安倍首相が辞任を表明「国民の負託に応えられない」
2020年8月28日 18時19分
安倍晋三首相は28日夕、首相官邸で会見を開き、「総理大臣の職を辞することといたします」と辞任する意向を述べた。持病の悪化で職務の継続が困難になったといい、「国民の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にありつづけるべきでない」と理由を語った。
首相は、潰瘍性大腸炎の持病があり、会見で「6月の定期健診で再発の兆候がみられる」と指摘されたと説明。薬を使いながら職務にあたってきたが7月中ごろから体調に異変が生じ、8月上旬には再発が確認されたという。
新しい薬も投与を受け始め、継続的な治療が必要な状況と明かした上で、「病気と治療を抱え、体力が万全でない苦痛の中、大切な政治判断を誤る、結果を出せないことがあってはならない」と語った。
新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向に転じ、今後の対策を取りまとめることができたことから、「新体制に移行するならこのタイミングしかない、と判断した」と強調した。
2012年12月の第2次内閣発足から約7年8カ月、改憲や北朝鮮による日本人拉致問題の解決に道筋を付けられないまま退陣となった。「拉致問題をこの手で解決できなかったことは痛恨の極み」と話した。「ロシアとの平和条約、憲法改正、志半ばで職を去るのは断腸の思いだ」と述べた。
13年前、突然辞職することになった第1次政権に続いて任期途中で、コロナ禍の中での辞任に、「国民のみなさまに心よりおわびを申し上げる」と謝罪した。
後任については、「私が申し上げることではない」と述べるにとどめた。次の衆院選には「1議員として臨む」として、政界引退は考えていないことを明らかにした。
首相は東京・信濃町の慶応大病院で半年に1回程度のペースで人間ドックを受けており、直近では6月13日に受診。さらに今月17日には同病院で約7時間半にわたって「日帰り検診」を受け、24日に再び受診した。両日とも「検査」と説明していたが、異例の2週連続の通院で、体調不良との臆測が広がっていた。首相は第1次安倍政権時の2007年9月、持病の潰瘍性大腸炎の悪化を理由に退陣していた。
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