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転生したら悪役令嬢だったので引きニートになります(旧:悪役令嬢は引き籠りたい) 作者:フロクor藤森フクロウ
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二人の姫君

 アルベルティーナとエルメディアです。

 人々に愛され支えられる令嬢とどんどん人望を無くし静かに失墜する王女。

 アンナは公爵も認めるアルベルガチ勢です。普段はクールですが、内心は騒がしいタイプです。


 読んでいただきありがとうございます。

 何度か異世界転生ランキングに入らせていただきました。流動があるので9月時点1~10位くらいをを日間・週間・月間ともにうろついます。

 ブックマーク1万件突破しました…え、マジで? 私死なない? 嘘、と4度見位しました。ありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ




「ミカエリスと結婚できないってどういうことよ!?」


 感情をまき散らしながら吐かれた怒声に、背後に控えていたメイドは肩をすくませた。

 床には叩き落されたティーセットが散乱していて、暴れまわるたびに椅子やテーブルがごろごろ転がる。今は熱心にテーブルクロスを引き裂いている。暴れるこの御仁を、誰がこの国の王女と分かることか。何も知らずに見たら完全に野獣である。

 エルメディア王女は、この会場にくるまでミカエリス伯爵が優勝した暁には、自分に剣を捧げて求婚をしてくると疑っていなかった。

 事実、力ある伯爵家といえ若き美貌の伯爵が、王家の圧力を弾いてまで王女からの輿入れを断るのは難しかっただろう。ドミトリアス伯爵家だけを相手取るだけでよければ。

 しかし、まさか会場にラティッチェ公爵家の秘宝とすら言われている――ついこの間までは二目として見るのも憚れる『落ちこぼれ令嬢』だの『怪物姫』だのと揶揄されていたアルベルティーナが来るとは思わなかった。

 思い出すだけでため息の出そうな美貌であった。

 歴代の王族の中でも、絶世の美姫と謳われるシスティーナ姫によく似た面差し。

 公爵と同じ柔らかいアッシュブラウンの長い髪に、同じ色の長い睫毛に縁どられた大きな宝石のような明るい青の瞳。陶器を思わせる滑らかさと透明感のある白皙の肌でほのかに色づいた頬と、小さくふっくらとした色づいた唇。細い顎と小さな顔の中に絶妙なバランスで収まるパーツはすべて極上だった。細い首の下にある体は、全くと言っていい程露出がないにもかかわらず、色香を感じさせる女性的な体つき。胸は豊かである反面、腰や肩や腕は驚くほど華奢だった。

 僅かに聞こえた声は、その姿に相違なく可憐で優美だった。一つ一つの所作も洗練され、優雅でありその周囲だけ空気が違って見えるほどだ。

 性格自体はおっとりしていそうで、これぞ深窓のご令嬢という雰囲気があった。

 かつてエルメディア王女と間違われて誘拐されたという公爵令嬢は、確かに並べば間違いなくあちらを王女と思うだろう貴婦人だった。ましてや王女はあまり国王に似てないし、太りすぎていることもあり、よく見なければあまり王妃にも似ていない。美化されて描かれた姿絵関係は詐欺に等しい。目ぼしい才能もないため、その見た目ゆえに王女を陰で貶める人間は少なくない。そして、それを知った王女の癇癪はさらに激しさを増し、暴食が増え、ますます陰口が悪化の悪循環である。

 件のラティッチェの姫君をドミトリアス伯爵が、隙なくエスコートをしていた。

 あの、浮いた話が一切なく、その反面多数の女性から絶えず秋波を受け続けていたあの伯爵。その真面目で堅物とすら言われるほど、女性に対しては紳士である一方、戯れでも必要以上に関わらないことで有名な美丈夫だった。そんな騎士の鑑であり伯爵のミカエリスが、年頃の令嬢を密着してエスコートしていたという。そして、あまつさえ微笑を浮かべ見つめる眼差しは今にも蕩けてしまいそうなほど情熱的だったと別のメイドも言っていた。

