5. 発覚5ヶ月前・からっぽ

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行き詰まっていた時、実家に帰省する日がやってきた。 毎年、私と旬が先に帰省し、後で航大が迎えに来て一泊する流れだった。 「今年は俺が泊まるのはパスさせてくれ…」 「うん、わかった」 「迎えには行くから…」 「ありがとう…」 そんな会話だけをして、旬と二人で電車とバスで帰省した。 「今年は家族3人分の茶碗を作るよ」 「お茶碗?難しそう」 「大丈夫だよ、じぃちゃんが教えてくれるから」 「本当に~?」 旬は寡黙な父と、唯一壁なく話せる。 あまり話さない父が、なぜか旬とだけは会話が弾む様子。 旬は帰省の度に父に陶芸を教えて貰い、作っていた。 電車の中で、そんな話して盛り上がったものの、私の心の中には航大とのことばかりが渦巻いていた。 不安で不安で、仕方なかった。 「ばぁちゃん!!」 実家の最寄り駅に到着すると、母が愛車で迎えに来てくれていた。 「旬君、また大きくなったねぇ!」 抱き締めようと手を広げた母だったけれど、旬が照れて立ち止まって「こんにちは」と挨拶した。 「あぁ~もうギュッとする年齢じゃないかぁ~」 母は残念そうに旬の頭を撫でた。 「ごめんね、忙しいのに。ありがとうございます」 私がそう言うと、母は私を見て目を見開いた。 「どうしたの?」 私が問い掛けると、 「いいや、何にも。ちょっと老けたんじゃないの?」 「えっ!?ひどっ」 母は旬を助手席に、私を後部座席に乗せて、自宅へと向かってくれた。 私の実家は街から少し離れた山の麓にある一軒家。 周りは割と森で、車で15分も走らせれば都会なのに、自宅周辺はコンビニも徒歩圏内にない田舎。 父の作品作りの為、わざわざこんな田舎に住んでいた。 「じぃちゃんは?窯?」 「多分そうだと思うよ」 「行ってくる!!」 車が駐車場に着くと旬は飛び出して行った。 「旬!気をつけてね!!」 「わかってる!」 旬は振り返りもせずに答え、斜面に作られた急な階段をのぼっていった。 私は母と一緒に家へ荷物を運ぶ。 「矢代の皆さんは元気なの?」 「うん。元気よ。お婆様も元気」 「そう。おいくつだったっけ?」 「92歳」 「100まで後8年だね」 そんな会話をしながら、私は久々に実家のソファに身を沈めた。
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杏ちゃんのご両親は離婚を悲しんでも、きっと二人を受け入れてくれるよ! 実家を頼って良いんだよ!

ぴぐさん。あと何ぺ-ジ堪えればいいですか?

実家に帰っている間、航大が何をしているのか考えると、気持ちが悪い。この状況はいつ打破できる?こんなことのできる人間が幸せになれるはずがないけど、今は読んでいるのも辛い。😢

お母さん 杏ちゃんの変化に気付いてくれてますね😭杏ちゃんは遠慮があるかもしれないけど、旬くんの事も可愛がってくれてるしご実家を頼っても良いのでは?

お母さんは杏ちゃんの姿に異変を感じたようですね。いざとなれば、強い味方になる! 娘の幸せを願わない母はいないのだから💧

杏ちゃん、実家と良い関係じゃない。もう、旬君連れて実家帰ろう😖

実家のご両親は、杏ちゃんを見て心痛めるのでしょうね。

ばぁちゃんと言ってもきっとまだまだお若いですよね😊旬くんのことを、杏ちゃんのご両親が心から可愛がって下さっている様子に安心しました🌟杏ちゃんは、お母さんにも敬語で😥

実家で癒されるなら良いのにね…😭

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