第7話『狂気の正体』Part3   Part2に戻る

 無限塾校庭。12人が入り乱れてのバトルは、いきなり対戦相手が変わると言う展開であった。
 みずき&七瀬VS冬野。みずきは手をこまねいていた。
(機動力ではあのサルの方が絶対に上。だがこいつは上条との戦いを見ても判る通りトリッキーな戦法を使う。無造作に跳びこむのは得策ではない)
「みずき…私も…」
「来るな七瀬!! 奴の行動は読めねえ」
 加勢しようとする七瀬を気遣い制止する。だが状況を打破するためにか冬野がナイフを投げてきた。
(紐付きのナイフ。たとえ捌いても戻るときにまた気をつけないと。それなら)
 みずきは身の軽さで跳びあがる。反射的な行為といえどいささか軽率だった。冬野が毒霧を吹いたのだ。
「う…うわあっ。目が…」
 ジャンプしたものの着地がままならず文字通り撃墜される。しばらく戦闘不能。
「ガキの産めない体にしてやるぜ。食らいなぁ」
 冬野の蹴りがみずきの腹部に炸裂する。

 一方、榊原と春日のバトルは榊原が春日の機動力に翻弄されていた。宙を舞いながら哄笑する春日。
「あのデブ(夏木)ならのろまだからとっ捕まえることも出来たろうが、オレ様のこの動き。捕らえられるかぁ」
「くっ」
 確かに機動力では負けている。それを良いことにちくちくとロッドによる攻撃を仕掛ける。だが
「確かに素早い。だがその程度の打撃で俺をKOするのは無理だぞ」
 捕らえられまいと打っては逃げるを繰り返すゆえに、反撃ももらわないものの攻撃も決定打にかけていた。
「ほざけ!! てめーにゃ俺は捕まえられねぇ。そのうち…」
「ブラッディーマリー」
 跳びまわる春日を捕らえたのは榊原ではなく真理だ。顔面をわしづかみにするとそのまま地面に投げ捨てる。当人は無事に着地する。
「き…貴様…助っ人とは」
 ロッドを杖に立ち上がりながら罵る春日。それに対して腰に手を当てた状態で言い放つ真理。
「『卑怯』とは言わせないぜ。こっちに思い込ませて不意をついたんだ。ならアタイが代わっても悪くないはずだぜ。
 さっきはあのデブとカズの因縁の戦いだったから黙って見てたがな。今度はアタイがやってやる。カズ。休んでおきな」
「助かった…それに今度は赤星が気になる…冬野の相手は今度はあっちか…」
 冬野がみずきを蹴っているがそれが気にならないほどに『炎』が気に掛かる。
(だが何か違和感が…校庭? 予知夢はここではない!? だとしたら誰が…)
 榊原の逡巡。そして春日もほぞをかむ。
(くっ。当てが外れた。この女だと多少は速いし飛んだところを捕まれる…また変えるか…)

 十郎太と夏木。これは立場が逆であった。ダッシュして接近した十郎太は連撃を叩き込む。だが衝撃が吸収される。
「こ…これは!?」
「ぐふふふ。俺の体はいわば脂肪のよろいで敵の攻撃を吸収するのよ。そうら。いくら貴様がすばしっこくても捕まえリゃこっちのモンだ」
拳をぶつけた隙に夏木のチェーンが十郎太を捕らえる。そのまま手繰り寄せて巨体で押しつぶす。
「エレファントプレス」
「ぐはあっ」
 百キロ以上の巨体にのしかかられてはさすがの十郎太とてうめき声も出る。しかしつぶした反動で二人ははじかれ離れる。そして先に動いたのは十郎太だ。

