画像 画像 画像

(小比賀さくら)
あっ 私ですか？

あぁ…｡

(寛子) はい｡

あぁ えっと…｡

はい｡

あの子のお父さん 異常だな｡

親と同級生なんて 絶対 嫌でしょ｡

これじゃあ
彼氏なんて できないですよね｡


 彼氏どころか デートするのも
ひと苦労ですよね｡

(美咲)
ほら 異常だって言われてるよ｡

(小比賀太郎)
いいよな～ 芸能人は｡

朝から こんな勝手なこと言って
お金 もらえんだからね｡

これで 幾らぐらい もらえんの？
分かんないけど

1本ぐらい もらえんじゃないの？
1本って何？ 10万？

違ぇよ 100万だよ｡

100万は盛り過ぎでしょうよ～｡
分かんないよ～｡

え～ ビッグドリームかよ～｡

(足音)

ちょっと いつまで食べてんの？
遅刻するよ！

わぁ ヤベェ！ お～！
えっ！

のんびりし過ぎなんだよ！

お～ ヤバい ヤバい…｡

パス パス パス
そこ置け そこ パス パス…｡

パス パス パス パス パス
へい パス パス…｡

ウイ～｡
パス パス パス… ウイ～｡

危ねっ｡
ウイ～｡


 絶滅したかに思われていた

古き良きツッパリたちを
千葉県で発見｡


 密着取材して来ました どうぞ｡

早く～｡
(前田) さくらちゃ～ん｡

あぁ おばちゃん おはよう｡
見たよ｡

あ～ もう
テレビ映り 悪くなかった！

フフフ…｡
(前田) でも やっぱ

実物のほうが かわいいわ～｡
やだ おばちゃん｡

急げ！
ちょっと 太郎ちゃん！

おはよう！
ねぇ さくらちゃん

すっごい かわいかったね～｡
当たり前でしょ｡

いい？ おばちゃん
その当たり前のことを

ご近所さんに言い触らすんだよ｡
分かった｡

(美咲)
ウ～イ！ ごめん ごめん…｡

(前田) あら お友達？

あれ？ おばちゃん
美咲と会うの初めてだっけ？

こちら 前田のおばちゃん
お隣さん｡

どうも～ 衛藤美咲です
今 居候させてもらってます｡

居候!?
うん どんくらいだろう？

2か月ぐらい？
長っ！

行くぞ！ よし！
ちょっと待って 何か いる…｡

早く！ おい 何だよ？
何か いるよ！ 痛いよ｡

朝から にぎやかだな｡
(美咲) 何だよ？ これ…｡

にぎやかな舞だな｡
おい 笑うなよ｡

いいから行くぞ ほら
早く 行くぞ｡

あっ どうも～｡
ダメだよ 今のにぎやかな舞

もう1回！
にぎやかな舞で来いよ｡

にぎやかな舞で 景気づけ…｡
もう疲れちゃったよ！

ハハハ…！
どうも～｡

痛いよ！ もう 何だよ これ！
ぶつかんなよ さくらに｡

(前田) どうかした？
ん？

あっ ううん 何でもない
じゃあ いってきます｡

(前田) うん いってらっしゃい｡

もう少しスピーディーに
やってほしいよね…｡

あれっ
さっき テレビ出てたよね？

あっ… はい｡

うちの大学だったんだ｡

ねぇ 彼氏いないんだよね？
今度 デートしようよ｡

はい ダメ～！

テレビ見て 近寄る時点で
はい 君は もうダメ～！

もしかして…｡

そうです 私が変なお父さんです｡

♪～ 変なお父さん 変なお父さん
(学生) うわぁ… マジだったんだ｡

安心しろ さくら｡

ああいうタチの悪いやからは
俺が 全部 全部…｡

追い払ってやるからな｡

うん｡

いやいや
それが一番タチ悪いから｡

何 言ってんの｡

