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航大は数年に1回、あんな風に私にも気持ちを閉ざす時がある。
人間浮き沈みはあるから、それは特に深く気にしないようにはしているものの…
「杏ちゃん、たまごはめだまやきにしますか?スクランブルエッグにしますか?」
私は居間で花梨ちゃんとおままごとをした。
花梨ちゃんに玉子の調理方法を聞かれて、
「スクランブルエッグでお願いします」
と言うと「手を洗ってまっててください」と花梨ちゃんはおもちゃのフライパンで調理をはじめた。
「航大、父さんとぶつかってるんだって?」
私と花梨ちゃんの様子を見ながら、楓花さんが幼稚園の書類に目を通していた。
「あっ…はい…」
「マツイさん、過剰な接待を子会社から受けてたみたいで父さんの逆鱗に触れたのよ。でもマツイさん、従業員からの信頼は厚いからね…。航大もマツイさんが居る状態での部長職就任はイヤよね」
楓花さんが教えてくれた。
「…何とかならないものですか?」
「まぁ、航大が営業部長になるのは規定路線だし、ちょっと早まっただけだからね。繋ぎで誰かに営業部長をさせるわけにはいかないでしょ」
内部のことがわからない私でも、楓花さんの言っていることはわかる。
「まぁ、家でしっかり甘えさせてやってよ。杏ちゃんの癒しがあの子の源だから」
「そんな…」
「ホントよ」
楓花さんはそう言って笑った。
「さぁ、花梨。幼稚園行こうか」
「えーっ。まだスクランブルエッグつくってるのにぃ」
「帰ってからにしてちょうだい。ママは目玉焼きがいい」
「もぉ~しかたないなぁ~」
楓花さんは花梨ちゃんに幼稚園の帽子を被せた。
楓花さんと花梨ちゃんがこの矢代に戻って来たのは、昨年の春だった。
離婚理由は「性格の不一致」。
楓花さんはご両親に相談することなく、春に戻って来た段階では離婚届も提出され全て終わっていた。
「ムリムリと思ってたけど、やっぱりムリだった」
そうあっけらかんと言って出戻ってきたと義母から聞いた。
「あの子は昔から何でもチャキチャキしちゃう子で、悩まないのよ。子供がいるんだから、少しは堪えて欲しかった」
と義母は言っていたけれど、楓花さんから何かを聞いたわけではないから真相はわからない。
航大は、
「姉貴は短気だから」
と言っていた。
私にはそんなことはない優しい義姉だ。
昼ごはんは、航大の好きな親子丼にしてみた。
昼休憩でみんなが集まって食べる時も、大好物の親子丼を食べたら周りのことなんてお構いなしに褒めちぎってくれる。
だけど、今日の航大は静かだった。
さすがにお義父さんと同じ席だし、いつも通りにいかない。
それでも完食してくれたから、ホッとした。
「明日から沖縄だったわよね?」
重い雰囲気の中、義母が聞いてくれた。
航大は返事しない。
「はい。朝の便です」
私が答えた。
「旬ちゃんにお小遣いあげたいから、杏ちゃん言付かってね」
「あっ…お義母さん、すみません…」
そんな会話をしていても航大は何も言わなかった。
食後、みんなが会社へ戻って行ったタイミングで、航大だけが戻って来た。
「杏」
片付けをして居る私に声を掛けてきた。
「航大」
キッチンの入り口で距離を保ったまま、
「明日からの沖縄、旬と二人で行ってきてくれないか?」
「…えっ?」
まさかの話に私は驚いた。
「悪いけど、今は家族旅行って気分じゃない」
「えっ、でも…。旬は楽しみにしてるし、航大も行けば気分転換に―」
「無理だよ。今は仕事の事で頭がいっぱいだ」
言い切られてしまい、私は言葉に詰まる。
「俺の分、キャンセルしとくから」
「えっ、待って」
私は航大に駆け寄る。
「仕事、はじまるから」
航大はそう言って私に背を向けて会社に戻ってしまった。
仕事と言われてしまったらそれ以上今は言えなかった。
妻子を遠ざけて愛人に会いに行くの? 一晩でのめり込み過ぎじゃない?
