日本郵政グループは31日、不適切販売の疑いがある新たな事案が発覚したと発表した。2015年度~19年度にかけ、ゆうちょ銀行の投資信託と、かんぽ生命保険の保険商品をともに契約した顧客765人分について調査する。虚偽の説明を受けて投信を購入した顧客が、保険料を支払えなくなる問題が発生した可能性があるという。
日本郵政の増田寛也社長は同日の記者会見で「悪質性の高い手法で手数料を得ていた可能性がある」と述べた。今後、対象社員の所属や法令違反の有無などを調べる。自粛を続けている保険営業の再開時期への影響については「考慮する一要素になる」と話した。
具体的には「投信の分配金は定額」といった説明を受けて既存の保険を解約した顧客が、その返戻金で投信を購入。別の保険を契約したものの、分配金で保険料を支払えなくなったなどのケースが浮上しているという。
今年4月からグループ各社に寄せられた苦情を名寄せして分析した。その結果、19年4月~20年6月に、意向に沿わない契約だった疑いのある苦情を各社に申し立てていた顧客が79人いることが判明した。対象期間を広げて調査することにした。従来は各社が個別で苦情に対応していた。