 上条を睨みつける秋本。困ったような表情の上条。
「ふっ。テメーにも返す借りがあるが…それはぼんくらのテメーじゃない。あの破気にあふれたもう一人のテメーだ」
「そういわれてもなぁ…ポーズを取れば変身するわけでもないし」
「へっ。だったら俺が手伝ってやるぜ」
 秋本は言うなり懐から一冊の本を取り出した。
「テメーがアニメ関係でぶち切れるのはこの前で判った。だからテメーの目の前でこれを引き裂いてやるぜ」
「それは…」
「くくく…俺でさえ知っている有名なアニメさ。それをこうしてやる」
 地面に叩きつけて踏みにじる。だが上条は所在なげに『ぽりぽり』と頬を掻いている。
「…いや…それでどうだといわれても…」
「なにいっ!? テメーはアニメマニアじゃなかったのかっ?」
 秋本が踏みつけたのは未来からきた猫型ロボットが、さまざまなアイテムで少年を手助けしようとして珍騒動を起こす話であった。
 確かに有名であるがこれに『萌える』オタクも珍しいだろう。
「くっ。まぁいい。それならこっちだ」
 今度は主題歌が大ヒットしたエッセイ風の作品だったが(以下略)
「く…くそぉっ。じゃあこれならどうだ」
 次は海に関係した名前を持つ一家のほのぼのした様子を描いた新聞の4コママンガをベースにした、確かに知らぬものなきアニメだが…秋本はあてが外れて地団太を踏んで悔しがる。
 彼はアニメに疎かった。
「ちきしょう。せっかく買って来たって言うのに無駄金つかっちまったぜっ」
「はぁ…買ったのですか(不良なのに強奪したり盗まないでか…)」
 対処に困っていて『お互い無駄だからそれぞれ味方の援護に回りませんか』と提案しかけた上条の視界に秋本が踏みつけた『しおり』が目に入る。
 キャンペーンで本屋で挟み込んだもののようだ。
 それはロングヘアの美人だがきつい顔立ちの女子高生の絵だった。猫に右手を噛まれている。それを見た上条の顔色が変わる。
「ああっ。佐々木さんっ…よくも佐々木さんを足蹴にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「はぁ? 佐々木さん? だれだ? そりゃ?」
「上条くん!?」
 戸惑う二人を余所に上条の全身から黒いオーラが噴出す。その影響で肌の色も浅黒く見え目も血走って赤い。
「…それほど戦いたくば地獄を見せてくれよう…」
「おおっ。それだそれだ。おまえと戦いたかったんだ。なんか知らんがまぁいい」
 激怒してまた暴走した上条と、喜色満面で木刀を振りかざす秋本の図は異様としか表現できなかった。

 廃ビル。一瞬にして二人の男を消滅させた担任教師は、何もなかったかのようにゆかりに語り掛ける。
「さて…小山くん。君には私がいくつに見える」
「え…先生は確か33歳のはず…」
「そう。『中尾勝』の年齢はそうなるな。だが『斑信二郎』は大正13年11月19日なんだよ…」
「そんな…それじゃもう八十近いはず…」
「少し昔話をしようか…」
 まるでソファでくつろぐようにリラックスした様子でしゃべる中尾…いや。斑。
「第二次世界大戦のときだった。君みたいな若い子は知らないだろうがね。私も兵隊として前線へ送りこまれた。毎日が異常だった。
 死線を潜り抜け、敵を殺す毎日。信じなくても良いがはじめは人殺しが嫌でたまらなかったのだがね。
 だがそれにもじきに慣れた。殺すことにも何も感じなくなっていった。殺さなければ死ぬのは私だからね。いちいち同情などしてられない。
 次第に殺される間際の敵兵の恐怖におびえる顔が私の命の保証につながるようになり、やがてそれは私の喜びへと変わっていった。そうだよ。癖になったと言う奴かな」
「さ…殺人が…」
「誰が言った言葉だったか…『一人殺せば殺人者だが百人殺せば英雄だ』とかね」
「人…人殺しは人殺しよ。人間が人間を殺して良いはずはないわ」
 ゆかりは恐怖を紛らわせるためにあえて会話をすることにした。そして隙を作り脱出するつもりである。
「そう…禁忌だ…ダメなんだよ…私もそう考えたが一度知った快感はやめられない…
 ひょっとするとライオンがシマウマを食い殺すように、持って生まれたサガかもしれない。
 時々どうしても人を殺さずにはいられなくなる。困ったものだよ。開き直って趣味と割り切ったがね」
 まるで『禁煙が出来ない』と言うレベルで自らが行う『殺人』を語る斑である。

