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―――……
「お母さん、車出して」
その声に目をうっすらと開けると、旬が学校の制服姿で寝室のベッドで眠っていた私を揺さぶっていた。
その姿に飛び起きた私。
「な、何時!?」
「7時」
旬の回答に青ざめる。
「ご、ごめん!あ、あ、朝ご飯用意するから」
私は寝室のクローゼットを開けて着替えを出す。
「パン食べたからいい」
「ご、ごめんね!旬、お父さん起こして!」
着替えを持って洗面所へ行く前に、同じ寝室のベッドに寝ていた航大を起こすように旬に頼んだ。
寝坊してしまった。
いつも5時半に起きて、身支度して、朝御飯を準備、起きてきた旬にご飯を食べさせて、車で駅まで送るのが日課。
旬は夫が卒業した私学に通っている。
電車で30分の道程。
自宅から最寄り駅まで歩いて20分の道程の為、毎朝駅まで送っている。
私は着替えてファンデーションと眉毛だけを描いて、洗面所を出た。
バタバタと廊下で航大とぶつかる。
「俺が旬を駅まで送るよ!」
航大はスウェット姿のまま、車のキーを持っていた。
「で、でも!」
「いいから。急いで事故ったら大変だ」
航大は私の頭を撫でて、玄関へ走った。
旬はもう準備を済ませて玄関で靴を履いていた。
「旬、ごめんね」
「年に何回かあるよね」
旬が溜め息をつく。
「ご、ごめんね」
「お前が起きてたなら早目に起こしてくれたらいいだろ?偉そうに言うな」
私が旬に謝っていると、航大は旬に注意した。
「だって―」
「いいから、行くぞ」
飛び出した航大を、旬は追い掛ける。
「いってらっしゃいっ!!」
玄関扉が閉まる前に私は声を掛けて見送った。
車のエンジン音がして、出発したのがわかった。
私は、リビングダイニングへ移動し、壁掛け時計を見た。
旬がいつも乗る電車には間に合いそうだ。
ホッとした。
キッチンへ行くと、食パンの袋が開けっ放しで調理台に置いてあった。
シンクにはまな板と包丁、フォークとお皿にマグカップ。
キュウリのヘタがゴミ箱に捨ててあり、ココアの粉を開封した形跡もあった。
旬はしっかり朝食を食べている様子。
それにもホッとした。
私はまず片付けをしながら、航大の朝食作りに取り掛かった。
パンが乾かないように封を閉め、床に少し溢れたココアの粉を拭き取り、洗い物。
それをしながら、お味噌汁を作った。
航大は結婚してからずっと朝は和食。
旬は高学年に上がってからパンを好むようになり、それぞれの準備が必要だった。
卵焼きを作って、魚を焼いている間、雑に仕上がったお化粧も直せた。
暫くして航大が帰宅。
「間に合ったよ」
リビングダイニングに入って来た航大は、キーケースをリビングの棚に仕舞いながら言った。
「ごめんね、ありがとう」
「杏が悪いんじゃないよ。俺にも半分責任がある。昨夜無理に起こしたから」
航大はイタズラな表情でそう言い、私は少し赤くなる。
昨夜遅くに航大に求められて、それを受けた。
私達は結婚して10年になるけれど、セックスレスなんて無縁だった。
航大は昔と変わりなく、私を愛してくれた。
「朝御飯、もう出来るから」
話を変えた私に、航大は笑った。
麗美に次ぐ、新たなぴぐ悪女の登場ですかね...(>_<)今度は夫婦だし、子供いるしね。どうなるの~(´;ω;`)ウゥゥ
何がきっかけだったのだろうね…
やばいよやばいよ、航大が雅人ならともかく、蛍や恭一郎だったら、ここからどうやって読者は乗り越えればいいの?😭どんどんハードル上がってる。
更新量がたくさんでありがたいです✨😅
😎✨こーだい、貴方はいったい何を抱えてる?
既に航大sideが読みたい私(笑)
年に何回か朝起きられない日があるほど、愛されていたのに(旬君鋭いな(笑))ちゃんと奥さんのフォローも優しくしてくれる旦那さんだったのに、何故...(>_<)相手の女の悪意を感じるのは私だけですか?
本当に幸せな日々...だったんだね(ノД`)・゜・。
ぴぐ作品、毎回ですが…一気読みしたい(>_<)
タイトル通り 幸せな日々 なのに 何故😭