風にそよぐ葦 (上)

太平洋戦争の前後を時代背景に,新評論社長・葦沢悠平とその家族の苦難を中心に描いた社会小説の名作.

風にそよぐ葦 (上)
著者 石川 達三
通し番号 文芸263
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 文芸
日本十進分類 > 文学
刊行日 2015/06/16
ISBN 9784006022631
Cコード 0193
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 496頁
定価 本体1,340円+税
在庫 在庫僅少
「君のような雑誌社は片っぱしからぶっ潰すぞ」――.開戦前夜から戦後の日本国憲法施行に至るまでを時代背景に,出版社・新評論社の社長の葦沢悠平とその家族の苦難を中心に描いた社会小説の名作.上巻では,41年9月第3次近衛内閣崩壊直前から横浜事件を核に,一連の言論弾圧とそれに振り回される人々の受難を活写する.(全2冊)

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「君のような雑誌社は片っぱしからぶっ潰すぞ」――。日米開戦前夜から戦後の日本国憲法施行に至るまでの激動の6年間を時代背景に、出版社・新評論社(モデルは中央公論社)社長の葦沢悠平とその家族の苦難を中心に描いた社会小説の大作。
 上巻では、1941年9月第三次近衛内閣崩壊直前から、多くの雑誌・書籍の編集者たちがすさまじい拷問にさらされた一大言論弾圧事件「横浜事件」を核に、一連の言論弾圧とそれに振り回される人々の受難を活写する。下巻では、苛烈さを増してゆく戦争末期の言論統制の顛末から戦後の占領下における社会的・政治的状況の変遷を背景に、時世の暴風雨にさらされ続ける葦沢・児玉一家やその周囲の人々の苦難が描かれる。
石川達三(いしかわ たつぞう)
石川旺氏所蔵
1905―85年。秋田県平鹿郡横手町生まれ。小説家。早稲田大学文学部英文科中退。ブラジル移民船に乗り込み、その体験をもとに描いた小説『蒼茫』により、1935年、第1回芥川賞を受賞。主に社会問題をテーマとし、時代の波にもまれる人間の生き方を如実に描いた。代表作に、『金環蝕』 『人間の壁』(以上、現代文庫)、『生きている兵隊』『日蔭の村』『望みなきに非ず』『四十八歳の抵抗』など多数。『石川達三作品集』(全25巻)がある。
◆同時期刊行の下記もお勧めします
河原理子著『戦争と検閲 石川達三を読み直す』岩波新書、2015年

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2017年9月7日