こんな素晴らしいお父さん
スバラ父さん いないだろ｡

♪～ スバラ父さん

そろそろ娘離れしてくんないかな｡

俺の辞書に

｢娘離れ｣という文字はない｡

さくら… だっふんだ！

えっ ｢だっふんだ｣って？
やだ やだ…！

?～

?～


え～ 私も！
えっ 寛子も 声 掛けられたの？

うん 知らない男の人に
｢テレビ出てたでしょ｣って｡

一緒だ｡

それで？

えっ？ それだけだけど｡

えっ 誘われなかったの？
寛子 彼氏募集中じゃん｡

あ～
だって ハタケが一緒だったから｡

えっ！ 一緒に来たの？
違うよ たまたま たまたまね｡

えっ 何で？
あっ 全然 気にしてないけど｡

ウソ 下手過ぎな｡

(美咲) 下手といえばさ

昨日 ガタローが
お風呂で熱唱してたんだけどさ…｡

♪～   夢に見る姿の良さと
美形のBlue Jean

♪～   身体と欲で
エリ好みのラプソディー

(美咲の声)
絶妙に下手なんだよね｡

でも反響するから
後半 ちょっとうまく聴こえんの｡

何の歌？

桑田佳祐 入ってたから
サザンかな？

もう ガチで全力！

近所迷惑｡
今度 カラオケ誘ってみようかな｡

あっ あれだけだよ｡

昔 お母さんに
｢似てる｣って言われて｡

♪～   街でよく見るタイプの君よ

(幸子)
うん   今のが一番似てたかも

よし！   次の出版社 打ち上げは
これだな

う～ん   人様に披露するほどの
もんじゃないかな

ウソ！   だって 今
似てるって言ったじゃん

散々   ド下手な歌
聴かされた後だからね

あ～   ひど～い

うちのお風呂場で
歌うくらいだったらいいよ

えっ   ちょっと 待って 待って…
いや いや いや いや

お風呂場での選曲は
さすがに自由でしょ？

ダメです！   それ1本です

です！

え～～！

うん あれだけ よく歌うの｡

歌とかは苦手だから
カラオケとかは行かないよ｡

へぇ～｡

?～

(ストップウオッチのボタンを押す音)

2分3秒｡
うお～！ 1分 縮んだ｡

2分 切らなきゃ 私には
勝てませんよ ガタローさん｡

じゃあ もうワンチャン
もうワンチャン もうワンチャン｡

ガタローさん
｢ワンチャン｣の使い方が古い｡

えっ 何で？ 今 違うの？
今の子は

｢ワンチャン｣って言ったら
｢可能性あるかも｣で使うんだよ｡

えっ？ ｢ワンチャン｣って
｢もう1回チャンスください｣

…って意味じゃないの？
(美咲) 分かってないな｡

｢あの子 お前のこと好きかもよ｣
｢えっ 俺 ワンチャンあるかも｣

…とかで使うんだよ｡
え～！ それは

｢可能性ある｣って意味なの？
その｢ワンチャン｣は もう…｡

怪しい｡

えっ！ もしかして
美咲 ガタローのこと…｡

うん …かも｡

えっ ダメなの？
だって 私とタメなんだよ？

(畠山雅治)
ごめん 今 何の話 してる？

もうホンット ハタケって鈍いね｡

そう？

まぁ それがハタケのいいところだ
って 最近 気付いたけどね｡

女子が ほっとけないっていうか
かわいい系？

よく分かんないけど ありがとう｡

別に褒めてないよ～｡
えっ 褒めてないのかよ｡

ハタちゃん かわいいね｡
ホントだ 褒めてない～｡

フフフ…｡
フフフ…｡

ホントだ｡
ねぇ ねぇ｡

ん？

2人って
そんなに仲良かったっけ？

(足音)

