第10話『恋するみずき』Part4   Part3に戻る

 その後も二人のデートは続く。コーヒーカップ。ホラーハウス。ミラーハウス。
 ゲームコーナーではしゃぐみずきと優しい坂本。どう見てもカップルにしか見えない。
「なんだかばかばかしくなってきたな…」
 眠そうに榊原が言う。競馬おやじの姿は彼にフィットしすぎだが、コスプレだらけの中では浮いていた。
「そう? ボクはデートしてるみたいで楽しいよ。ね、上条クン」
 和服の綾那はヒーローに扮した上条を見上げる。どういうつもりか「サムズアップ」で返答する上条。
「……」
 視線の先の仲睦まじい『カップル』から目をそらすように、突如として七瀬が反対方向へと歩き出した。
「どうしたんだよ。七…」
 名前を呼びかけて、みずきをつけていることを思い出した真理は口をつぐむ。それでも七瀬は立ち止まり振り返る。
「帰りましょ。榊原くんの言うとおり。ばかばかしくて見てられないわよ」
「確かに妨害をせねばならぬのだが…」
「あんな仲良さそうな姿を見せられると、邪魔をするなんてできませんわ」
 メイド姿の姫子が言う。素直に伸びた長い黒髪に鎮座するヘッドドレスが印象的であった。
「だから帰りましょ。結婚でも妊娠でも……なんでも好きにすればいいのよ」
 怒っているような悲しそうなそんな表情。
 口を真一文字に結び七瀬はすたすたと出口へと急ぐ。そのときだ。
「それで本当によいのか? 少女よ」
「えっ?」
 どことなく覚えのある声に立ち止まる七瀬。
「ふははははははははははははは」
 どこからか男の笑い声が聞こえてくる。
「この声は…」
「ここだ! 少女よ」
 声の方向を見ると時計の上だ。七瀬たちは仰天した。
 一言で言うなら怪人だった。ヒーローの敵のそれではなく。
 無地のタイプの野球のユニフォームに身を包み、爪タイプのスパイクを履いている。
 足にはキャッチャーのつけるレガーズがあり、腰にはバットが刀のようにささっている。その背中には黒いマントが。
 野球帽に繋がるバイザー。そして口元を覆うマフラーが素顔と地声を隠していた。
「あなたは…入学式の日に助けてくれた」
 それが聞こえていたのか、怪人は時計から飛び降りて着地する。
「野球忍者ビッグ・ワン。参上」
 ビッグワンと名乗る怪人は一同を見まわす。よく見れば本来ならチーム名を書いてある部分には飾り文字で『BIG ONE』と。
 コスプレ祭りの会場だけに派手な名乗りもこの姿も、オリジナルコスプレのパフォーマンスと解釈されたらしく、ほとんど注目されない。
「少女よ。なにを迷う。見限るのは最後まで見届けてからでも遅くはないぞ」
 妙に芝居がかってビッグワンは言う。五人も集まってくる。
「でも…みずきの心はもう」
 唐突に核心を突かれて、七瀬は正体探りよりそちらに気を取られる。
「戻らないと思うか。あれが本心だと思うか」
「え?」
「まずは信じろ。相手を。そして相手を信じる自分を。中途半端で諦めては残るのは苦痛だけだ」
 七瀬は考える。自分が何をしたいのか。そしてみずきを信じられるかどうか。
「やっぱり…やっぱりあんなのみずきじゃない。きっと何かがあるに違いないわ。だから…私…信じてみます」
 それを聞き遂げると仮面でわからないが満足そうに頷くビッグワン。マントを翻して跳びあがる。
「あっ。待ってください。あなたはいったい?」
「少女よ。私に言えるのはここまでだ。後は君次第。さらばだ。ふははははははははははは
 いきなり現れたと思いきや唐突に消えた。
「な…なんだったんだ。あれは」
 真理が呆然として言う。
「あの身のこなし。只者ではござらん。忍びとしても侍としてもかなりの使い手」
「なんていうか…タイガーバームガーデンで石像の中から現れても不思議はない人だったな」
「あれっ。みーちゃん達と榊原くんがいないよ」
 綾那の言うとおりだった。
「みずきさんはこの順路にしたがったようです。わたくしは今は榊原さんを探してますが…」
 間もなく探し当てた。
「なんだって? あんの野郎ぉぉぉぉぉ。アタイが連れてくるからあんた達は続けてな」
 場所を聞いた真理は追っかけに走る。

