健康保険組合は全国に約1400組合あります。
保険料率は組合単位で決定され、財政状況の良い健保と悪い健保では保険料率に大きな差が生じます。
保険料は被保険者(会社員)と事業主(会社)で負担します。
被保険者と事業主で労使折半とすることも、事業主がより多くの保険料を負担することも、組合単位で決定することができます。
被保険者の保険料は標準報酬月額に被保険者分の保険料率を乗じた額が、毎月の給与から天引きされます。
例えば、標準報酬月額の上限となる139万円の被保険者であれば、保険料率2%の差は、月で約3万円、年間では30万円以上もの差となります。
今回は、健康保険組合の保険料率を確認し、被保険者負担の少ない「割安健保ランキング」と事業主が被保険者より多く保険料を負担している「太っ腹事業主ランキング」として比較することとします。
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1.健保組合の保険料の仕組み
ランキングの前に健康保険組合の保険料の仕組みについて確認しましょう。
健康保険組合の収入の大部分は被保険者と事業主が負担する保険料です。そのほかに、事務費補助としての国庫補助金や雑収入などがあります。
支出で最も多いのは医療費や手当金などの保険給付費です。そのほかに、高齢者の医療を支える前期高齢者納付金・後期高齢者支援金、健康管理事業である保健事業費や事務費などがあります。
健康保険組合の収入となる保険料は、「健康保険料」と「介護保険料」の2つに大別されます。
さらに「健康保険料」は「一般保険料(基本保険料・特定保険料)」と「調整保険料」で構成されています。
収入である保険料と支出の関係を表で表すと以下となります。
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高齢化が急速に進展しているため高齢者医療への負担金が増加し、現在は約6割の健康保険組合がいわゆる赤字です。
そのため、協会けんぽの保険料率より、高い保険料率を設定している健保組合が約2割もあります。
財政状況の良い健保の条件としては―――
①若い(病気をしないので医療費がかからない)
②給料高い(保険料収入がたくさん入る)
③家族いない(被扶養者が何人でも保険料は増えないが医療費はかかる)
―――の、3条件でしょう。
が、「被保険者負担」の保険料率には、違う要素が強く関係しています。
それでは、本題の割安健保ランキングを確認しましょう。
2.割安健保ランキング(被保険者負担が少ない順)
全1400組合の調査は無理なので、約1割を目標に調査し、ランキングにしています。
健康保険組合未加入の事業主が加入する協会けんぽの健康保険料率の全国平均は10%、保険料の負担は労使折半ですので、被保険者負担は5%となります。
「5%」が基準値です。
被保険者負担が5%未満の健保は割安、5%以上の健保は割高といえるでしょう。
なお、今回のランキングは「健康」保険料率のみを対象としています。
40歳~65歳の被保険者が負担する「介護」保険料率は含んでいません。
ー凡例―
○単一健保(企業が単独で設立)
●総合健保(同種同業の企業で設立)
★協会けんぽ(都道府県単位料率)
被保険者負担1%台(超絶割安)
○日本郵船健康保険組合 1.500%
被保険者負担2%台(超割安)
○日本テレビ放送網健康保険組合 2.280%
○大和証券グループ健康保険組合 2.455%
○東京放送健康保険組合 2.520%
○アステラス健康保険組合 2.600%
○三井住友トラスト・グループ健康保険組合 2.700%
○SUBARU健康保険組合 2.767%
○安田日本興亜健康保険組合 2.880%
○三井住友海上健康保険組合 2.900%
被保険者負担3%台(割安)
○トヨタ自動車健康保険組合 3.000%
○全日本空輸健康保険組合 3.054%
●東京証券業健康保険組合 3.100%
○三井化学健康保険組合 3.100%
○TDK健康保険組合✇ 3.120%
○横河電機健康保険組合 3.150%
○三菱自動車健康保険組合 3.280%
○ソニー健康保険組合 3.280%
○ホンダ健保組合 3.320%
○マツダ健康保険組合 3.340%
○IHIグループ健康保険組合 3.394%
○プルデンシャル健康保険組合 3.400%
○東北電力健康保険組合 3.405%
○コニカミノルタ健康保険組合 3.450%
○花王健康保険組合 3.460%
○村田製作所健康保険組合 3.474%
○カシオ健康保険組合 3.480%
○セイコー健康保険組合 3.500%
○富士フイルムグループ健康保険組合 3.500%
○グラクソ・スミスクライン健康保険組合 3.506%
○パナソニック健康保険組合 3.510%
○三菱電機健康保険組合 3.535%
○武田薬品健康保険組合 3.544%
○日本アイ・ビー・エム健康保険組合 3.575%
