今回は、西ハイランドのスコッチ、ベン・ネヴィス10年を改めて飲もうと思います。

ニッカが所有するスコッチ蒸溜所

nevis2020_ハイランド地方西部、フォート・ウィリアムにあるベン・ネヴィス蒸溜所は、1825年にロング・ジョンことジョン・マクドナルドによって設立されました。
ベン・ネヴィスとは、フォート・ウィリアムの近くにそびえ立つイギリス最高峰の山の名前で、蒸溜所はこの山の麓にあります。

1955年には、連続式蒸留器が設置され、モルトとグレーンの2つの原酒を製造できる蒸溜所となりました。

1980年代には様々な所有者に渡っていきましたが、1989年にニッカウヰスキーが買収し、現在に至っています。

同蒸溜所ではオフィシャルボトルとして、シングルモルトのベン・ネヴィス10年と21年、ブレンデッドウイスキーとしてフォート・ウィリアムとネヴィス・デューをリリースしています。

2020年9月下旬には、ニッカから新しいブレンデッドモルトウイスキー「セッション」が発売されますが、余市、宮城峡と並んで、このベン・ネヴィスの原酒がキーモルトとして使われるそうです。

今回はセッションを飲む上で、改めてベン・ネヴィス10年を飲んでみようと思った次第です。

レーズンとナシが香る。だが軽い

グラスからの香り、液色

香りはラムレーズンを思わせるアルコール感とブドウの香りが半々に訪れます。
液色は淡いシャンパンゴールドです。

ストレート

香りは、アルコールの刺激はなく、ラムレーズンとナシの爽やかな香りが広がります。奥の方からはバニラや生クリームの甘い香りも多少感じられます。

味わいは、多少のほろ苦さを持ちつつも、しっかりとした酸味が主体です。アルコールからの辛みは少ないです。

ロック

香りは、ラムレーズンと言うよりもマスカットに近い香りに変わり、フルーティさが強まった印象です。奥からは樽からのウッディな香りも感じられます。

味わいは、苦みがストレートよりも強く感じられます。酸味はとげとげしさが薄れるものの、苦みと共に主体を成します。

ハイボール

1:3で割ると、引き続きマスカットやナシの甘い香りが広がります。奥からはウッディさも得られます。

味わいは、苦みが抑えられ、酸味が強調されます。その後は甘みも得られるようになります。

まとめ

10年熟成ならではのまろやかさはあるものの、ブドウやなしの香り一辺倒で、それほど広がりのあるボトルとは言えません。
シングルモルトとして個性的と言えばそれまでですが、そのまま飲むには少々物足りないかも知れません。

これがベン・ネヴィスのモルトのすべてだとなれば、ブレンデッドのキーモルトの一つとして使うには使いやすいのかも知れません。
9月のニッカ セッションがどういうものになるのか、楽しみにしたいと思います。

<個人的評価>

  • 香り C: 白ブドウ、ナシの香りが主体。加水でウッディさも顔を出す。
  • 味わい C: アルコールからの辛みは少なく、ストレートでも飲みやすい。しかし苦みが目立つ。
  • 総評 C: 個性的だが、シングルモルトとして飲むには物足りない。全体的にはライトボディ。