発見！ ほら いた～｡

待って また
GPSで さくら捜したでしょ？

違うよ
GPSなんて使わなくても

愛の力で ほら
さくらをもう見つけられるんだよ｡

(美咲) はぁ？
いいかげんなこと言ってっと

背骨 引っこ抜くよ！ オラ オラ｡
あ～ やめておくれやす｡

もう立ってられまへん
兄さん もうやめておくれやす…｡

ホントだね｡

でしょ？

どえ～ 兄さん どえ～…｡

あれ？ 根来は？

いや 今日は見てないですよ｡
あれ おかしいなぁ｡

今日あたり
来ると思ってたんだけどな｡

あいつの話は どうでもいい
マジ 人格 変わり過ぎ｡

あ～ 美咲は怒って当然だよね｡

YouTuberって
そんな稼げるんだ？

(根来)
稼げる   稼げないで言ったら

まぁ 美咲が
掛け持ちしてるバイト代

合わせたところで
俺の足元にも及ばない

…かな

お前   マジで殺す

う～ん あいつ
ホントに大学やめるのかな？

ハタケ 何か聞いてないの？

俺も
あれ以来 会ってないんですよ｡

連絡してもスルーで｡

体 こわしたり
してないといいけど…｡

お金あるって 調子 乗ってるから
どうにかするんじゃん？

ちな 動画の更新は毎日やってる｡

う～ん…
そうなんだけどさぁ 何かなぁ

心配なんだよなぁ｡

(講師) 『源氏物語』が書かれたのは
11世紀の初めですが…｡

えっ   何で？
あっ 全然 気にしてないけど

2人って
そんなに仲良かったっけ？

(講師) 藤原道長が摂関政治で…｡

(小声で) さくら｡

さくら 当たったよ｡

はい！

(講師) どうかしましたか？

(小声で) ウソ ウソだから｡

あっ すいません｡

すいません｡
(講師) え～ では…｡

ちょっと やめてよ！
ごめん｡

ずっと ぼ～っとしてたから｡

びっくりした～｡

(講師) 道長の娘であった
中宮 彰子付きの女房として…｡

しゃあないなぁ｡

は？

話って 何？
(寛子) ちょっと待って｡

あっ 来た 来た｡

話って 何？

ねぇ ハタケ｡
うん｡

私と付き合わない？

えっ？

えっ？ きゅ… 急に何？

いや～
他にパッとした男いないし

とりま ハタケでもいいかな
と思ってさ｡

ダメ！ 畠山君はダメ！

何で ダメなの？
えっ？

あっ それは その…｡

そういうノリ？ みたいな

そんな感じは
よくないっていうか

ちゃんと考えたほうがいい
っていうか｡

考えたよ｡
えっ？

あっ いや… 考えてても

他にいないからとかで
決めるもんじゃないし｡

そんなもんじゃん ねぇ？

ん？

それに…｡

(寛子) ｢それに｣？

(寛子) 何でダメなの？

それは…｡

何？

す… 好きだから｡

｢好きだから｣？

私が好きだから…

できれば

お付き合いを申し込みたく…｡

武士か！ はい ハタケは？

あっ うん 喜んで｡

えっ！
えっ！

えっ… 違う？

あっ ううん ううん｡

(寛子) あ～
面倒くさい2人だったなぁ｡

えっ… えっ 何？
私 また だまされたの？

えっ？ えっ ちょっと
だまされたって どういうこと？

面倒くさい｡

あとは 2人でやって じゃあね｡

えっ？

あっ…｡
あっ…｡

えっ あっ えっ…｡

私でいいの？

も… もちろん｡

ドッキリじゃないよね？

うん｡

さくらって…

お父さんを
ちゃんと大事にしてて

その…｡

いいなぁって思ってたから…｡

それに 料理もうまいし

ほら… 梅干し｡

あっ… 梅干しね｡

うん また食べたい｡

いつでも｡

フフフ… やった｡

ありがとう｡

こちらこそ｡

(大村) 前回の講義では
皆さんにも なじみ深い

『注文の多い料理店』に
収録されている

9つの童話を読みました｡

宮沢賢治が
自然の摂理を描くことを通して

自然と人との共鳴や…｡

ありがとう｡

どういたしまして｡

ん？ 何かあった？

(大村) 自然というものが
なくては ならないもの

…だということが
分かったと思います｡

あの… ガタローさん｡

ん～？

さくらさんと お付き合いさせて
いただくことになりました｡

そうなんだ～｡

ハァ…｡

(大村)
彼は 東北は岩手の生まれで…｡

はぁ～!? 待って 今 何て!?