○川崎重工業健康保険組合 3.580%
○東京医科大学健康保険組合 3.590%
○クボタ健康保険組合 3.590%
○メイテック健康保険組合 3.600%
○小松製作所健康保険組合 3.600%
○三菱UFJ証券グループ健康保険組合 3.605%
○日本電気健康保険組合 3.620%
○ニチバン健康保険組合 3.670%
○シャープ健康保険組合 3.677%
○いすゞ自動車健康保険組合 3.680%
○東芝健康保険組合 3.680%
○帝国ホテル健康保険組合 3.680%
○旭化成健康保険組合 3.690%
○丸井健康保険組合 3.690%
○日立健康保険組合 3.700%
○JUKI健康保険組合 3.700%
○東武鉄道健康保険組合 3.700%
○ニコン健康保険組合 3.730%
○日産自動車健康保険組合 3.740%
○資生堂健康保険組合 3.784%
○日野自動車健康保険組合 3.790%
○荏原健康保険組合 3.800%
○森永健康保険組合 3.800%
○東京スター銀行健康保険組合 3.800%
○リクルート健保組合 3.850%
○スズキ健康保険組合 3.850%
○日揮健康保険組合 3.899%
○日研グループ健康保険組合 3.900%
○コスモ石油健康保険組合 3.906%
○富士通健康保険組合 3.916%
○ヤンマー健康保険組合 3.924%
○リコー三愛グループ健康保険組合 3.940%
○味の素健康保険組合 3.970%
被保険者負担4%台(普通)
○楽天健康保険組合 4.050%
○アボット健康保険組合 4.050%
○シチズン健康保険組合 4.071%
○日本ケミコン健康保険組合 4.107%
○大王製紙健康保険組合 4.120%
○ダイハツ健康保険組合 4.200%
●東京都信用金庫健康保険組合 4.215%
○トッパングループ健康保険組合 4.230%
●関東ITソフトウェア健保組合 4.250%
●出版健康保険組合 4.250%
●東京不動産業健康保険組合 4.300%
○大和ハウス工業健康保険組合 4.300%
●電設工業健康保険組合 4.300%
○キリンビール健康保険組合 4.3398%
○ビックカメラ健康保険組合 4.350%
○エイベックスグループ健康保険組合 4.350%
●産業機械健康保険組合 4.400%
●民間放送健康保険組合 4.400%
○ジェーシービー健康保険組合 4.400%
○KDDI健康保険組合 4.400%
○ベネッセグループ健康保険組合 4.410%
●東京機器健康保険組合 4.430%
●東京都情報サービス産業健保組合 4.450%
●東京広告業健康保険組合 4.450%
○ヤクルト健康保険組合 4.500%
●自動車振興会健康保険組合 4.550%
○日本旅行健康保険組合 4.550%
○NTT健康保険組合 4.560%
○SCSK健保組合 4.600%
●東京化粧品健康保険組合 4.600%
●通信機器産業健康保険組合 4.600%
○綜合警備保障健康保険組合 4.650%
●神奈川鉄鋼産業健康保険組合 4.650%
●東京都電機健康保険組合 4.650%
○大東建託健康保険組合 4.700%
●東京ニットファッション健康保険組合 4.700%
●海空運健康保険組合 4.700%
●東京金属事業健保組合 4.750%
●計機健保組合 4.750%
●全国外食産業ジェフ健康保険組合 4.750%
○伊藤ハム健康保険組合 4.750%
★協会けんぽ(新潟県)4.790% ←協会けんぽ最安値
●東京実業健康保険組合 4.800%
●東京織物健康保険組合 4.800%
○東亜道路健康保険組合 4.800%
●東京港健康保険組合 4.800%
○太陽生命健康保険組合 4.827%
●酒フーズ健康保険組合 4.850%
○日本年金機構健康保険組合 4.900%
●東日本プラスチック健康保険組合 4.900%
●倉庫業健康保険組合 4.900%
●セメント商工健康保険組合 4.900%
○ダスキン健康保険組合 4.900%
●東部ゴム健康保険組合 4.900%
●日本金型工業健康保険組合 4.925%
●東京都家具健康保険組合 4.937%
○内田洋行健康保険組合 4.950%
○三陽商会健康保険組合 4.950%
●東京中央卸売市場健康保険組合 4.950%
●関東百貨店健康保険組合 4.950%
○カルビー健康保険組合 4.975%
●東京都洋菓子健康保険組合 4.985%
被保険者負担5%台(割高)
★協会けんぽ(全国平均)5.000%←協会けんぽ平均値
●機缶健康保険組合 5.000%
●全日本理美容健康保険組合 5.000%
●大阪自動車整備健康保険組合 5.100%
○東武流通健康保険組合 5.100%
○平和堂健康保険組合 5.150%
●東京製本健康保険組合 5.200%
●石油製品販売健康保険組合 5.250%
○日本マクドナルド健康保険組合 5.350%
