平成不況以降、就職氷河期を生まなかった政権は「第2次安倍政権」のみという事実

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月2日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。7月の有効求人倍率が1.08倍であったという厚労省の発表について解説した。

「桜を見る会」を終え、記者の質問に答える安倍晋三首相=2018年4月21日、東京・新宿御苑 写真提供:産経新聞社

7月の有効求人倍率1.08倍、7ヵ月連続で低下

厚生労働省は9月1日、7月の有効求人倍率が1.08倍になったと発表した。前月を0.03ポイント下回る7ヵ月連続の低下となっている。

飯田)有効求人倍率とは、仕事を求めている人1人に対して、企業から何人の求人があるかを示す指標です。仕事を見つけにくいということと、失業率も悪化しています。

2012年卒採用の合同企業説明会。氷河期と呼ばれる就職活動が本格的に始まった=2010年10月3日 写真提供:産経新聞社

平成不況以降、就職氷河期を生まなかった政権は第2次安倍政権のみ

佐々木)8月末で、コロナの雇い止めが5万人余りです。7月末が4万人でした。これは厚労省の数字で、ハローワークなどへ相談に来ている人たちの数なので、就職をあきらめてしまった人の数字を含めると、これよりも多いでしょう。いまの状況がいつまで続くかわかりません。雇用の問題を見ていつも思うのは、メディアの関心が低いということです。安倍政権が終わりますが、その評価についてはいろいろな記事が出ています。モリカケ問題や桜を見る会、安全保障法制などがありました。しかし、この間に雇用が回復していたことを評価するメディアは、極めて少ないです。1997年以降、平成不況以降で、就職氷河期を生まなかった政権は第2次安倍政権だけです。

飯田)それ以外の政権は、どこかで就職氷河期を生んでいたのですね。

佐々木)リーマンショックの後は民主党政権でした。

飯田)あのときも新卒は苦しみました。

佐々木)実際、大学の先生と話をすると、ほとんどの方が「卒業生の就職がよくなった」とおっしゃっていました。ここを評価すべきです。メディアの人は給料がよく、正規雇用の正社員が多いので雇用問題に興味がなく、どちらかというと安全保障や憲法など、飛び道具的なものに興味を持ってしまうという偏りがあるのではないでしょうか。景気がよくて雇用が生まれれば、政権支持率は高くなります。コロナ対応で安倍政権が失敗したとは思っていませんが、不安が社会に広まり、コロナが収まらないとなると政権支持率は落ちます。もはや政策やリーダーシップではないところで、社会に対する不安が政権支持率の低下を生んでいる感じがしなくもないですよね。そこまで言い切ると、「では政治の役割は何か」という根本的な問題になってしまいますが。

首相「新しい時代つくる」在職日数が憲政史上歴代1位となり、記者の質問に答える安倍首相(左端)=2019年11月20日午前、首相官邸 写真提供:共同通信社

安倍政権に若者の支持が多かったのは経済や雇用の問題から

飯田)経済という言葉には、もともと「経世済民」という意味があります。安心を提供するという意味では、まさにツールとなりますよね。

佐々木)メディアはテレビのコメンテーターもそうですが、日ごろから「庶民の代弁」などと言っているけれど、庶民が求めていることを見極めた方がいいと思います。代弁と言っておきながら、憲法や安全保障ばかりを取り上げるのはどうなのでしょうか。そんなことに庶民は関心がありません。

飯田)安倍政権の支持は若者が多かったということで、若者の右傾化と言われましたが、本当は経済や雇用の問題が大きいですよね。

佐々木)就職できることは幸せです。それを右傾化という言葉で片づけてしまうのは、偏っていると思います。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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