ボイスチェンジャーがないと話せない・親が死んでも葬儀屋への電話ができないひきこもり達 ~ネット配信者が仲介役に~

動画障害者ルポ

【対人関係が怖い・苦手という人たちの心にリーチする】

 

 

「俺がネット放送を通じて伝えたいのは、対人関係が怖い・苦手だという人たちには、あなたが見てきた人たちが怖いだけだということ。あなたが見てきた人と違う人たちを見せたいと思っています」

 

そういった気持ちから、普段は接点を持つことがないお坊さんとのコラボ配信もする。時には、原科さん自身が職業体験をし職場で不適応を起こして、ひきこもりたちに今までと違う職場があるという選択肢を示すこともある。

 

しかし、行政や多くの支援者がひきこもりとつながれない現状で、原科さんがひきこもりとつながれるのはなぜだろうか。

 

「俺は臨床心理士などの国家資格は持っていません。支援をしているというよりも一緒に遊んでいるだけ。遊んでいるうちに外に出られるようになったというのが理想です。支援しようとするとダメなんです」
支援を受け入れるということは、自分が劣っている部分に目を向けなければならない。劣っている部分を認めた上でのスタートとなる。それが多くのひきこもりたちにとって、苦痛を伴う。「やってもらった感」を嫌うからだという。

 

「ブス・ブサイク支援を受けると言ったら、まずは自分がブスだとかブサイクだとか認めなきゃいけないわけじゃないですか(笑)」
確かに、自分がブスである、ブサイクであるということを認め、好んで支援を受けようという人は少数派だろう。

 

そして、原科さん自身が発達障害の傾向があることを自認している。グレーゾーンの原科さんは、定型発達と言われる人たちと発達障害の人のどちらの感覚も理解できる。双方のつなぎ役になれるのだ。

 

「ニコニコ生放送中にコメントをするくらいが、距離感としてちょうどいい」

 

最近、zoomで何人か同時で会話するという試みもしてみたが、リスナーにとってzoomで会話することはハードルが高いという。

 

支援者は多くいるが、まず支援につながらないので支援自体をスタートできない。

 

原科さんはそういったアウトリーチの支援ではなく、パソコンを通じて、内面にアプローチすることを心がけている。

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