今週月曜日、ロシアのメドベージェフ大統領が我が国固有の領土である北方四島の一つ、国後島を訪問しました。
北方領土は、ソ連が昭和20年の終戦間際に日ソ中立条約を一方的に破棄して参戦し、占領して以来、65年間にわたって不法占拠してきました。
今回のロシアの訪問は、改めて実効支配を既成事実化し、日本をけん制しているのです。

ロシアの最高指導者が北方領土に足を踏み入れたのは、冷戦時代の旧ソ連を通じても、過去に一度もなかったことです。
そのようなことをすれば、日本が国際社会に訴えて、ソ連は批判を受けて国益を損なうとの判断があったからです。
今回、ロシアは対日戦勝記念日を定める国内法を制定するなど、事前に日本側の出方を見定めてきました。
しかしその間、菅総理も前原大臣も全く抗議をしませんでした。
そして、普天間飛行場移設問題を巡って日米関係が揺らいでおり、日中関係も険悪になっているこの機に乗じて、北方領土の不法占拠の固定化を狙う暴挙に出たのです。
民主党政権の足元を見透かして行なったものであり、我が国の主権をないがしろにする行為を招いてしまいました。

尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を巡っては、民主党政権が中国首脳に気兼ねして、検察に責任転嫁して中国人船長を釈放しました。
証拠ビデオの公開を決めなかった為、中国は理不尽な主張を繰り返しています。
圧力に屈する大失態を犯したばかりか、昨日は海上保安庁が撮影したとみられるビデオ映像が流出するという最悪の事態が起きてしまいました。
この情報管理の不備によって、新たに安全保障上の重大な懸念も生まれています。
一連の民主党政権の弱腰外交は、更に北朝鮮や竹島問題の争いがある韓国などとの関係にも波及する可能性もあります。

我が国の領土・領海を守る気概や戦略もなく、国益を大きく損ねる、まさに八方ふさがりの民主党政権の軸なき外交を一刻も早く改めなければなりません。

明日から麻生政権で横浜への招致が決まったAPECが開催されます。
各国の首脳へ北方領土問題や尖閣問題に対する我が国の立場をアピールする絶好の機会です。
国際社会に対してあらゆる機会を通じて我が国の主権と正当性を一貫して主張するとともに、民主党政権に日本外交の軸である日米同盟の再構築を早急に図ることを求めていきます。
来週からの国会論戦でも、このことをしっかり訴えていきます。