見られることが多いとは思うんだけどね(「売れ線に走った」っていう批判もあったしね)。一曲一曲をよく聴いてみると以前のアルバムに入っていたっておかしくない楽曲も多いし、K2Cではあえて収録されなかったジェームスがメインヴォーカルの曲もあるし(しかも2曲ともライブで生まれてきて、ファンの間でも評判の悪くない曲)。決して楽曲そのものが「売れ線狙い」でないことは明白。ところが全体を通して聴いた印象はかつてないほどポップで明るくてポジティブに聞こえるわけだ。これこそ「石井監督マジック」だと思う。
 今までのアルバムが一曲一曲を仕上げるというレコーディング作業だったとすれば、このアルバムは‘アルバム’という一つの単位で作られてる。てっぺーちゃんの得意分野でたとえると、過去の作品は何らかのテーマで集められた短編映画集だとすれば、このアルバムは「祝福」というタイトルの一編の長編映画なんだよね。そういう統一された視点で一貫して作られているからこそ、ファンキーな曲も、ポップな曲もきちんと同一イメージの上に乗っているし、アルバムのトーンがポップに仕上がっているんだと思う。まぁ、そういう意味では、いわゆる「売れ線狙い」という方法とは全く別の次元で「売れる戦略」だったと言うことは出来るかもしれない(現に「君がいるだけで」は‘ねらった’っててっぺーちゃんも言っていたしね)。ただ、その方法が安易な受け狙い楽曲の寄せ集めじゃないところがてっぺーちゃんの頭のいいところだなぁ、と。
だから、このアルバムって、見方を変えれば一時期流行った「コンセプトアルバム」ということも出来るんじゃないかな。

■INDEX
 Tommorow is another dayは実質2曲で構成されていて、「ハレルヤ」から始まるんだけど、当時てっぺーちゃんが「曲を分けると13曲になっちゃってイヤだから」てな談話をしていたと思う。そりゃあ、そうだわね。妹の祝福アルバムなんだもの。パワフルにオープニングを飾って、いかにも米米らしいホーンの効いたパワフルなポップス。間奏の部分のホーンからサックスソロへの流れが結構好き。
 君がいるだけでだけはねぇ・・・。嫌いだとはいわないけど、あまりにヒットしすぎた。もうてっぺーちゃんの「思惑」を通り越えたヒットだったと思う。この曲と、そしてこのアルバムしか知らないファンがツアーにどっと押し寄せた光景は昔からのファンとしてはかなり不安だったからね。色々と問題の多い曲だと思いますよ、実際。
 NICE TO MEET YOUはArtWorkツアーで披露されたノリのいいポップファンクという感じで、好きな曲。特にツアーの時はメンバーがミュージカルさながらに群舞を見せてくれたのがとても楽しかった。歌詞の一部に訳の分からん「どこの国の言葉だ?」って部分もあるけど、それもオッケーでしょう。
 春雷 coup de foudre非常に美しいインスト。春の野をゆっくりと進んでいく花嫁行列をイメージさせる。菜の花が咲き誇るなかを綿帽子の白無垢姿が歩んでいくのが目に浮かぶような気がする。
 愛 know マジックは間違いなく、後期米米クラブを代表するポップチューン。初めて聴いたときは「キタァッ!」って思ったもん。「君がいるだけで」なんてお話にならないくらい良い曲。メロディラインといい、アレンジといい、米米クラブというバンドの看板は関係なく、90年代に生み出されたポップスの中でも十指に入るんじゃないかと言いたいくらいだね。パーフェクトと言ってもいい。これこそシングルカットすべきだと思っていたのはは私だけじゃないでしょう。
 ときめき。ちょっとした小休止といった趣の曲。綺麗なメロディとサビ前の展開が好き。
 愛はつづいてるもてっぺーちゃんの得意パターン。ただ歌詞がとにかくストレートなラブソングなので印象は過去の楽曲とは結構違うように聞こえるのは不思議。
 恋人たちの想い出は大作バラード。見事にてっぺーちゃんワールドで、ストリングスまで導入したアレンジがなかなか豪華。メロディそのものはちょっと寂しい感じで女の子をキュンとさせるのに向いている(^^;?
 O・ME・DE・TOREは米米風ラテンミュージックを思いっきりなウェディングソングに仕上げた曲。後半でリオのカーニバル状態になるのもにぎやかで悪くない。結婚式の二次会なんかで使えば盛り上がりそうかな(あぁ、なんてそのままのコメントなんだ(;^^A)。
 ラリホー王はイイ!ArtWorkツアーで聴いたときも好きな曲の一つだったけど、このアルバムの中でも結構光ってる。ジェームスのパワフルな感じと、そこにさり気なく隠れてるメロウな感じが上手く曲に生かされてるし、てっぺーちゃんとの掛け合いヴォーカルもはまっている。何よりもいいのはバンドの「勢い」とか「一体感」がとても強く出ていること。まさに「米米クラブ」っていうのが一つの生き物なんだっていうことが感じられる仕上がりだと思う。
 Eことあるサは意外ととアッサリ系で、ラリホー王の後にあるだけに印象が弱い。なんというか、ゴージャスな料理の後の「お冷や」って感じ(笑)?
 心のままに。イントロを聴いた瞬間に「ディズニーのサントラ??」というくらいゴージャスなオーケストラサウンドが聞こえてくる。なんかシンデレラって感じである。それを美奈子嬢がお兄さん譲りのコブシの聴いたヴォーカルで(笑)歌い上げる。これは一般人にはなかなか歌えないでしょうね、たぶん。シュークの楽曲って常に「これを女性に歌わせるか、おい!?」というのばかりだけど、これもある意味「これを歌えるのか?」というくらい乙女な歌詞がついている。さすが、TIME STOPやBeautifulを歌いこなしてきたてっぺーちゃんの妹だけはあるな、と(^^;

 てなわけで、全編が「祝福」という雰囲気に包まれたアルバム。良い作品だと言えると思う。とは言いつつも、一方でこのアルバム以降、米米クラブの「毒」の部分が急速に薄れていったのも事実だと思う。「米米は明るくて楽しい」という「定評」が出来てしまったのは、いまから振り返ってみれば大きな問題だったと思う。このアルバムまでは米米のファンは、その明暗二面性をこそ魅力だとして受け入れてきたけれど、これ以降は明るい部分しか目に入らないファンが増えていったような気がする。
 と、ここまで書いて思ったんだけど、このアルバムってやぱりてっぺーちゃんやメンバーが「ファンも一緒に、みんなでお祝いをしたい」という気持ちで、ある意味、今までずっと応援してきてくれたファンに向けて作られたアルバムだったのかもしれない。だから、米米の「毒」の部分もみんな知ってる上で「今回はお祝いだから徹底的に明るく楽しもう」というメッセージが込められていたのかな、と思えるんだよね。そう考えないと、米米の性格からしても、この毒気のなさは理解できない。
 そういう位置づけで作られたアルバムだったのに「君がいるだけで」の異様なヒットのせいで、このアルバムを「入り口」にしたファンが大量発生してしまったというのが誤算だったんじゃないのかな。だからこそこの直後のSharisharismDecadenceツアーでは、そういうお客さんを振り落とすかのような毒気だらけのライブをやったんだろうと思う。本来は「今回はお祝いだから特別だよ」という位置づけのアルバムが「これが米米なのね」ということになったら大変だという意識があったとしか思えない内容だったもの。ここでのてっぺーちゃんの急ブレーキの踏み方は尋常じゃなかった。とにかくツアー当初は「君がいるだけで」を第一興商のカラオケセットでちゃかして歌い、Octaveの曲も殆ど演奏しないという状況だったんだから。そうやって考え出すと、案外、米米がだんだん身動きがとれなくなっていくキッカケはここら辺に端を発していたのかもしれないんだよねぇ。
・・・おっと、最後に重たい話になってしまった。失礼失礼。別にこいういう「予感」は「音」に反映されているわけではないので安心してCDは聴いてくださいまし m(_ _)m。