仕事もきっと上手くいかないね。
のんってそんなにいい女なの?
浮気をしてしまった後ろめたさを会社でのゴタゴタで誤魔化して、挙句の果てに杏に離婚を仕向けていくなんて、何て卑怯なの?どうか杏が不利な状況にだけはなりませんように(T^T)
こんな一晩で変わるのも何か腑に落ちない気がしてきました。そこはぴぐさんワールド。どう展開するのか楽しみに…。
旬くんとの約束まで反故にしてまでのんの所へ行ってたなら最低😣飲み会に行く前は杏ちゃん大好き!って感じだったのに本当に人って一晩でこんなに変われるものなのかしら?
旬が楽しみにしてたのに、のんに会いたさに突然キャンセルするとは😨 しかも他の家族が居ない時を狙って言う狡いさ。航大が思いっきり後悔する時を楽しみにしてます。
スポーツマンが心も強いとは限らない 。むしろガラスのハートだったりする。家業って航大の本来やりたい仕事だったのかな? 壁にぶち当たり迷っているとき、妻以外から差しのべられた手を思わずとり道を外したか
読者が今受けている印象なら、既に航大の癒しはのんにシフトチェンジしたって事でしょうね。沖縄行かずに、のんに癒して貰う積もりなんでしょうね💢仕事も人からの信頼も家族も失う破滅への道へまっしぐらですね!
たった一晩で人間こんなに変わるもの?まぁ、落ち込むこともあるけどさ。ひで~男やわ。ゲス野郎だな。最後までゲスなのかぴぐ様ワールドにワクワク😃💕
いかにも気持ちが落ち込んでる感を出されたら、昨夜の連絡無しを追及出来なかった感じかな? 遅くまで何処で誰と飲んでいて何時に実家に帰って来たかちゃんと聞けていたら可笑しな点に気が付いたかも?
跡継ぎのプレッシャーとはいえ、妻への感謝を忘れ、旬との約束を反古にするほど、のんは特別な毒を持っているのか?
あぁぁ…胸が痛い😭航大はLINEでノリノリだったから仕事の事なんか悩んでないよ💢
相手の女がなんかあるのかなぁ?昔の女には弱い部分、弱みをみせていたのか?しかし10年以上会ってない女になぜだ?またサスペンスだあー😵謎すぎてわからない〜
ぴぐさまだもの💖、いっぱい持ってそう✨。楽しみです。
けどさ、飲み会寸前のクルマの中でキスしたんだよね…一晩でこんなに人間変わるもの?過ちで後ろめたいって感じでも無さそうだし。ぴぐさん、隠し球持ってそう
浮気の始まりで頭の中がお花畑になっちゃってる?妻子が不在→心配無く会えるって…😢
本当に仕事で頭がいっぱい…?この状態で会いに行ってコントロールされちゃったんだろうなぁ
ぴぐさんのお話 すっごく好きで大ファンですが。。。読めば読むほど気持ち悪くなってくるのは私だけでしょうか😢⤵️⤵️
人気コメディアンだったオ◯ロのNさん騒動を思い出しました。弱った心に入り込んで「うまくいかないのは特定の身近な人のせい」と設定してその人を憎み遠ざけ忌み嫌うように仕向ける、みたいな。
あ~あぁ。。。 ここから不倫へまっしぐらになっていったんだね😫
女に会いに行くのかな?最低だなぁ!
うわ。最悪!旬くん楽しみにしてたのに。切替が下手なひとだな。で、自分は女に会い行ってるんかいな。どうかと思うよ。
どのくらいの、実家の会社かわかりませんが航大に、継がせたらパンクしますよお父さん😥