 この遊園地には場外馬券売り場もある。喫茶レッズに現れた宇佐美氏が休日でここにきていた。
「うーん。『クラッシャーピラ』を軸にしてどうするか。これは二着探しだなぁ」
 当然ながら馬券が目当て。新聞とにらめっこしながら予想していた。思わず口に出た。
「ああ。それならやめた方がいいでしょう。来ませんから」
 背後から現れたあまりにも競馬ファッションの似合っている…実は高校生の榊原が言う。この格好が似合いすぎて疑われたことはない。
「えっ? なんでです?」
 おなじ競馬ファンと言うことでか、素性も考えずに会話してしまう宇佐美。
「第三コーナーで落馬しますから。荒れますよ。俺は『アサダヨウ』と『ユカリロングヘア』を買いますけどどうします?」
「そんな。クラッシャーピラは本命ですよ。それにその2頭は前のレース惨敗してるし。このレースはがちがちでしょう。
 まして落馬なんて予想できるのは、超能力者くらいの物でしょう」
(実はその『超能力者』なんだけどね。あんまり尾行が退屈でついビッグショットが作動したらこの予知が。あれるぞ。買うのが間に合ってよかった)
「まぁ信じる。信じないはお好きにどうぞ。俺はこれに有金を全部」
「な…なんて剛毅な…」
 今まさしく買おうとしたときだ。その首に見えない茨がまきついた。それを手繰り寄せ真理がほえる。
「こんなところでなにしてんだ? アンタはよ?」
 やっと見つけた真理が来て榊原を連れて行こうとするが、ガンズン・ローゼスが榊原の心を読んだ。
「なに? そんなことが」
「いいから離せ。時間がない。村上にも分けてやるから」
 ビッグ・ショットの予知の信憑性は十分に知っていた。だからさすがにそっちを優先した。
「なんだか凄いな…千円だけ乗ってみるか」
 ほんのお遊びで宇佐美は榊原の予知に従って買って見た。
 結果…榊原の予知通り一番人気のクラッシャーピラが騎手を振り落として落馬競争中止。
 一着アサダヨウ。二着ユカリロングヘアで高配当されていた。ただしそれまでに審議で時間が掛かっていた。
 
 言うまでもないが…榊原も真理も尾行を失念していた。
 榊原和彦。村上真理。戦線離脱(リタイア)

「もう。しょうがないわね。二人とも。馬券売り場に行っちゃうなんて」
「木乃伊取りが木乃伊とはまさにこのことでござるな」
「今度はお食事のようですね。どうしましょう。こんな姿(メイド服)だと中で間違われそうですわ」
 それでも3人はとりあえず離れてテーブルを取る。