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Phi
1.抱きしめたい 2.DAY DREAM 3.紅い人 4.ときの旅路 5.日常の私 6.愛はふしぎさ 7.AURA! 8.FARAWAY 9.TELEPHONE 10.追いかけて 11.上を向いて唄おう

■コメント
 「君がいるだけで」の熱が一段落ついて、キッドクレオールとのジョイントライブが終わって、なんとなく落ち着いた気分の中でリリースされた9thアルバム。この次にあまり時間をおかずにリリースされた出た「PhiⅡ」と対になっていて、こちらはどちらかといえば「静」。ポップな曲が多いし、聞き易いアルバムといえる。
 こういう言い方もなんだけど、このアルバムは、やっと「君がいるだけで」騒動からメンバーも精神的に解放されて、キッドとのライブでだいぶ回復の兆しが見えて、まずリハビリに成功した、ってな内容だと思う。完璧じゃないんだけど、とりあえずほっとした、というのは僕一人じゃないと思う。
 ただ、サウンド的には妙に安定してしまっていて、バンド自体は「安定」しちゃったのかな、という印象も受ける。それは悪いことじゃないけど「安定=ぬるま湯」だと困るな、と。少なくともそういう心配を感じてしまったというのは正直な気持ち。とは言っても好きな曲も多いし、アルバムとしては嫌いじゃない。まぁこれを書いているのが解散後ということもあるのだろうけど、この後のことも考えあわせてみるとつい、ね。でも、ライブの方は絶好調モードに突入していく時期でもあり、当時の僕はそんな心配は忘れていたような気がする。こうやって改めてアルバムだけを並べてみると見えてくることってのもあるもんなんだね。まぁライブが本領のバンドだから作品だけから見えるのはほんの一部分でしかないのは確かなんだけどさ。

■INDEX
 抱きしめたいを最初に聴いたのはキッドクレオールとのジョイントライブ。最初てっぺーちゃんが「抱きしめたい」と曲名を紹介したときはジュリーの「抱きしめたい」だと思っちゃってさ(笑)。だって直前に「TOKIO」をカヴァーしてたからさぁ(^^; ところがどっこい、これが余りに好みの新曲だったんですね。ちょっと哀切なメロディとてっぺーちゃんの濡れた声がベストマッチング。アルバムの中では一番好きかも。これもシングルにはならなかったんだよねぇ。
 DAY DREAMは浪漫飛行に続いてJALのCMに使われたんだけど、その割にはヒットしなかったね(爆)。いかにも青空を飛んでますって感じの爽快感がある曲で、まぁまぁ好きな曲。ただちょっと全体に平板なイメージがあって、もう少し曲調がドラマティックに展開してもいいのにな、という気もする。
 紅い人はジェームスさんの王道系ですね。
 ときの旅路はカドカワ映画「REX(主演:安達ゆみ)」の主題歌。せっかく曲はなかなか良いのに、映画と合わせて印象付いているのでマイナスポイントが・・・。てっぺーちゃんがライブの中で「映画を見に行って別の意味で泣いてしまいました」というコメントをしていたのが印象的(笑)。
 日常の私。Octaveで味を占めたのかしら(^^;?という美奈子さんのヴォーカル。歌は結構上手いのに、やっぱてっぺーちゃんほどの「艶(つや)」はないのが惜しいと思う。基本的にはしっとりした曲よりも「愛してバタフライ」みたいなポップチューンの方が声質的にあってるんじゃないのかな。
 愛はふしぎさも米米王道ポップス。ちなみにこのプロモーションビデオはてっぺーちゃんが初めてフィルムで撮影したものでもあるんだよね。これが映画「河童」につながっていくわけです。
 AURA! はスタイリッシュな「かっちょいい!」という感じのジェームスのパワフルなナンバー。ベースがなかなかかっちょいいのが印象的。BONも演奏、上手くなったよねぇ・・・などと関係ない間奏を思い出したわ。
 FARAWAYは大好きなバラード。たしか最初はB.C.Sharisharismの時じゃないかと思う。とにかくサビのメロディが好きで「こんな終わりがくるなんて お互い 思いもしなかった」のところが切ないです。ちなみにもっと凄い話もあるのだ。このFARAWY、実は米米は他のアーティストに楽曲提供(歌詞は違う)しているのだよ。誰だと思う?驚くなかれ、なんと「少女隊」なのだよ。曲名も違うし、たぶんもうレンタルレコードにもないし探すのは殆ど不可能だと思うけどねぇ。僕も友達の持っていたCDで偶然発見しただけなのでもう入手は無理だろうと思ってます。
 TELEPHONEはほっと一息という感じのミディアムテンポのポップチューン。料理の合間にグラニテを食べるようなもんだね(^^; 
 追いかけて。これも大好きなバラード。ライブで聴いたときも良いなぁと思ったけど、ここに収録されているバージョンもその印象と殆ど変わらない。てっぺーちゃんはこういう切ない曲を書かせると上手いなぁと思う。 上を向いて唄おうはそれまでの米米にはないタイプの歌だと思う。なんというか、「こんなに‘いい人’になっちゃっていいの?」と思ったくらい。もう少し毒気があればいいのにな、と思ったのも事実。「てっぺーちゃん、まるくなったなぁ(体型じゃない世(^^;)」と当時は思ったものでした。

 と、いうわけで良いアルバムなんだけど、もう一つ手応えが感じられなかったというのが正直なところ。原因は、上に書いたとおり。もう一つはやっぱりこれ「A面」だからね。「B面(PhiⅡ)」を聴いてやっと完成するって感じはやはりある。

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PhiⅡ
1.日々米々 2.OH! MY ANGEL 3.ア・ブラ・カダ・ブラ 4.ジャムチ -砂漠の駅- 5.俺色にそまれ 6.日本人 7.SANDBAGなあいつ 8.Child's days memory 9.My love 10.それぞれの理由 11.SO COOL 12.言の葉