★協会けんぽ(佐賀県)5.365%←協会けんぽ最高値
3.太っ腹事業主ランキング(事業主負担割合が多い順)
事業主が被保険者より多くの保険料を負担している太っ腹事業主が運営している健保ランキングです。
健康保険組合名称のうしろに記載している料率は「事業主負担-被保険者負担」の率です。
調査対象健保のうち、事業主負担が被保険者負担より1%以上多い健保のほとんどは単一健保で、総合健保は東京証券業健康保険組合の1組合のみでした。
事業主負担3%以上多い()
○日本郵船健康保険組合 3.000%
事業主負担2%以上多い()
○SUBARU健康保険組合 2.766%
○IHIグループ健康保険組合 2.612%
○大和証券グループ健康保険組合 2.455%
○トヨタ自動車健康保険組合 2.300%
○東武鉄道健康保険組合 2.300%
○安田日本興亜健康保険組合 2.240%
○三井住友トラスト・グループ健康保険組合 2.100%
○三井住友海上健康保険組合 2.000%
○三井化学健康保険組合 2.000%
○森永健康保険組合 2.000%
事業主負担1%以上多い()
○パナソニック健康保険組合 1.980%
○東京放送健康保険組合 1.960%
○花王健康保険組合 1.960%
○荏原健康保険組合 1.900%
○シャープ健康保険組合 1.846%
○川崎重工業健康保険組合 1.840%
○帝国ホテル健康保険組合 1.840%
○全日本空輸健康保険組合 1.832%
○マツダ健康保険組合 1.820%
○クボタ健康保険組合 1.820%
○アステラス健康保険組合 1.800%
●東京証券業健康保険組合 1.800% ← 総合健保
○小松製作所健康保険組合 1.800%
○JUKI健康保険組合 1.800%
○セイコー健康保険組合 1.800%
○カシオ健康保険組合 1.740%
○三菱電機健康保険組合 1.730%
○三菱UFJ証券グループ健康保険組合 1.691%
○東北電力健康保険組合 1.690%
○ホンダ健保組合 1.660%
○味の素健康保険組合 1.660%
○いすゞ自動車健康保険組合 1.640%
○ソニー健康保険組合 1.640%
○東芝健康保険組合 1.640%
○横河電機健康保険組合 1.600%
○TDK健康保険組合✇ 1.560%
○ニコン健康保険組合 1.540%
○コニカミノルタ健康保険組合 1.500%
○コスモ石油健康保険組合 1.488%
○三菱自動車健康保険組合 1.440%
○日野自動車健康保険組合 1.420%
○富士フイルムグループ健康保険組合 1.420%
○シチズン健康保険組合 1.358%
○日立健康保険組合 1.300%
○武田薬品健康保険組合 1.296%
○日本電気健康保険組合 1.260%
○ニチバン健康保険組合 1.260%
○村田製作所健康保険組合 1.252%
○日産自動車健康保険組合 1.220%
○ヤンマー健康保険組合 1.152%
○日本テレビ放送網健康保険組合 1.140%
○日本ケミコン健康保険組合 1.116%
○大王製紙健康保険組合 1.060%
○トッパングループ健康保険組合 1.040%
○資生堂健康保険組合 1.032%
○リコー三愛グループ健康保険組合 1.020%
○スズキ健康保険組合 1.000%
○ダイハツ健康保険組合 1.000%
○ヤクルト健康保険組合 1.000%
4.業界大手ランキング(被保険者負担少ない順)
最後は、業界別の健康保険料の被保険者負担が少ない順のランキングです。
業界別の大手企業の単一健保組合の割安ランキングとなります。
自動車大手10社
①SUBARU健康保険組合 2.767%
②トヨタ自動車健康保険組合 3.000%
③三菱自動車健康保険組合 3.280%
④ホンダ健保組合 3.320%
⑤マツダ健康保険組合 3.340%
⑥いすゞ自動車健康保険組合 3.680%
⑦日産自動車健康保険組合 3.740%
⑧日野自動車健康保険組合 3.790%
⑨スズキ健康保険組合 3.850%
⑩ダイハツ健康保険組合 4.200%
総合電機大手8社
①ソニー健康保険組合 3.280%
②パナソニック健康保険組合 3.510%
③三菱電機健康保険組合 3.535%
④日本電気健康保険組合 3.620%
⑤シャープ健康保険組合 3.677%
⑥東芝健康保険組合 3.680%
⑦日立健康保険組合 3.700%
⑧富士通健康保険組合 3.916%
時計大手3社
①カシオ健康保険組合 3.480%
②セイコー健康保険組合 3.500%
③シチズン健康保険組合 4.071%
被保険者の保険料負担の少ない「割安健保」の条件は、以下の3つ。
・単一健保であること。
・事業主がより多くの保険料を負担できる大企業の健保であること。
・業種は給料の高いマスコミ・金融・医薬品等の業種であること。
以上
written by suchika-hakaru