 混んでいる時間を避けて昼食を採るみずきたち二人である。
(よし…そろそろ)
 注文のものが来るのを待つ間の話題として、坂本の父親の話題になる。
「先輩」
「ん? なんだい? 赤星君」
「この前ウチにいらしたときに、ご一緒だった先輩のお父様って、難しい研究をしてらっしゃるんですか?」
 唐突に思えたが友達の話題ばかりで飽きられると思ったのだろうと坂本は判断した。それにほとんどみずき側のことばかり喋らせている。
 だからその思惑に乗ることにした。
「遺伝子の研究でね。上手くやればガンの治療や性転換にも応用できるらしい」
「えっ? 『性転換』ってどうして」
 もちろん演技だ。いよいよ『核心』と言うわけだ。
「とうさんの話しじゃ例えば絶滅種の動物のバランスをとる目的もあるらしい。メスの数が少ないような生き物もね」
「それって人間にも応用できるのかしら?」
 あくまで可愛げに無邪気に話題に触れるがこれが一番聞きたいことだった。
「どうだろう? そんな研究ができるかどうか。人体実験がいるものな。もっとも志願者はいるかもね。
 さっきのコスプレは、たまたま好きなキャラクターが女性だっただけと言う気もするが、世の中には体は男で心は女と言う人もいるらしいしその逆も。
 必要性があれば外科手術で無理やりではなく、細胞その物に働きかけて男を女にできるのかも。
 外科手術だと外観は近づけてもそれだけだが、これだと本当に性別が変わるはずだから
 将来は本当に男が女になったり、女が男になれるのかも」
「ふーん…あたしも…男の子になりたいなって思ってたんですけど…」
「えっ? あはははっ。もったいないよ。そんなに可愛いのに」
 さらっと本音と言うか願いを言ったが文字通りに一笑にふされた。
 どうやら冗談と取られたらしい。まさか目の前の愛らしい少女が、本当は男とは想像もつかない。
 何しろ手足は華奢だし、ワンピースの胸元を押し上げる豊かな胸は十分に女をアピールしていた。だからみずきはこの胸が大嫌いだった。
「君はそのまま大人になって、かわいいお嫁さんになるのが一番しあわせだと思うよ」
(俺はどっちかと言うと可愛いお嫁さんを貰いたい側なんだけど…)
「お待たせしました」
 注文のランチが来たのでこの話題はここでおしまいだった。

 レストランに入っていた十郎太たちだが、遠くて聞こえない。何とか唇を読もうとするが位置が悪い。
「なにやら難しい話しをしているようでござるな」
「それでは仕方ありませんからとりあえずお食事にいたしましょう。上条さんもその仮面を…あら。いつのまに?」
 上条と綾那。二人がいなかった。

 特設ステージ上。爆発が起きる。セーラー服の少女。ブレザー姿の少女。ナース。シスター。メイドが「戦闘員」と戦っている。
「みんな。転着よ」
 リーダー格のセーラー服の少女が言うと五人がコンパクトを開く。
 そしてそのまま後方に下がりスモークが焚かれて入れ替わる。スーツ姿の戦士が現れる。それぞれポーズを取り名乗りをあげる。
「セーラーレッド」
「ブレザーブルー」
「シスターホワイト」
「ナースピンク」
「メイドブラック」
 ここで一斉にポーズを取る。
「制服戦隊モエレンジャー」
 歓声がわきあがる。ちびっこだけでなく『大きなお友達』の方が多いかもしれない。その中に上条たちはいた。
「うおおおおお、かっこいい」
 ここで『可愛い』でなく『かっこいい』が出る辺り上条らしかった。隣の綾那は何が何だか解らないが上条にくっついていた。
 その隣の眼鏡の青年がまくし立てるようにつぶやく。
「うーん五人全部が女か…そう言うのはセ○ラ○ム○ンで充分だよな。戦隊でやらなくても。
 大体なんだか男のファンに媚びているようで感じが悪いしあざとい。
 時代のニーズといえばそうなのかもしれないが…」
「このぶぁか弟子がぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「はっ。師匠?」」
 突如として拳法着に身を包んだ弁髪の老人が現れる。
「大衆のニーズをおろそかにしてはいかんぞ。時代は今、優しさを求めている。だから全員が女子と言う戦隊が現れるのは自明の理。それもわからぬかぁぁぁぁぁ」
「わ…解りましたよ。師匠」
「わかればよい。さらばだ」
「ふぅ。いつも唐突に現れては消えるなぁ。さて。僕も消えますか。まだ『おやすみなさい』には早いから…『君達。特撮掲示板で僕と握手』」
 言いたいだけ言うと彼は総武線に乗るべく駅へと向かった。

 上条は尾行中にこの戦隊ショーを見つけてしまったのが運のつきだった。完璧に本題を忘れていた。それに付き合っていた綾那も見事に本目的を忘れた。

 上条明。若葉綾那。戦線離脱(リタイア)。

 夕暮れがさすがに迫ってきていた。観覧車から降りてきた二人はベンチで休んでいた。
「いやあ。今日は随分と遊んじゃったね。赤星くん」
「そうですね。先輩」
 何とか返事はしたが疲れからか無言になる。