■コメント
 と、いうわけで「Phi」に続いて「B面」として位置づけられる10thアルバム。こちらは「動」の側面をクローズアップしたよう印象が強くて、演奏もPhiよりははじけているように感じる。やはりSharisharism IOTAが成功したのも大きな理由じゃないかな、なんて思う。内容的にもPhiより吹っ切れた感じがあって、やっと米米らしいアルバムが出来たなぁ、というのが発売時の印象。ジャケットもphiの青に対して赤ということでテンション高め、って感じですかね。Phiでは物足りない気がしていたけれど、並べて聴けばなかなか良いバランスなんじゃないかな。
 それにしてもこの時期になって米米の作る「音」はだいたい決定づけられた感がある。アレンジ面で金子クンの力が充実したのが一つ。バンドの音とヴォーカルのバランスについてK2Cで黄金律的な部分にたどり着いたのが一つ。そうなったことで、てっぺーちゃんがレコーディングという作業に対する「お客さん意識」が薄れたことが一つ。たぶん、こんなことが大きな要因になっているんだろうね。だからK2Cまでは毎回サウンドテイストが違っていたのが、Phi・PhiⅡは殆ど同じと言っても構わないような音づくりになってる。その分だけ、ライブを知っている人ほど聴けば楽しい作品ではあるけれど、渋谷陽一氏言うところの「サンントラ」傾向が強くなっているとも言える
 これは何とも難しいところだし、当時の僕は全然問題視してなかったんだからオッケーなんだけど。Octaveまでのアルバムは、その時々の米米の状態とか進化のプロセスや悩みとかがハッキリ刻み込まれていると思うんだよね。でも、それだからこそ作品をリリースするということに必然性があったと思うわけよ。それに比べるとPhi・PhiⅡは、ライブで育った曲を「記録」しておくという感じになっているように感じる。つまりね、バンドの状態そのものは凄く安定しているがゆえに、(う、言い方キツイかも)作品そのものが持つ必然性は凄く薄くなってると思うのだ。たぶん、この頃の米米はライブだけしていたい、というような状態だったと思う。けど、当然ファンは新作を待ってるし、レコード会社だってリリースを要求するからね。なんかそういう「年に一枚」というシステムの部分で作品としてレコーディングされたんじゃないか、と思うわけ。そうでないと短期間のうちに二枚のアルバムリリースってのは大変だと思う。たしかに僕もライブでしか聴けなかった曲が大量にCD化されたので、とても嬉しかったんだけど、今思えば米米のメンバーとして本当に作りたくて作った作品なのかっていうと、ちょっと疑問かもしれん。まぁ「サントラでいいじゃないか」という気もするんだけど、いっそのこと作品はライブビデオに絞って、しばらくレコーディングをしないという選択肢もあったんじゃないかなと。とはいえ、てっぺーちゃんの映画(河童)のこともあって、ファンとしばらく会えなくなるからアルバムを出しておきたかったというのもあるのかな。いずれにしても、ここまでのアルバムには良くも悪くも「ドラマ」が隠れていたように思うんだけど、この2枚のアルバムはそれを感じないのだな。
 とはいえ、作品としてはポップな良い曲が多いし、個人的に「どう?」って聴かれたら「おすすめ!」って答えるんだけどさ(^^;

■INDEX
 日々米々。アグレッシブなインストでスタート。アルバム全体のテンションの高さを予感させるところは結構ワクワクさせられる。自分でテープ編集(今はMDだけど)するときの一曲めに持ってくることも多いです。
 OH! MY ANGELはSharisharismDecadenceツアーで聴いたのが最初。凄く気に入っていたんだけど、ツアー後半では「今夜はフル回転」になってて実はちょっとガッカリした記憶がある(^^; 米米の曲の中では1、2を争うハードチューンで、イントロからアドレナリンが放出されそうなかっしょいい曲。うん、そういえば最初に聴いたときはちょっとビックリしたもん。「こんな曲も作ったのかぁ!」って。とにかく大好きな曲。
 ア・ブラ・カダ・ブラも後期米米クラブを代表する傑作でしょう。振り付けもいいしね(って、レコードじゃ分からないっつーの(^^;)。このア・ブラ・カダ・ブラの呪文も不思議なくらい米米のイメージに合っていると思うのだ。パワフルでポップで覚えやすいという殆ど最強といっていいような曲だと思うです。
 ジャムチ -砂漠の駅-はちょっと渋めのミディアムテンポナンバー。てっぺーちゃんの低音が魅力的かな。そういや、てっぺーちゃんて米米時代からアジアンテイストって好きなんだなと思いますね。
 俺色にそまれはやはりIOTAツアーで披露されたちょっと切ない系のシングル。初めて聴いたときは「こりゃあ売れるんじゃないの?」と思ったけどそうでもなかった(笑)。で、いま聴いて思うんだけど、イントロがちょっとゴテゴテしすぎかも。ライブでやった時みたいに、余計な前奏なしにてっぺーちゃんのサビから入った方が良かったかもね。
 日本人。ここでいきなりアグレッシブなファンクナンバー。ジェームスの魅力も良く出てるし、好きな曲の一つ。歌詞も久しぶりに米米の毒気の部分が顔を見せていて嬉しい。振り付けも単純だけどかっこよかったしね。
 SANDBAGなあいつは分かったような分からないような(^^;ジェームスのナンバー。これはカッコイイ曲なのか、それともソーリー系なのか。ちょっと考えちゃうかも(^^ゞ 
 Child's days memory。ポンキッキーズで使用されたことで、結構小さい子や、お母さんも知ってる曲。これはもう思い切りてっぺーちゃんのセンチメンタルな魅力が詰まってる一曲でしょう。僕としては「河童」の中に出てくる、あの田園風景と子供時代のカンバスに向かう石井少年が思い浮かんじゃう。なんとも、心の中の忘れていたような小さい痛みを思い出すような良い曲だと思う。刺激が少ない曲なのではじめはそれほどとも思わなかったのに聴けば聴くほど味が出るタイプだったのね。
 My loveは当時てっぺーちゃんが「Original Love(‘渋谷系’としてもてはやされたよね)」を意識した(笑)なんて言ってたね。まさにおしゃれなアレンジと大人の恋の歌詞。でもこの濡れた声だけは‘渋谷系’じゃないぞ(^^;
 それぞれの理由。はい。またしても曲の印象がございません(爆)。パス。
 SO COOLはArtWorkツアーで披露されて以来、一貫してファンの間で人気が高く、その名の通りクールでかっこいいのだ。こういうちょっと冷たい感じのてっぺーちゃんと言うのは妙に魅力的で、男の僕ですらそう思うんだから女の子はいかばかりか、だね。これは僕もCDになるのが待ち遠しかった。で、Sharisharism Thetaツアーの時に演奏された時に歌詞の中に「愛をどんなに燃やしても届かない恋 折られた心の羽根 消えない想い」が追加されてるのを聴いて、「これはきっと次のアルバムに入る」って思ったんだよね。正解でした(^^)。
 言の葉も待望のCD化といっていいバラードだと思う。米米ジャパネスクとでも言いましょうか、どこか心に懐かしいような、聴いたことがあるような優しいメロディで、フルートを効果的に使ったアレンジと相まって完璧な世界観を作ってる。まだまだ洋楽コンプレックスの支配下にあった日本の音楽市場でここまで日本のメロディを消化して、しかも演歌にはならず、民謡にもならず、ぎりぎりの線で歌謡曲にもならず、ポップスとして成立させているのは実は凄いことなんじゃないかと思う。実際、この曲の前にも後にも、同じものはないと思うしね。名曲です。

