「PCR検査は医師の判断で」 菅官房長官インタビュー詳細

2020年8月28日 06時00分
  菅義偉長官へのインタビューの主なやりとりは次の通り。 (聞き手=政治部長・高山晶一、清水俊介、村上一樹)

新型コロナ対策や敵基地攻撃能力保有について質問に答える菅官房長官=いずれも27日、東京・永田町の衆院第二議員会館で

 ―新型コロナウイルス対応に関して安倍晋三首相に紙面で質問し、インタビューも申し込んだが、現時点で回答がない。首相は28日にようやく会見するが、約2カ月ぶり。政府の発信で、もう少し首相は前に立つべきではないか。
 「私が1日2回、記者会見している。担当閣僚らも(会見を)やっている。首相も対策本部や会見を通じて国民に訴えている」

 ―PCR検査の能力は5万9000件余りだが、8月の実施件数は1日2万~3万件程度。諸外国との差も歴然としている。あまりにも政府は無策に見える。首相が以前言った目詰まりは解消されていないのか。なぜ増えないのか。
 「医師が『必要だ』という人をやるのが基本だ。春先に感染が拡大した際、そこができなかった地域があったのも事実。現在は大部分でできていると思う。全国に検査センターをつくり、4月は(検査件数が)1日6、7000件だったが、今は多いときは3万件いく」

 ―最終的に希望者全員が必ず受けられるようにすることは目指さないのか。
 「周辺者やクラスター(感染者集団)の発生地、あるいは繁華街(を対象とする)というやり方でやってきた。医療全体を考えたとき、効率的にやるべきだ。ただ、医師が判断したところはやるようにすべきだ

 ―新型インフルエンザ流行後の2010年にまとまった感染症対策の報告書が、PCR検査体制の強化を指摘していたのに、生かされなかった。反省は。
 「そういう反省の上に、現状、もう少し充実させるべきだと思う」

◆「GoToなければ大変だった」

 ―「Go To トラベル」は1カ月弱で少なくとも延べ420万人の利用と発表された。昨夏の10分の1程度。
 「これがなければ大変だった。命と健康を守るのは基本姿勢。その上で社会経済活動を両立させていかないと、国そのものが立ちゆかなくなってしまう」

 ―沖縄県の玉城デニー知事は、県内の感染者が増えたのは「Go To トラベル」が一因との見方を示している。やはり時期尚早だったのではないか。
 「420万人が使って(判明した感染者は)3人。全然おかしくなかった

 ―お盆の帰省に関し、首相は自粛を求めず、感染防止策の徹底を求めた。政府の感染防止は、国民の自衛頼みに映る。かなり無理な注文をしているように見える。
 「そんなことはない。ガイドラインを作っている。3密を避けるなど自衛でやっていくのが基本ではないか」

 ―個別の休業補償には強い要望がある。地方自治体の財政力には格差があるので、国のお金で、一括して休業補償をやる考えにはならないか。
 「地方自治体には、自由に使える交付金を3兆円配っている。自由なお金の方がいい」

◆敵基地攻撃「憲法解釈は変えない」

 ―野党が憲法53条に基づき、臨時国会召集を要求している。53条に基づく召集を法的義務とした那覇地裁判決もある。ただちに召集し、国民の命を守る議論をすべきでないか。
 「新型コロナ対策は、補正予算を執行し、予備費を活用して、対策をしっかりやるのが大事だ」
 ―敵基地攻撃能力は、政府として保有する方向で検討するのか。
 「(保有の検討を求めた)自民党の提言は極めて重要と認識しており、しっかり受け止めたい」

 ―専守防衛の枠内ではなく、日本が標的になって危険という指摘がある。
 「従来、憲法解釈上は『他に手段がないと認められる限りは、自衛の範囲に含まれ(保有は)可能』ということだ。それは変えない」

 ―防衛計画の大綱は「他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」との基本方針を明記している。この方針を転換するのか。
 「そこはない」

◆辺野古工事は継続

 ―沖縄県名護市辺野古(へのこ)での米軍新基地建設で、工事関係者に新型コロナの感染があった。県は工事の中止を求めている。
 「船で警備していた人で、全く工事と関係なかった。(埋め立て工事を進める考えは)変わらない」

◆「首相の体調、全く変わらない」

 ―首相の体調は。もう少し情報公開すべきでは。
 「毎日首相に会っているが、全く変わっていない。毎日出てきてコロナ対策を一生懸命やっている」

 ―「ポスト安倍」に意欲は。
 「全く考えていない」

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