「なんだかよい雰囲気ですね」
 植え込みを挟んだ後方のベンチで休憩しているふりの3人であった。
 結局、離れた面々を探しに行っては本題を忘れてしまうので後で合流することにした。
「どうかしら…えっ?」
 七瀬は絶句する。他の暴走したカップルが何組かキスをはじめてしまった。ムードに流されたのだろうか。

 そして坂本の目線の先もキスが繰り広げられていた。
(まいったな…)
 目のやり場に困ってみずきを見れば、彼女は目を閉じて顔を上に向けていた。

 坂本は気遣ってみずきがまぶしくないように、夕日を自分の体で遮ったが完全ではなくまぶしかった。
 それから目を逸らすと…みずきの目線の先でも、カップルがキスをはじめてしまっていた。
 女になっていたせいか恥ずかしさがこみ上げて目を閉じた。
 そして下を向けばよいものを、それが上目遣いになっていた感じだからキスの催促に見える体勢だった。
 夕日で赤く彩られてなんともロマンチックな錯覚を起すみずきの顔だった。
 周囲の状況。みずきの催促(勘違いだが)。そしてなにより流されやすい性格で、坂本自身わけがわからないうちにみずきの顎に手をかけていた。
 「赤星くん…キス…してもいいかい」

 当のみずきとしてはとんでもない話しであった。思わず目を開く。坂本の顔が近づいている。大声で叫んで突き飛ばして逃げたかった。だが
(これはチャンスかもしれない…先輩はオレに好意を抱いている。このままキスしちゃえば先輩はぐっとオレに近づく。
 そうすればオレの願いも聞いてくれるかも…でも…でも…女として…男を受け入れるのか…
 一時の屈辱だ。完全な男に戻るためならキスくらい…でも…でも…七瀬…)
 もう5センチくらいになり目をあけていられなくなった。そっと目を閉じる。

十郎太さま。十郎太さま。どうしましょう。みずきさんったら本当は男の方なのに殿方同士で…でも今は可愛い女の方ですからある意味では正しいのですけど」
 声をひそめつつも大騒ぎの姫子。箱入り娘には刺激が強すぎた。十郎太は黙って無表情で監視を続けている。
 七瀬は逆に見ていられなかった。目をそらすが…ふと沸々と怒りに似た感情がわいてきた。
 目を見開き二人を見据える。既に互いの呼吸が唇で感じられる距離である。みずきの閉じた目から涙が零れ落ちる。
 男とキスする羽目になったからの涙だったが、それを女としての感涙と勘違いした七瀬はとうとう切れた。
 植え込みを突っ切り二人の後方で叫ぶ。

「アンタ…そこまで女になったわけ?」

このイラストはOMCによって作成されました。クリエイターの参太郎さんに感謝!

「みずきっ。なにやってんのよっ」
「わっ? 七瀬っ。どうしてここにっ」
 乱入者に驚いたみずき。とっさに体が離れる。
「お…おおおおおおおお及川くんっ??????? どうしてきみがここにっ????」
 坂本の狼狽ぶりはすさまじかった。ベンチから転げ落ちる。
「赤星くん。残念だが僕はこれで失礼するっ。おくって行けずにすまない」
 そのまま脱兎のごとく逃げ去ってしまった。例えて言うなら浮気現場に踏み込まれた男…だろうか。
「な…なんなの?」
 怒りもうせて呆然と見送る七瀬にみずきが怒鳴る。
「どうしてくれんだよっ。人があんな思いしてまで完全な男に戻ろうとしていたのによっ」
「えっ!?」
 絶句する七瀬たち。
「それってどう言うこと…」

