学芸員の就職先・公務員として働ける?
学芸員の就職先
学芸員の就職先は、博物館法によって規定されている博物館が中心となります。
この「博物館」というのは一般的にイメージされる狭い意味での博物館ではなく、美術館や水族館、動物園などさまざまな種類のものを含みます。
宝飾品や絵画、古文書などの資料や土器、動物や植物、魚。
その全てが国や地域にとっての貴重な財産であり、これらを通して市民の文化振興に寄与するような施設こそが学芸員の働く場となるのです。
私立の博物館
博物館には私立の施設と国公立の施設があります。
私立の博物館というのは、六本木ヒルズにある森美術館や東京ミッドタウンにあるサントリー美術館、東京駅の近くにある三菱一号美術館などのことを指します。
企業が運営しているため、学芸員も社員として雇われることになります。
国公立の博物館
これに対して、国公立の博物館というのは国立新美術館や東京都美術館などのことを指します。
全国各地に地域の伝統や科学技術などを伝えるさまざまな国公立の博物館があり、学芸員は各自治体によって公務員として雇用されることになります。
公務員として働くことができるため、一般的な民間企業に比べると景気の影響を受けにくいという点では安心して働くことができるでしょう。
ただし、公務員の学芸員は非常に人気があり、就職試験の競争率は非常に高くなることで有名です。
人気博物館ともなると、若干名の求人に対して数十人から数百人の応募があることは珍しくありません。
公務員の学芸員
公務員の学芸員を目指すのであれば、どのような試験を受けるのでしょうか。
ここでは令和元年度に行われた埼玉県の令和元年の学芸員採用選考のプロセスを見てみましょう。
まずは、受験資格です。
「昭和59年4月2日以降に生まれた人で、学芸員資格を有する人、又は令和2年3月31日までに学芸員資格を取得することが見込まれる人(国籍不問)」となっており、年齢的には30代前半までの人材を求めていることがわかります。
採用試験は二回にわたって行われ、第1次試験を突破した人のみが第2次試験を受けることになります。
採用予定人数は考古2名、歴史2名、美術史1名、美術1名、地質学1名でした。
これに対して、それぞれ9倍~42倍の申し込みがあったことが情報公開されています。
公務員の学芸員を目指す人は、これほど厳しい競争に勝たなければいけないのです。
一度で合格できなかった人のなかには、学芸員のアルバイトをしながら再度のチャレンジを行う人もいます。
さまざまな職場
学芸員は文化の向上や振興に貢献する義務があるので、市民サービスとして文化講座に呼ばれたり、各種講師を務めたりすることもあります。
基本的に教養と学識がある人がなる職業なので、教員免許を所持している人や元講師だった人も多いですし、大学で講義を行ったり研究所に招かれて研究実績がある人も多いです。
なかにはマスコミでも有名な文化人となって、テレビの教養講座に出たりシンポジウムなどに招かれたりするケースもあります。
職場としては資料の整理や管理、古文書の研究や管理などの裏方の地味な作業もありますが、それが将来的な博物館の表の展示や研究成果にも関わってくるので、そうしたことも総合的な職務の一環となっていきます。