(大村) 小比賀 うるさい！


えっ ずっと読んでた？

(美咲) うん｡
バイトは？

カテキョだったんだけど
熱 出たって｡

ふ～ん…｡

あっ お父さん 知らない？

えっ いない？
うん｡

まぁ いいや 出掛けるね｡

いってらっしゃい
デート 楽しんでね｡

ヘヘ… やめてよ～｡

いってきます｡
いってらっしゃ～い｡

?～

ごめん 待った？

全然…｡

あっ… あっ いや あの…｡

きょ… 今日のさくら

何か…｡

えっ？

かわいいなぁって…｡

えぇ～！

や～だ～！ も～う！

痛い｡
フフフ｡

行こっか｡

うん｡

フフフ｡
フフフ｡

うわ～ 偶然！

あぁ 俺も
ちょっと出掛けようと思って｡

えっ どこ行くの？ えっ 何？

あっ うん いいよ 時間あるし
あっ 一緒に行く？

うん OK｡

これは？
あっ これ 好き｡

あ～！
ん？

どうかな？

かわい…｡

かわい～い！

うちの娘は かわいいな～！
何 着ても｡

あっ さくら 次 これ これ
これ着てみて｡

あ～ これ 大人っぽい
わぁ かわいい 次はね…｡

うん カッコいい｡
カッコいい？

行くよ？ ジャ～ン｡

カッコいい｡

さくら これ どうかな？

やっぱり 緑のほうがいいかな？
これ ねっ｡

ハタケの持ってる それ いいな
それ貸して ちょっと貸して｡

これかな？

あっ こっちにするか｡

お父さんさぁ｡

ん？ どした？

いつまで いるの？

えっ？

えっ？

えっ？

えっ？

俺 いちゃダメだった？

あっ… あっ いや

あの その…｡

この状況に

どう対応すれば
いいのかなぁとは…｡

じゃあ 慣れよう
慣れれば平気 平気｡

これ 着て来よう｡

わ～ オシャレ
あっ お腹すいたね｡

すいません｡
(店員) はい｡

ご注文はお決まりでしょうか？
いえ まだ決まってませんが

頼みますぞ｡

え～っと
それでは このピザを1つ｡

あれだよね みんなで
シェアしたほうがいいもんね｡

いろいろ頼んどくね
え～っと それじゃ あと

サラダを1つ お願いします｡
(店員) はい｡

畠山君｡

ごめんね｡
あっ ううん｡

何となく こうなるんじゃないかな
とは思ってたけど…｡

スパゲティの このカルボナーラを
1つお願いします｡

思ってた以上だった｡

ごめん ホンットにごめん｡

さくらが 謝らなくていいよ｡

俺は どんな形でも

さくらと一緒にいられて
うれしいから｡

うん｡

食べたらさ ガタローさんに

ちゃんと 2人きりで
デートがしたいって言うよ｡

うん｡

うん｡

おかしい｡

やっぱり 絶対おかしい｡

あの～ ガタローさん｡

今日 何か ご予定が
あったんじゃないですか？

そう それだよ｡

根来のチャンネルが
昨日 更新されなかったんだよ｡

それが どうしたの？

さくら

お前 いつから
そんな冷たい人間になったんだ？

こいつのせいか？
はぁ？

根来が
昨日 更新しなかったんだぞ？

だから それが どうしたの？

あれだけ毎日 毎日 更新してた
あいつがだぞ？

そうだけど…｡

確かに それは変ですね｡

あいつはさ
和歌山の田舎から出て来て

東京の友達なんて
俺たちしか いないんだよ｡

だよな？
それは まぁ…｡

はっ まさか…｡

もしかして 事故に遭ったとか…｡

事件に巻き込まれたとか…｡

(2人) まさか…｡

そうか｡

お前らも心配か そうか そうか｡

じゃあ しょうがないな｡

うん じゃあ 今 頼んだやつ
3人で食べて

3人で一緒に 様子を見に行こう｡

ん？ ん？ えっ いや あの…｡

やっぱ 友情っていいよな さくら｡

あっ お父さん｡

お～ こっちか｡

(チャイム)

(チャイム)

(チャイム)