 事情を説明するみずき。そして思わず叫ぶ一同。
「先輩のお父さんにその体質を治してもらうつもりだったぁ?」
「ああ。そのためにも先輩と仲良くなって置くのが得策だったんだよ…」
 立ち話で事情を説明する。見かけはあくまで美少女のままだが、言葉遣いはすっかり男言葉に戻っている。
「なんでまた…」
「…焦ってたんだな…このままじゃ完全に女になっちまうと。だからたまたま知った遺伝子工学の権威である坂本教授に近づきたかったんだ…」
「『将を射んとすれば馬から」と言うわけでござるな」
「ああ…浅くても他人の仲だから簡単に聞いてくれると思えないが、深けりゃ『実は男』で傷つける。
 自然に名前を呼び捨てるようになった辺りが情の移ってきた頃合かなと思っていたが、まさかいきなりキスをされかかるとは…それだけは助かったぜ」
 男とのキスを望んでいなかったと言うことで、どうやら女性化が進んでいたわけではないと知って七瀬は安堵する。そのせいかリラックスした口調になる。
「ばかねぇ。先輩はあんたのこと女だと思ってんのよ。仮にあんたが気に入られて、それで遺伝子工学が実用できても、反対に完全に女にされちゃう危険性もあったのよ」
「…………………しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁそのパターンもあったのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 頭を抱えるみずき。ため息の七瀬。姫子が提案する。
「ここは正直に事情を話して研究していただくようにお願いするのが一番ではないでしょうか」
「でもさぁ……『あたしは本当は男なんです。あたしを男に戻してください』なんて言っても信じてくれないし、赤の他人にそんな手間かけてくれるとも思えないし」
「とにかく明日先輩に謝った方がいいわね。事情が事情と言えど騙していたような物だし」
「そうだな。女として接してみると、やさしいいい人だとわかるよ」
 だがそれほど「いい人」でもなく、その気配りは無用であった。

 遁走する坂本。彼がここまで走ってきたのは後ろめたかったからだ。流されてみずきにキスしかけたこと。そして…
「なんという事だ…よりによって彼女に…僕の本命の及川くんにっ、彼女の親友の赤星くんにキス未遂の現場を見られるなんて…誠心誠意謝らないと」
 そう。坂本が本当に好意を抱いていたのは七瀬なのだ。だから街で七瀬の姿を見つけて強引に父親と喫茶店に入ったりもした。
「ああ…及川くん…前からあの家庭的な感じが好きだったが赤星くんの話しでいろんな逸話を知ったら余計に熱が上がってしまったようだ
 何とかきっかけが欲しい。まずはグループ交際か。赤星くんを交えて付き合えるようにしたいが」
 つまり坂本も「将を射んとすれば…」だったわけである。
 互いに外道だったので遠慮は無用と言う物であろう。

 次の日。月曜日。
 みずきと七瀬のいつもの登校風景。先週までとの違いはみずきがぶりっ子をやめたことである。
「七瀬。遅れるぜ。ちょっと急ごうぜ」
(ふふっ。こう言う乱暴な言葉遣いこそみずきよね。なんか安心しちゃうのは変かな)
 だが
「ああ。赤星くん。及川くん」
 坂本が校門の前で待っていた。遊園地の件だと察しがついた。
「二人とも昨日は…」
「楽しかったですねぇ。先輩。またデートに誘ってくださいね(とりあえず深入りされない程度にゃ親密になっておこう)」
 すっかり抵抗なく腕を絡めて甘えた声で言うみずき。とっさにぶりっ子モードが作動していた。
「あ…ああそうだね。次は映画なんてどうかな?」
 そして簡単に流されてしまう坂本。優しさと紙一重の優柔不断さだった。

(みずき…信用して良いんでしょうね…本当に女の子の心になんてなってないんでしょうね…不安だわ)
 七瀬が再び不安になるほど、仲のよすぎる二人だった。

次回予告

 女の敵。痴漢。本来なら被害に遭うはずのない被害に遭うみずきは憤慨する。痴漢退治に燃える。
だが反面、逃げに逃げていた水泳の授業をいよいよしなくてはならなくなった。
 女のプロポーションをみんなに見せることになったがそれどころではない珍騒動がプールで巻き起こる。
 次回PanicPanic第11話「サマーパニック」
 クールでないとやっていけない。ホットでないとやってられない。

第11話『サマーパニック』Part1へ

第10話「恋するみずき」製作秘話へ

第10話「恋するみずき」パロディ原典集

制作秘話へ

「PanicPanic専用掲示板」へ

「Press Start Button」へ

トップページへ