 噂で、ずっとある女性に思いを寄せているとあった。その正体が判明した。

 間違いなく、エルメディア王女には勝ち目がないだろう。

 ここ最近は醜聞の多い王家でも、正妃の娘でありながら常に第一王子のおまけ扱いだった第一王女。王家というアドバンテージがあるが、その姿はオークの血が入っていると言われるほど醜く肥えているうえ、碌な噂がない。

 そして、アルベルティーナはあの王姉システィーナを偲ばせるずば抜けた美貌と、貴族の中でも屈指の家柄。四大公爵家でも最も力あるラティッチェ公爵家直系の令嬢。

 元帥にして広大な領地を有するラティッチェ公爵の愛娘。ラティッチェ領と云えば最近は商業にも力を入れていると名高い。国内の最先端はすべてそこに集うとすら言われる大商会を持っている。

 アルベルティーナは社交界に出ない。それは王家の失態が原因。誘拐の時に幼い頃受けた傷や精神的損害を含めて王家から多量の慰謝料を送られ続けている――治らない傷跡は、そのまま彼女の瑕疵となる。それは王家が彼女の一生を贖い続けるという契約だ。

 王族の血を引き、大貴族の家に生まれて将来を約束されたはずのアルベルティーナの人生を台無しにしたのだから当然だった。

 何もなければ、彼女はどんなに令嬢として性格に問題があっても、望めば次期王妃の第一候補だっただろう。

 アルベルティーナは領地で静かに隠遁するように過ごしている。彼女の名前を聞いたのは、少し前に王都からラティッチェ領、現在はドミトリアス領まで続く街道を整備したり、町の清掃に力を入れたりしているという実に地味なものだ。

 だが、それは地味でありながら人の生活に密着していた。多くの雇用と、直接的・間接的な利益を生み出したのだ。また、貴族たちがドミトリアス領の高級リゾート兼保養所に行くに、あの街道は欠かせないものだった。

 社交界で名を轟かせることはないが、生活に根付いた施政をする領民想いの令嬢は当然民に愛された。

街道が整備されたことにより、人の往来が増えた。安全かつ迅速に運搬できるようになった。より商品を取り扱いやすくなった商人の中には、見たこともないアルベルティーナを女神の様に絶対視するものもいるという。

 だが、あの感動すら覚える美貌を見たら、一層その信望は増しそうだ。

 第一位王子と第二王子が失脚し、急遽担がれた王女より、長らく国の重鎮として国内外から畏怖を集める生粋の実力者の愛娘。

 生家だけでいえば、王家のほうが響きはいいかもしれないが、少し現実を見れば断然後者の方がいい。

 何せあの美貌。そして少なくとも、万年ヒステリーな肉王女よりきつい性格ではないだろう。あの華やかな美丈夫の伯爵が顔で選ぶとは思えないが、そうじゃなくてもあの美貌は強烈過ぎる。何人もの騎士が腑抜けかけ、夢見心地になっていた。そのたびに、伯爵から絶対零度より厳しい視線を受けてびびりあがっていたが。

 王女がどう暴れても、ミカエリスはすでにもう手が届かない。

 相手がラティッチェ公爵家以外の娘であればどうにかなったかもしれないが、あそこまで親しげだとすでに彼は婚約者に内定している可能性は十分ある。そうじゃなくても、候補に挙がっていておかしくない。

 相手は頭が切れ過ぎて読めない公爵だ。

 触らぬ神になんとやら。恐怖の代名詞である魔王公爵を、態々突き回すのは利口でない。

 つい最近、第一王子のルーカス殿下がこっぴどくやられたばかりだ。

 その被害の余波はすさまじく、いまだに第一王子派は立ち直り切っていない。ルーカス殿下も、ラティッチェ公爵の怒りに触れてからすっかり塞ぎこんでいる。ここでエルメディア殿下までやらかしたら、正妃であってもメザーリン妃殿下の立場が危うくなるかもしれない。

 もともと、ラウゼス陛下が玉座についたきっかけが、ラティッチェ公爵であるグレイル卿と姪のクリスティーナの結婚を反対しなかったことから交友が始まったという話がある。それゆえにラティッチェ公爵が比較的当たりが優しいという噂もある。