はっ！
やっぱり これは何かあったな｡

単に 留守ってことも
あるんじゃない？

さくら やっぱり お前は
ハタケのせいで そんな…｡

管理人さん！ 管理人さんに
聞いてみましょう ねっ！

そうだな 管理人さんに
事情を説明し 入れてもらうか｡

えっ そこまでする？
さくら！ やっぱり お前は…｡

部屋で餓死してたら大変ですしね｡

そうだよ…
根来が部屋の中で倒れている｡

意識が薄れて行く中
動きたくても動けない

｢助けて～ 誰か助けて
助けて 誰か～ 助けて～！｣｡

(インターホン:根来)
ガタローさんですか？

うお～ おい おい おい

泥棒が入った後より
ひどいぞ これ｡

ねぇ ちゃんと食べてる？

いや あんまり…｡

はぁ～ よくないね｡

どうしちゃったんだよ？
順調そうだったのに｡

話してみろよ 根来｡

根来｡

毎日 毎日

動画の更新のプレッシャー｡

気付いたら
ヤラセにしかなんなくて…｡

えっ そうなの？

出てくれた女の子に
お金 渡してて

このままじゃダメだって

何とか
新しい企画 考えなきゃって…｡

(根来の声)
でも 何も思い付かないし

朝になるし

更新は待ってくれないし…｡

あぁ～！

うっ…   うぅ…

いらねえんだよ
こんなもん いらねえんだよ！

(根来の声) もう 俺
どうしたらいいか分かんなくて…｡

お前一人でやってたのか？

スタッフは いましたけど

昨日 突然
｢辞める｣って言い出して…｡

急だね｡

一人じゃ
何にもできないんです 俺｡

このままじゃ
進級も難しそうだし｡

いっそのこと 実家 帰って

漁師 継ごうかなぁ
なんて思ったりもして…｡

あ～！ ダメだ！

暗い！ 空気悪い！ 部屋も汚い！

こんなんじゃ いい考えなんて
何ひとつ思い浮かばねえよ！

あっ… じゃあ 片付ける？

そうだな まずは大掃除だ｡
いいと思います｡

よし！ やろう｡
うん｡

おい 根来 お前 ちょっと
ゴミ袋 持って来い｡

あっ はい｡
よいしょ｡

よいしょ｡

ハタケは
よく知ってるだろうけど｡

えっ？

俺 世の中的に売れた小説
デビュー作だけだからさ｡

天国と地獄
俺なりに味わってるのよ｡

カメラのシャッター音

はい   ハハハ…

(太郎の声) 最初に注目されると

その後が
ホント やりにくいんだわ｡

自分の気持ちに
コントロール利かねえし

周りの反応も無責任だし｡

だから ガタローさん

根来のこと
ずっと 気に掛けてたんですね｡

それなのに 俺…｡

だから
調子こくなっつったんだよ｡

無理して 背伸びしてりゃ
息切れすんの当たり前なんだよ｡

お父さん｡
ん？

ごめんなさい｡

えっ？

あっ… 私

お父さんが そんなに根来君のこと
考えてるなんて思わなくて

ただ デートの邪魔したいだけだ
って誤解して…｡

バ～カ いいんだよ｡

ガタローさん…｡

どの道
デートの邪魔は してたからな｡

ん？

えっ 何 何？ えっ デートって｡

えっ!? 2人 そうなの？

うっせぇ！ 根来 お前
部屋 片付けろ！ お前は｡

ぴえん！

お～し だいぶ片付いたな｡

あれ？

どうしたの？

あっ ここにあった封筒が
ないなと思って｡

封筒？ どんな？

いや まぁ
普通の茶封筒なんだけど…｡

間違えて
捨てちゃったんじゃないの？

ほら ゴミ袋 見てみろ｡
何が入ってるの？

お金なんだけど｡

お金!? それだったら
間違えないと思うけど…｡

う～ん…｡
えっ 幾ら入ってたの？

300万｡

(3人) え～っ！

そんな大金
何で そんなとこに置いてんだよ｡

いやいや 実家に送ろうと
思ってたんですよ｡

いくら何でも 間違えて
そんな封筒 捨てないだろ｡

もしかして！ 泥棒が入ったとか｡

いや ずっと家にいたから
それはないと思う｡

じゃあ お金が勝手に一人で
どっか行っちゃったってこと？

な？ うちの娘 かわいいだろ？

発想に夢がある｡

は？ 私？
さくら そんな さくらが…｡

とにかく 捜そう！

実は もう送ったとかないの？
いや ずっと家にいたんで！