 と、前フリで色々書く割には曲の解説にはいると結局誉めてしまう自分(笑)。まぁ好きなんだからしょうがないよねぇ。あははははは。

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Sorry Music Entertainment
disk1
1.I'm Sorry 2.ボッサボサノバ 3.男同士-POSTホモ伝説- 4.VIVAみたいなもの 5.ワンダブルSUNでぃ 6.サマーラブストーリー 7.0721 8.THE HAIR 9.日本の夏 10.DEEP IN YOUR NICE BODY 11.いただきました 12.虫の息 13.露骨にルンバ 14.ポンコツ君とガラクタ君 15.アンジュール 16.サンサルバドルの雪 17.世界ミュージックアラモード 18.タトゥーレ

disk2
1.伴天連の人魚 2.スカンジナビアで逢いませう 3.金・金・金 4.てんぱってんだよ 5.プロは大変だ 6.プヨプヨ 7.鶴のしかえし 8.オーチャンガ 9.パパは893 10.ヤスちゃん 11.でましたプルルンじーさん 12.VIVA PEPE 13.アバンギャルド 14.マンボ踊り 15.DRY MAN 16.MY GIRL 第3章 17.ハードでゆこう 18.芸術家 19.コロンビアのお花畑

■コメント
 「米米クラブ」以来の爆弾アルバム(笑)。まぁあの時と違ってアルバムタイトルの時点で「謝って」いるので(^^; 毒牙にかかった善良な市民は少なかっただろうと思う。たぶん、ね。
 リリース予告の時は僕も比較的単純に喜んでいたんだけど、聴いてるうちに「なんで今、このアルバムなんだろう?」という気もした。デビュー以来「一枚岩」だと思っていた初期メンバーのリョージ、得ちゃんが脱退した頃に当たっていて、バンドとしてはかなり辛い時期だったし。で、おそらく二人が抜けたことによっててっぺーちゃん、BON、小野田さんにかかる負担って凄く大きくなったと思うんだよね。コンセプトリーダーはBONとてっぺーちゃんだったにせよ、やっぱりそれを同じように「面白い」と思ってくれる仲間がいる、っていうのは本当に心強かったと思う。それが一気にマイナス2っていうのは辛かったんじゃないかな。
 とはいえ脱退の原因(だと思うんだけど)のリョージ得ちゃんが思い入れをもって活動したWILD BOARの方向性の米米とのあまりの違いもキツかった。当時僕もWILD BOARのライブに行ったけれど「こんなことがやりたいの?」と思っちゃったしね・・・。本当に申し訳ないけど、あれは「スタイルだけのロック」だったと思う。あれが本当に二人がやりたいことなんだとしたら米米とは相容れないんじゃないか?という予感もあったんだよね。しかもBONがライブに行って面と向かって「つまんなかった」と爆弾発言をしたというのも聞いていたし。
 事実、二人が脱退してから行われたOPERA BLUEツアーは、その「青」に象徴されるような、どこかに冷たさのあるような、どうにも言いようがない感覚が出てしまったように思う。
 そんな状況の中で、こういうアルバムが作られたのは、普通に考えるととんでもないことのように思える。セールス的には間違いなく厳しくなるのは目に見えているし、音楽的評価もついてこないのは請け合いだし(^^;、しかも「米米クラブ」ほどの戦略性もないし。これはもはや「冒険」ではなくて「自殺行為」に近いくらい(たしかにファンは喜ぶし、僕も喜んだけどね)だと思う。
 それでも米米はこのアルバムを出したわけで、そこには「単なるお遊び」以上の理由があったと思う。

 これは全部、僕の想像でしかないけれど。このアルバムは米米を再生させるための劇薬だったのだ。メンバーチェンジ、その後のツアーの「ちょっと守りに入ってない?」という感覚。また、ファンも増えて、周囲の評価が高まると同時に「固定化」していったことはてっぺーちゃんには凄くイヤだったと思うし、怖かったと思う。「いつもファンを良い意味で裏切り続けてきた米米クラブ」「それを喜んできたファン」という構造が、この頃にはずいぶん崩れてきていた。特に「君がいるだけで」以降、「いつも通り楽しくて派手で面白いステージを期待するファン」が急増していたし、殆どの音楽誌もまるで壊れたレコードみたいに「米米のステージは楽しい。」と繰り返していた状況。
 このままじゃ米米は米米ではいられなくなる。きっとBONやてっぺーちゃんはそう考えたと思う。特にトシやシンジ、勝又は米米に入って時間も経っていないし、既に米米のイメージは巨大化してしまっていてメンバー自身が、そういう「予定調和」にハマってしまうのだけは避けたかったはずなんだよね。
 そこで、こういう予定調和的なマスイメージを一度徹底的に破壊して、「俺たちのスタート地点はここだったじゃないか」という確認をするため、そしてトシやシンジ、勝又には「米米は守りには入らないぞ」という覚悟を決めて貰うためのアルバムだったと思う。決して巨大なセールスを誇るバンドの「お遊びアルバム」ではないのだ。
 たしかに、僕らファンは単純に「面白い」で良かったし、「こんな売れないアルバム作っちゃって(≧▽≦)」と気楽でいたけれどね。でも、そんな気楽な状況ではなかったんだよね、考えてみれば。
 で、この「薬」は実際効いた。この年の終わりにあった、ファンクラブのクリスマスイベントライブはファンのみんなが待ってた米米がステージにいたから。この時は「これで米米は大丈夫」って思ったのだ。この時は。
そうそう、肝心なことを書いてなかった。こんな辛気くさい解説を読んで、「そういうことなら聴いてみようかな」と思ったあなた。やめておいた方が安全です(笑)。

■INDEX
 さて、あと全曲解説をまともにやると夜が明けそうなので飛ばして行きましょうかね。あまり信用しないように(^^;

 I'm Sorry。アルバム全編を貫くテーマソング。ボッサボサノバ。イントロのメロディがBOOWYのDreamin'みたい(笑)。覚えやすいメロディでつい口ずさんでしまうのが怖い。男同士-POSTホモ伝説-のしゃべりを聴いて「ブンタさん特別出演!?」と驚いたのは私です(^^; VIVAみたいなものは1987年の学園祭ライブシリーズで歌われていた。かなり気持ち悪い歌。ワンダブルSUNでぃ。これはシングルになったし立派なポップソング。解散コンサートの一曲目を飾った。サマーラブストーリーは一夏のアバンチュールってやつですね(笑)。0721。何も言うまい。何も言うまい。THE HAIR。歌詞のまんま。結構重たいリズムが嫌いじゃないかも。日本の夏。キンチョーの夏。DEEP IN YOUR NICE BODY。まんまですわ。まんま。タイトルのどこにも捻りのないサマーチューン。いただきました。美奈子さんの店長さんぶりがすてき。曲は往年のDuran Duranを思い出します。虫の息。あ・・・・・。露骨にルンバ。やよい~~~!!分かる人だけでいいですm(_ _)m。ポンコツ君とガラクタ君はなかなかポップである。共感を抱くものも多かろう。アンジュール。生で聴きました。ふふ。サンサルバドルの雪。なんかポエムって感じのタイトルだよね。世界ミュージックアラモードタトゥーレ。ともにどんな曲だか忘れてしまいました(^^;
伴天連の人魚。なんかよく分からんけどフランシスコ・ザビエルって感じだよ。スカンジナビアで逢いませうは大正時代を連想させる歌唱法がすばらしいロマティックモダンの傑作。金・金・金は米米の批評精神が暴発した曲。嫌いじゃない。てんぱってんだよ。個人的には結構好きなんだよね。結構かっちょいい曲だと思う。プロは大変だ。本当だ。プヨプヨ。その名の通り。イントロのギターは結構かっこいいぞ。鶴のしかえし。世の中の不条理をジェームスの切ないまでのヴォーカルで切々と歌い上げる傑作。教科書に載せたいかも。オーチャンガ。唐沢寿明が踊ってましたよ、この曲で。パパは893。色々あるよね、色々。ヤスちゃん。小野田さんのお名前は?安秀~!でましたプルルンじーさん。日本の高齢化社会を鋭く切り裂く社会派ソング。VIVA PEPEも1987年の学園祭ライブの曲。ホーンセクションがこの間抜けな曲に不釣り合いなほどかっこいい。アバンギャルド。タイトル以外にコメントは必要あるまい。マンボ踊りは結構古くから歌われている。結構、いい感じよ。DRY MANMY GIRL 第3章ハードでゆこう芸術家。いまいち記憶がハッキリしません。が、そんなに壊れてる曲だという印象はない。コロンビアのお花畑。あのエリック・クラプトンも同じテーマで名曲「Cocain」を残している(笑)。米米は「そのユーザー」の見ている風景をインストで見事に表現している。、のかな?わははは。

