バンクシーの移民救助船が立ち往生、伊当局とNGOが救援
【8月30日 AFP】英国の覆面ストリートアーティスト、バンクシー(Banksy)が支援する移民救助船が200人余りの移民を乗せた状態で救援を要請したことを受け、イタリア沿岸警備隊は29日に現場に船を派遣し、乗っている移民のうち特に衰弱の激しい49人を収容した。
ドイツ船籍の救助船ルイーズ・ミシェル(MV Louise Michel)号は28日、移民船1隻の救助活動後に身動きが取れなくなったことを明らかにした。救助船の乗組員によると、移民船には約130人が乗っており、少なくとも1人が死亡していた。救助船は欧州とアフリカを隔てる海を横断しようとしていたこの移民船を発見した後、定員超過となって立ち往生したという。
伊沿岸警備隊は「状況の危険性を考慮して巡視船をランペドゥーザ(Lampedusa)に派遣し、衰弱が特に激しいと判断された49人を収容した。内訳は女性32人、子ども13人、男性4人だった」と発表した。
残る約150人はドイツの非政府組織(NGO)「シーウオッチ(Sea-Watch)」と国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」がチャーターした救助船「シー・ウオッチ4号」に移され、ルイーズ・ミシェル号にいた移民は全員が救助された。
シー・ウオッチ4号は、独自に救助していた201人の移民を下ろす港を探しているところだったがルイーズ・ミシェル号の救助に向かった。収容された移民らは、ルイーズ・ミシェル号の到着前に海上で3人が死亡していたと語った。
全長31メートル、乗組員10人のルイーズ・ミシェル号は27日にゴムボートに乗っていた89人を救助していた。
バンクシーはインターネットに投稿した動画で「助けを求める非欧州人の声を欧州連合(EU)当局が意図的に無視しているため」ルイーズ・ミシェル号を購入したと説明した。
バンクシーの移民救助活動への関わりは、ドイツの人権活動家ピア・クレンプ(Pia Klemp)氏に電子メールを送り、どのような方法で協力できるかを問い合わせた2019年9月までさかのぼる。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年船で地中海を横断し欧州に流入した移民の数は、昨年より大幅に増えている。(c)AFP/Jan HENNOP and Hervé BAR