あっ じゃあ
大事なもの しまう所ってどこ？

いや 家に金庫とかないから｡
大金 持って 不用心過ぎるだろ！

こういう時は
意外な所にあるもんだぞ｡

冷蔵庫の中は？

ガタローさん 親子ですね｡

いや 冷蔵庫は
ワンチャンあるだろう｡

あっ！ 俺 ｢ワンチャン｣の使い方
マスターしたかも｡

ワンチャン ワンチャン…｡

あっ！ ねぇ ねぇ ねぇ…｡

ん？ ん？ ん？
あっ あのカメラは？

ん？

あれ？ 赤いランプついてる｡

赤いランプ？

あ～ 撮影しっ放しだ｡

だよね？

映ってんじゃねえの？

ホントだ…｡

はっ！ さくら ナイス！

?～

いやいや 早送りで見ようよ｡

そっか｡

?～

待って｡

誰？
泥棒じゃない？

うちのスタッフ｡

ん？ えっ 昨日 辞めた？
そう｡

進めて 早送りで｡
はい｡

?～

あっ！
クワっ｡

決定的だな…｡

信じらんない｡

どうする？ 根来｡

こいつら…｡

(斉藤)
フラれ動画   撮ってるヤツが
モテて どうすんだよな？

(堀川)あいつさぁ
ネタ 1つしかねえし

最近 再生数 減ってるし
そろそろオワコンじゃね？

(斉藤)
才能ねえんだよ   ハハハ…

ひどい｡

これ持って すぐ警察 行こう｡

いいよ｡

300万ぐらい 忘れるよ｡

お前 何 言ってんだよ！ おい！

根来｡

そいつら
今 どこにいるか分かるか？

事務所の場所なら
分かりますけど…｡

よし｡

行って 話してみようじゃねえか｡

うわっ｡

あれです
あれが あいつらの車です｡

このビルに
あいつらの事務所があります｡

痛たた… あ痛たた…｡

敵陣に乗り込むのは
さすがに分が悪くないですか？

うん ちょっと怖いよね｡

よし｡

じゃあ 出て来るまで待つか｡

ハタケ 例のアレ｡

えっ？

張り込みっつったら
あんパンと牛乳でしょうが！

えっ？
おい｡

そんなことも分かんないヤツに
さくらは やんねえぞ｡

食べたかったら
自分で買って来なさい｡

はい｡

えっ じゃあ2人は
今日 デートしてたってこと？

いや まぁ…｡
フフフ…｡

うわっ そうだったんだ～｡

えっ どっちが告った？
いや それは…｡

え～ 何だよ 教えろよ～｡

お前ら お前ら お前ら
張り込みの意味 分かってる？

あっ 当てよっか？

え～｡
ハタケ｡

あれ？
今 俺 フランス語 喋った？

えっ？
ううん 日本語だったよ ねぇ？

嫌み 嫌み 嫌みで言ったの｡

ちゃんと見張って？
はい すいません｡

あっ｡

おっ 何だ？ 来たか？

(根来) あいつらです｡

よし 行こう｡

あっ さくらは ここに残って

動画を撮ること｡

俺たちに何かあったら
警察を呼ぶ｡

分かった｡

あっ｡

ハタケも残れ｡

えっ？

何があるか分かんねえ｡

俺たちに 万が一のことがあったら
その時は…｡

死ぬ気で さくらを守れ｡

はい！

よし… 食べるなよ｡

はい さくら
これ飲んで 大きくなぁれ｡

ありがとう｡
行くぞ｡

あっ すいませ～ん｡

あっ！ 今 ｢ハッ！｣
｢ハッ！｣て顔しましたよね？

(斉藤) 何ですか？

う～ん
もう 分かってますよねぇ？

(堀川) え～… お父さん？

違うけど｡
あっ 俺 こいつの友達です｡

友達？
大学の同級生｡

マ？

それはホント｡

あ～｡

最初のほうの『ネゴロチャンネル』に出てた
おじさんか｡

へぇ～｡

で？

｢で？｣じゃないでしょう？

こいつの部屋から
お金の入った封筒

持って行きましたよね｡

はぁ？

いや 変な言い掛かり
つけないでくださいよ｡

こいつの部屋にある このカメラ

ずっと回しっ放しだったんですよ
気付きませんでした？

ばっちり映っちゃってんだよな～｡

ほら こいつ
YouTuberの部屋だから｡

兄ちゃんら

随分 ずさんな計画だったね｡

衝動的な犯行ってやつ？

まぁ 取りあえず 一緒に

お巡りさんとこ行こうか？

ちょっと待って！
いや 違うんだって！

いや だからさ…｡

あの…｡

『ネゴロチャンネル』って
もう下火じゃない？