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H20
1.もしも 2.STYLISH WOMAN 3.IMITATION GUY 4.すべてはホントでウソかもね 5.EASTER BELL NORTH 6.KISSING BLUE 7.SOUL SNAKE 8.Slow-motion Memories 9.JUST MY FRIEND 10.愛がまわるよ 11.まだ わからない

■コメント
 米米史上最も売れなかったアルバム(てっぺーちゃん談)。と、まぁそういう話題は置いておくとして(^^;
個人的には5 1/2と並んで聴いていないアルバム。コンセプトそのものは「お水」ってことだったんで、とても期待していたんだけどねぇ。本当に残念なことだけど「SORRY MUSIC ENTERTAINMENT」で取り戻したと思っていた「勢い」や「エネルギー」が殆ど見えないのだ。過去のどのアルバムよりも「生気」が感じられない気がする。「Phi/PhiⅡ」の時はアルバムそのものに必然性が薄かったにしても、バンドそのものは不調ではなかったし、その「記録」ということでオッケーだったと思うことは前に書いた。ところが、この「H2O」というアルバムは、そういう記録ですらなくて、とにかくアルバムリリースの時期が来たから出しましたという以上の意味が全然見えないのだ。こういう言い方はキツすぎるかもしれないけど、「お仕事(義務感だけ)」として作っただけ?と言いたくなる。
 曲の善し悪しという点でも、悪い曲はないけど、ライブで生まれた曲以外の新曲がパッとしないのもこのアルバムの特徴で、印象に残らないのが悲しい。
 この原因はいくつかのことが複合的に絡み合っているのは間違いないと思うんだけど、やっぱりその軸になっているのはてっぺーちゃんの単独活動だろう。もちろん映画監督としての仕事(この時は「ACRI」)やそれに伴うユニット(ACRI)の活動自体は、僕は否定するつもりは全くない。それは表現者としてのてっぺーちゃんの「業」みたいな部分だと思うしね。ただ、そういう活動をBON、小野田さんや金子くんらは別にしても、米米に携わるスタッフや若いメンバーが心穏やかに見守っていられたかというと、やはり疑問なんだよね。多かれ少なかれ「米米はまだ続くんだろうか?」「ちゃんとてっぺーちゃんは帰ってきてくれるのか?」「いつになったら米米として活動できるのか?」「てっぺーちゃんの活動が米米に悪影響を与えないだろうか?」・・・そういう気持ちが沸いてくるのも仕方ないだろうし、事実あったんじゃないかな。で、てっぺーちゃんも、繊細なひとだから、そういう気配は絶対に察知していたはず。
 そういう状況の中でのアルバムレコーディングで、てっぺーちゃんやBONが「冒険」できない心情になっていったと想像するのはそれほど無理な話じゃないだろう。だから、てっぺーちゃんも「一応ポップで、当たり障りのない無難な曲」を中心にしてしまったんじゃないかと思うのだ。そう、これはまさに「守りの姿勢」であり「予定調和」指向だ。このアルバムにはそういう自信のなさが出てしまっていると思う。
 人によっては、このアルバムを聴いて、米米のポップス路線アルバムの一枚にすぎないと思う人もいるだろう。でも、これはそんなもんじゃない。今までのアルバムを端的に言えば「K2C=挑戦」「米米クラブ=挑発」「Octave=確信」「Phi/PhiⅡ=記録」「SORRY MUSIC ENTERTAINMENT=再起動」という意味づけがあったし、それぞれのタイミングでそれは納得の出来るものだったのだ。ところが「H2O」は「今までの米米のイメージの延長で、そこそこセールスにつながれば・・・」という信じられないほど弱腰なアルバムだとしか思えないのだ。で、悔しいことだけど、たぶんBONやてっぺーちゃんはそれが決していいことじゃないと分かっていたと思うのだ。それでも不安な顔でいるスタッフや関係者に、それ以上不安を(本来はそれこそが進むべき道だったはずなのだけど)与えられなかったのだと思う。
 おそらく、てっぺーちゃんが解散を意識したとしたら、それはこの時じゃないだろうか。米米クラブは守るべきものを持たされすぎてしまった。荷物が多く、重くなればどうしたって動きは鈍くなるし、自由に移動することも出来なくなる。そして、いつの間にかその場所に定住して、同じ生活の繰り返しにならざるを得ない。それは、とりもなおさず「米米らしさ」の喪失を意味する。そう考えれば、てっぺーちゃんに残された選択肢が「解散」以外にはなかったことが理解できてしまう。
 こうしてみると、このアルバムは米米解散へのスイッチを「オン」にしたアルバムなのかもしれない。はぁ・・・。

■INDEX
 もしも。つい最近てっぺーちゃんが「Art Nude」でとりあげた。曲としては軽めのポップス。歌詞の方は個人的には「なんだかなぁ」という感じで、こういう曲がオープニングに置いてあることもこのアルバムを象徴してるような気がしてしまう。
 STYLISH WOMANは楽曲そのものは結構好き。路線としてはsure danceの延長線上にあるって感じかな。
 IMITATION GUY 。ほとんど印象に残ってない。ファンのくせに、って感じだが、それだけこのアルバムは聴いてないってことなんだろうな。
 すべてはホントでウソかもね。これまたいまいちパッとしなかったシングル。何か、本当はそうじゃないのかもしれないけど、てっぺーちゃん、テンション低くなってんのかなぁ、と思わされた曲でもある。どうにも違和感がつきまとうのだ。
 EASTER BELL NORTHはクリスマスソングかと思うようなアレンジとメロディ。これもまたエネルギーが低くて、綺麗な曲なのに耳を引きつける力がないんだよねぇ。
 KISSING BLUEはOPERA BLUEで好評だった曲。歌詞の言葉遣いがてっぺーちゃんとしてはとても珍しくて、一瞬「作詞:つんく」?と思ってしまったくらいである(^^; ある意味、米米版「ズルイ女」といってもいいような曲。これは今のてっぺーちゃんでもアレンジを変えて歌えるんじゃないかな。
 SOUL SNAKEは曲はカッコイイんだが、歌詞は訳わからんという曲。てっぺーちゃんがZERO CITYで本編に取り入れていたけど違和感はなかった。結局、米米が生で演奏していないものは「米米の曲」ってイメージが弱いんだよね。
 Slow-motion Memories。これももう全然覚えてない(爆)。
 JUST MY FRIENDはリョージ、得ちゃんが抜けての最初のシングル。歌詞がちょっと強がってるような感じがして余計切ない気がする・・・。僕の思いこみのせいなんだけど、この曲もメロディやアレンジは元気なのに、すごぉく空々しく感じてしまう。
 愛がまわるよ。これもどうということはないバラード。あまり力が入ってるとは思えない。これなら「愛してるのに」をCD化しといてほしかったな。まだ わからない。なんかなぁ・・・。このエンディングもアルバムを象徴してるような気がする。サラッと始まって、サラッと終わるって感じでねぇ。