 無限塾では戦闘を行っているのは校庭の12人だけ。
 元々取り囲んだ面々はみずきたちを逃さないのが目的。つまり目的を達成しているので静観している。
 また生徒たちもあえて強行突破はやめて校庭の成り行きを見守っていた。
 一時的に動きを止める毒霧を食らい攻撃を受けたみずきだが、単調になってきた蹴りのブロッキングに成功。その好きに脱出して反撃に出る。
「メテオストライク」
 逆立ちの体制から倒れこむ反動と腕の力で相手方向に向い、スピンしながらのドロップキックを見舞う。
 冬野はこれを捌かずに素直にしゃがんでガードしたが、着地してまた逆立ちのみずきのかかとがそのまま脳天にめり込んだ。
「ぎゃっ」
 さらにそこから天に向って跳びあがってのキック。
「コロナフレア」
 みずきの足の裏が冬野のあごにアッパーカットのように炸裂する。
(くっ。女の筋力だから『溜め』に時間が掛かるがそれでもすばしっこい。目先を変えるか。最後に勝てば良いのよぉぉぉ)

「スレッジハンマー」
 真理のラリアットが文字通り唸りを上げて春日の頭上を空振りする。春日はしゃがんでかわしたがそこに真理の膝蹴りが炸裂する。
「サンライズサンセット」

 猛攻に春日もたじたじ。逃げの発想がでる。
(だ…ダメか…この女。あのウシチチ娘よりパワーがあるしこっちのメガネ野郎よりすばやい。ならばまだ同タイプの方がやりやすい)
 攻撃を避けつつ十郎太を見る。

 一度は捕らえられたものの2度同じミスをする十郎太ではない。天空から攻める。
「お主の体が脂肪に包まれていると申すが脳天はどうだ? よもやそこにはあるまい。あったとしても腹ほどではない」
 ふわっと飛びあがった十郎太は両膝を夏木の脳天に突き刺した。
「膝落とし」
そしてこれはしたたかに効いた。さらに顎を目掛けて宙返りを打つ。
「燕返し」
 大きくのけぞる。腹部が引っ張られて薄くなる。
「それだけ脂肪も薄くなれば攻撃も届くだろう。風間流奥義・阿修羅撃
 神気を解放して連続攻撃を叩き込む。これはダメージを与えた。

 そして暴走上条と秋本。二人のバーサーカーの戦いは熾烈を極めた。
「しゃああああああああっっっ」
 力任せに突っ込み切りつける秋本。暴走していても防御の本能が働くのかガードをする上条。しかしそれがしたたかなる秋本の狙い。
「もらったぁぁぁぁぁっ」
 どうしても出来る『動けない時間』に連続攻撃を叩き込む…はずだった。下からねじ上げられて吹っ飛ぶ。
「馬鹿な!? 防御硬直強制解除技(ガードキャンセル)だと!?」
 せっかく詰めた間合いだが吹っ飛ばされて離れる。
 そしてそこに続けざまに龍気炎が打ちこまれる。
 最初こそ捌いていたが捌ききれなくなりガードへと移行。
 だがそれだと多少なりとも消耗する。それを嫌って飛んでしまった。
 着地したところを狙って上条が音もなく滑るように接近していた。
「しまっ…」
 後悔先に立たず。着地の無防備なところを捕らえられ破気を四方八方から浴びせ掛けられた。『逆鱗』と名づけられた暴走上条の最大攻撃技である。
 あえなく秋本はダウンするが上条の暴走は止まらない。
「ボクが正気に戻してあげる」
 綾那が自らのマリオネットで上条の破気を吸いとって浄化していた。エネルギーを奪い取られた上条は静かに崩れ落ちる。
「うー…もうダメ…おなかいっぱい…」
 大量の気を吸い取った綾那は満腹のように座り込んでいた。ともあれひとつの戦いは終わった。

