愛好者が多いカラオケ。出会いを楽しむ常連客も(写真は本文と関係ありません)

 福井県内で8月27日に発表された新型コロナウイルス感染者13人のうち10人がカラオケ喫茶の利用者だった。感染者の中には複数の店に通っていたケースも多く、店は点在。感染の恐れがあるスポットが県内で一気に広がった形で、県は感染拡大に強い危機感を示している。

 今回の10人の聞き取りでは、発症前2週間で、店名を公表した福井市と越前町の2店を含む福井・丹南地域の計9店が利用されていた。カラオケ喫茶の愛好者は複数の店を巡って楽しむ人が多く、10人の中には5店を利用していた人もいた。

 福井市の店では利用者と常時接する経営者の感染が既に分かっている。専用窓口には約170件の相談が殺到。利用者約30人の検査結果は28日にも判明する。越前町の店でも、経営者と従業員の計2人が体調不良を訴え、PCR検査を実施した。

 県によると、県内のカラオケ喫茶店は約100店。全国的にもカラオケ喫茶の“はしご”による感染拡大は複数報告されており、福井県も予断を許さない状況といえる。

 今回、患者による病床の逼迫具合は警報基準には至っていない。杉本達治知事は発令の判断理由に検査数の多さを記者会見で挙げ、今後基準を超えるとの見通しを述べた。また、県健康福祉部の窪田裕行部長も「一定数感染者が増えるという前提で今後の対策を考えていきたい」とした。

 さらに窪田部長は「高齢者、特に基礎疾患がある人は、重症化リスクが高いことをあらためて認識してほしい。ご家族は、カラオケを伴う飲食店を利用しないよう声掛けを徹底してほしい」と呼び掛けた。今回のカラオケ喫茶利用者10人のうち9人は70~80代の男女だった。県によると、デイサービスなどの利用者はいないという。

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