 凄く期待していたアルバムだったし、新生・米米の出発を楽しみにしていたにも関わらず、こんなに聴いていて興奮できなかったというのが悔しかった。「こんなんじゃないはずだ!」そう感じたファンは少なからずいたと思う。

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PUSHED RICE
1.SARACENIAN BEAT 2.FOXY-危険な恋 3.Spesial Love 4.MOMENT 5.せつない気持ち 6.ROPPONGI-雨 7.STELLA 8.GUTS SHAKER 9.HARMONY 10.MONGOLOID 11.RICE DREAMEER 12.ひとりの朝 ふたりの夜 13.Runaway Faraway 14.迷路'97

■コメント
 1996年、解散発表。その時の気持ちは忘れられない。当時の米米の状態はたしかに良くなかったと思う。特にシュークの解散は大打撃だったのは間違いない。でも、それでも僕はてっぺーちゃんとBONはドラスティックに変身した新生・米米クラブを見せてくれると信じていたから。それにてっぺーちゃんが何度も言っていた「米米は毎回解散しているようなものだ」ということに、僕は凄く納得していただけに、解散だけはあり得ない、と思っていた。でも、そういう気持ちの一方で、どこかにそんな予感がなかったと言えば嘘になる。そういう屈折したような複雑な思いで、どうにも気持ちの整理がつけられない状態になってしまったのだった。同時に発表されたラストアルバムを、僕はそんな複雑な気持ちで待っていた。

 ラストアルバムは、僕の予想を軽く吹き飛ばしてしまうほどの出来上がりになった。渋谷陽一氏がライナーに「こんなアルバムが作れるなら解散なんてするなよ」と書いたが、まさしくそんな気持ちにさせられる作品になった。しかし、これだけの傑作が生まれたのは、まさしく「僕らは毎回解散している」という「覚悟」が現実のものになり、「守るべきもの」なんてないんだ、という米米の原点に回帰できたからだろう。「解散」という究極の選択肢をもって、やっと米米は「再生」したのだと考えれば、なんとも切ないことだけれど・・・。
 けれど、こうして今(2001年)から振り返れば、やはり「解散」以外の方法では米米は「再生」しなかったのかもしれない、という考えもある。少なくとも「守るべきもの」をすべて捨ててしまうことは、メンバーには出来なかっただろうし、そうである限り、これからも重い荷物を背負いながら、いつの間にか疲労が蓄積して「そういえば最近米米ってどうしてるの?」という終わり方をしたかもしれないと思う。「もしも」の話でしかないから正解なんてないけれど、そう思うのだ。
 てっぺーちゃんも、ここまで「解散」という事実が米米を「再生」させると考えていたかどうかは分からない(たぶん、考えていたと思うけど)。けれど、事実として、米米は見事に生き返った。ファンの誰もが心待ちにしていたアルバムになったと思うし、THE LAST SYMPOSIUMは米米史上最高のライブだと言っても良い内容だった。甘い部分も、毒の部分も、すべてを呑み込んでなお、エンターテイメントとして成立させてしまうという米米だけのマジックが甦ったのだから。
 このアルバムは、今までのアルバムのどれよりも「米米クラブ」のエッセンスが結晶した内容になった。ライブで演奏するための新曲発表の場でもなく、ライブのサントラでもなく、記録でもない。これはCDという「ステージ」で行われた米米クラブの「ライブ」なのだ。これは画期的な発想だと言える。こういう発想の作品は、おそらく他のアーティストも含めて過去にもなかったし、今もないと思う。嬉しい。嬉しいけど、なんか涙が出る。そんなアルバム。

■INDEX
 SARACENIAN BEATはAU Sharisharismのオープニングに使われたジャングルビートのインスト。開幕の興奮をいやがうえにも高めるような、「何かが起こりそう」と思わせる仕上がり。
 FOXY-危険な恋。スピード感のあるイントロと、脳天気じゃないメロディ展開、歌詞とマッチしたスリリングでセクシーな雰囲気をもった曲。オープニングとのスピードの落差が、一層効果を上げている。いやが上にも盛り上がる構成になっていてワクワクする。
 Spesial Loveはラストシングルとして発表された。だからといって解散を意識させるような内容ではなくて、はじけるホーンセクションとてっぺーちゃん18番な歌詞になっている。変にセンチメンタルじゃないところが、いかにも米米らしい。はじめに聴いたときはどーってことない気分だったんだけど、聴けば聴くほど味が出る曲だった(^^; 
 MOMENTもてっぺーちゃん的ロマンチシズムが溢れていて美しい。オープニングから急加速してきたところで、ほっと一息つかせるタイミングも心憎い。
 せつない気持ちはミディアムテンポのエスニックな雰囲気を漂わせたナンバー。このムードの作り方が上手い。なんというかてっぺーちゃんの凄いところは「本物」じゃなくて、それを「日本風、米米風」に消化してしまうこと。なんとなく日本人が聴いたときに「それらしく聞こえる」というフェイクの達人だと思う。
 ROPPONGI-雨。マジなのかふざけてるのか(^^; 渋く決めているけれど、てっぺーちゃん自身がパロディ精神を失っていないところが面白いのだ。自分がカッコイイと知っていて、過剰なまでにかっこつけることで、ちょっと格好悪いというのがてっぺーちゃんのバランスの取り方の絶妙さとも言える。
 STELLAは素直に良い曲だと言えるポップチューン。ライブではクリスマスのディナーショーなどで歌われていた。なんとも言えず、明るい可愛い感じの曲でさり気なく名曲。
 GUTS SHAKERはてっぺーちゃんお声が目立つけれど、一応ジェームスとの掛け合いになっている。もう少しジェームスの声が聞こえるといいな、と思うけれどパワフルな曲で、ちょっと今までのてっぺーちゃんリードヴォーカルの曲としては珍しいパターンだと思う。
 HARMONY。再び一転してコーラスの綺麗なミドルテンポの楽曲。それにしても、同じようにポップスを作ってもメンバーのテンションが違うとここまで音に影響があるのかと思う。このアルバムではどの曲も、どこか突き抜けたような感覚があって開放感に満ちている。
 MONGOLOID。これはSharisharism Thetaで使われていたインストナンバー。後半ラストの盛り上がりを迎えるための序曲という感じ。
 RICE DREAMERはANTI Sharisharismツアーで歌われていた(タイトルと歌詞が違う)ジェームスのパワフル&アグレッシヴなナンバー。ジェームスのヴォーカルも絶好調で「いかにも」な仕上がり。と言いつつもアレンジに工夫があったりして、一ひねりきいている、という感じ。
 ひとりの朝 ふたりの夜もライブでは歌われていたバラード。ライブ本編を締めくくるに相応しい美しい曲。ライブで熱くなった体を気持ちよくクールダウンしてくれるような感覚である。
 Runaway Faraway。アンコールで「もう一曲いきますか!」と始まるような、そんな勢いのあるナンバー。ニューアルバムなのでまさか「Shake Hip!」を入れるわけにもいかないが、構成としてはまさにそういう流れになっている。
 迷路'97。これをラストに持ってくるところが「もう・・・・(;^^A」って感じで最高である。まさに人を食った米米にしかできないこと。しかし、この精神こそが米米だと思う。米米クラブは「スタイル」ではなくて「その心意気」が「米米らしさ」の源泉だったのだから。