だから 先にお金をもらっておいて
俺たちの給料にしようっていう

ねっ｡
前払いですよ 前払い｡

ギャラは ちゃんと払うよ｡

…と言ってますんで
それ 返してもらえます？

返すよ｡

返した フフフ｡

どうする？ 根来
泥棒っちゃ 泥棒だ｡

いや だから 違うって
言ってるじゃないですか｡

根来｡

もう いいです｡

警察にも言わないから

二度と来ないでもらえる？

うん 分かったよ｡
えっ？

っていうか もう二度と
行くつもりなんてなかったけど｡

(堀川) 斉藤｡

たかが 一発屋のくせに
偉ぶってんじゃねえよ！

(堀川) やめとけって！ なぁ｡

すいませんね
ちょっとムカついちゃったんで｡

本当にいいのか？ 根来｡

いいです｡

うん 分かった｡

お前が言わないなら 俺が言う｡

えっ？

てめぇら｡

一発屋 ばかにすんじゃねえ！

一発も当てたことねえヤツが
ごまんといる中で

一発 当てたんだ｡

それだけで
十分 すげぇじゃねえか！

それに

一発屋なんて
他人の物差しが決めたことで

本人は
そんなこと思っちゃいねえんだ｡

毎日 毎日
誰に ばかにされても

ず～っと ず～っと
二発目 目指して頑張ってんだ｡

一発も当てたことねえヤツが

ゼロが

簡単に
ひとをばかにしてんじゃねえ｡

やっぱ ガタローさん
いいこと言うなぁ｡

多分 自分が言われた気になって
怒ってるんだと思う｡

もし

同じことを誰かにしてごらん｡

この動画 晒して

ブタ箱 ぶち込んでやるからな｡

失礼しました！

?～

ガタローさん｡

根来｡

お前も お前だよ～！

えっ｡

何 あんなヤツらの言うことに
いちいち傷ついてんだよ！

金にも人にも
簡単に振り回されやがってよ！

何が ｢300万ぐらい｣だ｡

ふざけんな 成金が！

言っとくけどな 最近のお前

超 性格 悪かったぞ｡

正直

すっげぇ嫌いだった｡

えぇ…｡

え～！

本当に すいませんでした～！

全然 気付いてませんでした～！

もう いいから やめろって｡

こっちも言って
ほら スッキリしたし｡

本当に
ありがとうございました～！

どうか
嫌いにならないでください｡

それは どうだろう？
えっ｡

冗談だよ｡

お詫びと感謝の印と
いたしまして

皆さん
メシ 食って行ってください！

うお～！ ハハハ…｡

ジャ～ン！ フフフ…｡

実家から送られて来たんで｡

えっ 丸ごと？
ええ｡

えっ これ どうすんの？
えっ？ さばくんだよ｡

当たり前だろ｡

よいしょっと｡

お？

お～ 何だ？ おい 本格的だな｡

?～

?～

お～｡

すご～い｡

えっ すごいの？ 普通じゃない？

普通じゃねえよ 感動もんだよ｡

いや うち 実家 漁師なんで

小学校の頃から
やらされてたから｡

これ すごいことなんすか？

いや すごいよ！ これは！

ねぇ 根来君 さばき方 教えて！

え～ さくら これ できるだろう？

いやいや
こんなちゃんとしたのは無理だよ｡

そりゃ そうか｡
うん｡

さくら
これ できるようになったら

もう 店 出せるんじゃない？

え～？

だって さくらは

料理 めちゃくちゃ うまいじゃん｡

エヘヘ…｡
ヒヒヒ…｡

この！ スケコマシが！

スケコマシ？

こんなの
いくらでも教えてあげるよ～｡

ホント？

ってか これ

これをYouTubeにあげれば
いいんじゃない？

えっ？

俺が 魚さばいてる動画とか誰得？

いや 得 あるだろ｡

しかも ヤラセ一切なし｡

え～！ いや こんなんだったら
いくらでも できるんすけど！

何だよ お前！

すげぇ取りえ あんじゃねえかよ！

え～！ マジか～！

えっ こんなんだったら
動画の更新とか

超余裕なんですけど～！

よかったじゃん 根来！

ありがとう｡

ありがとうございます！

うん｡

時間 取れるなら
ちゃんと大学 来いよ｡

はい｡

あっ ガタローさん｡
ん？

一発屋同士 頑張りましょう｡

｢一発屋｣って言うな！

へい！ 刺し身 出来ました｡

お～！ うまそ～う！
(拍手)

