「安倍首相がやる気がなくなっている、辞めたがっているという話は、すでに5月くらいから出ていて、週刊誌が書き立てていたからね。6月になると、それに拍車がかかって、判断能力が停止しているのかと思うくらい投げやりな態度を示すことも珍しくなくなった。それと、6月に国会を閉じた後は、とにかくもう国会に出たくない、の一点張り。病気以前に、モチベーションが完全に低下していた」(政治評論家)
しかも、これから安倍首相を待ち構える事態は、さらに厳しくなるのが確実視されていた。新型コロナ感染は一向に収束する気配を見せず、対応の失態が次々明らかになる。経済はこれからますます悪化するのに、アベノミクスで金融緩和を限界までやっているため打つ手がない。政権浮揚のために一縷の望みを賭けてきた東京五輪は中止の可能性が高く、年金積立金の巨額損失や財政悪化など、自らの政策と政権運営のデタラメがバレて、責任を問われる問題が次々浮上する。
おそらく、安倍首相はこれ以上政権に居座っても良いことはない、むしろこれまでの失政を追及され、責任をとらされると判断し、かなり早い段階で、総理在任最長記録を打ち立てた後の辞任を決めていたのではないか。
そして、その日に向けて健康不安情報を少しずつ流し、潰瘍性大腸炎が再発したことを理由にして、辞任した。
潰瘍性大腸炎の再発が「仮病」だとまで言う気はないし、実際、自分への批判が高まったストレスで持病が悪化した可能性もあるが、しかし、前述したように、それは少なくとも辞任が必要なほどではなかった。賭けてもいいが、6月くらいの時点で支持率が回復していたら、もしくはコロナ感染が収束して東京オリンピック開催が確実になっていたら、安倍首相は絶対に辞任なんて表明しなかったはずだ。