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 約7年8カ月に及ぶ最長政権を達成しながら、直後にまさかの辞任表明。新型コロナ対応に批判も多かったが、安倍晋三首相の政治手法や政権運営をどう評価すればいいのか。政治学者の奈良岡聰智・京都大学大学院教授に、安倍政権の幕引きのありようについて聞いた。

1次政権の辞任と相似形

 今回の辞任劇は、2007年の第1次安倍内閣時の辞任に近い形ではないか、と考えます。

 首相の病状の詳細はまだ伝わってきてはいませんが、好意的に見れば、国政を停滞させないため、出処進退を自ら決めた、と言えなくもありません。

 たとえば、やはり病によって潔く首相の座を降りた石橋湛山は、政治的停滞を招かないため、自分の政治的良心に従って辞任する、と述べました。石橋の後継首相が安倍首相の祖父の岸信介ですが、「政治的良心」という政治史に残る名言に安倍首相も従った、という見方もあるかもしれません。

1975年生まれ。専門は日本政治外交史。京都大助教授などを経て2014年から現職。著書に「加藤高明と政党政治~二大政党制への道」など。「対華21カ条要求とは何だったのか」でサントリー学芸賞。

 しかし、今回の辞任表明は体調悪化と同時に、安倍首相自身が政権運営への意欲を喪失したからではないか、と私はみています。

重なる近衛首相の姿

 体調悪化がどこまで影響したの…

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