 確かに卿は王家が嫌いなのは公然の事実なのに、王に対してはそこまで表立って対立はしてこない。やろうと思えば、彼は娘を使わずとも王家掌握など朝飯前のはずなのに。

 その息子である殿下たちのお仕置きの厳しさを見ると、その噂も首を傾げるが、十分殿下たちもやらかした後なので何とも言えない。

 いまだに暴れまわる肉王女を見て、メイドはそっと気づかれぬようため息をついた。

 本当は早く床も片づけたいのだが、絶えず物が飛んでくるので動けないのだ。

 そして思う――もっとあの絶世の美少女の顔を拝んでおきたかった。

 メイドの趣味は『美形観察』。美しい人を老若男女すべてにおいて愛している。あくまで観賞用として。

 その趣味故、この肉王女付きのメイド――という監視役をしている。基本仕事ができるうえ、どんなに親しくても麗しくない人間には一切絆されないメイドは、その性質故にこの役目につけられた可哀想な女であった。

 今までのおべっか使いの教師や使用人たちは軒並み公爵により排除された。

 新たにつけられたまともな教師たちは今からでも王女を矯正し、後々には然るべき場所へ嫁がせるために今から必死で動いている。しかし、王女にしてみれば甘やかしてくれる人間がいなくなり、一気に小うるさく厳しい人間に囲まれ非常にいら立っている。

 本当に彼女に必要なのはどちらかさえ、エルメディア王女には判断できないほど彼女の眼は濁り切っている。

 どうして王女なのに笑われるのか――その怠惰そのものの醜い姿と、子供じみた癇癪と浅はかな性格が透けて見えるから。

 どうして王女なのに敬われないのか――王女としてなすべきことをできない、知ろうともしない少女を誰が真に王女と仰げるのか。

 どうして王女なのに許されないのか――王族というのは、やるべき責務を果たすべくいる存在。利己的な行動、横暴が全て許されるわけではない。

 ノーブレス・オブリージュを滑稽なほどはき違えた王女。

 憐憫は覚えるが、同調や同情はしない。








 あの後、しっかり改めてエルメディア王女とミカエリスの婚約はなしという確約を得て、国王陛下の思い出話を聞いた私はようやく元の貴賓席に戻ってこられた。

 本来なら王家は王国の最高権力者。その国王陛下が王子殿下たちと王女殿下の非礼を詫びる形で、ドミトリアス家やラティッチェ家の行動もお咎めなしです。実際は婚約者でも何でもないのに、出張っちゃったしね。エルメディア殿下はあれでも王女だし、ある程度顔を立ててやって欲しいらしい。国王陛下が、内々とはいえ頭を下げるのだから飲まぬわけにはいきませんわ。むしろ陛下の心労を慮り、ミカエリスが恐縮しきりでした。

 あと、またお父様がご機嫌斜めになると困るって陛下がおっしゃっていました。

 お父様は陛下自体ともかくその奥方でいらっしゃるメザーリン王妃とはお世辞にも仲がよろしくないらしい。余り近づけたくないそうです。

 それが一番本音ではなくて? そう思ったのは私以外もいたはずですわ。

メザーリン王妃は実力もあり人望の厚いミカエリスにあの王女を娶らせて、派閥強化を狙いたかったようだ。ルーカス殿下の暴挙が余罪込みでお父様に滅茶苦茶絞られて、現在肩身が狭いらしい。ならお父様と交流あるミカエリスに手を出すなと思うのだけれど、王妃的にはお父様の派閥の人間を取り込んで一矢報いたかったそうですが――それ、むしろお父様がサクッとミカエリス処分フラグ…? もしくは王女派閥に巻き込まれて全面衝突? 大変やべえでござる。

お父様を口説き落としたジブリールの危機管理能力がぐぅ有能だということは理解しました。

 メザーリン王妃はお父様の私以外へのスーパードライっぷりを、まだ理解していないらしい。

 移動中、ミカエリスはずっとぴったりエスコートしてくれたおかげで、帰る途中数人待ち構えていた人たちは一睨みで散り散りとなった。

 何だったんだあれは。

 意味不明。

 気味が悪くてミカエリスに思わずくっついてしまったが、彼は笑顔でさらに抱き寄せてくれた。このまま片手で持ちあげたりしないでくださいましね?