 こんな凄いアルバムを残して、最後に最高のライブをやって見せて、大きな花火をドカーンと打ち上げて終わってしまうなんて、米米らしすぎて泣けてくる。「祭り」は終わった。

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聖米夜
1.ありがとうの星 2.Chistmas Honeymoon 3.ORION 4.ガラスの月 5.夜はオシャレに 6.ごきげんよう! PARTY NIGHT 7.WITH YOU 8.スノー・ボール 9.PRAYER 10.しあわせになれ

■コメント
 Octaveの大ヒットに当て込んで(メンバーはそうでなくても、SONYは絶対そういう思惑だったと思うぞ)リリースされた限定版のクリスマスアルバム。個人的には、これは「企画盤」であって、オリジナルフルアルバム扱いしてないので9枚目には数えてない。内容的ににも肩の力を抜きまくった感じで、よく言えばリラックスした雰囲気、わるく言うとちょっと簡単に作りすぎ?という感じかな。こう言っては身も蓋もないけど、「すごく良くできたシングルB面曲集」的な・・・(^^; そんなイメージ感じられるんだよねぇ。
 そうそう、一応これ‘限定盤’なんだけど、結果としてはずいぶん長い間店頭に残っていたね(笑)。やっぱソニーさん、捕らぬ狸、だったのかなぁ・・・(爆)。

 ありがとうの星は「いかにも」なインスト。パーティーのオープニングという雰囲気で、「さぁこれから米米のクリスマスパーティーが始まりますよ」ということなのかな。この気楽な雰囲気が醸し出すのはホームパーティーという感じ。なるほど、あまり気取らずに楽しく一晩を過ごしましょうよ、ということのかな。
 Chistmas Honeymoon。で、まずはメイン司会者・石井さんの掴みはオッケーな甘い一曲をプレゼント。曲の感じとしてはsure danseとカップリングされていた「日没航」のクリスマスバージョンという感じ。
 ORIONは得能さんのところに赤ちゃんが出来たことを祝って作られた曲だったっけな。記憶は曖昧ですが、たぶんあってるでしょう。しかしねぇ、この曲のシングルについては苦い思い出が(^^; 最初に予告が出たときにはカップリングが「Oh! my angel」のはずだったわけですよ。で、「アルバムには入ってない曲だよ」と思って両方予約したさ。そしたらあなた、「Oh! my angel」収録されず。結局全部アルバムに入ってる曲だったんだよねぇ。あれは結構悲しかったです。とほほ。
 ガラスの月はコーラスのマチコ嬢がヴォーカルをとる。とにかくきれ~なメロディと耳に心地いい眠りを誘うようなアレンジ。でも、個人的にはてっぺーちゃん&小野田さん以外のヴォーカルにはあまり興味ない(爆)。
 夜はオシャレに。ぐわ、記憶無し(笑)。このレビューも思い出に沿って書いているのであまり聴いてないやつは記憶からこぼれ落ちてます。ま、一曲ぐらいいいよね(^^; 
 ごきげんよう! PARTY NIGHTは、これまた最後までライブの定番として定着した曲。なんだけどさぁ、実は僕はどーしても、この曲に対しての色眼鏡が外せなかったんだよねぇ・・・。この曲ってもともと(たしかB.C.Sharisharismの頃)学園祭ライブ「パリ祭」のオープニングで歌われていたのですよ。「ごきげんようパリ祭」として(笑)。♪ご~きげんようパリ祭 ご~きげんよう~ 窓を開ければパリ祭♪ってね。だから、どうしても自分の中で「この曲は‘ソーリー系’」っていう概念が固定されちゃってたんだよねぇ。これ読むと、なんか「言われてみればフランスっぽいかも」って思わない?
 WITH YOU は美奈子さんのヴォーカル。「心のままに」の続編って感じかな。
 スノー・ボールではマイケル富岡が特別出演。だ・か・ら、こういうポップなメロディにあわせて何歌っとんねん!?(笑)。たぶんOctaveファンはこれで3割は振り落としたと思うわ(;^^A ちなみにマイケルにはお姉さん(妹じゃないよね?)でシャーリー富岡というのがいるんだよ。こちらも80年代の米米とはご縁の深い方なのです。あ、だからどうしたって話じゃないんですけどね。
 PRAYER。アルバムから一曲選ぶとしたらこれだなぁ。本当に不思議なくらい小野田さんの声が胸の奥の深いところを切なくさせるような曲。アレンジとか関係なく、こういうのをソウルと呼ぶんじゃないだろうか。僕は聴いていて不思議に(歌詞がそういうわけでもないのに)これがレクイエムのように感じられるんだよね。この曲には小野田さんの凄く純粋な側面がエッセンスとしてギュッと詰まって表現されている。そんな気がするんですわ。
 しあわせになれ。これは本当に貴重な音源でしょうね。おそらく唯一と言って良いくらい、てっぺーちゃんの「素顔」が感じられる曲だと思うわけですよ。なんといっても大切な妹のための曲(しかもライブ録音)なんだもの。てっぺーちゃんの声が涙色しているのはこれだけですからね。歌詞も含めて本当にお兄さんが妹を思っているのが伝わってくる優しい歌。妹を持つ人は、そのコの結婚式に備えて練習しておきましょう。

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Singles
1.Shake Hip! 2.Parodies 3.Gradation Glass 4.Venus 5.加油(GAYU) 6.Blue Wave 7.Party Joke

■コメント
 ある意味、非常に唐突に発売されたアルバム。ジャケットがとてもよくて、たしかてっぺーちゃんが当時、時代がレコードからCDに移行したことを示すイラストだというようなコメントがあったように記憶している(ちょっと自信ないけど)。
 とにかく「Singles」なんていうものの、当時の米米はいわゆるヒット曲はなかったし、タイトルの割にはI CAN BEも入ってないし、何というか今でもこのアルバムの意味っていまいち理解できないところがある(^^;
まぁこのアルバムがあるおかげでレアな存在になってしまった12inchシングルの加油(もちろん私は持ってますが)に収録されている曲は聴けるわけだけどね。

