カスタマーレビュー

2020年8月27日に日本でレビュー済み
実は★1レビューを読んで、そこまで悪様に言われるってどんな本だ?と思って購読しました。
結論を言うと、自分にとっては価値ある一冊でした。

「自分はこういう価値観でこう考えているので、こうしています、手探りですが懸命に」
という、何か確立した一つの子育て論というより子育てエッセイだと感じました。
ただ、あまりにもいろいろな現実に対しての解像度が高く言語化能力も優れているため「論」感が強く、
もし「著者が嫌い」から入って読んでしまうと、エッセイであるが故に余計に
内容を「読む」のがより難しくなるだろうなと納得しました。
フェミニズム入門っぽくもあり、男性学にも触れられているので、アレルギーが出る方もいらっしゃるでしょう。
自分はなんか見たことある名前だな?くらいの認識だったので、その点はラッキーだったのかもしれません。
最初から最後まで、とりわけ最初の対談が好きでしたが、興味深く読みました。

引用にあった、男性論にはもっと色々あって良い、とは本当にその通りだなと思います。
サブタイトルに「男らしさ」から自由になるレッスンとありますが、当然賛否ありますよね。
自分は概ねなるほどと思いながら、所々ツッコミを入れつつ読みましたが、
自由になる必要がそもそもないとか、レッスンの仕方を間違ってるとか、こんな風に育てられたらたまらないとか、
そもそも男らしさを履き違えてるとか、そういう感想もなるほどと思います。
なるほど、じゃああなたはどう考えていますか?と思います。
ただ、この本の内容(あるいは著者)を否定だけしても、
社会における価値観の多様性をひとつ損う。
否定的に感じるあなたは、これからの男の子・男性性はどうあるべきだと思いますか?
それはきっとこの本と同様に、一つの価値観の提示という点で意義のあるものでしょう。

自分は著者と感性が近い自覚がありますが、いざ男の子を育てるとなった時にはきっと、
その子とどう向き合うか、その子を通して見えた社会をどう見てどう考えるか、
著者と同様に、自分自身で考えたやり方で手探りで懸命にやっていくことになるでしょう。
甥っ子姪っ子や仕事で関わる子供たちに、自分の存在が何をもたらすことができるか、
社会を彼らに手渡すというのがどういうことなのかを、自分の視点で考えるでしょう。
そういう意味で、この本は自分にとってとても価値がありました。
考えることをやめるな、気付いたなら目をそらすな、いつかどうにかはならない・今どうにかし始めるのだ、
そういうメッセージを自分は受け取りました。

最後に、ちょっと意地悪な言い方ですが、
購読後に他のレビューを読み返すと、本文中で触れられていた「インセル」的な価値観の具体例みたいだな
と感じる部分に気付けたり、子育て論じゃなくて子育てエッセイなのはその通りだなあと納得したり、
なるほど確かにこの本を読んで世界に対する解像度がちょっと上がったのをリアルに感じられたのも面白かったです。
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