事件は池袋駅で起きた
多様化する詐欺の手口
詐欺グループのトップは決して表舞台には出ず、担当を振り分けて指示を与えるだけ。仮にかけ子や受け子を摘発しても、大元にはたどり着けないことが多い。警察関係者は「そこが頭の痛いところ。お年寄りには手口を知ってもらって、用心してもらうしかない。今は電話だけじゃありません」と話す。その典型的な手口とは、次のようなものだ。
まず、かけ子が「最近、クレジットカードで何か買い物を頼みましたか?」とターゲットのお年寄りに電話をかける。「頼んでいない」というお年寄りに、「確認します」といったん電話を切り、「やっぱり2カ月前にカードが作られています。振り込め詐欺に悪用されているようです」などと説明して、こう切り出す。
「それではカードを止めますから、銀行の支店とキャッシュカードの暗証番号を教えてください。新しいカードを作りますから、暗証番号を考えておいてください。のちほど銀行協会のものが伺いますので」
そこで出向くのが受け子だ。受け子は持参した封筒を手渡し、「詐欺の証拠になるので、これにカードと暗証番号を書いたメモを入れて、厳重に封をして下さい」と頼む。その上で割印が必要と言って、印鑑を取りに行かせ、その間に偽のカードを入れた別の封筒とすり替える。こうしてまんまとカードを入手し、あとは出し子がカードから現金を引き出すだけだ。
「詐欺の被害者はもっとも救われません。犯人を摘発しても、騙し取られたお金が戻ってくる可能性はほぼゼロです」(捜査関係者)
では、冒頭のような盗撮ハンターに狙われた場合はどうしたらいいか。迷わず警察へ行くべきだ。彼らにとって、警察へ行くことをためらわない相手が一番困る。それどころか、弱みにつけ込んで恐喝していたことがバレたら、困るのは自分の方なのだ。
「示談金が100万円というのは多すぎます。あまり大きな声では言えませんが、盗撮犯の場合、初犯だとほとんどが不起訴処分になる。2回目で罰金30万円、3回目で罰金50万円が相場です。4回目になると、正式裁判になりますが、それでも執行猶予付きの有罪判決で終わる。
盗撮ハンターの口車に乗って、プライベートな情報を洗いざらい聞かれて、『示談金を支払います』という動画を撮られたり、身分証明書のコピーの裏に『このことは決して口外致しません』などと書かされるよりはマシでしょう。警察もすべてを認めて事情を話せば、きちんと配慮してくれます」(性犯罪に詳しい弁護士)
いくら金に困っても、SNS上の甘言は要注意だ。