■INDEX
 Shake Hip!。言わずとしれた米米の最大にして最高傑作ポップチューン。米米のセカンドシングルとして発売された。当時味の素が発売したTerraという清涼飲料水(ポカリスエットみたいなやつ)のCMソングにもなった。プロモーションビデオは「あんたら素人かい!」というようなゲリラ的な撮影で作られている。特に首都高速でトラックの荷台で撮影しているのはどう見ても違法行為だと思うんだが(^^; まだまだマイナーな存在だったからこそできたビデオだろうと思う。ちなみにこれは新曲ではなく、すでに米米の中でも「オールドナンバー」と呼ばれていた。なんてったって、てっぺーちゃんが生まれて初めて作った曲がこれだというのだ。こりゃ天才だわね。
 ParodiesはParadiseとカップリングになっていた米米史上に残る迷曲と言って差し支えなかろう。それにしても、こんな曲を「Singles」に入れるなんてとことん人を食った話だわなぁ。まぁこれは後から(K2Cでのてっぺーちゃん発言)考えるとすごくわかりやすくて、元々K2Cバージョンの歌詞でいきたいと思っていたのに〝さわやか青春ソング〟な歌詞に書き直させられたのがすごく悔しかったみたいなのだ。だからあえてB面にParodiesを収録した上に、このアルバムにも入れたんだろうと思う。やっぱりこの頃てっぺーちゃんがレコーディングは歌入れ以外には行かなかったってゆーのは、そんなプロデュース側との関係も原因にあったのかな、なんて思う。
 Gradation Glassはライブでも頻繁に歌われた。まぁたいがいの場合、演歌調に崩して歌っていたけどね(^^;←特に【パン・パパン】手拍子がくるとやる確率が高かった。やっぱバラードは演歌じゃねぇんだから手拍子はねぇ…。
 Venusは米米には珍しいサマーチューンで、シンプルなリズムとわかりやすいメロディということでかなりヒット曲としての要素を持っていたのだけど、いかんせん12inchシングルのB面と言うことでファン以外には知られなかった。この曲はカラオケで歌うと分かるけどブレスをする箇所がなくて非常に呼吸が続かない曲でもある(笑)。1986年の都有3号地ではシュークの浮気なヴィーナスとメドレーで歌われた。ちなみにプロモーションビデオは綺麗な金髪のお姉さんとてっぺーちゃんマネージャーという雰囲気で作られていて、これまたちょっと米米っぽくない爽やかな仕上がりになっている。まぁ画面の隅で茄子がゆれてるのが「らしい」けどね(^^;
 加油は言うまでもなく、初期から通じての盛り上がり曲。まさにノリ一発という感じの曲でライブでもクライマックスに演奏されることが多かった。この録音は非常にライブ感が強くて、この音づくりが「EBIS」につながっていったんだな、というのがよく分かる。特に後半のいかにもライブっぽいノリが再現されてるのが嬉しい。ちなみに僕はこの曲については超こだわり編集で、イントロはちゃんとギターのところから始まるようにカット。途中の間奏部分はライブではほとんど演奏されなかったのでそこもカット。これを自然につなぐことに殆ど命かけてました(笑)。これはMDが登場したおかげで現在では非常に楽にできるのが嬉しいところかな。
 Blue WaveはShake Hip!のB面に収録された曲で、当時米米のライブでは定番となっている曲だった。個人的にはかなり好きな曲で、この音源には入っていないけど、ライブでは間奏でのフラッシュ金子のサックスソロがかっちょよかった。ちなみにこの曲のメロディ、出だしは1stのNon-Complexにちょっと似ている。
 Party Jokeは1stシングルであるI CAN BEのB面に収録されていた。しっとりした曲で、地味ながらも印象に残る。僕がこの曲をライブで聴いたのはたった2回だと思う。

当時はアルバム的価値は低かったと思うけど(ファンならもうみんな持ってるものの寄せ集めだったから)、今となっては貴重な音源の一つなんだろうね。

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DECADE
1.愛はふしぎさ 2.君がいるだけで 3.抱きしめたい 4.I・CAN・BE 5.元祖sure dance 6.ひとすじになれない 7.愛してる 8.FUNK FUJIYAMA 9.Shake Hip! 10.浪漫飛行 11.愛 Know マジック 12.TIME STOP 13.今夜はフル回転 14.ごきげんようPARTY NIGHT

■コメント
 デビュー十周年を記念して発売された「これぞベスト」という内容のサービス精神にあふれた一枚。単に寄せ集めにならないようにミックスし直して、全体的に統一感がでるように意識して作られている。曲順も構成が考えられているし、作品の一つとして数えてもいいんじゃないかな。ちょうどここまでにオリジナルアルバムが10枚というのもキリが良い。それに、なんといっても米米初心者には美味しすぎる内容でしょう、これは。特に初期の作品はミックスが変わったことで、ちゃんと90年代の音に生まれ変わってるのも嬉しい。しかし、米米自体はこの頃は大いに揺れ始めた頃で、結局このアルバムを最後にリョージと得ちゃんが脱退でしてしまったのは本当に悲しかった。

■INDEX
 愛はふしぎさ、君がいるだけで、抱きしめたい、I・CAN・BEは既に解説済み。中では抱きしめたいがオリジナルと聴き比べると実は結構音が違う。I・CAN・BEはもちろん、ミックスで新しく生まれ変わってる。まぁそれはどうでもいいんだ(爆)。
 これよこれ!元祖sure dance。もうこれを待っていたのよ、あたくしは!冗談じゃなく、泣いて喜んだね。このイントロ、このイントロなのよ。ギターの奏でるちょっと哀愁のあるようなイントロはやっぱりsure danceのだ~~いじなポイントですから。まぁこの収録にあたってサビのメロディの若干の変更と歌詞の追加があるのでオリジナルとは違うんだけど、そこは年月がもたらした進化ということでオッケーでしょう。とにかくこのアルバムの一番の価値はこの曲ですわ。わ~いわ~い♪
 あとの曲は全部解説済みだよね。中ではFUNK FUJIYAMAがオリジナルより短くなってるんだけど、これはかえってスッキリして良くなった。ファンクってのは元来クドイ(笑)もんだけど、このアルバムの色を考えるとこのカットは正解だったと思いますわ。

 と、いうことで個人的には、こういうアルバムはファンこそが楽しむもんだろうとは思うけれど、初心者が一番単純に喜ぶのもこのアルバムだろうと思います。

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HARVEST
 いやぁ最初は買うつもり全然なかったんすよ。だってみんな持ってるものばかりでしたから。と、思ったらやってくれましたソニーさん。それぞれに浪漫飛行(アコースティックバージョン)嫁津波(ちゃんとシングルレコード持ってます。ふふ)と入れてくれちゃったもんだから買わないわけには行かなくて(^^; ん~シングルCDにでもしてくれれば楽だったのにな。

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[番外編] K2C Summer splash master mix
 これはちょっと番外編なんだけど、やっぱお気に入り音源の一つなんで是非ともご紹介しておきたいのだ。

 たぶん東京近郊のファン以外は耳にした人も多くないと思うんだけど、ちょうどアルバム「K2C]「米米クラブ」発売後に、BayFMというFM局で表題の特集を組んだんだよね。そのときの放送を録音したのがこれ。米米のデビューから最新アルバム(当時「米米クラブ」)までの曲をなんと約50分間の間ノンストップ・ミックスにしたもの。

 ただこう書くと「なんかねぇ・・・」と思うかもしれない。かもしれない。が。これがイイんだなぁ、実に。

 絶対に、これを作った人は米米のこと好きだった。もう断言しちゃいたいね。ってゆーか米米のこと知らないと、ここまでの仕事はできんだろう!っていう内容なのね。余りに曲数が多くて紹介しきれないけど、とにかくミックスも上手いし、リズムパートの入れ替えで妙に新鮮に生まれ変わってる曲もあるし、とにかく「必聴」もん(ゴメンね、聴けない人は)なのだ。
 だいたいオープニングに「加油」を持ってくるセンスは申し分ないし、さり気なく「ふたりのアンブレラ」のさわりを使うのも上手い。「Fiction」なんかもエライかっちょいいミックスになってるし、とにかく米米を知り尽くしてるね、この人は(誰だか知らんが)。

 どうしても聴いてみたい、って人は・・・樽のうちに遊びに来てもらうしかないな(^^;

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