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土曜日、航大の運転で目的地のグラウンドへ到着した。
航大は持ち込んだテントを張ってくれて、その下に椅子を並べて日焼け対策もバッチリ。
「杏ちゃん!」
声を掛けてくれたのは優子さん。
「優子さん!お久しぶりです!」
「うん、久しぶり。旬君、また大きくなったね」
優子さんは私の隣に立つ旬を見て目を細めた。
旬の身長は140センチほど。
158センチの私までもう少しだ。
「おはようございます。ご無沙汰してます」
旬は優子さんに挨拶をした。
「礼儀正しい…。さすがね…うちの一とは出来が違う」
「そんなことないですよ、優子さん」
一君は、優子さんの長男君。
「おう!旬っ、タグラグビーしようぜっ」
「こら、一!先にご挨拶でしょ!?」
バタバタとやって来たのは一君。
優子さんに注意されて「おはよう…ございます」と言ってくれた。
「おはよう、一君」
挨拶を交わしていると、
「杏ちゃん、おはようございます」
と二葉ちゃんもやって来た。
「二葉( もするから、一緒にしよっ!」
優子さんとこの長女の二葉ちゃんも旬を誘ってくれる。
「旬、行ってこいよ」
航大が車からクーラーボックスを運びながら言った。
「………うん」
旬は返事をしたものの、これはやりたくないやつだよな…と私は心配して旬を見る。
旬は私の顔を見て、
「ちょっとだけしてくる」
と言って一君達とグラウンドへ出て行った。
「旬君大丈夫だったかな?ごめんね、うちの子達が…」
「優子、そんな謝ることじゃないよ。逆に誘って貰って有難い」
航大はそう言って笑った。
私も「大丈夫」と優子さんに言った。
航大と優子さんは同い年。
「あっ、矢代君聞いた?鳥羽先輩、日本に帰って来てるんだって」
優子さんが航大に話を振る。
「鳥羽先輩が!?あの人、ずっとアメリカだったろ?」
「それが、こっちに戻って来てて東京の救命センターにいるらしいよ」
「マジか。やっぱカッコいいな」
鳥羽先輩は、私も何となく知っている。
航大と同じ大学の学部違いで2つ上、同じラグビー部に所属していた。
5年くらい前にアメリカに渡ったと聞いている。
航大が「カッコいい」と憧れる先輩の一人だ。
「こっちに戻って来ないかな~」
「こんな田舎に戻って来ないだろ。東京の病院の方がいいんじゃない?」
「そうかな~…」
二人の会話を聞きながら、私は旬を眺めていた。
馴れないながらも、輪の中で奮闘している旬。
「矢代、そろそろみんな集まったかも」
神田さんが顔を出した。
「おっ、杏ちゃ~ん!今日も若いねっ!」
神田さんが私を指差してウインクする。
これは神田さんのいつもの挨拶。
航大との馴れ初めをずっと見ている神田さんは、当時私が高校生だったから「若い」を私に連発していた。
年齢は抜かせるものではないから、私は神田さんよりはいつまでも若いのだけど…
「神田さん、私、もう29歳ですよ…」
若くないですと言ったつもりが、神田さんは雄叫びを上げる。
「まだ20代かよ~っ!!」
天に向かって叫ぶ神田さんを優子さんがグーで小突く。
「悪かったね、30代でっ」
刺々しく言った優子さんに、
「いや、優子はいつまでも可愛いから」
と神田さんは言った。
私と航大は顔を見合わせて笑った。
その日、午前中はラグビーの練習。
午後は仲間内でバーベキューを楽しんだ。
心配していた旬も、一君や二葉ちゃん、他の子供達とドッチボールをしたり、ゲームで遊んだりして馴染んでいた。
杏が恋をするのかな?
鳥羽先輩、この先物語にどう絡んで行くのかなー😊
不倫もの、、もうそれだけで心臓バクバクさせながら、毎ページ毎ページもやもやハラハラしながら読んでます。でもぴぐ作品!ついていきます‼
私は杏と航大の恋がそもそも罪なのかも…と思ったりします。航大の過去とかが絡んで来るかな~まだまだ幕は開いたばかり。どう展開するか想像つきません。杏ちゃんの幸せ🍀を願ってます😢
読み始めたばかりなのですが、航大の不倫の恋が罪なのか…今後杏が別の人とする恋が罪なのか、はたまた別の恋なのか??楽しみにしています🎵