その間、失業保険を受給していたため、無料で「ひきこもり・不登校」相談を開始。たまたまネットで家族とつながり、8年引きこもっていたミネラル君という当事者から教えられ、インターネット放送を始めた。
原科さんが、ニコニコ動画に放送枠を開設したのは、ちょうど2年前。以来、仕事以外の午前3時頃の時間帯を中心に、無償で放送を続けてきた。
その傍ら、50分5000円(電話・スカイプ相談は30分3000円)でカウンセリングを引き受けている。しかし、「(それだけでは)赤字で生活できない」ため、元の職場に契約社員として復職した。
コミュニティ登録者は約1300人
放送中に参加者同士が会話することも
時々、コミュニティ限定で放送する。原科さんのコミュニティの登録者は約1300人。誰でも無料で登録できる。
放送を何時に行っても、視聴者数は100人前後。そのうち、コメントするのは、10分の1くらいだという。
大半の引きこもっている人たちは、家から出られないものの、インターネットをしている人もいる。ネット放送をしていても、ほとんどは見ているだけの傍観者だ。
しかし、ネットに一言、コメントを書き込むだけであれば、社会につながるためのハードルは低い。
コメントが荒れる日もあるが、希望の光のように、じっと見ている人たちもいる。そう思って、放送を毎日続けてきた。
午前3時ごろに放送していたら、身体がもたないのではないか?と聞いてみた。
「そんなことないですよ。たまに放送しながら寝ちゃうときもありますけどね。すると“寝かせといてやれよ”という反応が多い。僕がいないと、放送を通じて、参加者同士が会話をしだすんですよ。番組は30分単位なんですが、“放送を切らないでおいてくれ”という要望も多いですね。すると、集まった人たちでコメントのやりとりすることもあるんです。それは、自分も思いもしませんでした」
そこが“安心できる場”だとわかると、だんだんと時間をかけて、つながりができてくる。
こういう当人同士でやりとりするコミュニティが生まれたのは、つい最近ことだ。とくに、社会とつながりがなく引きこもっている人たちにとっては、とても大切な時間かもしれない。