 秋本虎次郎。KO。戦闘不能(リタイア)
 上条明。勝利するも暴走を止めた代償で戦闘不能(リタイア)
 若葉綾那。同じく暴走を止めた代償で戦闘不能(リタイア)

 廃ビル。まるで茶飲み話しをするように斑は饒舌になる。
「ある日のことだ。私は一度死んだのだ。そう。前線で戦っていて敵の弾丸を食らった。致命傷だった。だがそのとき初めて気がついたのだよ。私のパートナーにね」
 斑は右手を横へと広げる。ゆかりには見えなかったがそこには筋骨隆々の男がいた。全身タイツを纏っている。真っ黒だ。その上から骸骨をペインティングしたように見える。
ゴーストフェイスキラー。私はこいつをそう名づけて呼んでいる。いわゆるマリオネットだ。おっと。君はマリオネットマスターではないのかね? 見えないかね」
「マリオネット? 操り人形…何? 何を言ってるの」
「理解できなければ良い。いわゆる超能力だよ。それに姿が伴ったものと思えば良い。とにかくこいつのおかげで私は命拾いした。成仏しようとする私の魂を無傷の戦友の体に括り付けてくれた」
「括り付けたって…それじゃその元の人は?」
「私の代わりに天に上ったさ。彼はこの戦場と言う地獄から抜けたがっていた。希望通りと言うわけだ。
 さすがに一度ではこの能力は理解できなかったが、その体でも戦死してまた他人の体を奪い取った辺りからこつをつかんできてね。理解したのさ。
 こいつはだいたい1メートルの範囲で魂と肉体を切り離せる。ただしそれは私が霊魂だけになったときのみらしい。
 肉体に括り付けられているときは別の力が出るがそれは見たから省くか」
 斑はいよいよ恍惚の表情を浮かべる。
「解るかね。私は死を超越した。人が絶対に逃れられないものから逃れたのだよ。私にとって人など犬猫同然の存在だ」
 ここまで言われれば嫌でも予想がつく。
「あ…あたしに乗り移る気?」
 しかしそれは外れだったらしい。斑は昔を思い出して喉で笑う。
「ふっふっふ。そういやあの時は失敗だったな。娼婦と体を重ねていたときにいわゆる腹上死をしてしまってね。
 放っておくと天に上ってしまうのでとりあえずその女になったが…参った参った。
 今のように避妊具などなかったからまさか『私』の子供を『私』が身ごもる羽目になるとはね。
 あの時は女の体に引きずられて『生んで育てたい衝動』に駆られたが、そのまま女になりきる前に別の男に乗り移ったよ。それからと言うもの女にはとりつかないことにしている」
「そ…その女の人は?」
「殺したさ。腹の子供と一緒にね」
 解りきったことを聞くな。と言わんばかりの表情で斑は言う。ゆかりは憤慨する。
「え…なんて事を。ひどい。鬼だわ。悪魔よ」
 もちろんゆかりは身篭った事などないがそれでも同じ女性としての本能・母性が言わせたか。一瞬だが恐怖よりも怒りが感情を支配する。
「冗談じゃないさ。そのままつまらない女のまま生きて死ぬのはご免だ。せっかくある力だ。体が古くなったり飽きたらまた別の体に乗りかえる。それだけさ。
 入れ替わるのは魂だけだから肉体の記憶を手繰れば生活習慣を真似るのは造作もない。何しろこうして物理教師として教壇にたてるくらいだからね。
 もっとも人格は『私』だから、あまり口を開くとばれるので慣れるまではあまり口を開かないようにしていた」
 この言葉を聞いて心の底に押し込めた恐怖が甦って来た。
「ま…まさか今度はあたしの体に」
「いいや。言っただろう。女の体はこりごりだと。何度か事故や警察とのやり取りから逃れるために女の体に乗り移ったこともあるが、半月もしないうちに手ごろな男を見つけて目の前で自殺してやり乗り換えたことが有ったがわざわざ乗りかえるつもりもない」