「あれはお姉様に剣を捧げたいと、自ら名乗り出ようとしていたのですわ」


「あの方々、存じ上げませんが」


「貴賓席で、王族と負けず劣らずの場所にいる貴婦人など上級貴族のみ。

 おそらく、上手く行けば美味しい思いができると思う反面、下心もあったというところでしょう」


「騎士の誓いをその様に軽々しく使うべきでないかと…」


 そういうのって、下手をすれば一生モノなのでは?

 下心って何? 騎士が下心とか腐っていやがるとかしか思えないわ…ほぼ初対面の相手になんて。

 勝手な私の幻想かもしれないけれど、そんなことをしようとした人たちに顔をゆがめてしまった。


「大丈夫ですよ、アルベル。近づかせませんから」


「お願いします。いきなり知らない方に話しかけられても、恐ろしいだけですわ」


 ヒキニートの人見知りを舐めないでいただきたい。

 いきなり接近したら、ミカエリスに上るかもしれない。そしたら令嬢としてはパーフェクトアウトだ。

 折角被った猫が全て四散してずる剥けになってしまいますわ。

 気を付けなくてはいけないわ。ミカエリスと離れない様にてくてくと歩いていると、窓から外が見える。そこには屋台がひしめき、拓けた場所で大道芸をしている人たちが見えた。


「まあ、あれは何を売っているの?」


「串焼き、焼き菓子、あと揚げ物やスープ類ですわね。他にもパンや果実水、酒類も取り扱っていますわ。観戦しながら気軽に食べられるものが多いですね」


「たくさんあるのね」


 公爵家では見たことないものばかりだ。思わず立ち止まって眺めていると「いけませんよ」とアンナがちょっとだけ厳しい口調で止めにかかる。

 でも、滅多に屋敷から出ない私が平民たちの食べるものを窺い知るなんて貴重な機会だ。庶民は基本的に、黒パンと野菜のスープが食事の主流でそれプラス肉があるかはその家のお財布事情らしい。ラティッチェ領では中流家庭でそこそこ裕福であれば白パンも流通しているという。

 そもそも、私が庶民の生活を知ろうとしたりするのをあまり良く思わない節のある使用人たち。修道院の時も、情報収集しようとするたびに必ず「お嬢様には必要のないことではありませんか?」と非常に柔らかいものの、止めにかかられたものである。

 ジュリアスに至っては一定以上は「ダメですよ」と鉄壁の笑顔で突っぱねられた。

 ローズ商会の事業上必要な情報は多少教えてくれたけれど、基本上流階級向けの商品の取り扱いが多い。嗜好品や美容品、ファッションの取り扱いがメインだもの。

 私の中でへなちょこ悪役令嬢が囁く。



 …対お父様のおねだりって、アンナにも効くかしら?


「ねえ、アンナ」


「はい」


「どうしても、少し食べてみたいの――お願い」


 ちょっとだけ甘えるような声。ほんの少し首を傾げて、眉を下げて両手を顔の前で合わせたまま、じっとアンナの茶色の瞳を見つめる。

 じわじわとアンナの顔が真っ赤になっていき、そのままぐらりと後ろに傾いだ。隣にいたスミアともどもぶっ倒れるところでなんとか手をついて堪えたものの、スミアは腰が抜けたようになっている。