煮付け もうちょっと待ってね｡

は～い｡

何か やることある？
ありがとう｡

ウェ～イ 新婚さ～ん！

おい 根来｡
えっ？

軽々しく
そういうこと言うんじゃないぞ｡

えっ？

二度と言うんじゃねえぞ｡

すいません｡

ねぇ ちょっと味見してくれない？

あっ うん｡
味見は俺の係だ！ よっしゃ！

えっ いやいや 俺がやります｡
いい… 違う ダメだよ 俺だよ｡

俺がやります｡
どいて ハタケ｡

どいてよ！
俺がやる！

どっちでもいいから早く！

じゃあ 俺が～｡
(太郎:畠山) おい！

うんま！ レベチ！

ハハハ！

ただいま｡
(美咲) おかえり～｡

これ お土産｡
えっ？ 何？ それ｡

根来君の実家から
送られて来たお魚｡

根来？

えっ 今日 ハタケとデートじゃ
なかったっけ？

うん そうだったんだけど
いろいろ あって…｡

ふ～ん｡

根来の魚か～ 萎えんなぁ｡

謝ってたよ 心 入れ替えるって｡

ふ～ん…｡

まぁ 魚に罪はないか うまそう｡

ご飯 チンしよっか｡
ウイ～｡

ウイ～ 何ウイ～？ 何ウイ～？
ウェ～イ…｡

お～っと 何？ これ｡

それ 全部 読んだから｡

えっ 全部？
うん｡

ねぇ ガタローの新作 読みたい｡

あぁ… 新作…｡

そうだな｡

新作 書いてるんでしょ？

おい！ 死んだか!?

死んでねえし｡

なら 返事をしろ｡

そうだな｡

このままじゃ
根来のこと言えねえしな｡

(振動音)

はい 尾崎です｡

小比賀です
ごめんなさいね 遅い時間に｡

いやいや 大丈夫です
どうしたんですか？

ちょっと 相談があって｡

何でしょうか？

ん～ 詳しいことは
明日 会って話したいんだけど…｡

真剣に書きたいと思って｡

えっ 明日だと
えっと… 10時なら！

じゃあ 10時に 会社 伺います｡

はい お待ちしてます｡

先生！

連絡 ありがとうございます｡

こちらこそ ありがとう｡

じゃあ 明日｡
 はい 失礼します｡

よし｡

(ドアが開く音)

(美咲) よいしょ～｡
お～い ノックぐらいしようよ～｡

見て～ 両手 ふさがってる～｡

あぁ そうだけど～｡

よいしょ～｡

これ 一番の推し｡

おっ！ それは うれしいね～
かなり苦労したからなぁ｡

そうなんだ｡

でも

ラストには文句があります｡

おっ？

ラストで

清彦は振り返らないほうが
絶対よかった｡

多恵子のこと思いながら

振り返りたい気持ちを
ぐっと我慢してたら

もっと泣けた｡

な～んて 素人のたわ言です
すみません｡

いや それ…

俺も書きながら
一番 迷ったとこなんだよなぁ｡

えっ？

いい目してんじゃん 美咲｡

編集に向いてるんじゃね？

ホント？

ホント ホント｡

ねぇ これ もらっていい？
ん？

もう1回 読みたい｡

まぁ いいけど…｡

やったぁ｡

じゃあ サインして｡
はぁ？

え～ だって
本屋さんとかで やってんじゃん｡

それは
買ってもらった人に書くものね｡

え～！ いいじゃん！

まぁ いいけど…｡

では 久しぶりぶりに
サインを書くか｡

ぶりぶり言ってないで ほら｡

では 渾身のサインを
お見舞いしてやろう｡

はい｡

へぇ～ サインはカッコいいんだ｡

｢サインは｣って何だ？

言うなら ｢サインも｣だろ
｢サインも｣｡

えっ もしかして 自分のこと
イケてるって思ってる？

ん～ まぁ 不細工ではないだろ
このパーツ パーツは｡

じゃあさ どっちからの自分が
イケてると思う？

どっち？
どっち側？

どっち側？
そりゃ まぁ その… ホクロ側？

ハハハ…！
こっちは？ こっちはダメ？

ホクロなし側？ こっち…？

お母さん…｡

まさか… だよね？

?～

?～

?～

?～

?～


(2人) お邪魔しました｡

『今日から俺は?劇場版』も
絶賛公開中｡

見に来てね！

(2人) 親バカジャンケン ジャンケン …｡

ポン！

姿勢がいいやつですね｡

ｶﾃｺﾞﾘ:2020夏ドラマ