「じゃ…どうして…」
「君を選んだ理由かね? 君はおしゃべり好きだろう。私もなんだよ。しかしこうして心から打ち明けることは出来ない。いくら不死の能力があるとは言えどばらして回るのは賢いものの選択ではない」
 ここでゆかりの恐怖は倍増した。こいつはあたしを絶対に殺す気だ。しかも単なる趣味で。逃げなくちゃ。逃げなくちゃ。
「もう一つの理由だが…私は殺しの中では『絞殺』が一番好きなんだ。充実感が違う。
 自分の手の中で消えて行く命火。もがきながらも生き延びようと抵抗してやがて絶望に変わるその美しさ。まさに『殺してやった』と言う醍醐味が味わえる。
 君は実に美しい首筋をしている。細いし…白い。その華奢なのど元に私の親指をつきたててやりたくてね。選んだのさ。
 どうやって人目のつかない場所につれて行くかが問題だったが、次によそとの抗争が起きたドサクサと決めていた。
 まさかここまで大きな騒動が起きるとは思わなかったがね。悪漢の馬鹿どもに感謝だな」
 陶酔したように目を閉じる斑。その刹那ゆかりは精一杯の勇気を奮って駆け出した。
(逃げなくちゃ。こんな話し誰も信じないかもしれないけど、あいつは不良たちを目の前で消して見せた。話は本当。だとしたら1メートルより多く離れれば)
「やっと逃げたか…くさい芝居までして逃がしたんだ。今の君は希望を感じている。それを砕きたい」
 斑はサッカーボールを蹴るように右足を蹴る。先ほどは腕から繰り出した衝撃波が足から出て低い軌道で飛んで行く。それはゆかりの足に当たる。
「きゃっ」
 ゆかりはたまらずもんどりうって倒れる。灰色の壁の中。斑が近寄ってくる。だが2メートルくらいの位置で接近を止めた。ゆかりが立ち上がるのを黙ってみている。逃げ出そうと思ったが今度は隙がない。
「君は今…私から離れることを考えた。当然だな。ゴーストフェイスキラーの『射程距離』を理解したようだね。頭が良い。たった一度の説明で理解するとは優秀だ。ご褒美に説明してあげよう。
 ゴーストフェイスキラーは一度に複数のものは燃やせない。それはこいつの右手から発生する導火線が燃え尽きないと次が出ないからだ。
 つまりいちいち括り付けに行かないといけない。密着するほどの近距離までにね。この距離だともうゴーストフェイスキラーの手は届かない。格闘には使えないな。まぁ本体の私が強いから必要ないがね」
「導火線?…まさかっ」
 ゆかりは先刻締められた首筋を探る。マリオネットマスターでない彼女には存在が察知できない。
「優秀だ。本当に優秀だ。そこまで理解できるとは。だからこそしゃべられる前にきちんと殺さないとな。つい調子に乗って殺しをしくじって警察に追われた事もけっこう有るしな。
 前の体のときもどうしようもない殺しの衝動に駆られて通り魔的にやったら、逃げ損ねてこうして高校教師になったわけだが」
 そして芝居っ気たっぷりに右手を顔の高さまで持ち上げる。
「さて…説明の続きだ。確かにゴーストフェイスキラーの射程距離は1メートルだが導火線は一度括り付けたら半径五十メートルが起動可能な位置だ。さぁ。おしゃべりはここまでにするか」
 右手を鳴らす形にする。
「今、殺しのときだ」
 ぱちんと指を鳴らす。ゆかりは首筋にとてつもない熱さを感じる。そしてそれは火を吹いた。

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