「そ、それは卑怯ですよ、お嬢様…」


「ねえ、少しだけ。たくさん欲しいとか、お酒が欲しいとかじゃないわ。普通のものでいいの」


 イケるかな? イケるかな? 結構効いているっぽいんだけど。

 内心すごくドキドキしながら、アンナにさらにお願いをする。命令するのは簡単だけど、それじゃダメなのよ。

お願いという形でもかなり強制力はあるけど、メイドとして私に不審なものを食べさせられないという大義名分のあるアンナは、突っぱねることもできる。


「ねえ、アンナ。ダメ?」


「…………お一つでしたら」


「ありがとう! アンナ!」


「……アルベルティーナお嬢様、恐れながら私からも一つお願いが」


「なぁに?」


「それは絶対、公爵様以外、特に男性にはやらないでください」


「…私がねだる相手なんて数えるほどよ?」


「やっていませんよね? 特にジュリアスやキシュタリア様とか!」


 這いずる様に私の方にやってきたアンナは、よれよれで顔を真っ赤にした状態で、しかし口調はしっかりと問いただしてきた。

 何故ジュリアスとキシュタリアの名前が? まあ私の身近な男性なんて彼らくらいよね。


「お父様以外にちゃんとおねだりしたのは、アンナが初めてよ?」


「お嬢様……そういうところです。そういうところがお嬢様を外に出せない原因です」


 解せぬ。

 ヒキニートには分からない事情でござる。

 なんで泣きそうな顔なのに嬉しそうなの。器用すぎるアンナの表情筋に首を傾げることしかできない。

 とりあえず屋台の軽食を一つゲットできた。飲み物でもいいのかしら。ウキウキしていた。何故かミカエリスがすごく顔を逸らし、ジブリールは真逆でこちらをガン見していたのは少し気になったが、この際置いておこう。

 アンナは「知っていたけど、知っていたけれどお嬢様が可愛すぎて辛い…幸せ過ぎて辛い」と意味不明な事を言って空を仰いでいる。毎日顔見ているじゃない。

 普段冷静なアンナがご乱心でござる。

 天啓でも受信したように「ふぉおお」と呻きを上げて手を空に向けて伸ばしていたので、その手を取るとさらに呻きは増して悪化した。

 本当にご乱心でござる…この技はお父様以外には封印しておこう。

 へろへろなアンナを気にしながら、貴賓席に戻る。ミカエリスは出場者であり、優勝者としての部屋もあるらしいが私を気にしてかついてきてくれた。

 スミアが扉を開けると、そこには屋台の料理らしきものがずらりと並んでいた。

 スミアが閉めた。その顔は驚愕に染まり、若干震えながら混乱の坩堝に陥ったことがよくわかる。自分の目を疑っているようだ。

 一度開いた扉から、僅かに香ばしい串焼きや焼き菓子の甘辛い匂いが漂う。それが、先ほどの光景が現実だと知らしめていた。


「影の仕業ですわね。一つでいいとお姉様も仰っていたのに、先走りましたわね」


「まあ、嬉しいわ。影の皆さん、ありがとう」


「アルベル、アンナとスミアに念のため毒見をさせてからお召し上がりとなります。

 それは譲れません。ご了承いただけますか?」


「ええ、勿論!」


 ニコニコと即答すると、少し苦笑したドミトリアス兄妹。その表情は兄妹らしく、似通っていた。

 ついさっきの会話から、どうやってここまで揃えたか謎過ぎるが深く考えない。

 実は影が「下手にうろついて買い物したがられると困る」「そうじゃなくても迷っているうちに欲しいものが無くなったりしたらそれも不味い」とすべて先回りして買い、本来なら数枚の銅貨や銀貨で済むはずのものを金貨を叩きつけ、まさに金に物を言わせて分捕るようにしてかき集めたのだった。

 公爵家の影は、長年アルベルを見守っているのも少なくない。

 隠れガチ勢が多い。

 屋敷に公爵不在の時などは、YESお嬢様NOタッチの精神で、気配を殺して常に見守り続けていた公爵公認ストーカー状態の護衛たちである。


 などと、ポンコツは当然知ることがないのです。


 なんだか自分にとても嬉しい展開になったのは理解して、暢気に喜んでいた。





 読んでいただきありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ

 気に入っていただけたら下からブックマーク、評価、レビュー、ご感想等を戴けると嬉しいです。

 面白い、楽しいといったお声、いつもとても嬉しく拝見させていただいております。


 

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